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ヤンキー系
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「さて、どうだったかな?」
「………案外、みんな適応するのはやいんだなって思った………」
「そうだね。でも、君に悪印象を抱いている人物は今はまだ少ない。警戒してる人物が殆どだ。この評価をどうするかは、これからの君の頑張り次第だよ」
「………そうだな」
リンはまだ、本当の意味では迎え入れてもらっていないということを、改めて理解した。
「じゃあ、次に部屋に案内したいけど………少し問題があってね………」
そう言ってクロムが言葉に詰まった。クロムが言葉に詰まるくらいだから、きっとなにかあるのだろうが………
「まあ、取り敢えず先にお風呂に行ってくれないかな?はい。地図はこれだから」
少し用事があるから、と。クロムと別れたことにより一人で風呂に行くことになったリン。
「そういえば、男女比ってどれくらいなんだろうな………」
ふと思った疑問を口に出す。食堂では、人間種以外の亜人族も見たが、正確な男女比までは見ていなかった。
「まあ、後でわかるか」
ぶっちゃけ、それは今のリンの気にすることではなかった。
男湯の脱衣場に入り、服を脱いで風呂場に入る。
「ふぅ~。久しぶりにゆっくりできそうだ………」
今までは時間制限つきの銭湯で急いで入らなくてはいけなかったし、昨日までは嫌がらせされていたこともあり、余計ゆっくりと風呂に入る時間がなかったのだ。
「それに………」
リンが見た感じ、このギルドのお風呂は、なかなかに本格的だった。
「こんな設備、日本にいた頃以来だな………」
少しだけ懐かしい気持ちになりながらリンはお風呂に浸かった。
そしてしっかりゆっくり風呂に浸かってると、誰かが入ってくる音がした。
誰でもよかったが、少しだけ気になって見てみると、胸に大きな傷痕を残した身長186cm程の男だった。目の下にも傷があり、身体中にも胸の傷ほどでは無いが、それなりに目立つ傷が幾つもある。
(ああ、ヤンキー系か………)
だから、リンは、あまり気にしないことにした。
こういうタイプは、自分から関わらなければ関わってこない場合が多いからだ。
「おい」
そして、その前提は一瞬で覆された。
「………なんだ?」
「テメェ、今日加入したんだってな?」
如何にもヤンキーな男はオラオラ語尾がつきそうな勢いでリンにそう言った。
「………ああ」
「Dランクだってな。いつランクアップしたんだ?」
「今日だ………」
「ってことはまだまだ駆け出しか………」
駆け出しと言われても、Dランクでも大半が駆け出しだ。
なにが言いたいんだとリンが少しだけ警戒してると
「精々足元救われねぇようにしろ」
それだけ言うと、ヤンキー系は出ていってしまった。
「………あれ?普通に助言されただけか?」
会話を振り返って、リンは素直にそう思うのだった。
────────────────────────
案外人の心配してくれるヤンキー系はそこそこいると思ってる系です
「………案外、みんな適応するのはやいんだなって思った………」
「そうだね。でも、君に悪印象を抱いている人物は今はまだ少ない。警戒してる人物が殆どだ。この評価をどうするかは、これからの君の頑張り次第だよ」
「………そうだな」
リンはまだ、本当の意味では迎え入れてもらっていないということを、改めて理解した。
「じゃあ、次に部屋に案内したいけど………少し問題があってね………」
そう言ってクロムが言葉に詰まった。クロムが言葉に詰まるくらいだから、きっとなにかあるのだろうが………
「まあ、取り敢えず先にお風呂に行ってくれないかな?はい。地図はこれだから」
少し用事があるから、と。クロムと別れたことにより一人で風呂に行くことになったリン。
「そういえば、男女比ってどれくらいなんだろうな………」
ふと思った疑問を口に出す。食堂では、人間種以外の亜人族も見たが、正確な男女比までは見ていなかった。
「まあ、後でわかるか」
ぶっちゃけ、それは今のリンの気にすることではなかった。
男湯の脱衣場に入り、服を脱いで風呂場に入る。
「ふぅ~。久しぶりにゆっくりできそうだ………」
今までは時間制限つきの銭湯で急いで入らなくてはいけなかったし、昨日までは嫌がらせされていたこともあり、余計ゆっくりと風呂に入る時間がなかったのだ。
「それに………」
リンが見た感じ、このギルドのお風呂は、なかなかに本格的だった。
「こんな設備、日本にいた頃以来だな………」
少しだけ懐かしい気持ちになりながらリンはお風呂に浸かった。
そしてしっかりゆっくり風呂に浸かってると、誰かが入ってくる音がした。
誰でもよかったが、少しだけ気になって見てみると、胸に大きな傷痕を残した身長186cm程の男だった。目の下にも傷があり、身体中にも胸の傷ほどでは無いが、それなりに目立つ傷が幾つもある。
(ああ、ヤンキー系か………)
だから、リンは、あまり気にしないことにした。
こういうタイプは、自分から関わらなければ関わってこない場合が多いからだ。
「おい」
そして、その前提は一瞬で覆された。
「………なんだ?」
「テメェ、今日加入したんだってな?」
如何にもヤンキーな男はオラオラ語尾がつきそうな勢いでリンにそう言った。
「………ああ」
「Dランクだってな。いつランクアップしたんだ?」
「今日だ………」
「ってことはまだまだ駆け出しか………」
駆け出しと言われても、Dランクでも大半が駆け出しだ。
なにが言いたいんだとリンが少しだけ警戒してると
「精々足元救われねぇようにしろ」
それだけ言うと、ヤンキー系は出ていってしまった。
「………あれ?普通に助言されただけか?」
会話を振り返って、リンは素直にそう思うのだった。
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案外人の心配してくれるヤンキー系はそこそこいると思ってる系です
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