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中編
しおりを挟む「んっ……ここは……?」
深い深い深海から浮上してくるように、ゆっくり意識を取り戻す。そうだ、私確か、家に帰る途中の公園で……
「――っ!! 何これ!!」
「おやおや、先ほどまで無垢な顔して寝ていたのに、起きた瞬間にそんな怖い顔をしては女の子としてどうかと思いますね」
「――あなたの仕業だったのね、ドロッセルマイヤー!!」
「御明察、さすがセイントローズ、と言いたいとこですがこの状況ならお魚さんでもわかりますよね」
「馬鹿にしないでよ!!」
「してませんよ、セイントローズ……いえ、まな板の上の鯉ちゃん」
「誰が鯉よ!!」
「フフフ、誰が見てもあなたは立派な鯉ですよ」
「くっ――」
悔しいが何も言い返せない。
キングサイズっていうのかな、大きなベッドの上に、両腕を頭のところでひとまとめにされて縛られている私。足は動くけど、ベッド横のソファに座って、優雅に足なんか組んでニヤニヤこっちを見て笑っているドロッセルマイヤーに、いくら暴れまわったところで届くはずもなく――為す術もない。
辛うじてコスチュームは保っているけど、ルドルフがいない今、何もできない。誰かを助けることも、自分の身を守ることさえも出来ない無防備な状態。
怖い。
心臓がぎゅーっと縮まって嫌な音を立てる。手足の先から冷えてくるようでうまく力が入らない。
「ニヤニヤしてないで、さっさとこれ外しなさいよ。悪趣味ね」
「ありがとうございます」
「褒めてないわ!!」
そんな自分を気取られたくなくて、とにかく口だけでも動かすけど、ドロッセルマイヤーは何を言っても動じることなくニヤニヤ笑ってこっちを見ているだけ。
悔しい。
油断した自分も、弱い自分も、何もかも。
「さすがの貴女もこの状況には、絶望しますか? また泣いちゃいますか?」
「――っ! 誰が!!」
「よろしい、さすがセイントローズです」
見透かされたようなドロッセルマイヤーの言動に反射的に返すと、とっても嬉しそうで――イラっときてしまった。
「さっさと外しなさいよこれ! 女の子を縛り上げるって犯罪よ犯罪。このド変態!」
「恐悦至極に存じます」
「だから褒めてないっつーの!!」
あぁもうやめっ! こんなやつに怯えちゃった自分があほらしい。力が使えなくても、まだ変身は解けていない。ただのノエルよりパワーも体力もあるもの。絶対ここから脱出してやる!!
「大体何なのよ~! この状況! この部屋!!」
「この部屋は私の私室です。いいもんですね、若い女の子が自分のベッドにいるなんて。いっぱいにおい付けしてくださいね。今夜はいい夢を見れそうです」
「変態! キモイ!! 無理~!!」
「もっと下さい」
「いや~!! っていうかこんなに時計やら人形やらごちゃごちゃしていて……あんたセンスないのね!!」
部屋の壁際には大きなガラス棚。その中に大小さまざまの人形たちが飾られている。ドロッセルマイヤーと同じ貴族みたいなフリルたっぷりのドレスに彩られた人形たち。なんだか観察されているようで落ち着かない。
そして、壁にはいくつもの時計が並んでいる。童謡に出てきそうな大きな置時計や、繊細な彫刻で縁どられた華美なものまで……それぞれ違う時刻を指し示し、中には長針も短針もグルグル回り続けて止まらないものもある。こんな時計、今が何時かわからなくって、見ているだけで気持ち悪くなってくる。
「フフフ、気になります? どうです? 素敵でしょう? 私の自信作コレクションです」
「これ、全部あなたが作ったの?」
「えぇ、よかったら何かプレゼント致しますか?」
「いらないわよ!! というかこれ外してよ!! なんのつもりでこんなことしてるのよ!!」
「……そうですね。そろそろ話を先に進めますか。時間はたくさん、やりたいこともたくさんですので……お察しの通り、僕の趣味は絡繰作りです」
