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9 ザフェル統一王 3
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リュウノス神殿都市は、ザフェル包囲軍の前にあっけなく陥落した。
周辺諸国から神殿警護に派遣されていた精鋭のリュウノス守備隊は、ほとんどなんの抵抗もできずに、わずか数時間で城門を明け渡した。
まるで温まったバターに針を刺すように、ザフェル軍は城壁を易々と通過し、形ばかり抵抗したリュウノス守備隊を、アヒルの雛のように蹴散らしたのだ。
死者も負傷者も多くなかったのは幸いだが、そもそも戦闘そのものがほとんどなかったのである。
神樹リュウノスを戴く神殿や、その威光で繁栄する城壁都市に、侵攻する国や軍隊などいるはずがないと言う、思い込みと判断の誤りが原因だろう。
降伏したリュウノス守備隊騎士たちは捕らえられ、占領は速やかに行われた。
神殿に仕える文官や厨房係達は抗う術も能力もない。彼らはザフェルから送り込まれた人員にとって変わられ、神殿外の街へと追いやられた。
「巫女殿、こんなことになって誠にあいすまぬ……」
ザフェル統一王、ギーズは大きな体を折って謝罪した。その言葉や態度だけ見ると、いかにも人の良い初老の男だ。
「……」
薄い金色の瞳を細め、彼の真意を汲み取るようにマリュリーサはギーズを見つめる。
彼の態度に嘘偽りは感じられない。炎の獅子王はマリュリーサに対しては、本当にすまないと思っているのだろう。
しかし同じ男が、神都を占領せよとの命令を発したのだ。おそらく、以前から計画していたことなのだろう。
「私が今更こんなことを言うても恨まれるだけだろうが、自分にとってはやむを得ぬ選択であったのだ。どうか堪忍していただきたい」
マリュリーサは何も答えなかった。
神殿最上階にある天井の高いホールには、マリュリーサを含め、エクィを除く巫女と、神官達が集められていた。長老である大神官ヴァルカは疲れ切ったように椅子に深く沈んでいる。
誰もが重苦しく、黙りこくったままだ。
「あなたの施してくださった癒術は本物だった。あれから私は力を取り戻し、作戦を立案し軍を推し進めることができた。無論、実際に働いたのはあの男だが」
背後にあるホールの大きな扉の前には、氷王レイツェルトが黙ったまま佇立している。
彼はただ、マリュリーサを見つめていた。
「この暴挙の理由を伺っても?」
彼を視界の外へ追いやり、言葉少なくマリュリーサは尋ねる。
「私は、この神殿を我が版図としたかった」
「……」
「おっしゃると通り、これが暴挙だと言うことは十分理解しておる」
マリュリーサは黙ったままだ。
その瞳はギーズを見据えている。
「神樹も神殿も、誰か一人のものでもない。全てこの大陸の人々のためのものです。それを我欲のために占領するとは……」
言葉を発したのは、神官長ヴァルカだった。
彼は、何代もの巫女姫に仕えた長老である。かなりの老齢で、もはや長く立ってもいられないが、この一件でさらに老いたようだった。
「極悪非道な所業と、末代まで誹りは免れますまい」
「お言葉痛み入る。しかしな、御老体。我欲と申されるが、我が甘言に踊らされ、神殿の内側から手引きしたのは、他ならぬあなた方のお身内なのだぞ」
「なんとな!」
「……ヴァルカ様」
長老の耳元で囁いたのは、ネネである。
「サラン神官がどこにも見当たりません」
「なに!?」
ヴァルカが長い眉の下で目を見張った。
「まさか!」
「そうだよ、御老体。サラン神官が、神殿と巫女姫を欺いたのだ。奴は、私が示した、東方の領地に心を奪われてあなた達を売った。城門があんなに容易く開いたのはそのせいだ。東方の下級貴族の末息子だった彼は、自分の領地が喉から手が出るほど欲しかったのだ」
「……そ、そんな、サランが」
老いた神官がよろめく。それをマリュリーサが支えた。
「それにこんなことを言いたくはないが、彼は神殿の財をかなり私物化しておったようだぞ」
「……彼は今どこに?」
