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62 譲れぬもの 5
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町に戻った時には、すでに陽が落ちかけていた。
イスカルの怪我を気遣い、馬の速度を上げられなかったからだ。
草原では陽が落ちると、外で働くものはいない。松明がところどころに焚かれるだけで暗くなるからだ。あんなに賑わっていた広場もすでに片づけられている。
ユルディスが少年を抱いて館に戻ると、待ち受けていジュマとアマン、そしてマヤとその両親が現れた。
「よく戻った!」
「ユルディス様!」
「兄上、この少年の手当を。明日朝一番に、ムラード族に遣いを」
ユルディスは駆け寄るマヤを押し退けて、召使いに少年を託した。
「わかった。アマンは薬草にくわしい。安心するがいい」
「まぁ! 薬草に!? 私も手当を見せていただいてもよろしいですか?」
すぐに興味を示し、アマンについていこうとするミザリーを、背後から抱きしめたのはユルディスである。
「ミザリー、お願いだから、今夜はもう俺のそばを離れないで」
「え? でも……」
「ユルディス様!」
マヤが意気揚々と進み出る。
「どんな理由があれ、勝負に勝ったのは私です。私が戻ったところを村の人たちも見ています。お祝いもしていただきました! だから」
「出ていけ」
「……え?」
「斬りすてられたくなければ、今すぐに消えろ!」
「ひっ!」
マヤがぶるぶると震え出す。ユルディスの声は剣よりも鋭くマヤの胸を刺したようだ。彼女の父は、この一幕でことの次第を察したように青ざめている。
「ユール! だめ! 言葉が足りない!」
ミザリーが真剣に頼むので、ユルディスは仕方なく、真っ青になっているマヤに向き直った。
「お前は我が同胞の子どもが助けを求める声を無視して、勝負のみにこだわった。それは古の理に反する」
第二夫人まで認めるという風習は元々、子どもの数を減らさないという願いが根底にある。だから、子どもの命を粗末にすることは、理に反するのだ。
若いマヤにはその理屈にまで考えが及ばず、ユルディスの妻という、自分に都合の良い部分にのみ注目してしまったのだ。
「わ、悪かったです! 申し訳ありません!」
「マヤ、やめなさい。もう気がすんだだろう?」
父親の諌めを聞かずに、マヤは尚も言い募る。
「でも……でも! 私はその人の企み……嘘だと思ってしまったのです。だって、私、その子の声も聞かなかったし、姿もわからなかったし!」
「だからと言って、私や長老がユルディスの妻と認めた、ミザリーの言葉を無視するという無礼は許されない。確かめた上で仕切り直しという方法も選択できたのだ。お前は自分の挑戦に、自らの判断で敗れたのだ」
ジュマも重々しく告げ、ユルディスはもうマヤを見ようともしなかった。
「もっとも、俺は仮にミザリーが正しい勝負の上で負けていたとしても、お前を娶るつもりなどなかった。我が妻の意見を受け入れ、意思を尊重しただけのことだ。去れ」
「わ、私は……」
マヤは涙を流しながら崩れ落ちた。
「私は……ずっとユルディス様を……」
「マヤ! 帰るんだ! これ以上我が一族に恥をかかせるな!」
業を煮やした父親が、厳しく娘の腕を取ろうとする。その前に立ったのはミザリーだった。
「マヤ。立って」
ミザリーは少女に手を差し伸べた。しかし、呆然としているマヤの目には入らない。
「立ちなさい!」
ぴしゃりと頬を打たれ、マヤはやっとミザリーに焦点を合わせた。
「あなたの望みは全部果たされたでしょ? それに、もともとあなたは、最後の抵抗をしてみたかっただけなのでしょう? 違う?」
「私は……ユルディスが好きす! だから、お帰りをずっと待ってて……」
「そうよ。わかるわ。だから、何かしないではいられなかったんでしょう? 長いこと大切にしてきた恋が、自分ではどうすることもできない周囲の都合で、なかったことにされるのに、耐えられなかったのね」
「……」
「だから、積もった想いを、自分から消せる納得できる理由が欲しかった。違う?」
「なんでそんなことが言えるの!」
マヤは泣き声を張り上げた。
「言えるわ。私も同じだっただから。私よりマヤの方が勇気がある。あなたは、勝負に勝っても、ユルディスが自分を迎えてくれないと、本当は気づいてたはずだわ」
「……」
「私はね、前の夫との約束に縛られて、なかなか先へ踏み出せなかったの。だから、あなたは立派よ」
「ミザリー様。なんと言ってお詫びすれば良いか……一人娘だと甘やかしすぎた私どもの責任です!」
「お父様、お母様。草原のしきたりに則って、マヤを叱るのは構いません。でも、私に謝る必要はありません」
「ミザリー様……!」
「さぁ、もうおしまいにしましょう。疲れました」
ミザリーはまだへたり込んでいるマヤを振り返った。
「マヤもご両親と帰りなさい。これからはもっと広く周りを見てね」
「うっ……うわぁあん!」
マヤは盛大に泣きはじめた。
「なによ……なによぅ! 私の方が先だったのよ! 初めて会った時から大好きだった! ずっとユルディス様のお嫁さんになりたかったのよぅ!」
「そうよね。私が取っちゃってごめんなさい。でも、私だってユールが大好きなの、あなたには渡さないわ。ユールは絶対に私のものです」
「畜生! わああああ! なにさ! ユルディス様なんて、勝手に出て行っちゃって、私の気持ちも知らないで! どれだけ泣いたと思ってんのよ! 馬鹿! ユルディスの馬鹿野郎! ろくでなし! あんたこそ消えろ! どっか行っちゃえ! わああああ~ん!」
一層声をあげでマヤが泣く。いっそ清々しいほどの罵り言葉だ。
ユルディスは不快そうに顔を背け、両親は泣きわめく娘を扱いかねて小さくなっている。
しかし、ミザリーには見えていた。
流した涙の分だけ、マヤの心を縛っていた恋の鎖がちぎれていく姿が。
私も、こんなふうに泣けばよかったのかもしれない。ルナール様に面と向かって馬鹿野郎って言えばよかった。
「……わかった。私の負けです」
ようやく立ち上がったマヤは、涙と鼻水と涎で盛大に汚れた顔で敗北宣言をした。
「ジュマ様、お父様申し訳ありません。町の人たちには明日、私が間違えていたと伝えます」
「大丈夫?」
「こんなに恥をかいたのだから、これ以上なんてことはありません! ではお騒がせしました!」
そう捨て台詞を残すと、ユルディスの顔も見ずに、マヤは出ていく。
ジュマの目配せで、両親もなにも言わずに一礼し、娘の後を追った。後のことは彼らの問題だ。ミザリーにできることはない。
草原の民は名誉を重んじる。マヤにはふさわしい罰と、約束が課せられるだろう。
「さぁ、もういいだろう!」
焦れた声にミザリーが振り返ると、ジュマにはがいじめにされたユルディスの姿があった。どうやら、ミザリーの、絶対私のもの宣言以来、掻っさらって行きたくて仕方がなかったようだ。これがこの男の本性なのだろう。
「ミザリー、あなたは最高だ」
ようやくジュマを振り切ってユルディスは妻を抱きしめた。
「お風呂に入ります。疲れたし結構汚れてしまいました」
「なら俺が手伝おう」
「結構よ、ゆっくりしたいので……って、きゃああ!」
宣言通り、弟に、掻っさらわれていったミザリーを気の毒そうに見送り、ジュマは肩をすくめた。
「今夜は湯屋には誰も入れるな……ああ、今夜は雨が来るな。明日から春だ」
草原の夜に、春を告げる嵐がやってきたのは、その夜のことだった。
*****
いろいろ考えましたが、最終的にこのような結末に。
キーワードに「ざまぁ」は入れておりません。生温いと思われる方もいらっしゃるかも。
辺境作家です。テンプレ、トレンドはよくわからないのです。
イスカルの怪我を気遣い、馬の速度を上げられなかったからだ。
草原では陽が落ちると、外で働くものはいない。松明がところどころに焚かれるだけで暗くなるからだ。あんなに賑わっていた広場もすでに片づけられている。
ユルディスが少年を抱いて館に戻ると、待ち受けていジュマとアマン、そしてマヤとその両親が現れた。
「よく戻った!」
「ユルディス様!」
「兄上、この少年の手当を。明日朝一番に、ムラード族に遣いを」
ユルディスは駆け寄るマヤを押し退けて、召使いに少年を託した。
「わかった。アマンは薬草にくわしい。安心するがいい」
「まぁ! 薬草に!? 私も手当を見せていただいてもよろしいですか?」
すぐに興味を示し、アマンについていこうとするミザリーを、背後から抱きしめたのはユルディスである。
「ミザリー、お願いだから、今夜はもう俺のそばを離れないで」
「え? でも……」
「ユルディス様!」
マヤが意気揚々と進み出る。
「どんな理由があれ、勝負に勝ったのは私です。私が戻ったところを村の人たちも見ています。お祝いもしていただきました! だから」
「出ていけ」
「……え?」
「斬りすてられたくなければ、今すぐに消えろ!」
「ひっ!」
マヤがぶるぶると震え出す。ユルディスの声は剣よりも鋭くマヤの胸を刺したようだ。彼女の父は、この一幕でことの次第を察したように青ざめている。
「ユール! だめ! 言葉が足りない!」
ミザリーが真剣に頼むので、ユルディスは仕方なく、真っ青になっているマヤに向き直った。
「お前は我が同胞の子どもが助けを求める声を無視して、勝負のみにこだわった。それは古の理に反する」
第二夫人まで認めるという風習は元々、子どもの数を減らさないという願いが根底にある。だから、子どもの命を粗末にすることは、理に反するのだ。
若いマヤにはその理屈にまで考えが及ばず、ユルディスの妻という、自分に都合の良い部分にのみ注目してしまったのだ。
「わ、悪かったです! 申し訳ありません!」
「マヤ、やめなさい。もう気がすんだだろう?」
父親の諌めを聞かずに、マヤは尚も言い募る。
「でも……でも! 私はその人の企み……嘘だと思ってしまったのです。だって、私、その子の声も聞かなかったし、姿もわからなかったし!」
「だからと言って、私や長老がユルディスの妻と認めた、ミザリーの言葉を無視するという無礼は許されない。確かめた上で仕切り直しという方法も選択できたのだ。お前は自分の挑戦に、自らの判断で敗れたのだ」
ジュマも重々しく告げ、ユルディスはもうマヤを見ようともしなかった。
「もっとも、俺は仮にミザリーが正しい勝負の上で負けていたとしても、お前を娶るつもりなどなかった。我が妻の意見を受け入れ、意思を尊重しただけのことだ。去れ」
「わ、私は……」
マヤは涙を流しながら崩れ落ちた。
「私は……ずっとユルディス様を……」
「マヤ! 帰るんだ! これ以上我が一族に恥をかかせるな!」
業を煮やした父親が、厳しく娘の腕を取ろうとする。その前に立ったのはミザリーだった。
「マヤ。立って」
ミザリーは少女に手を差し伸べた。しかし、呆然としているマヤの目には入らない。
「立ちなさい!」
ぴしゃりと頬を打たれ、マヤはやっとミザリーに焦点を合わせた。
「あなたの望みは全部果たされたでしょ? それに、もともとあなたは、最後の抵抗をしてみたかっただけなのでしょう? 違う?」
「私は……ユルディスが好きす! だから、お帰りをずっと待ってて……」
「そうよ。わかるわ。だから、何かしないではいられなかったんでしょう? 長いこと大切にしてきた恋が、自分ではどうすることもできない周囲の都合で、なかったことにされるのに、耐えられなかったのね」