飾られた人形や時計に近づくドロッセルマイヤーは愛おしそうにそれらを眺めながら、話を続ける。
「初めに作り始めてからもうどのくらいになりますかね……図案を作り、部品を集め、成型し……出来上がりはもちろんのこと、実際に動かしてみた時の高揚感!! 思い描いたとおりの結果が出た時の興奮!! 私は口はうまい方だと自負しているのですが、こればっかりは何といえばいいのかわかりません」
「……で?」
「こうして長年、修練を積んできた私ですが、人間の発想力には驚かされたのです。愚かだと、下等だと思って、侮ることなかれ!ってね」
「何の話よ」
「フフフ……先を急がせますね、貴女は。人形や時計を作ってきた私ですが、この度新たなジャンルに出会い挑戦してみたという話ですよ」
「それが私と何の関係があるのよ。勝手に作って、一人で興奮していればいいじゃない」
「せっかくなら一緒に興奮できればいいな、と思ってこの度、貴女を我が城に招待致しました」
「なんで私が興奮するのよ!!」
「きっとハマっちゃうと思いますよ? ハメますよ? いろんな意味でハメまくりです」
「どういうことよ! っていうかその新しいジャンルって何なのよ」
ドロッセルマイヤーは私の言葉を聞いて、とてもいい笑顔で微笑んだ。コイツ、顔だけはいいから、その笑顔に一瞬目を奪われてしまったけど……ドロッセルマイヤーが持ってきた箱の中に丁寧にしまわれたソレを見た瞬間に全ての感情が吹き飛んでしまった。
「……ナニコレ」
「バイブです」
「…………はい?」
「私、大人の玩具作りにハマってしまいました」
「――っ!? いやぁ~!! 女の子に何見せてんのよ!!」
天使もたるや、って綺麗な顔してこの男何言っちゃってんの!? こんな史上最低、最悪な宣言初めて見た、というか見たくなかった!!
「女の子だから見せるんでしょう。男と見たって何が面白いのですか。ほら、見てくださいよこの曲線美、この質感! 私、材料からこだわるタイプの絡繰師なので、スライム狩りもしたんですよ。スライムを採用しましたので、貴女の一番イイ形にフィットする形状記憶仕様となっております。ハメたらイキまくりですよ? アへ顔ダブルピース待ったなしですよ」
「見たくない~!! 聞きたくない!! この変態!!」
「フフフ、嬉しすぎて涎が垂れそうですが、出来れば私の涎より貴女の愛液を垂らしてほしい。ということでね、セイントローズ。これからこちらを使っていきますね」
「いやよ! いや!! 絶対お断り!! お巡りさん~! 犯罪者!!」
「ここは私の城、私が法であり、私が全てですってのに、お馬鹿さんなセイントローズ。可愛いですね。そんなに嫌ですか?」
「嫌に決まっているでしょう!?」
「もしかして、処女ですか?」
「※△〇✕※▼〇~~!!」
コイツ、ゼッタイユルサナイ!!
そうですけど? あなたたち苦魅悪との戦いで彼氏もいませんが? 好きな人には今日フラれましたが!?
「そうですか、処女ですか。最近の子はマセていると聞きましたが貴女は随分、ガキンチョ……いえ、奥ゆかしいのですね」
「全部聞こえてんのよ、このくそ野郎!!」
真顔で私の処女を問うた後のこの見下した表情。ルドルフ今すぐ戻ってきて。この男を八つ裂きにしてやるんだから!!
「でも、初めてを無理矢理ってのも可愛そうですね……」
「――!!」
その言葉に顔を上げる。意外だ、なんか嬉々として奪いに来るタイプな気がするのに……
「そういうことは昔、散々ヤッたんで正直飽き飽きしているのですよ」
「最低野郎!! もげてしまえ!!」
「貴女にもぎ取られるならそれはそれで……触ります?」
「触りません!! 近づけないでよ!! やだっ!!」
腰を近づけてきたドロッセルマイヤーをキッと睨みつける。何がおかしいのよ、何をそんなニヤニヤしてるのよ!!