「捕らえてある。謀を巡らせたのは確かに私だが、あのようにあっさり裏切る輩は好かぬ。なんならこちらへ引っ立てようか?」
「……いいえ、今は」
言葉を失ったヴァルカ長老の代わりに答えたのは、マリュリーサだった。
「いずれ真偽を確かめねばなりますまいが、私たちにはまだ、そのような心のゆとりはありません」
サランは、数年前に神官に推挙された四十歳過ぎの男だ。神官達の中では年長であり、長老の信頼も厚い。
怜悧な頭を持っていて、神殿の運営や管理などの実務を一手に引き受けていた。そんな中で欲望に負けてしまったのだろうか。
「彼は我欲に負けたのでしょう。ですが、命は取らないでください。酷いこともなさらないで」
「巫女姫には慈悲深くてあらせられる。約束しよう。彼の身柄は我が息子に預けよう。御心の整理がついたなら、いつでもこれへ引っ立てように」
「わかりました。そして、ギーズ国王陛下、あなたはヴァルカ長老がおっしゃられたように、本気で神殿を含むこの街を、ザフェルの支配下におこうと言うのですか?」
「街、と言うよりも、神樹と巫女姫殿を、かな?」
「同じことです。私は神樹を守る神殿と共にあるのですから」
「しかし、その神樹の寿命は、本当は尽きかけているのではないか?」
ギーズはさらりと断じる。マリュリーサの方がぴくりと跳ね上がった。この男は全てを見通しているのだ。
「……どう言う意味ですか?」
「我々にも情報はある。捕らえたサランからも確認した。リュウノス神樹の寿命はほぼ千年。そして神殿の記録によると、神樹の樹齢は九百九十年を超えたと言うではないか」
「……」
「神樹を失った神殿を人々は敬うだろうか? いやない。だから神殿は、それを公表できずにいるのだ。マリュリーサ殿、あなたの巫女姫としての在位期間はそろそろ終わりに近づいているのではないか? 次世代の巫女姫は未だ現れてはおらんのだろう?」
ギーズの言葉に容赦はない。
「……確かに、次世代の巫女姫の顕現は、現巫女姫である私にしか感じられませぬ。しかし、巫女姫は私で終わりではありません」
「ほう、なぜ?」
「なぜと言われましても……ただ『わかる』のです。理屈ではありませぬ。そしてリュウノス神樹もまた、終わりではない……」
「そうであろうか? 確かに遠くから見る神樹の姿に変わりはない。しかし、幹には洞ができ始め、下方の葉は少なくなり始めている」
「それでも、です」
マリュリーサは一歩も引かなかった。
「神樹は終わらない。だから、ザフェルの、陛下の仕打ちは暴挙だと言うのです」
「確かに。巫女姫殿の純粋さと誠実さについては、心からご尊敬申し上げるし、悲しませて申し訳ないと思っている。これは本当だ。だが」
ギーズは言葉を切って神官たちを見渡した。
「この神殿はあなたが思っているほど清浄な場所ではない」
「……どう言う意味ですか?」
意外な言葉だった。いや、意外ではないのかもしれない。
マリュリーサは巫女と神官たちの間に、相いれないものがあるのを以前から感じていたからだ。同じ神樹に仕えながら、決して交わることのない隔たりがある。
「ヴァルカ長老殿。この都市が、神殿がこれほど長く繁栄しているのは、神樹のせいだけではないのだろう?」
「……し、知らぬ」
ヴァルカは蒼白になって震えている。周りの神官達も、意味がわからないように顔を見合わせていた。
「一体何を言っているのですか!」
マリュリーサはたまらずに叫んだ。
「聖なる巫女姫、マリュリーサ殿、私は全てを知るわけではない。しかし知りたいと思うのだ。だからあなたを手に入れた」
「私は、もうあなたの為には施術を致しませぬ」
マリュリーサは言い放った。
「そうか。それは残念である。非常に残念である。あの地下での術式は非常に有効であったのに。さて困った」
ギーズはさして困っていない様子で、マリュリーサを見つめた。
「せっかく我がものにしたはいいが、役に立たぬとすれば、神樹もろとも神殿を焼き払うというのはどうだろうな?」
「まさかそんな非道なことを!」
「私は炎の獅子王なのだよ」
ギーズは静かに言った。
マリュリーサは思わず息を呑み、ヴァルカ長老がついに白目をむいて卒倒する。
「おやおやこれはいかぬ。長老殿をお部屋に連れて行って差し上げろ。医師もつけてな。そして巫女姫どの、あなたは」
ギーズはたった今、恐ろしいことを言い放ったとは思えぬ優しい口調で言った。
「巫女姫殿には、しばらく地下の聖域にお篭りいただこう。そこでこの一件について、じっくり考えていただこう」
「……」
マリュリーサは密かに戦慄する。
子煩悩で磊落そうに見えて、この男は一代で北方諸国を併合し、巨大な統一国を打ち立てた人間なのだ。
「さぁレイツェルト、氷王よ。巫女姫殿をご案内いたせ」
「承知」
レイツェルトの薄い唇が歪んだ。
それはギーズ以上に、マリュリーサが恐れる男だった。
周辺諸国から神殿警護に派遣されていた精鋭のリュウノス守備隊は、ほとんどなんの抵抗もできずに、わずか数時間で城門を明け渡した。
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「巫女殿、こんなことになって誠にあいすまぬ……」
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「……」
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彼の態度に嘘偽りは感じられない。炎の獅子王はマリュリーサに対しては、本当にすまないと思っているのだろう。
しかし同じ男が、神都を占領せよとの命令を発したのだ。おそらく、以前から計画していたことなのだろう。
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彼はただ、マリュリーサを見つめていた。
「この暴挙の理由を伺っても?」
彼を視界の外へ追いやり、言葉少なくマリュリーサは尋ねる。
「私は、この神殿を我が版図としたかった」
「……」
「おっしゃると通り、これが暴挙だと言うことは十分理解しておる」
マリュリーサは黙ったままだ。
その瞳はギーズを見据えている。
「神樹も神殿も、誰か一人のものでもない。全てこの大陸の人々のためのものです。それを我欲のために占領するとは……」
言葉を発したのは、神官長ヴァルカだった。
彼は、何代もの巫女姫に仕えた長老である。かなりの老齢で、もはや長く立ってもいられないが、この一件でさらに老いたようだった。
「極悪非道な所業と、末代まで誹りは免れますまい」
「お言葉痛み入る。しかしな、御老体。我欲と申されるが、我が甘言に踊らされ、神殿の内側から手引きしたのは、他ならぬあなた方のお身内なのだぞ」
「なんとな!」
「……ヴァルカ様」
長老の耳元で囁いたのは、ネネである。
「サラン神官がどこにも見当たりません」
「なに!?」
ヴァルカが長い眉の下で目を見張った。
「まさか!」
「そうだよ、御老体。サラン神官が、神殿と巫女姫を欺いたのだ。奴は、私が示した、東方の領地に心を奪われてあなた達を売った。城門があんなに容易く開いたのはそのせいだ。東方の下級貴族の末息子だった彼は、自分の領地が喉から手が出るほど欲しかったのだ」
「……そ、そんな、サランが」
老いた神官がよろめく。それをマリュリーサが支えた。
「それにこんなことを言いたくはないが、彼は神殿の財をかなり私物化しておったようだぞ」
「……彼は今どこに?」
「捕らえてある。謀を巡らせたのは確かに私だが、あのようにあっさり裏切る輩は好かぬ。なんならこちらへ引っ立てようか?」
「……いいえ、今は」
言葉を失ったヴァルカ長老の代わりに答えたのは、マリュリーサだった。
「いずれ真偽を確かめねばなりますまいが、私たちにはまだ、そのような心のゆとりはありません」
サランは、数年前に神官に推挙された四十歳過ぎの男だ。神官達の中では年長であり、長老の信頼も厚い。
怜悧な頭を持っていて、神殿の運営や管理などの実務を一手に引き受けていた。そんな中で欲望に負けてしまったのだろうか。
「彼は我欲に負けたのでしょう。ですが、命は取らないでください。酷いこともなさらないで」
「巫女姫には慈悲深くてあらせられる。約束しよう。彼の身柄は我が息子に預けよう。御心の整理がついたなら、いつでもこれへ引っ立てように」
「わかりました。そして、ギーズ国王陛下、あなたはヴァルカ長老がおっしゃられたように、本気で神殿を含むこの街を、ザフェルの支配下におこうと言うのですか?」
「街、と言うよりも、神樹と巫女姫殿を、かな?」
「同じことです。私は神樹を守る神殿と共にあるのですから」
「しかし、その神樹の寿命は、本当は尽きかけているのではないか?」
ギーズはさらりと断じる。マリュリーサの方がぴくりと跳ね上がった。この男は全てを見通しているのだ。
「……どう言う意味ですか?」
「我々にも情報はある。捕らえたサランからも確認した。リュウノス神樹の寿命はほぼ千年。そして神殿の記録によると、神樹の樹齢は九百九十年を超えたと言うではないか」
「……」
「神樹を失った神殿を人々は敬うだろうか? いやない。だから神殿は、それを公表できずにいるのだ。マリュリーサ殿、あなたの巫女姫としての在位期間はそろそろ終わりに近づいているのではないか? 次世代の巫女姫は未だ現れてはおらんのだろう?」
ギーズの言葉に容赦はない。
「……確かに、次世代の巫女姫の顕現は、現巫女姫である私にしか感じられませぬ。しかし、巫女姫は私で終わりではありません」
「ほう、なぜ?」
「なぜと言われましても……ただ『わかる』のです。理屈ではありませぬ。そしてリュウノス神樹もまた、終わりではない……」
「そうであろうか? 確かに遠くから見る神樹の姿に変わりはない。しかし、幹には洞ができ始め、下方の葉は少なくなり始めている」
「それでも、です」
マリュリーサは一歩も引かなかった。
「神樹は終わらない。だから、ザフェルの、陛下の仕打ちは暴挙だと言うのです」
「確かに。巫女姫殿の純粋さと誠実さについては、心からご尊敬申し上げるし、悲しませて申し訳ないと思っている。これは本当だ。だが」
ギーズは言葉を切って神官たちを見渡した。
「この神殿はあなたが思っているほど清浄な場所ではない」
「……どう言う意味ですか?」
意外な言葉だった。いや、意外ではないのかもしれない。
マリュリーサは巫女と神官たちの間に、相いれないものがあるのを以前から感じていたからだ。同じ神樹に仕えながら、決して交わることのない隔たりがある。
「ヴァルカ長老殿。この都市が、神殿がこれほど長く繁栄しているのは、神樹のせいだけではないのだろう?」
「……し、知らぬ」
ヴァルカは蒼白になって震えている。周りの神官達も、意味がわからないように顔を見合わせていた。
「一体何を言っているのですか!」
マリュリーサはたまらずに叫んだ。
「聖なる巫女姫、マリュリーサ殿、私は全てを知るわけではない。しかし知りたいと思うのだ。だからあなたを手に入れた」
「私は、もうあなたの為には施術を致しませぬ」
マリュリーサは言い放った。
「そうか。それは残念である。非常に残念である。あの地下での術式は非常に有効であったのに。さて困った」
ギーズはさして困っていない様子で、マリュリーサを見つめた。
「せっかく我がものにしたはいいが、役に立たぬとすれば、神樹もろとも神殿を焼き払うというのはどうだろうな?」
「まさかそんな非道なことを!」
「私は炎の獅子王なのだよ」
ギーズは静かに言った。
マリュリーサは思わず息を呑み、ヴァルカ長老がついに白目をむいて卒倒する。
「おやおやこれはいかぬ。長老殿をお部屋に連れて行って差し上げろ。医師もつけてな。そして巫女姫どの、あなたは」
ギーズはたった今、恐ろしいことを言い放ったとは思えぬ優しい口調で言った。
「巫女姫殿には、しばらく地下の聖域にお篭りいただこう。そこでこの一件について、じっくり考えていただこう」
「……」
マリュリーサは密かに戦慄する。
子煩悩で磊落そうに見えて、この男は一代で北方諸国を併合し、巨大な統一国を打ち立てた人間なのだ。
「さぁレイツェルト、氷王よ。巫女姫殿をご案内いたせ」
「承知」
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