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2章 魔女 未来に向かって
72 魔女と城壁の戦い 5
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日は既に中天を過ぎようとしていた。
山には明るく陽が当たり、晴れた平原はそれなりに美しい風景である。
平時ならば。
しかし、その中に明らかに異質な存在があった。
黒くそびえる不吉な影は櫓型の投石機。二台あるそれは恐ろしい攻城兵器である。
数年前のチャンドラ強襲時には見られなかった武器だ。ギディオンの情報でもその姿は確認できていない。破壊槌と違って川を使って運搬することができない上、弾丸となる重い岩石も相当数必要になるからだ。
それが突然、何もない平原に現れた。
第一陣の戦闘で敗走したチャンドラ軍と、たった今、谷を抜けた第二陣は戦列を組みなおし、牛を繋いで投石機を前進させ始めた。背後の頑丈な車には、弾丸となる岩石も積まれている。
「ギディオン殿、これはいったいどういうことだ……」
ホルバインは、目の前で起きたことがまだ信じられないという顔をしている。
「ついさっきまでは歩兵と騎馬ばかりで、何もなかったはずなのに……」
「……スーリカだ」
ギディオンは低くその名を呟いた。
「なんとおっしゃった」
「以前お話ししたあの大魔女が、大掛かりな魔法を使ったようです」
「例の大魔女か……その者はどこにいる?」
「私にはわかりません。しかし、ザザは陽の高いうちは現れないと申しておりました。しかもかなりの重傷を負っているはずです。おそらくどこかに潜んで、魔力だけを発動させたものかと」
「そんなことができるのか……魔法というものはかくも恐ろしい」
「一刻の猶予はなりません。すぐに攻撃がきます。まともに食らえば、壊れかけた城門ごとこの辺りは崩れ落ちてしまうでしょう。そうなれば市街に敵兵が雪崩れ込んでくる」
「援軍はまだか」
ホルバインは山と反対側の街道に目を凝らした。
「さっきモスを飛ばしました。北方軍の隊長の一人が知り人ですので、モスを見つけたら伝令を寄越してくれるはずです」
こんな時、ザザの遠目を借りられればいいのだが……。
一瞬そんなことを考えたギディオンは、すぐさま己を恥じた。
小さな魔女は疲れ果てて眠っている。
無理もなかった。何しろここ数日、あの控えめで善良な娘にとって精神的に厳しいことばかりだった。大魔女と戦い傷つきながら、敵の陣地に侵入して人を苦しめる薬を大量に作った。戻ったと思うまもなく、初めての魔法を続け様に使ったのだ。
確かに人の心は弱い。自分に都合が良いならば、魔法という理解できないものまで、己のために使いたいという欲望を持ってしまう。魔女の純粋な心を利用して。
「あの櫓が射程に入ったら火矢を放て!」
ギディオンは己の弱さを握り潰すように叫んだ。
ごろごろごろ
城壁と二百サールの間を置いて投石機が停まる。
「放て!」
ホルバインの命令一下、一斉に火矢が櫓を強襲する。しかし、山からの向かい風に阻まれ、届いたのはほんの数本だ。これでは全く効果がない。
「くそっ! ギリギリの距離を残しやがって! あと十サール前に来てくれりゃあ!」
フリューゲルが悔しそうに石壁を殴った。
「お見通しなのだ」
ギディオンは低く言った。
「この時期の午後に山から風が吹くことも、火矢の射程範囲も。それを見計らって投石器を空間に出現させた。大魔女の仕業に間違いがない。だが……今の所、ご本人が現れる様子がない。この魔法も決して規模の小さいものではない。フリューゲル、お前の与えた損傷はかなり大きいのかもしれないぞ」
「……え?」
「しかし、現在の脅威は魔女ではない! 見ろ、投石機の装填が始まっている」
ギディオンは城壁上の兵士たちに向かって叫んだ。
二頭の牛が瘤だらけの岩石を、巨大な皿の上に引っ張り上げていた。反対側に伸びている長柄の重りを外せば、バネのように皿が飛び上がり、その勢いのままに岩石がものすごい勢いで飛んでくる。矢の何百倍の威力でもって。
「総員! 門の真上から離脱せよ! 城門前広場にいる者もだ!」
その言葉の通り、それからたっぷり十を数えた後、空気を切り裂いて黒い物が飛来した。直径が一サールもある巨石だ。
どがあああああああん!
それは無数の礫を飛散させながら鋸壁を破壊した。城壁が大きく抉れる。
「うわぁ!」
「下がれ下がれ!」
「すぐに二射目が来るぞ!」
それから後は三分ごとに襲いかかる投石に、アントリュース守備軍はなす術もなかった。岩のいくつかは城壁を飛び越え、広場や近隣の建物に命中し、原型を留めないほどの破壊力を見せつける。凄まじい地震いと共に人々を恐怖に叩き込んだ。戦意を萎えさせる恐ろしい武器だった。
城門を中心に城壁は大きく崩れ、不首尾に終わった破壊槌でさえも粉砕した。
「くそっ! これ以上城壁が崩れれば、一気に攻め込まれる!」
もしこれ以上壁が崩れたら歩兵の大隊が突入してくる。更に後ろには騎馬が控えている。チャンドラ全軍が街になだれ込めば、血みどろの市街戦は必至だった。
破壊された城門の前は瓦礫の山だ。それを乗り越えて最初の敵が入ってくるには多少時間がかかる。最初のうちは弓矢で対応できるが、それもほんのひと時だろう。
敵の数が多すぎる。
彼らは仲間の死に躊躇せず進入するだろう。街の奥深くに進行されて、別の門を内側から開けられたら次は騎馬軍がなだれ込む。
そうなればアントリュース陥落は必至だった。
「俺が囮になって打って出る! 援護しろ!」
ギディオンが叫んだ時、敵地を睨み付けていたフュルーゲルがあっと声をあげた。ギディオンがすぐさま何事かと駆け寄る。
「……なに?」
大破した破壊槌の上に立つ、黒い小さな姿がある。
魔女ザザだった。
山には明るく陽が当たり、晴れた平原はそれなりに美しい風景である。
平時ならば。
しかし、その中に明らかに異質な存在があった。
黒くそびえる不吉な影は櫓型の投石機。二台あるそれは恐ろしい攻城兵器である。
数年前のチャンドラ強襲時には見られなかった武器だ。ギディオンの情報でもその姿は確認できていない。破壊槌と違って川を使って運搬することができない上、弾丸となる重い岩石も相当数必要になるからだ。
それが突然、何もない平原に現れた。
第一陣の戦闘で敗走したチャンドラ軍と、たった今、谷を抜けた第二陣は戦列を組みなおし、牛を繋いで投石機を前進させ始めた。背後の頑丈な車には、弾丸となる岩石も積まれている。
「ギディオン殿、これはいったいどういうことだ……」
ホルバインは、目の前で起きたことがまだ信じられないという顔をしている。
「ついさっきまでは歩兵と騎馬ばかりで、何もなかったはずなのに……」
「……スーリカだ」
ギディオンは低くその名を呟いた。
「なんとおっしゃった」
「以前お話ししたあの大魔女が、大掛かりな魔法を使ったようです」
「例の大魔女か……その者はどこにいる?」
「私にはわかりません。しかし、ザザは陽の高いうちは現れないと申しておりました。しかもかなりの重傷を負っているはずです。おそらくどこかに潜んで、魔力だけを発動させたものかと」
「そんなことができるのか……魔法というものはかくも恐ろしい」
「一刻の猶予はなりません。すぐに攻撃がきます。まともに食らえば、壊れかけた城門ごとこの辺りは崩れ落ちてしまうでしょう。そうなれば市街に敵兵が雪崩れ込んでくる」
「援軍はまだか」
ホルバインは山と反対側の街道に目を凝らした。
「さっきモスを飛ばしました。北方軍の隊長の一人が知り人ですので、モスを見つけたら伝令を寄越してくれるはずです」
こんな時、ザザの遠目を借りられればいいのだが……。
一瞬そんなことを考えたギディオンは、すぐさま己を恥じた。
小さな魔女は疲れ果てて眠っている。
無理もなかった。何しろここ数日、あの控えめで善良な娘にとって精神的に厳しいことばかりだった。大魔女と戦い傷つきながら、敵の陣地に侵入して人を苦しめる薬を大量に作った。戻ったと思うまもなく、初めての魔法を続け様に使ったのだ。
確かに人の心は弱い。自分に都合が良いならば、魔法という理解できないものまで、己のために使いたいという欲望を持ってしまう。魔女の純粋な心を利用して。
「あの櫓が射程に入ったら火矢を放て!」
ギディオンは己の弱さを握り潰すように叫んだ。
ごろごろごろ
城壁と二百サールの間を置いて投石機が停まる。
「放て!」
ホルバインの命令一下、一斉に火矢が櫓を強襲する。しかし、山からの向かい風に阻まれ、届いたのはほんの数本だ。これでは全く効果がない。
「くそっ! ギリギリの距離を残しやがって! あと十サール前に来てくれりゃあ!」
フリューゲルが悔しそうに石壁を殴った。
「お見通しなのだ」
ギディオンは低く言った。
「この時期の午後に山から風が吹くことも、火矢の射程範囲も。それを見計らって投石器を空間に出現させた。大魔女の仕業に間違いがない。だが……今の所、ご本人が現れる様子がない。この魔法も決して規模の小さいものではない。フリューゲル、お前の与えた損傷はかなり大きいのかもしれないぞ」
「……え?」
「しかし、現在の脅威は魔女ではない! 見ろ、投石機の装填が始まっている」
ギディオンは城壁上の兵士たちに向かって叫んだ。
二頭の牛が瘤だらけの岩石を、巨大な皿の上に引っ張り上げていた。反対側に伸びている長柄の重りを外せば、バネのように皿が飛び上がり、その勢いのままに岩石がものすごい勢いで飛んでくる。矢の何百倍の威力でもって。
「総員! 門の真上から離脱せよ! 城門前広場にいる者もだ!」
その言葉の通り、それからたっぷり十を数えた後、空気を切り裂いて黒い物が飛来した。直径が一サールもある巨石だ。
どがあああああああん!
それは無数の礫を飛散させながら鋸壁を破壊した。城壁が大きく抉れる。
「うわぁ!」
「下がれ下がれ!」
「すぐに二射目が来るぞ!」
それから後は三分ごとに襲いかかる投石に、アントリュース守備軍はなす術もなかった。岩のいくつかは城壁を飛び越え、広場や近隣の建物に命中し、原型を留めないほどの破壊力を見せつける。凄まじい地震いと共に人々を恐怖に叩き込んだ。戦意を萎えさせる恐ろしい武器だった。
城門を中心に城壁は大きく崩れ、不首尾に終わった破壊槌でさえも粉砕した。
「くそっ! これ以上城壁が崩れれば、一気に攻め込まれる!」
もしこれ以上壁が崩れたら歩兵の大隊が突入してくる。更に後ろには騎馬が控えている。チャンドラ全軍が街になだれ込めば、血みどろの市街戦は必至だった。
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敵の数が多すぎる。
彼らは仲間の死に躊躇せず進入するだろう。街の奥深くに進行されて、別の門を内側から開けられたら次は騎馬軍がなだれ込む。
そうなればアントリュース陥落は必至だった。
「俺が囮になって打って出る! 援護しろ!」
ギディオンが叫んだ時、敵地を睨み付けていたフュルーゲルがあっと声をあげた。ギディオンがすぐさま何事かと駆け寄る。
「……なに?」
大破した破壊槌の上に立つ、黒い小さな姿がある。
魔女ザザだった。
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