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花の都 ラスカロッサ
目の前で起こったことがことが信じられません
しおりを挟む(一番気になる場所って言ったらここしかないよね…)
ミコトたちは舞台の上に来ていた。
「さぁミコト!どこか気になるとこはない?」
ジークに聞かれるがそんなすぐにはわからない。
以外と舞台って広いんだなぁ、観客席よく見えるなぁくらいの感想しか出てこない。
一通り、壁や床を触ってみたが何も起こらなかった。
「公演ではいろんな建物が出てきたけど、舞台上には一切ないのね…」
姫様がつぶやく。
「確かに…あれはどんな魔法なんだ…幻覚か?そうなると風や水魔法?原理がさっぱりわからない…」
ユキちゃんが唸る。
「光じゃないかなぁ~」
今は至宝探しが優先なのに、真剣に魔導具について考える様子がかわいくて、つい助け舟を出してしまった。プロジェクションマッピングと似たようなものならきっと光じゃないかと思ったのだ。
「光??なんでそう思うんだ?光ってまぁ照明とかはそうだけど…メインは治療や回復魔法だろ?」
アルが不思議そうに言う。
「へっ!そうなの?てっきり俺の世界に似たようなのがあったからてっきりそれと同じようなものかと…あぁでもあれは光っていうより電気なのか…?」
文系のミコトにはさっぱりわからない。
そしてまだ習ってなかったので知らなかったが光魔法というのは医学的なものであるらしい。
「ミコト…君の世界にあれと同じものがあるのか!!どうやって動く!原理は!仕組みは!デンキってなんだ!!」
ユキちゃんが興奮して食いつく。
「よ、よくわからないけど…どこからかプロジェクターみたいなのがあって映像を映してるんじゃないの??」
「プロジェクター?映像…?」
「えっと…動く絵みたいな…?」
「光がどうやって絵を動かすんだぁー!!!!」
(そんなこと言われても知らないよ!!!)
正直今まで気にしたこともなかった。お手上げである。
「まぁまぁユークリッド。落ち着いて。ミコト…君だったらそのプロジェクターとやらをどこへ置く?」
ジークがユキちゃんをなだめながら尋ねる。
「一番後ろの壁からかなあ…。」
映画館を思い浮かべる。後ろの壁の高いところから光が差し込む、映画の始まりの合図を見る瞬間が子どもの頃大好きだった。
♢♢♢
一行は劇場の一番奥の壁を見上げていた。
音響のためか3~4mごとに壁がデコボコとせり出している。そしてその高さは4階建てのビルくらいありそうだ。
「この壁のどこかに至宝があるかもしれないのか…」
舞台や劇場内は騎士団が捜索してくれているが一向に見つからない。20年以上もこの劇場で稽古をしてた団員たちですら誰一人見たことがないのだ。壁の中…という一見すると突拍子もない意見だが、その線が濃くなっていく。
「どうやって調べようか…ミコトの風魔法は…うん。やさしい風だね。ありがとう。気持ちいいよ…」
ミコトはそよ風なら起こせるようになってきた。
ジークが悩む。
「一番いいのはミコトに壁を調べてもらうことだけど…風に乗ってジャンプしてもらうのは…無理そうか…」
そんなゲームの主人公みたいなことを求めないでくれ。ミコトの運動神経は中の下である…キノコで強くなる愉快な髭の双子みたいな動きはできない。
「風魔法が得意な騎士におぶってもらって飛ぶか…でも人を乗せてコントロールできる奴は…」
「あの上まで行きたいんだろう。俺の背中に乗ればいい。」
アルが壁を見上げながら言う。
「いいのかい、副団長?背中に乗せるって…でも確かに君の脚力なら…」
「別に構わない。すぐそこに至宝があるかもしれないんだ。チンタラしてられねぇだろ。」
「え!俺、アルにおんぶされんの!?」
(さすがにそれは恥ずかしすぎる!!あまりくっついて女だってバレたくないし…ってかまじでバレないな…女神の腕輪のおかげだよね…私の色気の問題じゃないよね…)
アルの衝撃発言に動揺して余計なことまで考えてしまった。
「おんぶじゃねぇよ。背中に乗るんだよ。」
そういってアルがミコトの前に来てしゃがむ。
アルの背中が徐々に盛り上がり、手足が太く、短くなっていく…
ミコトの目の前には、気づけば赤銅色の毛皮を持つ1匹の雄々しいライオンがいた。
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