37 / 57
36 白藍(びゃくらん)の鎧 3
しおりを挟む
王宮最深部、地下宝物庫。
冷えた空気は動かない。
宝物庫と言っても、金銀財宝があるわけではない。いや、あるのかもしれないがレーゼには見えない。
しかしこの部屋には”声”が充満している。それは多分、ゴールディフロウ王家の祖先の声だ。
最初レーゼには、わやわやとした雑音にしか聞こえなかった。かん高いものもあれば、低くつぶやくだけのものもいる。その中から誰かを探さないといけない。
そんな気がしていた。
レーゼは神経を研ぎ澄ます。その声を拾うために。
あちこち触った感じによると、ここに並べてあるものは、古い書物や、絵、陶器などのようで、レーゼが触れるとびりっと痛みが走った。
「いたぁ……」
それらはゴールディフロウ家の先祖が関わったものだろう。声は宝物から発せられている。古い王家の能力者が作った道具たちが、何かを訴えているのだ。
彼らは怒っていた。
『でていけ小娘!』
『色を持たない、忌み子めが!』
『何を盗みに来た? ここにはお前のものは何もない!』
まぁ、そうなるわよね。
レーゼは悪口には意外と慣れている。ごく近しい近親者である父や祖父でさえ、彼女を嫌ったのだ。
だから顔も知らない先祖の残留思念なんかに、出ていけと言われても案外平気だった。
だが、一つだけ罵声に紛れてレーゼにもわかる言葉があった。それは最初に聞こえた声だが、周りに充満する声に比べてひどく弱い。
その声はこう言っていた。
『こちらへ来なさい。我と同じ者、我の子よ』
不思議と怖くない。レーゼは声のする方へと入っていった。
そこは一番奥にある窪みのようなところ。そこまで来ると、他の雑音はだいぶ小さくなり、声は聞き取りやすくなった。
古めかしい台座の上に、青い石が飾ってあった。レーゼの守り石と同じ宝石だが、平たくて三倍くらいの大きさがある。触れるとほんの少し温かく、他の道具や本のように、レーゼを拒絶したりはしない。
『そなたがレーゼルーシェか。待っていたぞ』
石の中から声がする。男性のようだが年齢まではわからない。
「あなたは誰?」
『我はビャクラン。アンジュレアルト・ビャクラン・ゴールディフロウ』
「まぁ、私と同じ名前」
レーゼの正式な名は、レールゼーシェ・ビャクラン・ゴールディフロウだから、ミドルネームが同じである。
『偶然ではない。レーゼ、お前の祖父は私の名前をつけたのだ。お前よりも二百年以上、先に生きた私の名を』
「どうして?」
『私もレーゼと同じ、忌むべき色を持っていたから。もっともそれは、私が病を得てからだ。それまでは一応金色だったのだ』
その声はやや言い訳がましく言った。
「病気になったの?」
『ああ。私は若くして死ぬ運命だった。しかし、姉のおかげで助けられた』
「お姉さんがいたのね……色が変わったら嫌われた?」
『そうだな。この国の王家は見栄っ張りなのだ。髪や瞳、あるいは肌の色など、何の意味もないというに』
「それでどうしたの?」
強い興味を引かれてレーゼが尋ねる。
『我は力を得たゆえに、蔑む者は、全部ぶちのめしてやった。魔力ではなく、物理で』
「そうなの? 私もお爺さまをつねってやったらよかったのかしら?」
『あの男は見栄っ張りな愚王だったから、そのくらいは良いだろう。あの男の代でこの国は滅びたのだ』
声はほんの少し楽しそうだ。生前はかなり個性的な人柄だったのかもしれない。
「滅ぼしたのは魔女たちよ」
『だが、ここにある知識、武器や防具を使えば、少なくとも民は守れたものを。ここは封印されて長い間忘れられていたのだ。百年ほど前からここに来る王はいなくなった。どこかで系譜が絶たれたのだろう』
「この石はあなたのものだったの?」
『そうだ。私は、私の持つ全ての能力を使ってこの鎧を作った』
「鎧? 石でしょ」
レーゼがそう言った途端、石が光りだし、形をどんどん変えていく。
驚くレーゼの前でそれは、美しい一対の鎧と姿を変えた。守り石と同じ白藍の装甲に、妖精を思わせる植物めいた装飾がなされている。
それは美しい鎧だった。
「綺麗な鎧ね。でも、私こんなもの見せてどうするの?」
