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第三章:Bunny&Black
百六十八話:ぐわしゃしゃ!
しおりを挟む「ずるいわよ、シンク……。 もっと早く教えてよ~……」
たぶん前は教えても一緒に入らなかったと思うけどね。
温泉ととのった状態のミサ。 バスタオルをかけてベッドで寝転んでいる。
バスタオルで隠せば気にしないというなかなかの豪胆さ。
ホテルの時も思ったが、ちょっとガード緩いよね。
家庭環境だろうか? 兄弟多いとか。
「リョウ様、今日も元気ですわね」
「うぅ、ごめんね、円。 まだ自分じゃ怖くてぇ……」
「うふふ。 しょうがないですわね♡」
円ちゃんとリョウは随分と仲良くなったようだ。
お兄ちゃん寂しい。
でも元気で嬉しい。
「背中、流してあげよっか?」
「うむ」
「髪も洗ってあげる!」
ぐわしゃしゃ!と豪快に俺の髪を弄ぶミサ。
なにか恨みを晴らそうとしているわけじゃないよね……?
「髪の毛伸びたわねぇ、邪魔じゃない?」
ダアゴン戦でベルセルク化してまた少し伸びた。
背中まであるんよね。
「切ってあげよっか?」
なんか怖いからいいですぅ!
「えー。 お父さんの髪も切ってあげたことあるんだよ? ……元気かなぁ」
「……」
お父さんと仲良かったんだな。
未だみんな家族には再会できていない。
葵ママさんくらいか。
「交代」
「え、う、うん」
背中の流しっこは日本文化。
髪も洗ってあげよう。
短いポニテを解く。
「んっ……」
頭皮を動かすように揉む。
指の腹を小刻みに動かし傷つけないように絶妙な力加減で。
ツボをついていけば力はいらない。
こめかみの辺りも手のひらの付け根で押す。 ここが気持ちいいのだ。
「ふぁぁ……」
まぬけな声と共に胸を隠していた手はダラりと下がる。
うーん。 後ろから覗き見る小山の頂は実にエロスを感じる。
「ん……ふぅ……」
無駄な脂肪のない、それでいて女性特有の柔らかさのある体。
細いウエスト。
瑞々しい肌。
優しく石鹸をつけたタオルで洗っていく。
ああ、そういえばと。
「んっ、いい香りね……」
ハウジングガチャで出た固形石鹸。
蜜蝋石鹸みたいで凄くいい香りがする。
ランク的には一番下の物だったのでそんなに凄い効果はないと思う。
泡立ちよし。
「っ、ん、あ」
もともと瑞々しかった肌にさらにツヤが生まれた。
しっとりやわらかく艶やかに。 保湿成分凄そう。
「うひゃ、んあっワキはだめっ」
可愛い声を出すミサ。
ワキは苦手らしい。 いや得意な人はいないか。
「あっ! おっきく、ここでっ、んぅ……するの?」
おっぱい契約もといミサの豊胸マッサージ。
少女はまだあきらめていない。
その心意気に答えるため、全力でマッサージしますよ。
「あッ、これッ、凄いィ、いつもより……」
ガチャ産の石鹸は凄いな。
つやつやぷるぷるんの肌を揉んでいく。
「しょこ、そこはっ、おおきくならなっ!」
大きくはなるよ?
ワキより弱点みたい。
親指でカリカリするのが好き。
「んん゛ん゛んっ゛」
我慢できないのか耐えようと洗い場の手を置き四つん這いになるミサ。
陸上部で鍛えられた脚は窮屈な体勢でもバランスを保っている。
「うわぁ、シン兄ちゃん達……凄いなぁ」
「ベルゼお兄ちゃん。 流石ですわ!」
「っっ!?」
見られていることに気づいたミサが震える。
なにかにこらえるように足ががくがくと震える。
「シンクっ、もうっ、んあっ、ばかあぁああッ」
ついでにお尻と脚も洗ってあげよう。
洗いやすい位置にあるしね!
ギャラリーが増えて少し調子に乗った。
後でミサに怒られました、反省。
でも凄く肌がツヤツヤになって喜んでいた。
「また、してね?」
今度は二人で、と約束させられました。
◇◆◇
東雲市街地の上空を飛んでいく。
「高いわぁ……」
「高いよぉ……」
昨日と同じ3人組である。
ミサもリョウも高いところは苦手らしい。
リョウは翼があるのに高所恐怖症。
『ブラックホーンシャドウ』の荷台部分に乗っている。
市街地のゴブリン狩りをしても埒が明かないので、『東雲市役所』に先に行ってみることにした。
どの程度の戦力があるかわからないが、連携すれば向こうも楽になるだろう。
ただ市役所の前はなんかもうよくわからない状態になっていた。
(もこもこの白い泡)
市役所側のギミックか、ゴブリンによるものかわからないが、入り口を塞ぐように一階全体を囲っていた。
おそらくゴブリン対策だと思うが下手に刺激するのはマズい。
そこで市役所の屋上からコンタクトをとることにした。
そう今、地上100メートルを飛行中なのだ。
流石にこの高さを飛ぶのは初めてだ。
地上よりも風が強い。
「いいねぇ」
空が近い。
雲から光が溢れている。
「なんか言ったぁー!?」
空を飛ぶ魔物とかいるんだろうか?
空中戦に備えてトランシーバーがほしいね。
まぁ俺はまともに喋れないのだけど。
「見えないねー?」
ゆっくりと旋回するように市役所を眺めるが、中はみえない。
マジックミラーのようになっているんだろうか。
中からは見えているだろう。
屋上に着く頃には大勢の人が武装して待っていた。
「何者だッ!?」
一人男が前に出て屋上の風に負けないよう大きな声で話しかけてくる。
ブラックホーンシャドウから降りるとさらに警戒された。
まぁSFチックな空飛ぶ乗り物からバトルスーツの男女と黒い羽の生えた少年。
うん、怪しすぎるな。
「ん?」
どうやって説明しようと考えていると、ミサがダッシュした。
「なぁっ!? 止まれ、止まれえ!!」
「鹿野警部補っ!!」
男を守ろうと何人かが割って入ってきたが関係ない。
ミサは宙を駆ける。
『ブラックホーンバニー』の宝玉は輝き、ブーツは青白く稲妻のように発光する。
彼女は人垣を飛び越えてあっというまに男の元へと辿り着いた。
「つ!?」
人々が見守る中。
フルフェイスだったバニーヘルムがイヤーカフへと変形していく。
露わになったのは破顔した少女だった。
その瞳には涙が。
「――お父さんっ!」
そう言って、ミサは男の人の胸に飛び込んだ。
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