「そうですね、私、いいことを思いつきました」
「いや、来ないで!!」
バイブが入った箱をサイドテーブルに置いて、ドロッセルマイヤーがベッドに乗り上げてくる。
「きゃあっ!」
蹴り上げようとした足を、大人の男の力で抑え込み、そのまま撫でまわすように足首からふくらはぎ、そして太腿まで――艶やかな手つきで撫でまわす。
「毎日怪人を蹴り上げているからいい弾力ですね、ローズ」
「やめて、触らないで!!」
「可哀想に、そんなにフルフル震えちゃって、安心してください。痛いことは何一つありませんから」
「いやっ!!」
耳元にわざと吐息が当たるように話しかけられて、嫌でも背中にゾクゾクしたものが走る。脳みそから堕とされてしまうような低い美声は、嫌がる私を楽しんでいることを隠そうともしない。
「せっかくの処女です。大切にいきましょう。貴女から“ローズのここを満たしてください”とおねだりされるまで、入れないことにしましょう」
「――っ! 誰がそんなこと言うもんですかっ!!」
羞恥と怒りで身体がカッと燃え上がる。馬鹿にしないで。ふざけないで。私を何だと思っているのよ。
「フフフ、その意気ですよローズ。簡単に折れないでくださいね」
満足したのか、散々人の足を触り倒してドロッセルマイヤーは起き上がる。
「ではまずはオーソドックスに、身体検査といきましょうか」
――パチンッ
「!?!?」
ドロッセルマイヤーが指を鳴らした途端、ベッドサイドから無数の手が出現する。
「見てください、このしなやかな指先、柔らかな肌。レディの白魚のような手を作り出すのは苦労したんですよ」
「……何する気よ」
「そんな怖い顔で睨まないで。笑ってください、ローズ」
「きゃあ! ――っアハハハハ!! やめて! とめて!!」
「女の子は笑顔が一番ですよね」
身体に走る無数の手の感触。指を立て、蠢かせ、時折食い込ませて、明確な意思を持って私をくすぐり回してきた。
「いい声ですね、ローズの笑い声。滾ります」
「――っ! んふぅっ! ひゃ……っ……んんっ!!」
首筋から足の裏まで、全身もみくちゃにされて訳が分からなくなったが、ドロッセルマイヤーのその声だけは耳に入ってきた。悔しくて、恥ずかしくて、こんな情けない声聞かれたくなくって、歯を食いしばって声を噛み殺す。
「ふぅっ……ん……ひゃっんっ!!」
右の脇腹をつぅーっとなぞられて身をよじると、間髪入れずに左も同じようにくすぐられる。
「あんっ……ひゃぁあっ!!」
耳介を優しくさすっていた指がいきなり耳の穴の中に入ってきて声が上がる。
「んんっ……ふぁっ……っ!」
太ももをマッサージするかのように揉んでいたと思ったら、いきなり指を立ててくすぐりを再開する。
「もうやめて~っ!! ひゃあああっん!!」
腕を縛られているから、隠すことも逃げることもできない。顔を真っ赤にして、よがり、悶え、苦しむだけ。
その様子をジットリした目でドロッセルマイヤーが見ているから、声を出して発散することも出来ない。
呼吸が苦しい。息継ぎのタイミングがわからない。
身体が熱い。
「んひゃ……ううっ……ふぅぅぅんっ!!」
「我慢しないでそのかわいい声を聞かせてくださいよ、ローズ。可愛く“入れて♡”っておねだりしてくれたら、今すぐその手を止めて、天国へ連れて行ってあげますのに。快楽天国、またの名をイキ地獄にね」
「――ぅっ! 誰がそんなこというもんですか!! んひゃっ……」
「フフフ、それでこそセイントローズです。では私は行きますのでこれで」
「はぁっ!? んんっ……ちょっとどこ行くのよ! 止めてってよ!!」
立ち上がりベッドから離れていこうとするドロッセルマイヤーを慌てて呼び止める。
「おや、そんなよがっているところを見られてたいんですか。意外とはしたない女の子なんですね」
「誰が……ふうぅっつん!! んんあぅ!!」
「ちょっといいことを思いついたので、安心してください。すぐ戻って、ちゃんとあなたの浅ましい姿を余すことなく見てあげますよ」
「この最低野郎うううっぅん! 戻ってくんなあぁぁあっ!!」
「戻ってこないと、貴女一生そこでくすぐられますよ。それはそれで、人によっては本望でしょうが……」
「くぅっ……!!」
「せっかくの処女ですから。このバイブに疑似精液射精機能を搭載しようと思いまして。疑似精液と貴女の破瓜の血で作られたイチゴミルクを飲みたいなぁと……ね、最高でしょう?」
「最低! 最低最低最低!!」
「フフフ、いい子で大人しく待っていてくださいね~。戻ってきたときにいい返事を聞かせてもらえることを楽しみにしていますから」
にっこり微笑んで、ドロッセルマイヤーは部屋を後にする。ここから逃げられたら、コテンパンにしてやるんだから!!
