90 / 111
3章 逆境は真実へと至る最初の道筋である。
朝ってなんでこんなに眠いんだろうね。もっと眠っていたいな
しおりを挟む
青い空。白い砂浜。輝く太陽。そんな謳い文句が出てくる場所は、一つしかない。
「海だー!」
レベッカは今、海に来ていた。
「そんなにはしゃがないでよ。フィアラ」
チノも一緒に。
「だってだって、海ってはじめてだもん」
「まあ、国の端っこまで行かないとないもんね」
「そうそう!だから遊ばないと損だよ!」
そんな事を話している二人の元に近づく人物がいた。
「2人とも、そんなに急がないでください。海は逃げませんよ」
そんなことを言いながら二人に近付いてくるのはナイルだった。
「ナイルは楽しみじゃなかったの?」
「楽しみでしたよ。でも、今から急いでも体力が持たないなと思いまして」
そんな弱音を吐くナイル。なぜナイルがいるのか。それはもちろんレベッカが誘ったからだ。
「二人は疲れてないんですか?パフォーマンスが終わって、睡眠をとったらすぐに馬車で向かいましたよね?」
「私は少し前に怒涛の展開があったから慣れちゃった」
レベッカはそう返すが、チノはまだ少し欠伸している。
「私は、フィアラほど元気じゃないけど、疲れはそこまで残ってないかな。パフォーマーって、忙しい時はとことん忙しいし」
レベッカは、二ヶ月前からの生活に、チノはパフォーマー生活故に。疲れはさほど残ってないのだ。
「ナイルさんは疲れちゃった?」
「本音を言うと少し。でも、レベッカさんに誘われたのですから、お供しますよ」
ナイルがそう言うと、レベッカは少し不服そうな表情を見せた。
「もう、フィアラはそんな付き従うような言い方は嫌いなの。もっと本心から楽しんでもらわないと」
チノに言われて、ナイルははっとする。先程の言葉は、まるでナイルが嫌々来たみたいになってしまった。
「そうですね。自分の過ちに気が付きました。ありがとうございましす。リリルナ様」
「ちょっと、リリルナ様はやめて。チノでいいよ」
「では、チノ様」
「敬称も敬語もいらない。わかった?今まで接点がなかったとしても、今はフィアラの共通の友人。でしょ?」
そう言われても、ナイルは少し困ってしまう。ナイルはレベッカの友人とは言い難い立場だからだ。
正直、今回誘われたのも前回レベッカが協力申請したにも関わらず、拒絶し、罵倒し、殺意を向けたからだと思っている。
「なにを悩んでるのかだいたいわかるけど、フィアラはそんなくだらない理由で誰かを誘ったりしないよ」
「そう、ですね。わかった。じゃあ、よろしくねチノさん」
「うん。よろしくね、ナイル」
二人は握手をした。
「レベッカさんもすみません」
「ううん。いいの。私が悪いことには変わりないんだから」
三人の親睦を深めたところで、
「じゃあ、遊ぼっか!」
レベッカは二人にそう言った。
「海に来た時点で遊ぶことは予想出来たけど、気温はどうするの?暑い程じゃないから入ったら寒いと思うけど………」
「それは任せて!」
チノの懸念に、レベッカは笑顔で対処した。天に手を向け、
「えいっ!」
魔力を放出することにより、人工太陽を創り出し、一帯の気温を引き上げた。
「どう?これなら大丈夫だよ!」
これなら大丈夫だが、これではいずれレベッカの魔力が尽きてしまう。
「レベッカさん、魔力は大丈夫なのかい?」
「それは大丈夫。私の魔力なら自然回復も併せれば夜までもつから」
かつてアイトから魔力バカとまで称されたレベッカの魔力は、この程度で尽きることは無い。
「でも、水着は………?」
そう、遊びに来たものの、水着を用意していないのだ。なぜ海に行くのに水着を用意していなかったのか。
それは、予定の全てはレベッカに任せており、二人がどこに行くのか聞かされたのは馬車の中のことだったからだ。
「それも任せて」
すると、そのタイミングで新たな馬車が到着した。
「あれって………」
来た馬車は、リリルナ家の馬車だった。
「あ!ありがとう!」
レベッカは馬車の行者にお礼を言いながら中に入り、荷物を取り出した。
「はい。私が魔法で二人のサイズを測って注文した水着だよ!」
用意周到とはこのことだろう。事前に報告を済ませれば、よかったものを。レベッカはサプライズにすることにより、ここまで準備をしていたのだ。
「フィアラ、やる気満々だね」
「レベッカさんがここまでするだなんて………」