『それはこうだね。私に触れてごらん?』
「こ、こう?」
レーゼが恐る恐る鎧に触れると、それは光とともに反転し、レーゼの全身を包み込んだ。頭のてっぺんからつま先まで、すべて覆われてしまう。なのに、重さや息苦しさは感じない。
『つけ心地はどうだい?』
「案外動けるのね。というか、いつもより体が軽いわ」
『それは私の力が君を守っているからだ。外からの攻撃はよほどのものでない限り受けつけないし、君にかけられた魔女の呪いも幾分抑えることができる』
その声は、鎧の内側からレーゼに直接語り掛けてくる。その声の言う通り、レーゼの見えにくい目も、出しにくい声も鎧を通すと、明晰になってきた。
「まぁ! すごいわ! こんなに見えるのはひさしぶりよ! あなたすごい力を持っているのね、あれ?」
面貌がするりと上がる。顔が明らかになると、視界や声は元通りになった。
『これでも、死ぬ直前は王家最後の、大魔法使いと呼ばれていたのだ。この寄りには私の魂の一部が組み込まれている』
声は幾分自慢そうに言った。
「ほんとう!? だったら!」
レーゼはきた方角を振り返った。
「ビャクラン、私魔女から逃げてきたの。山向こうの塔でルビアが戦っている。助けてほしいの!」
『残念ながらそれはできない』
「どうして!?」
『……その女は死んだ』
ビャクランは重々しく告げる。
「し……そんなのは嘘よ! 絶対嘘!」
レーゼは激しく頭を振る。
「ルビアは追いつくって言っていたもの!」
『死んだのは今より少し前だ。彼女は最後まで雄々しく戦った。レーゼは良い家臣を持ったな』
「家臣じゃないわ! ルビアは私のお母さま同然なの! ずっと私を守ってくれたの! お願い、助けに行かせて!」
『……すまぬ』
「なによ! 結局私には何もできないのだわ! ルビアを助けることも、ナギに会いに行くことも! とんでもない役立たずだわ! あなただってそうよ! ずっとこんな穴蔵で、みんなの悪口を聞いていたんでしょう?」
床にうずくまり、レーゼは泣きながら叫んだ。
『その通りだが……泣くな。レーゼお前にはやることがあるだろう』
好きなだけレーゼを泣かし、やがて収まりかけた時ビャクランは静かに語りかけた。
「やること?」
『そうだ。お前の大切な人たちを苦しめ、ここまで追い詰めたのは誰だ?』
「それは……」
レーゼの顔が上がる。
「エニグマ」
『そうだろう。レーゼはエニグマにたどり着かねばならない。そして魔女の恐怖から人々を解き放たないといけない』
「……どうやって?」
『私が力を貸そう。私の残る力のすべてを使って、かの魔女を倒すのだ。むろんレーゼ一人ではできない。仲間を探す。大陸中に魔女を滅ぼしたい人々はいる』
「……」
『きっと、レーゼの大切な人も同じように戦っている』
「人を集めてい行けばナギに会える?」
『会えるだろう。目的が同じであるならば』
「……そう。そうね。ここで嘆いているだけでは、それこそナギに会わす顔がないわ」
レーゼは立ち上がった。鎧がぴったりと体に沿っている。面貌がするりと下りた。
「これって、脱げないの?」
『私の協力がなければ脱げない。レーゼを守るものだから』
レーゼは動いてみたが、特に重くもなく、動くのには不自由しない。
「でもご飯はどうやって食べるの? お風呂は?」
『栄養や水は鎧──つまり私の能力で補う。この鎧の中では体も汚れない。必要なのは睡眠ぐらいだ。背丈もお前と共に成長する』
「じゃあ、魔女とも戦える?」
『残念ながら向上するのは防御力だけで、戦闘力は上がらない』
「なんだ、じゃああんまり役には立たないじゃないの! 守れるのは自分だけで、誰の役にも立たないわ!」
『まぁそういうな。その代わり、私の能力とレーゼの能力が合わさって、感覚がより鋭くなる。獣の力を借りることも、今よりできる』
「そんなことができたって……」
『だからレーゼ、仲間を作るのだ。能力を使い、仲間に情報をつたえて戦いの援護をする。それがレーゼの戦い方だ。仲間を募って、魔女を倒せ』
「わたしの戦い方……」
『そうだ。必要なのは成しとげようとする意志だ』