「ふぁあああんっ……ああああっ!!」
魔法少女のコスチュームの上からくすぐられている上半身はまだいい。
「ひゃああっ……もうやめてっ!」
ニーハイソックスの上を、触れるか触れないかくらいの優しいタッチでくすぐられるのが辛すぎる。くすぐったいのって、足の裏だけだと思っていたのに……足の甲だって、指の間だって、膝も太腿も、こんな風に触られたら全部駄目になっちゃう。
蹴り上げても、バタついても、無理矢理押さえつけられてくすぐられる。
「あはっ! ひゃぁんんんっ……ふぅっ!!」
合間合間で必死で呼吸して、酸素を求める。苦しい、こんなんじゃ本当に笑い死んじゃう。
頭がボーっとする。
全身が、お腹の奥が、熱い。
――カチッ
ゴーンゴーンゴーンゴーン。
「んふぅっ!?」
部屋の中に時計の音が響き渡る。茹だった頭では、どの時計が鳴っているか判別できない。
「――っ!? ちょっと嘘、やめてっ! ひゃああああっ! 脱がさないでっ! 中はっ……直接はやめてぇぇぇっ!!」
時計の合図に支持されたかのように、手が動きを変える。
ニーハイを脱がせ、スカートをめくり、ビスチェを緩めた隙間から、手が直接肌に触れてきた。
「ひゃあっ! っつ……んんっ!! 脇だめぇっ! くしゅぐったいぃぃぃっ! お腹もやだぁ!! おへそもグリグリしないでっ!!」
意思も感情もない絡繰にいくら懇願したところで、止めてくれるわけもない。
ドロッセルマイヤーはまだ戻ってこない。
「ぁぁぁああっ……あひゃひゃっ!! もっ……やぁああっっ!! やめてっ! とめてっ!! はぅ……あっ……ひゃあんんんっ!!」
まるで身体を作り変えられているみたいだ。どこを触られてもくすぐったくなって、熱くって、自分が自分じゃないみたい。いつ息をしているのか、自分が何を口走っているのか、もうわからない。
手から与えられてくる刺激をただひたすら受け止めるだけである。
「はひぃっ! はひぃっ!! もっおっ! ひぃっあははははははっ!!!」
「顔がグシャグシャですよ、ローズ」
「――っ!! いつからそこにぃっ!! ひゃああああんんんっ!!」
「さて、いつからでしょうね」
声を掛けられるまで気づくことが出来なかった。目覚めた時と同じように、ソファに座って偉そうに足を組んで、ワインを飲みながらずっと見られてたんだ。
くすぐりの苦しさと、恥ずかしさと情けなさで、胸がいっぱいになる。
「ううぅっ……あぁぁぁっ……んんっ!」
「泣きますか?」
「誰が、誰が泣くもんですか!!」
心を読まれたのかと、一瞬でも思ってしまった。
溢れてきそうになったものを必死で抑え込み、睨みつける。
「覚えてなさいよ、あんたを許さないんだから……んふっぅ!!」
「おお、怖い怖い。真っ赤な顔で、涙目になって……そんな事を言われたら、夢にまで出てきて夢精しちゃいそうです」
「ふざけんなぁぁひゃああんんんんっ」
「フフフ、貴女にはこれ以上しても効かなさそうですね」
――パチンっ
「っ! はぁ、はぁ、はぁああっ」
ドロッセルマイヤーの合図で手の動きは停止する。大きく息を吸って肺に酸素を送り込んで、身体の疼きをとめようと試みる。
長時間くすぐられ続けた身体はそう簡単に治るものでもなく、自然と捩ってしまう。特に、触られてないはずのお腹の奥が、ポーッとするように熱い。
何なのこの感覚。知らない。そんな触れられない場所、どうやったら落ち着くの。
「フフフ、可哀想なくらい可愛いですね。教えてあげましょうか、ローズ。何でそこが熱いのか」
「……何なのよ」
