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一章 汝等ここに入るもの、一切の望みを捨てよ。

「この物語。ラブコメなのにラブコメ要素今のところ全くないよね〜」って笑われている気がするのは気の所為だよね

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「大丈夫?レベッカ」

「うん。もう大丈夫。ありがとう、ステラ」

 場所は変わって近くの公園のベンチに2人は座っていた。
 突然目の前で泣き出したレベッカに驚きつつここまで連れてきたステラにはレベッカは感謝してもし足りないだろう。

「それで、どうしたのですか?急に………」

「実はね………」

 新聞で殺人事件のことを見たこと。ステラが心配になったこと。様子を見に来たこと。元気そうな様子を見て安心してしまったことをレベッカは全て話した。

「もう、私は大丈夫ですのに」

 レベッカの話しを全て聞き終えたステラは、仕方がないなぁという風に笑っていた。

「だって、もしものこともあるし………」

 ステラは小柄だ。故に殺されて、発見されないようにどこかへと遺体を持っていかれるかもしれない。

「レベッカが心配することないですよ。殺人犯なんて、夜中に現れるものですし?私、夜中に出歩きませんから」

 その言葉を聞いて、完全に自分の心配は杞憂だったとレベッカは考える。

「よかった。でも、なにかあったら言ってね。力になるから」

 レベッカの言葉を聞いて、今まで安心させるような笑顔を浮かべていたステラの表情が一瞬強ばった。

「ステラ?」

 名前を呼ばれたステラは、ハッとすると、少し考える素振りを見せる。
 悩みがあるのだろうか。その悩みを打ち明けようか考えているのだろうか。

 少し考えたステラはもう一度笑顔を浮かべると、

「大丈夫、ですよ。でも、なにかあったら、その時はよろしくお願いします」

 レベッカは、それでも安心しなかったが、ステラ本人が大丈夫と言っているのだから、大丈夫なのだろう。

 そう判断したレベッカは、少し話した後、屋敷に帰還した。

「ねぇ、なんで人を殺すのかな?」

 夜。今日は誰も夕食を持ってきてくれない日で、アイトが持ってきてくれた夕食を食べ、入浴を済ませた後。レベッカの自室の中で近くに立っているアイトに問いかけた。

「そうですね………人を殺す。それをしなくてはいけないほどになにか理由があるのでしょうね」

「そんなの、私には分からないよ」

「そうですね。ですが、普通の人からしてみれば、お嬢様の今のこの屋敷での扱いも十分人を怨み、そして殺す。そうする理由になり得ると思いますが………」

「そう、なのかな?」

「そうですよ。普通は。そう考えると、お嬢様は精神力が強いのかもしれませんね。味方もいないのに今の状態を甘んじて受け入れるなんて………」

「1人じゃないよ。アイトがいるから」

 レベッカのその言葉に、アイトは言葉を詰まらせた。

「そう、でしたね。失言でした」

「いいの。それでも、私はわからないな。怨みの為だとしても、それ以上の人を殺す理由が………」

 レベッカは願う。願うことしかできないから。
 どうか、できることならば。

「ステラが、この事件に巻き込まれなければいいな」

 そう願いながら。

 しかし、後にレベッカは、今日この日のことを後悔することとなる。
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