上 下
153 / 179
第三章:Bunny&Black

百四十九話:開発!ネペンデス式○○

しおりを挟む
 なんだただの魔界か。

「……テヘ」

 3組分の教室をぶち抜き、ハウジングガチャから出たプランターやら園芸用品ぽいものを配置。
 種がいくつかあったので植えてみる。 
 プランターの宝石部分に魔石を当てると成長を促進してくれるようですくすくと育つ。
 すぐに蔓植物君が浸食し配下にしてしまうが。
 植物の世界も共存関係は大事だ。 最初に上下関係を植え付けているのだろうか。
 それにしても成長が早すぎる。
 お洒落な隠れ家を作るつもりが完全に魔境なんだが。
 俺が通ろうとすると意思を組んで蔓は動き道が作られる。
 カッコイイ。
 
「うむ」

 まぁいいか。 
 立ち入り禁止になっているし、少々やりすぎたとしても問題ない。
 隠れ家というか隠し実験場兼倉庫として使えそうだな。
 魔力的なモノが濃いのかシャム太も気に入っているようだ。
 蔓植物とオモチャの剣で戦闘訓練しとるし。
 シャム太の隠れ家か。

 避難生活を送っている人たちは体育館や校庭に仮設テントなんかで狭くるしい生活なのに、シャム太は3組分のスペースだと?
 まぁマンゴーみたいな果物の管理人ということで……。

「……」

 トイレ行きたい。

 電気・水道・ガス、が止まってしまい色々と不便。
 特に、大人数で暮らす場合問題となるのが……トイレだ。
 トイレ問題は早急に解決すべき問題である。
 だって臭いし。
 衛生環境が悪いと精神的にも身体的にも怖い。
 ちなみに校舎のトイレは閉鎖されている。
 下水道にも不具合が起きているようだ。
 簡易トイレを作り対応しているようだが、現代人にはつらい問題である。
 川がすぐそばに流れているから最悪垂れ流すという方法もあるんかねぇ……。

「お?」

 どこで用を足そうかと考えていると。
 シャム太さんが任せておけとサムズアップしていらっしゃる。
 蔓植物さんとなにやら打ち合わせしている。
 ちょっと大きい肉厚の葉っぱと頷きあっているのがシュールだ。
 会議が終わるとせっせと働きだすシャム太。

 オモチャの剣で机と椅子を華麗に斬る。
 その剣捌きは黒のガチャで何度も見たものである。
 蔓植物に命令をだしあっというまにひとつの物を作り上げる。
 
「ええ……」

 トイレだ。
 机のパイプと板と蔓で四角いボックスを作り、椅子の座る部分を分解し蔓で座りやすいように保護してくれている。
 蔓植物無双すぎんか?
 さすが異界植物。
 いや、たぶんだがプランターの影響なのかな?
 他にも形違いのプランターがあったけど青カード、Rランクだった。
 魔石も与えているし知能が高い。

「うむ……」

 シャム太がドヤ顔で使ってみろと促してくるので、使ってみる。
 まぁ他に誰もいないし用も足したいし。
 ……椅子の座り心地は最高です。
 木をシャム太が斬り蔓で保護してある。
 芸が細かい。
 受け皿部分も机の収納スペース部分に蔓を敷いてあるな。
 これならうんてぃーも飛び散らんのか?
 蔓さんが大変なことになるけど良いのだろうか?

「お?」

 蔓の葉の部分が変化した。
 受け取りやすいように袋状に。
 これなら、大丈夫そうか……。

「うーん……」

 人形と蔓植物に見守られながらトイレをするのはちょっと嫌だが。
 我慢すると体に毒なので致し方ない。
 羞恥プレイすぎんか? 

「あ、紙」

 さすがにウォッシュレットはないよね?
 問題なくトイレは済ませた。
 なんなら使い心地は最高です。
 お尻を拭く紙は無かったが。

「あふ」

 蔓植物の葉っぱもらえないかなと考えていると、お尻を拭かれました。
 なにを言っているかわからないと思うが、俺の思考を読んだシャム太が蔓植物に命令したようだ。 なんというアフターサービス。 いや、うん、ちょっと恥ずかしい。
 
「……」

 葉っぱに包まれて汚物は臭いもなく消えていく。
 なんというエコ。
 養分にでもなるんだろうか……。

 この蔓植物の名前はネペンデス君に決定しました。

 あとでネペンデス式トイレの売り込みに服部先輩のところに行ってこよう。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。 聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。 「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」 イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。 「……どうしたんだ、イリス?」 アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。 だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。 そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。 「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」 女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...