「簡単です。イッちゃえばいいんですよ。そこは子宮です。イキたいと、雌の本能が訴えているだけですよ。それに従えばいいだけのこと」
「――っ冗談じゃないわ!」
口を開くたびに、ほんと碌なこと言わないのね。
「さぁ、おねだりしなさい。“セイントローズの新品オマンコに、スライムバイブツッコんで、ドロドロのグジュグジュにイカせてください”って」
「嫌よっ! 絶対言わない!!」
「そうですか! さすがです、ローズ!! まだまだ玩具はたくさんあるのでここで折れたらどうしようかと思っていたんですよ」
「――っ!?」
綺麗な目を輝かせた、悪魔のような笑みに震えが止まらない。一瞬でも感じた恐怖を隠すべく、大きな声で罵倒する。
「変態! 鬼畜! 悪魔!!」
「光栄です。ありがとうございます。さぁ、次ですね」
「――!? それは何?」
「電マです。知ってますか? 電動マッサージ機」
ドロッセルマイヤーが持っているそれは、電マというらしい。腕くらいの太さのグリップに、テニスボールくらいの丸い玉が付いている。
でもただの球体じゃなくて、全体的にイボがついてボコボコしている。
「地球のAVなどでよく見かけるのですが、貴女は本当におこちゃま……いえ、初心なのですね」
「だから全部聞こえてるって言ってんのよ!!」
「メジャーな玩具らしいと聞いていたので、作っては見たものの、私は常々疑問だったのですよ。振動を与えるだけのものが果たしてどれだけ気持ちいいのか――だからね、ローズ。貴女の感想を是非お聞かせください」
「きゃあっ!!」
手に足を掴まれて、無理矢理M字開脚にさせられる。
「やめなさいよ、この変態!!」
「罵倒もたまりませんが、ちゃんとどんなふうに気持ちいいのか教えてくださいね」
嬉々として私の足の間に乗り上げてきたドロッセルマイヤーは、視線を落としてニヤリと笑う。
「へぇーー」
「見ないで変態! 何よ、何なのよ!!」
「何もわからなくても、ちゃんと濡れていて……ローズも立派な雌に育ったなぁと感慨深く思っていたところですよ」
「いやぁぁぁぁっ!!」
その言葉で自覚する。くすぐられて、身体を無理矢理熱くさせられて、いつの間にかアソコがヌルついていたことを。
「くすぐったさと性感は非常に似た刺激なんですよ。だから大丈夫。オマンコヌルヌルのローズは何もおかしくありません。ちゃんとエッチな女の子です」
「やめてぇぇぇっ!!」
太腿から抑え込まれて、足を閉じようにもビクともしない。恥ずかしいのに、嫌なのに、ドロッセルマイヤーの視線を感じるだけで、燃えるようにアソコが熱くなってくるのを自覚する。
私、エロくないもん。
こんなの私じゃないもん。
「では、始めましょうか」
「ひぃっ――っが! あぁぁぁぁぁっ!?!?」
お股に冷たいものが触れた瞬間に、襲い掛かった振動に頭が真っ白になる。
「なにこれぇええっ! やだっ! 離してっ!! ぅ~~~~!?」
「いきなり強いと可哀想なので、初めはゆっくりに致しましょう。教えてください、ローズ。どんな感じですか?」
「わかんないっ! ぃぃぃっ!! ぐ、ぁぁぁっ!!」
「あえいでばかりじゃわかりませんよ。そんなに腰を動かすからわからないんじゃないですか。手で逃げられないように、固定しといてあげますね」
「っああぁぁぁぁぁっ!!」
決して痛くもない。苦しくもない。でも、今までの人生で感じたことのない感覚はなんて言葉にしたらいいのかわからない。
「すごいのっ、振動すごいのっ、ブルブル震えてるのぉっ! やぁぁぁぁっ!」