ナイルにとっては予想外であり、チノからしてみれば短い時間とはいえ関わってきたレベッカの変わりように動揺を隠せなかった。
「折角遊ぶんだから、めいいっぱい遊ばないとね!」
こうして、奇妙な三人組による一日が幕を上げた。
「海だー!」
レベッカは今、海に来ていた。
「そんなにはしゃがないでよ。フィアラ」
チノも一緒に。
「だってだって、海ってはじめてだもん」
「まあ、国の端っこまで行かないとないもんね」
「そうそう!だから遊ばないと損だよ!」
そんな事を話している二人の元に近づく人物がいた。
「2人とも、そんなに急がないでください。海は逃げませんよ」
そんなことを言いながら二人に近付いてくるのはナイルだった。
「ナイルは楽しみじゃなかったの?」
「楽しみでしたよ。でも、今から急いでも体力が持たないなと思いまして」
そんな弱音を吐くナイル。なぜナイルがいるのか。それはもちろんレベッカが誘ったからだ。
「二人は疲れてないんですか?パフォーマンスが終わって、睡眠をとったらすぐに馬車で向かいましたよね?」
「私は少し前に怒涛の展開があったから慣れちゃった」
レベッカはそう返すが、チノはまだ少し欠伸している。
「私は、フィアラほど元気じゃないけど、疲れはそこまで残ってないかな。パフォーマーって、忙しい時はとことん忙しいし」
レベッカは、二ヶ月前からの生活に、チノはパフォーマー生活故に。疲れはさほど残ってないのだ。
「ナイルさんは疲れちゃった?」
「本音を言うと少し。でも、レベッカさんに誘われたのですから、お供しますよ」
ナイルがそう言うと、レベッカは少し不服そうな表情を見せた。
「もう、フィアラはそんな付き従うような言い方は嫌いなの。もっと本心から楽しんでもらわないと」
チノに言われて、ナイルははっとする。先程の言葉は、まるでナイルが嫌々来たみたいになってしまった。
「そうですね。自分の過ちに気が付きました。ありがとうございましす。リリルナ様」
「ちょっと、リリルナ様はやめて。チノでいいよ」
「では、チノ様」
「敬称も敬語もいらない。わかった?今まで接点がなかったとしても、今はフィアラの共通の友人。でしょ?」
そう言われても、ナイルは少し困ってしまう。ナイルはレベッカの友人とは言い難い立場だからだ。
正直、今回誘われたのも前回レベッカが協力申請したにも関わらず、拒絶し、罵倒し、殺意を向けたからだと思っている。
「なにを悩んでるのかだいたいわかるけど、フィアラはそんなくだらない理由で誰かを誘ったりしないよ」
「そう、ですね。わかった。じゃあ、よろしくねチノさん」
「うん。よろしくね、ナイル」
二人は握手をした。
「レベッカさんもすみません」
「ううん。いいの。私が悪いことには変わりないんだから」
三人の親睦を深めたところで、
「じゃあ、遊ぼっか!」
レベッカは二人にそう言った。
「海に来た時点で遊ぶことは予想出来たけど、気温はどうするの?暑い程じゃないから入ったら寒いと思うけど………」
「それは任せて!」
チノの懸念に、レベッカは笑顔で対処した。天に手を向け、
「えいっ!」
魔力を放出することにより、人工太陽を創り出し、一帯の気温を引き上げた。
「どう?これなら大丈夫だよ!」
これなら大丈夫だが、これではいずれレベッカの魔力が尽きてしまう。
「レベッカさん、魔力は大丈夫なのかい?」
「それは大丈夫。私の魔力なら自然回復も併せれば夜までもつから」
かつてアイトから魔力バカとまで称されたレベッカの魔力は、この程度で尽きることは無い。
「でも、水着は………?」
そう、遊びに来たものの、水着を用意していないのだ。なぜ海に行くのに水着を用意していなかったのか。
それは、予定の全てはレベッカに任せており、二人がどこに行くのか聞かされたのは馬車の中のことだったからだ。
「それも任せて」
すると、そのタイミングで新たな馬車が到着した。
「あれって………」
来た馬車は、リリルナ家の馬車だった。
「あ!ありがとう!」
レベッカは馬車の行者にお礼を言いながら中に入り、荷物を取り出した。
「はい。私が魔法で二人のサイズを測って注文した水着だよ!」
用意周到とはこのことだろう。事前に報告を済ませれば、よかったものを。レベッカはサプライズにすることにより、ここまで準備をしていたのだ。
「フィアラ、やる気満々だね」
