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3章 逆境は真実へと至る最初の道筋である。

書く速度が低下している件についてどうお考えですか?

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 楽屋に入ると、中はかなりギスギスとしていた。
 ノーマルランクのパフォーマーは、最低限のファンがつくだけで、日々スーパーランクに上がるために争いあっている。

 三ヶ月に一度、昇格戦みたいなものがあり、皆それに向けて練習をしたり、観客に受け入れてもらえるようにしているのだ。

 そのためなのか、誰も仲良く話していない。
 パフォーマーは基本ソロであるのもあるだろう。

「居心地悪い………」

 誰もがフィアラを遠巻きに見るだけで、干渉してこない。
 その観察するような視線が不快だった。

「おさらいでもしようかな」

 フィアラは残りの待ち時間の間、今日の流れが書かれたプログラムを読むことにした。
 まず、この後ビギナーランクのリハーサルが始まり、その後ノーマルランク、スーパーランク、マスターランクの順番でリハーサルを行う。
 リハーサルの間はパフォーマーならば誰でも観客席からステージを見ることは可能。

 今日はビギナーランクやノーマルランクはほぼ全員エントリーしていて、スーパーランクは全体の半分ほど。マスターランクはチノ一人らしい。

 パフォーマンスは、自身の踊りや舞に加え、魔法でアピールするらしい。着る衣装も重要になる。
 基本的に衣装は自前らしいが、そんなお金も持っていないフィアラには無理な話しだ。

「まあ、魔法だけでもなんとかなるかな」

 アイトに全て教えてもらった。剣術も使える。短い時間だが、具現化の魔法も操れるようになった。

 全ての魔法に適性もあるし、いざという時のためにダンスも嗜んでいる。

 楽観視するつもりは無い。だけど、

「上手い人のを見て、それを奪えばいい」

 言うのは簡単だ。だが、それを実行に移そうとすると相当な難易度を誇る。

「まあ、悩んでいても仕方がないか」

 そう言って顔を上げたタイミングで

「ノーマルランクの方々、リハーサルの時間です!」

 担当の人が楽屋に呼びに来た。

「じゃあ、行こっかな」

 そうしてリハーサルに望んだフィアラだったが、リハーサルの結果は、ボロボロだった。

「はじめてであれば無理があるでしょ………」

 中間ら辺か最後ならばまだよかった。だが、フィアラは悲劇的に最初の方だったのだ。しかも三番目。修正できる方がすごい。

「しかも本番も三番目………」

 悩んでも仕方がないのはわかるが、少々無理難題がすぎる。

「でも、まだ挽回のちゃんすはある」

 既にスーパーランクのリハーサルも終わり、マスターランクのリハーサルが始まった。
 過去の映像みたいなのがないのが悔しいが、抑えているチノのリハーサルを見て、それを盗み出そう。そう決心しながらフィアラはリハーサルの光景を眺めるのだった。
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