「……」
「だから、積もった想いを、自分から消せる納得できる理由が欲しかった。違う?」
「なんでそんなことが言えるの!」
マヤは泣き声を張り上げた。
「言えるわ。私も同じだっただから。私よりマヤの方が勇気がある。あなたは、勝負に勝っても、ユルディスが自分を迎えてくれないと、本当は気づいてたはずだわ」
「……」
「私はね、前の夫との約束に縛られて、なかなか先へ踏み出せなかったの。だから、あなたは立派よ」
「ミザリー様。なんと言ってお詫びすれば良いか……一人娘だと甘やかしすぎた私どもの責任です!」
「お父様、お母様。草原のしきたりに則って、マヤを叱るのは構いません。でも、私に謝る必要はありません」
「ミザリー様……!」
「さぁ、もうおしまいにしましょう。疲れました」
ミザリーはまだへたり込んでいるマヤを振り返った。
「マヤもご両親と帰りなさい。これからはもっと広く周りを見てね」
「うっ……うわぁあん!」
マヤは盛大に泣きはじめた。
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「そうよね。私が取っちゃってごめんなさい。でも、私だってユールが大好きなの、あなたには渡さないわ。ユールは絶対に私のものです」
「畜生! わああああ! なにさ! ユルディス様なんて、勝手に出て行っちゃって、私の気持ちも知らないで! どれだけ泣いたと思ってんのよ! 馬鹿! ユルディスの馬鹿野郎! ろくでなし! あんたこそ消えろ! どっか行っちゃえ! わああああ~ん!」
一層声をあげでマヤが泣く。いっそ清々しいほどの罵り言葉だ。
ユルディスは不快そうに顔を背け、両親は泣きわめく娘を扱いかねて小さくなっている。
しかし、ミザリーには見えていた。
流した涙の分だけ、マヤの心を縛っていた恋の鎖がちぎれていく姿が。
私も、こんなふうに泣けばよかったのかもしれない。ルナール様に面と向かって馬鹿野郎って言えばよかった。
「……わかった。私の負けです」
ようやく立ち上がったマヤは、涙と鼻水と涎で盛大に汚れた顔で敗北宣言をした。
「ジュマ様、お父様申し訳ありません。町の人たちには明日、私が間違えていたと伝えます」
「大丈夫?」
「こんなに恥をかいたのだから、これ以上なんてことはありません! ではお騒がせしました!」
そう捨て台詞を残すと、ユルディスの顔も見ずに、マヤは出ていく。
ジュマの目配せで、両親もなにも言わずに一礼し、娘の後を追った。後のことは彼らの問題だ。ミザリーにできることはない。
草原の民は名誉を重んじる。マヤにはふさわしい罰と、約束が課せられるだろう。
「さぁ、もういいだろう!」
焦れた声にミザリーが振り返ると、ジュマにはがいじめにされたユルディスの姿があった。どうやら、ミザリーの、絶対私のもの宣言以来、掻っさらって行きたくて仕方がなかったようだ。これがこの男の本性なのだろう。
「ミザリー、あなたは最高だ」
ようやくジュマを振り切ってユルディスは妻を抱きしめた。
「お風呂に入ります。疲れたし結構汚れてしまいました」
「なら俺が手伝おう」
「結構よ、ゆっくりしたいので……って、きゃああ!」
宣言通り、弟に、掻っさらわれていったミザリーを気の毒そうに見送り、ジュマは肩をすくめた。
「今夜は湯屋には誰も入れるな……ああ、今夜は雨が来るな。明日から春だ」
草原の夜に、春を告げる嵐がやってきたのは、その夜のことだった。
*****
いろいろ考えましたが、最終的にこのような結末に。
キーワードに「ざまぁ」は入れておりません。生温いと思われる方もいらっしゃるかも。
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