「レベッカさんがここまでするだなんて………」
ナイルにとっては予想外であり、チノからしてみれば短い時間とはいえ関わってきたレベッカの変わりように動揺を隠せなかった。
「折角遊ぶんだから、めいいっぱい遊ばないとね!」
こうして、奇妙な三人組による一日が幕を上げた。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
あなたの笑顔が見たくて ~第二王子婚約者令嬢と専属従者の恋物語~
蒼あかり
恋愛
侯爵令嬢ジュリアの専属従者になったレックス。
始めて会った時に自分に向けられた笑顔が忘れられず、レックスは使用人としての自分の思いを殺し、彼女を一生守ると心に誓う。
その後ジュリアは、モダール王国第二王子アルベルトの婚約者となる。
女性関係の噂が絶えないアルベルトとの関係もままならないまま、浮気相手であるリンダ嬢の魔の手がジュリアに襲いかかり......。
途中、痛い描写があります。ご注意ください。
男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
百門一新
恋愛
男装の獣師ラビィは『黒大狼のノエル』と暮らしている。彼は、普通の人間には見えない『妖獣』というモノだった。動物と話せる能力を持っている彼女は、幼馴染で副隊長セドリックの兄、総隊長のせいで第三騎士団の専属獣師になることに…!?
「ノエルが他の人にも見えるようになる……?」
総隊長の話を聞いて行動を開始したところ、新たな妖獣との出会いも!
そろそろ我慢もぷっつんしそうな幼馴染の副隊長と、じゃじゃ馬でやんちゃすぎるチビ獣師のラブ。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ」「カクヨム」にも掲載しています。
完結 悪役令嬢は高級娼婦に行きました~婚約破棄ですか?大歓迎です!最初のお客様は第一王子の側近の公爵令息!!抱き潰されるみたいです~
シェルビビ
恋愛
悪役令嬢シェリン・フェネットは卒業パーティーに無実の罪で婚約破棄されて、罪を償うため高級娼婦になってしまう。
シェリンは連れて行かれる時に心の中で踊り狂っていた。何故ならシェリンは前世の記憶を持っていて、筋肉質な男性とセックスがずっとしたくて仕方がなかったのである。
騎士団に通いつめて差し入れを入れて、将来筋肉(騎士)に抱き潰されるために寄付金を渡し騎乗位のために運動をする。
全てはこの日のためだったのだ。
最初のお客様を出迎えた時、シェリンは驚いた表情を隠せなかった。腰に剣を携えた第一王子の専属騎士のフェイロンがやって来たのだった。
シェリンは心の中で遺書を書くと初めてのガチンコファイトセックス?の幕開けだったのだ。
娼婦館に行くまでが長いです。
作者新作
シンデレラストーリーに登場する醜悪でざまあな(笑)な悪女な妹ですが、やり直し人生は絶倫軍人の公爵様を追いかける。
公爵家のメイドさん~王妃様付き護衛騎士から公爵家の専属メイドにジョブチェンジしたら、なぜか氷の貴公子から迫られて困っています~
しましまにゃんこ
恋愛
新しく公爵家に雇われたメイドのライラは、超武闘派メイド。大切な坊ちゃまを守るため、今日も剣の技が冴える。 公爵家の次男坊であるジョシュアは凛々しくてかっこいいライラに憧れていて、なんとかいいところを見せたいと日々奮闘していた。
今日も突然襲い掛かってきたアイアンベアを一撃で倒したライラに、ジョシュアはすっかり魅了され、思わず結婚を申し込むもあえなく玉砕。いつだってライラは、相変わらずの塩対応なのだった。
実はそんなライラには、とある秘密があった。敬愛する王妃様のため、時期王配候補として決定したジョシュアを陰ながら守り、育てるという並々ならぬ決意を持っていたのだ。ジョシュアの初恋は実りそうにない。
そんな中、ライラの行動にがっくりと肩を落とすのは、公爵家の嫡男チャールズ。氷の貴公子と名高い彼もまた、ライラに夢中な一人で……。
二人の兄弟からひたすら愛を囁かれるライラの明日は? 激ニブメイドさんとライラが好きでたまらない公爵家の二人の兄弟のほのぼのした日常のお話です。
小説家になろう、他サイトでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる