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花の都 ラスカロッサ
舞台を拝見しました
しおりを挟む舞台が開幕する。
初めの掴みから見事なもので、グッと芝居に引き込まれた。ヒロインはかわいいしヒーローはツボを押さえた理想の男性で、乙女たちが夢中になるのもわかる。ミコトも舞台に見入ってたその時、場面が変わる。
ヒロインとヒーローが出会った下町から、チンピラのふりしていて実は王子様だったヒーローの部屋、つまり王城へと舞台が変わる。背景の茶色い建物群が金色に輝きながら幾何学模様を描き形が変形していく。
(プロジェクションマッピングみたい…)
1つの場面展開とは思えないほど、一種の芸術作品で目が離せない。
(あれはどうやっているの…?違う、素晴らしいけど、もっと違うことが出来る気がする…)
激しい違和感が沸き起こり、落ち着かない。
芝居の中で何回か場面は変わったが、そのたびに沸き起こる感覚に集中できない。
無駄な疲労感を味わって、舞台鑑賞は終了した。
「輝きは光の魔法…?いや、でも形が変わるのは土魔法…?でも流動的な動きは水か…?あぁわからない!わかりたい!!ミコト、君の正体なんてどうでもいいから、いくつだってネタを売り込んであの魔導具見せてもらおうよ、それしかない!」
ユキちゃんがグイグイ突き進む。この嬉々とした感じ既視感がある…
アルが一生懸命止めようとしているが聞く耳を持たない。魔導具バカ!!
(でも気になるからなぁ…)
今回のミコトはきちんと自分の意思をもって流された。
♢♢♢
「すみませーん。先日お断りしたんですけど、どんなネタだって使っていいです。いくつも提供します。その代わり、舞台展開の魔導具の仕組みと動力見せてください!!」
乗り込んじゃったよ応接間Part2☆
部屋にはロザリーとノーラがいた。
姫様もディアナもワクワクしてついてきてるからみんな共犯だ!
そしてアルだけ頭を抱えてた…
「僕、宮廷魔導士のユークリッド・エルモンテと言います。エルモンテ侯爵家の嫡男として日々魔導具の開発や研究をしています。先日は失礼いたしました。今夜の舞台拝見させてもらいましたが、素晴らしかったです。こちらのクリスティア姫様や姉のディアナがハマるわけがわかりました。そして何より、場面展開時の演出は素晴らしい。ミコト様…信じられないでしょうが、ミコト様は異世界から呼ばれた聖女様なのでございます。ミコト様も感動しておられ、大絶賛でした。ミコト様が異世界でも見たことがないと…あの技術はどうなっているのかと不思議がられてまして…今夜のこの素晴らしい出会いに免じて、少しお話してもらうことは可能でしょうか。お礼にミコト様から、異世界の物語をいくつか提供しようと…。えぇそうです。先日孤児院で話していたのは異世界のおとぎ話でして、ミコト様の存在は混乱を避けるために機密扱いとされてましたので残念ながら先日はお断りを…えっ?話していいのかだって…?ミコト様が是非にと言っておるのですからよいのです。大丈夫です。バレなきゃいいのですから…。人のことを知りたいのならまず自分をさらけ出さなくては…とミコト様も申しております。それほどまでに、魔導具が気になるのでしょうね。ミコト様に免じてどうか貴女様の秘密もお教え頂けますでしょうか…?」
(うわ~売ったよ、この人立派に人のこと売ったよ。しかも姫様の名に侯爵家に…権力フル活用&罪悪感に訴えた見事な交渉術だよ。っていうかディアナと姉弟!?あ、私の服燃やした時と笑顔が一緒だ…)
一気に脱力してしまった。
議員のおじさんたちにはまたいろいろ言われるだろうが仕方がない!
ミコトはここまで曝露されて…腹が決まった。
「聖女様…だったんですか…」
ノーラが泡を吹いている…
ロザリーも面食らっていた…
(心中お察しします!!)
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