「意思……そうね」
「私とともに行こう、レーゼ」
「……」
かつて一人で旅立った人がいた。しかし、意思さえあれば、追いつけるかもしれないのだ。
「……エニグマは今どこにいるの?」
『今は大陸北東の島にいる』
「北東の島……」
大陸の南西に位置するゴールディフロウからは対角線上にある。かなりの距離だ。
『既に知っていると思うが、ゾルーディアもエニグマも我が王家の一族だ。彼らは双子の王女だったが、ある事情から能力が暴走し、恐るべき魔力と化してしまった。いわば身内の恥だ。だから、私にも討つ理由が大いにある。だがあまりにも強大になりすぎた魔女は、一人では滅ぼせない』
「だから、仲間を」
『そうだ。私がレーゼの中の呪いを抑えこめている間に、ここから出て魔女を滅ぼせ』
「私行くのね」
『そうだ、行こうレーゼ』
「わかった。ビャクラン、私は戦う」
『よい子だ……なにを笑う?』
「今わかったことがあるんだけど」
『?』
レーゼの目はまだ涙でぬれている。しかし、口元には新たな決意が宿っていた。
「ビャクラン。あなた、私のひいひいひいお爺さまだったのね」
冷えた空気は動かない。
宝物庫と言っても、金銀財宝があるわけではない。いや、あるのかもしれないがレーゼには見えない。
しかしこの部屋には”声”が充満している。それは多分、ゴールディフロウ王家の祖先の声だ。
最初レーゼには、わやわやとした雑音にしか聞こえなかった。かん高いものもあれば、低くつぶやくだけのものもいる。その中から誰かを探さないといけない。
そんな気がしていた。
レーゼは神経を研ぎ澄ます。その声を拾うために。
あちこち触った感じによると、ここに並べてあるものは、古い書物や、絵、陶器などのようで、レーゼが触れるとびりっと痛みが走った。
「いたぁ……」
それらはゴールディフロウ家の先祖が関わったものだろう。声は宝物から発せられている。古い王家の能力者が作った道具たちが、何かを訴えているのだ。
彼らは怒っていた。
『でていけ小娘!』
『色を持たない、忌み子めが!』
『何を盗みに来た? ここにはお前のものは何もない!』
まぁ、そうなるわよね。
レーゼは悪口には意外と慣れている。ごく近しい近親者である父や祖父でさえ、彼女を嫌ったのだ。
だから顔も知らない先祖の残留思念なんかに、出ていけと言われても案外平気だった。
だが、一つだけ罵声に紛れてレーゼにもわかる言葉があった。それは最初に聞こえた声だが、周りに充満する声に比べてひどく弱い。
その声はこう言っていた。
『こちらへ来なさい。我と同じ者、我の子よ』
不思議と怖くない。レーゼは声のする方へと入っていった。
そこは一番奥にある窪みのようなところ。そこまで来ると、他の雑音はだいぶ小さくなり、声は聞き取りやすくなった。
古めかしい台座の上に、青い石が飾ってあった。レーゼの守り石と同じ宝石だが、平たくて三倍くらいの大きさがある。触れるとほんの少し温かく、他の道具や本のように、レーゼを拒絶したりはしない。
『そなたがレーゼルーシェか。待っていたぞ』
石の中から声がする。男性のようだが年齢まではわからない。
「あなたは誰?」
『我はビャクラン。アンジュレアルト・ビャクラン・ゴールディフロウ』
「まぁ、私と同じ名前」
レーゼの正式な名は、レールゼーシェ・ビャクラン・ゴールディフロウだから、ミドルネームが同じである。
『偶然ではない。レーゼ、お前の祖父は私の名前をつけたのだ。お前よりも二百年以上、先に生きた私の名を』
「どうして?」
『私もレーゼと同じ、忌むべき色を持っていたから。もっともそれは、私が病を得てからだ。それまでは一応金色だったのだ』
その声はやや言い訳がましく言った。
「病気になったの?」
『ああ。私は若くして死ぬ運命だった。しかし、姉のおかげで助けられた』
「お姉さんがいたのね……色が変わったら嫌われた?」
『そうだな。この国の王家は見栄っ張りなのだ。髪や瞳、あるいは肌の色など、何の意味もないというに』
「それでどうしたの?」
強い興味を引かれてレーゼが尋ねる。
『我は力を得たゆえに、蔑む者は、全部ぶちのめしてやった。魔力ではなく、物理で』
「そうなの? 私もお爺さまをつねってやったらよかったのかしら?」
『あの男は見栄っ張りな愚王だったから、そのくらいは良いだろう。あの男の代でこの国は滅びたのだ』
声はほんの少し楽しそうだ。生前はかなり個性的な人柄だったのかもしれない。
「滅ぼしたのは魔女たちよ」
『だが、ここにある知識、武器や防具を使えば、少なくとも民は守れたものを。ここは封印されて長い間忘れられていたのだ。百年ほど前からここに来る王はいなくなった。どこかで系譜が絶たれたのだろう』
「この石はあなたのものだったの?」
『そうだ。私は、私の持つ全ての能力を使ってこの鎧を作った』
「鎧? 石でしょ」
レーゼがそう言った途端、石が光りだし、形をどんどん変えていく。
驚くレーゼの前でそれは、美しい一対の鎧と姿を変えた。守り石と同じ白藍の装甲に、妖精を思わせる植物めいた装飾がなされている。
それは美しい鎧だった。
「綺麗な鎧ね。でも、私こんなもの見せてどうするの?」
『それはこうだね。私に触れてごらん?』
「こ、こう?」
レーゼが恐る恐る鎧に触れると、それは光とともに反転し、レーゼの全身を包み込んだ。頭のてっぺんからつま先まで、すべて覆われてしまう。なのに、重さや息苦しさは感じない。
『つけ心地はどうだい?』
「案外動けるのね。というか、いつもより体が軽いわ」
『それは私の力が君を守っているからだ。外からの攻撃はよほどのものでない限り受けつけないし、君にかけられた魔女の呪いも幾分抑えることができる』
その声は、鎧の内側からレーゼに直接語り掛けてくる。その声の言う通り、レーゼの見えにくい目も、出しにくい声も鎧を通すと、明晰になってきた。
「まぁ! すごいわ! こんなに見えるのはひさしぶりよ! あなたすごい力を持っているのね、あれ?」
面貌がするりと上がる。顔が明らかになると、視界や声は元通りになった。
『これでも、死ぬ直前は王家最後の、大魔法使いと呼ばれていたのだ。この寄りには私の魂の一部が組み込まれている』
声は幾分自慢そうに言った。
「ほんとう!? だったら!」
レーゼはきた方角を振り返った。
「ビャクラン、私魔女から逃げてきたの。山向こうの塔でルビアが戦っている。助けてほしいの!」
『残念ながらそれはできない』
「どうして!?」
『……その女は死んだ』
ビャクランは重々しく告げる。
「し……そんなのは嘘よ! 絶対嘘!」
レーゼは激しく頭を振る。
「ルビアは追いつくって言っていたもの!」
『死んだのは今より少し前だ。彼女は最後まで雄々しく戦った。レーゼは良い家臣を持ったな』
「家臣じゃないわ! ルビアは私のお母さま同然なの! ずっと私を守ってくれたの! お願い、助けに行かせて!」
『……すまぬ』
「なによ! 結局私には何もできないのだわ! ルビアを助けることも、ナギに会いに行くことも! とんでもない役立たずだわ! あなただってそうよ! ずっとこんな穴蔵で、みんなの悪口を聞いていたんでしょう?」
床にうずくまり、レーゼは泣きながら叫んだ。
『その通りだが……泣くな。レーゼお前にはやることがあるだろう』
好きなだけレーゼを泣かし、やがて収まりかけた時ビャクランは静かに語りかけた。
「やること?」
『そうだ。お前の大切な人たちを苦しめ、ここまで追い詰めたのは誰だ?』
「それは……」
レーゼの顔が上がる。
「エニグマ」
『そうだろう。レーゼはエニグマにたどり着かねばならない。そして魔女の恐怖から人々を解き放たないといけない』
「……どうやって?」
『私が力を貸そう。私の残る力のすべてを使って、かの魔女を倒すのだ。むろんレーゼ一人ではできない。仲間を探す。大陸中に魔女を滅ぼしたい人々はいる』
「……」
『きっと、レーゼの大切な人も同じように戦っている』
「人を集めてい行けばナギに会える?」
『会えるだろう。目的が同じであるならば』
「……そう。そうね。ここで嘆いているだけでは、それこそナギに会わす顔がないわ」
レーゼは立ち上がった。鎧がぴったりと体に沿っている。面貌がするりと下りた。
「これって、脱げないの?」
『私の協力がなければ脱げない。レーゼを守るものだから』
レーゼは動いてみたが、特に重くもなく、動くのには不自由しない。
「でもご飯はどうやって食べるの? お風呂は?」
『栄養や水は鎧──つまり私の能力で補う。この鎧の中では体も汚れない。必要なのは睡眠ぐらいだ。背丈もお前と共に成長する』
「じゃあ、魔女とも戦える?」
『残念ながら向上するのは防御力だけで、戦闘力は上がらない』
「なんだ、じゃああんまり役には立たないじゃないの! 守れるのは自分だけで、誰の役にも立たないわ!」
『まぁそういうな。その代わり、私の能力とレーゼの能力が合わさって、感覚がより鋭くなる。獣の力を借りることも、今よりできる』
「そんなことができたって……」
『だからレーゼ、仲間を作るのだ。能力を使い、仲間に情報をつたえて戦いの援護をする。それがレーゼの戦い方だ。仲間を募って、魔女を倒せ』
「わたしの戦い方……」
『そうだ。必要なのは成しとげようとする意志だ』
「意思……そうね」
「私とともに行こう、レーゼ」
「……」
かつて一人で旅立った人がいた。しかし、意思さえあれば、追いつけるかもしれないのだ。
「……エニグマは今どこにいるの?」
『今は大陸北東の島にいる』
「北東の島……」
大陸の南西に位置するゴールディフロウからは対角線上にある。かなりの距離だ。
『既に知っていると思うが、ゾルーディアもエニグマも我が王家の一族だ。彼らは双子の王女だったが、ある事情から能力が暴走し、恐るべき魔力と化してしまった。いわば身内の恥だ。だから、私にも討つ理由が大いにある。だがあまりにも強大になりすぎた魔女は、一人では滅ぼせない』
「だから、仲間を」
『そうだ。私がレーゼの中の呪いを抑えこめている間に、ここから出て魔女を滅ぼせ』
「私行くのね」
『そうだ、行こうレーゼ』
「わかった。ビャクラン、私は戦う」
『よい子だ……なにを笑う?』
「今わかったことがあるんだけど」
『?』
レーゼの目はまだ涙でぬれている。しかし、口元には新たな決意が宿っていた。
「ビャクラン。あなた、私のひいひいひいお爺さまだったのね」
0
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
前世は大聖女でした。今世では普通の令嬢として泣き虫騎士と幸せな結婚をしたい!
月(ユエ)/久瀬まりか
ファンタジー
伯爵令嬢アイリス・ホールデンには前世の記憶があった。ロラン王国伝説の大聖女、アデリンだった記憶が。三歳の時にそれを思い出して以来、聖女のオーラを消して生きることに全力を注いでいた。だって、聖女だとバレたら恋も出来ない一生を再び送ることになるんだもの!
一目惚れしたエドガーと婚約を取り付け、あとは来年結婚式を挙げるだけ。そんな時、魔物討伐に出発するエドガーに加護を与えたことから聖女だということがバレてしまい、、、。
今度こそキスから先を知りたいアイリスの願いは叶うのだろうか?
※第14回ファンタジー大賞エントリー中。投票、よろしくお願いいたします!!
【完結】緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
五城楼スケ(デコスケ)
ファンタジー
〜花が良く育つので「緑の手」だと思っていたら「癒しの手」だったようです〜
王都の隅っこで両親から受け継いだ花屋「ブルーメ」を経営するアンネリーエ。
彼女のお店で売っている花は、色鮮やかで花持ちが良いと評判だ。
自分で花を育て、売っているアンネリーエの店に、ある日イケメンの騎士が現れる。
アンネリーエの作る花束を気に入ったイケメン騎士は、一週間に一度花束を買いに来るようになって──?
どうやらアンネリーエが育てている花は、普通の花と違うらしい。
イケメン騎士が買っていく花束を切っ掛けに、アンネリーエの隠されていた力が明かされる、異世界お仕事ファンタジーです。
*HOTランキング1位、エールに感想有難うございました!とても励みになっています!
※花の名前にルビで解説入れてみました。読みやすくなっていたら良いのですが。(;´Д`)
話の最後にも花の名前の解説を入れてますが、間違ってる可能性大です。
雰囲気を味わってもらえたら嬉しいです。
※完結しました。全41話。
お読みいただいた皆様に感謝です!(人´∀`).☆.。.:*・゚
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
女神を怒らせステータスを奪われた僕は、数値が1でも元気に過ごす。
まったりー
ファンタジー
人見知りのゲーム大好きな主人公は、5徹の影響で命を落としてしまい、そこに異世界の女神様が転生させてくれました。
しかし、主人公は人見知りで初対面の人とは話せず、女神様の声を怖いと言ってしまい怒らせてしまいました。
怒った女神様は、次の転生者に願いを託す為、主人公のステータスをその魂に譲渡し、主人公の数値は1となってしまいますが、それでも残ったスキル【穀物作成】を使い、村の仲間たちと元気に暮らすお話です。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
「魔物肉は食べられますか?」異世界リタイアは神様のお情けです。勝手に召喚され馬鹿にされて追放されたのでスローライフを無双する。
太も歩けば右から落ちる(仮)
ファンタジー
その日、和泉春人は、現実世界で早期リタイアを達成した。しかし、八百屋の店内で勇者召喚の儀式に巻き込まれ異世界に転移させられてしまう。
鑑定により、春人は魔法属性が無で称号が無職だと判明し、勇者としての才能も全てが快適な生活に関わるものだった。「お前の生活特化笑える。これは勇者の召喚なんだぞっ。」最弱のステータスやスキルを、勇者達や召喚した国の重鎮達に笑われる。
ゴゴゴゴゴゴゴゴォ
春人は勝手に召喚されながら、軽蔑されるという理不尽に怒り、王に暴言を吐き国から追放された。異世界に嫌気がさした春人は魔王を倒さずスローライフや異世界グルメを満喫する事になる。
一方、乙女ゲームの世界では、皇后陛下が魔女だという噂により、同じ派閥にいる悪役令嬢グレース レガリオが婚約を破棄された。
華麗なる10人の王子達との甘くて危険な生活を悪役令嬢としてヒロインに奪わせない。
※春人が神様から貰った才能は特別なものです。現実世界で達成した早期リタイアを異世界で出来るように考えてあります。
春人の天賦の才
料理 節約 豊穣 遊戯 素材 生活
春人の初期スキル
【 全言語理解 】 【 料理 】 【 節約 】【 豊穣 】【 遊戯化 】【 マテリア化 】 【 快適生活スキル獲得 】
ストーリーが進み、春人が獲得するスキルなど
【 剥ぎ取り職人 】【 剣技 】【 冒険 】【 遊戯化 】【 マテリア化 】【 快適生活獲得 】 【 浄化 】【 鑑定 】【 無の境地 】【 瀕死回復Ⅰ 】【 体神 】【 堅神 】【 神心 】【 神威魔法獲得 】【 回路Ⅰ 】【 自動発動 】【 薬剤調合 】【 転職 】【 罠作成 】【 拠点登録 】【 帰還 】 【 美味しくな~れ 】【 割引チケット 】【 野菜の種 】【 アイテムボックス 】【 キャンセル 】【 防御結界 】【 応急処置 】【 完全修繕 】【 安眠 】【 無菌領域 】【 SP消費カット 】【 被ダメージカット 】
≪ 生成・製造スキル ≫
【 風呂トイレ生成 】【 調味料生成 】【 道具生成 】【 調理器具生成 】【 住居生成 】【 遊具生成 】【 テイルム製造 】【 アルモル製造 】【 ツール製造 】【 食品加工 】
≪ 召喚スキル ≫
【 使用人召喚 】【 蒐集家召喚 】【 スマホ召喚 】【 遊戯ガチャ召喚 】
公爵家の半端者~悪役令嬢なんてやるよりも、隣国で冒険する方がいい~
石動なつめ
ファンタジー
半端者の公爵令嬢ベリル・ミスリルハンドは、王立学院の休日を利用して隣国のダンジョンに潜ったりと冒険者生活を満喫していた。
しかしある日、王様から『悪役令嬢役』を押し付けられる。何でも王妃様が最近悪役令嬢を主人公とした小説にはまっているのだとか。
冗談ではないと断りたいが権力には逆らえず、残念な演技力と棒読みで悪役令嬢役をこなしていく。
自分からは率先して何もする気はないベリルだったが、その『役』のせいでだんだんとおかしな状況になっていき……。
※小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる