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番外編
とある幕間の世間話
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完結後、番外編としてUPするつもりで削除したものの、すっかり忘れていた第五章の2と3の幕間。台詞のみで短い上、オチもありません。
********************************************
「ねえ、バッチャ。ここどこ?」
「……えぇと、何て名でしたかね。あの筋肉黒ダルマの屋敷ですよ」
「ああ、下僕か。ちょっと、いい家住んでんじゃない! 仮にも王の伴侶のあたしんトコなんて、ここに比べりゃウサギ小屋よっ?」
「腐っても大国の近衛隊長邸ですから、こんなところでしょう。ヴェンダントは男尊女卑精神が根強いですし、アム様には水呪だって触れ込みもありましたしね」
「ぐぬぬぬっ……まあ、もう帰るから関係ないけど」
「拗ねないでくださいよ、黒ダルマのとっておきの裏話を教えて差し上げますから」
「なになにっ?」
「実はあの黒ダルマ、サージ王が初恋の君らしいんですよ」
「ガモっ……!」
「幼い頃のサージ王は、下手な姫君よりも華奢でお可愛らしかったそうで、初見で王女だと思って恋心をこじらせていたんです。主君と臣下の息子同士ですからね、直接口をきく機会がそうなかったので、しばらく気付かなかったらしいですよ。ガキってのは、都合のいいことしか耳に入れたがらないもんですし。当時、黒ダルマには年の離れた姉君がいたんですが、王に……サージ王の父君に見初められて、第八妃に寄越せと命令が下ってしまって……」
「ありがちなクズ権力者登場ってことは、もしや下僕のお姉さんには相思相愛の恋人がいて、それを知った陛下が颯爽と解決したとかっ? そんな甲斐性あるとは信じられないけど!」
「ふふふ、ベッタベタな展開ながら概ねその通りです。まあ、実際のところ、父王様に直談判に行ったサージ王自身は取りつくしまもなく、逆に殴られたとか……それでもヘタレなりに当時、第四妃だった母君に泣きついて、何とか白紙にしてもらったんだそうですよ」
「ああ、うん……頑張ってるけど、自分で解決出来ないところがゲラ陛下らしいわー」
「黒ダルマの姉君は現在、当時の婚約者と結婚して子供も三人産まれ、つつがなく幸せに暮らしているようです。そのときのやり取りでさすがに黒ダルマもサージ王が男とわかったらしんですが、恩義を覚えて一生お仕えしようと決めたみたいですね。サージ王が追放紛いにヴェンダントを追い出された後も、定期的に連絡を取られていたようですし」
「へー、そんな事情があったとはねぇ。しっかし、陛下が男とわかった瞬間の下僕の顔も見たかったな……けどバッチャ、何でそんな内部事情を事細かに知ってるの? そんな話、誇り高き戦士気取ってるあの下僕だったら、絶対に自分からは話さないでしょ?」
「ええ、とんでもない赤っ恥ですからねぇ。少数精鋭と言えば聞こえがいいですが、この国じゃあ、アタシ達は圧倒的に不利じゃないですか……だから、利用できそうな人間や、権力を持つ人間の弱味を秘密裏に掌握しといたんですよ。あ、長老は勝手に自爆してくれましたけどね」
「バッチャってば、ゲラギヌ! さっすがぁ、どうやったのっ? やっぱり足っ? その足を使って、イングリモングリとかベコンベコンとか、グッキンバッキンっ……」
「ふふふ、アム様ったら……変態が加速してますよ。大体、そんなことしなくっても、すでにサージ王も黒ダルマもすっかり手懐けてらっしゃるじゃあないですか。あ、あと殿下もですねぇ。最初にアム様に参っちまったのは、フリッカー様ですから」
「それ、全部偶然じゃない……フリッカーなんて、ホントに訳わかんないし」
「アム様がご自分の魅力を自覚し、意図的に行使できるようになったら、アタシなんて及びもつきませんよ……きっと、エリアスルート中の人間が平伏すでしょうね。ああ、そんな世界見てみたいかも……ふふふふふふふふふふふふふ(以下無限大)」
「いやっ、そこまではいいって! バッチャ、正気に戻ってぇーーー!」
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「ねえ、バッチャ。ここどこ?」
「……えぇと、何て名でしたかね。あの筋肉黒ダルマの屋敷ですよ」
「ああ、下僕か。ちょっと、いい家住んでんじゃない! 仮にも王の伴侶のあたしんトコなんて、ここに比べりゃウサギ小屋よっ?」
「腐っても大国の近衛隊長邸ですから、こんなところでしょう。ヴェンダントは男尊女卑精神が根強いですし、アム様には水呪だって触れ込みもありましたしね」
「ぐぬぬぬっ……まあ、もう帰るから関係ないけど」
「拗ねないでくださいよ、黒ダルマのとっておきの裏話を教えて差し上げますから」
「なになにっ?」
「実はあの黒ダルマ、サージ王が初恋の君らしいんですよ」
「ガモっ……!」
「幼い頃のサージ王は、下手な姫君よりも華奢でお可愛らしかったそうで、初見で王女だと思って恋心をこじらせていたんです。主君と臣下の息子同士ですからね、直接口をきく機会がそうなかったので、しばらく気付かなかったらしいですよ。ガキってのは、都合のいいことしか耳に入れたがらないもんですし。当時、黒ダルマには年の離れた姉君がいたんですが、王に……サージ王の父君に見初められて、第八妃に寄越せと命令が下ってしまって……」
「ありがちなクズ権力者登場ってことは、もしや下僕のお姉さんには相思相愛の恋人がいて、それを知った陛下が颯爽と解決したとかっ? そんな甲斐性あるとは信じられないけど!」
「ふふふ、ベッタベタな展開ながら概ねその通りです。まあ、実際のところ、父王様に直談判に行ったサージ王自身は取りつくしまもなく、逆に殴られたとか……それでもヘタレなりに当時、第四妃だった母君に泣きついて、何とか白紙にしてもらったんだそうですよ」
「ああ、うん……頑張ってるけど、自分で解決出来ないところがゲラ陛下らしいわー」
「黒ダルマの姉君は現在、当時の婚約者と結婚して子供も三人産まれ、つつがなく幸せに暮らしているようです。そのときのやり取りでさすがに黒ダルマもサージ王が男とわかったらしんですが、恩義を覚えて一生お仕えしようと決めたみたいですね。サージ王が追放紛いにヴェンダントを追い出された後も、定期的に連絡を取られていたようですし」
「へー、そんな事情があったとはねぇ。しっかし、陛下が男とわかった瞬間の下僕の顔も見たかったな……けどバッチャ、何でそんな内部事情を事細かに知ってるの? そんな話、誇り高き戦士気取ってるあの下僕だったら、絶対に自分からは話さないでしょ?」
「ええ、とんでもない赤っ恥ですからねぇ。少数精鋭と言えば聞こえがいいですが、この国じゃあ、アタシ達は圧倒的に不利じゃないですか……だから、利用できそうな人間や、権力を持つ人間の弱味を秘密裏に掌握しといたんですよ。あ、長老は勝手に自爆してくれましたけどね」
「バッチャってば、ゲラギヌ! さっすがぁ、どうやったのっ? やっぱり足っ? その足を使って、イングリモングリとかベコンベコンとか、グッキンバッキンっ……」
「ふふふ、アム様ったら……変態が加速してますよ。大体、そんなことしなくっても、すでにサージ王も黒ダルマもすっかり手懐けてらっしゃるじゃあないですか。あ、あと殿下もですねぇ。最初にアム様に参っちまったのは、フリッカー様ですから」
「それ、全部偶然じゃない……フリッカーなんて、ホントに訳わかんないし」
「アム様がご自分の魅力を自覚し、意図的に行使できるようになったら、アタシなんて及びもつきませんよ……きっと、エリアスルート中の人間が平伏すでしょうね。ああ、そんな世界見てみたいかも……ふふふふふふふふふふふふふ(以下無限大)」
「いやっ、そこまではいいって! バッチャ、正気に戻ってぇーーー!」
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