「はいはい、それは見ていればわかりますから」
動かない頭で必死で言葉を紡いでも、流される。何よ、ドロッセルマイヤーが言えって言ったのに――何を求めているのよ。
「わかんないぃぃっ、わかんないよぉぉっ! どうしたらいいのっ!! 助けてぇ、知らないのこんなのっ!!」
「ふむ……もしかして貴女、イッたことがない?」
「ひゃぁぁぁっ! あぁぁぁぁぁんっ!!」
これはこれは、と呟いたドロッセルマイヤーの紫紺の瞳が、一瞬ギラついたように見えた。電マはそのままに、グッと身を乗り出してきたドロッセルマイヤーはまるで抱きしめるように私の頭に手をまわす。
「セイントローズ、これが、気持ちいいですよ」
ドロッセルマイヤーの熱を持った低音が、私の耳から脳に、そして身体全体に魔法をかける。
「きもちいい……?」
「そう、気持ちいい。声に出して言ってごらんなさい。気持ちいいって」
「きもちい……きもちいい……」
「そう上手です。さあ、もっと大きな声で」
「気持ちいいぃぃぃっ! これ気持ちいいのっ!!」
「いいこだ」
そのまま頭を撫で続けるドロッセルマイヤーにすり寄りながら、おかしくなったかのように、気持ちいいと言い続ける。さっきまでの恐怖が嘘みたいに消えて、頭から指先まで全身が気持ちいいに包まれていくみたいだ。
「気持ちいいのぉっ! やぁんっ! あぁぁぁんっ! 気持ちいいいっぱいおかしくなりそうっ!!」
「おかしくなっていいのです、ローズ」
ドロッセルマイヤーが上体をあげる。離れていくぬくもりが寂しくて、きっと両腕が使えていたら服を引っ張って引き寄せていたのかもしれない。
そんな考えもすぐに電マからの刺激に流される。
「あぁぁぁぁ、ぁあああん!! だめぇ、なんかくるぅっ――っぅぅっ!!!!」
お腹の中の熱かったものが、全身に弾けて飛び散るような感覚だった。愛液が垂れて、お尻の方に垂れていくのを感じる。身体がピクピクと不自然に痙攣する。自分の身体なのに、何一つままならない。
頭も真っ白で星が散っているようで、ただその不思議な感覚を受け止めるだけだった。
「ローズ、これがイクですよ」
「……イク」
「はい、溜まった気持ちいいが溢れると女の子はイクんです。今までで一番気持ちよかったでしょう」
「いままでで、いちばん……」
気持ちよかった。
頭から足先までまだふわふわしている。
いつの間にか電マの刺激は止まって、ドロッセルマイヤーが頭を撫でてくるのがとても心地よくて、目を閉じる。
宇宙にいるみたいな不思議な感覚。
気持ちいいの余韻の中で、私を見つめるドロッセルマイヤーの瞳が、今までで一番、優しくみえる。
この綺麗な、宝石みたいな目を、もっと見ていたいと思うのに、この心地よさに身をゆだねて、そのまま眠っちゃってもいいかな……
――カチっ
「~~っ!!! あぁぁっ!!」
「落ち着いたようなので再開しますね、さぁどんな感じですかローズ」
「いやぁぁぁぁっ!! もっ、いやぁぁぁぁぁっ!!」
「やめてほしかったら、さっき教えたとおりのおねだりしてくださいね。そしたら電マをとめて、次はバイブでイキましょう。そして飲ませてください。美味しいイチゴミルクを」
「絶対殺してやるんだからぁぁぁぁっ!!」
「フフフ、その意気ですよ。さぁ、楽しみましょう」
楽しんでいるのはお前だけだ、と口にしようと思ったが、次から次に溢れてくる嬌声に流されてしまった。
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