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第二章:魚と犬と死神

百十六話:

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 歩く死体が爆散する。

「ゾンビ――ぃいやぁああああ!?」

 ホラー×スプラッターでミサの精神が限界に達しようとしていた。
 なんなら狩り始めてから16時間以上経過しているので精神的、肉体的に厳しいはず。
 移動も戦闘も掴まっているだけとはいえだ。
 魔物の群れに突っ込んでいくのは精神的につらい。
 できるだけ揺れは抑えているがしがみつくのも大変だろう。

「スケルトォオオオン!?」

 極めつけはホラーだ。 
 リアルゾンビと骸骨に精神崩壊まったなし。
 ミサは意外とホラー系が苦手らしい。
 あと2日。
 はたしてミサは耐えられるのか?

「もういやあぁ、お家帰るぅ……」

 頑張れミサ!
 終われば楽しいガチャタイムが待っているぞ……俺だけだが。
 さすがにかわいそうだな。
 なにか良い物がでたらあげよう。
 巨乳薬とか。
 ……葵と戦争が勃発しそうだな。

 しかしどこかで仮眠をとるべきだな。
 さすがに3徹、いや昨日から寝ていないから4徹夜はきつい。
 今の体力なら行けると思うけど、精神的にきつい。
 3時間程度の仮眠はとるべき。
 アンデットが終わったら3時間の仮眠にしよう。

「ふふふ」

「ええ゛!? なになに! 怖いから急に笑わないでッッ!?」

 しかし結構狩りをしているがほんとうに多いな。
 進行拠点の祭壇は壊さず魔物だけかっさらっていく。
 またしばらくすると魔物が配置されている。
 ゲームで言うところのリポップのようだ。
 祭壇の機能にでもあるんだろうか?

 これは無限に湧き続けるのか?

 猫の万屋が言っていた、魔王たちにもこの祭りでは制約があると。
 中継拠点や進行拠点を築くのは領地を広げるため。 魔王同士でも争っている。 魚頭や野犬なんかはめちゃくちゃ縄張り争いしているもんな。
 領地拡大……リソースの奪い合い?
 本当にゲームみたいだ。
 祭りを開催している黒の魔皇帝とかいうやつの趣味だろうか。 

「……」

 怖いな。
 頭のネジがぶっ飛んだ奴が作ったクソバランスのデスゲーム。
 生き残るために全力を尽くさないと。
 3時間の仮眠なんて生ぬるい。
 
「あっ、ちょ、ここで!?」

 5分休憩を小刻みに入れていけばいい。
 SPを補充しながら。

「ばかぁ、んん゛っ」

 ビルの屋上から見る景色。
 星の輝きの下でアンデットの大軍が目を光らせている。
 爛々と輝く欲望の光に満ちている。


◇◆◇


 鬼頭君とミサちゃんが帰ってこない。

「お泊りデート!?」

「ギルティ」

「ギルティね」

 鬼頭君が東雲東高校にいるときは視聴覚室で寝泊まりしていることが多い。
 でも今日はいないみたい。
 まだ二人で出かけて戻ってきていない。
 正確な時間は分からないけど、たぶん22時は過ぎていると思う。
 
「神鳴館のほうに行っているのかも?」

 神鳴館女学院付属高校は県内だと凄い有名だ。
 もの凄いお嬢様学校で偏差値も高くてスポーツ強豪だったりする。
 テニスの試合で当たると泣きたくなったよ。
 それに制服が凄い可愛い。
 憧れてたから着れて嬉しかったな。
 それに鬼頭君からの視線も多かった気がする。

「それはそれでギルティだわ」

「ギルティ」

 可愛い子も綺麗な子もいっぱいだったからね。
 一ノ瀬さん凄い人だったけど、鬼頭君に優しかったし、笑顔でわざわざお別れを言いに来てたし、温泉入りにきてくださいねとか、絶対また会いに来てとか、あれって……。

 そういえば葵ちゃん、鬼頭君と温泉はいったんだよね?

「温泉、私も入りたいな」

「シンと?」

「二人っきりで!? もう、最近の若い子は大胆すぎるわ!!」

「ち、違うよーー!」

 玉木さんと葵ちゃんと女子会みたいになっちゃった。
 遅くまで3人でワイワイしていたけれど、結局二人は帰ってこなかったよ。

「事情聴取が必要ね!」

「「うん!」」

 
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