111 / 179
第二章:魚と犬と死神
百七話:ガールズバー
しおりを挟むお嬢様学校へ温泉に入りにきたはずが、ガールズバーに来ていた。
いったい何を言っているのかわからないと思うが、俺にもわからない。
まず笑顔の黒髪ロングに出迎えられて、あれこんなに可愛かったか?とか失礼なことを思いつつ、いやもっと表情に険があって目の下のクマも酷かったしかなり疲れた顔もしていたしね。
綺麗系の顔立ちでああいった笑顔をされるとちょっとドキッとしちゃうよね。
先ほどの戦闘の疲れか頭がふわふわしていたこともあって、何も考えずに黒髪ロングの後をついていったら、ガールズバーに来ていた。
「シンクさん、ゆっくりしていってくださいね」
「……」
ガールズバーとキャバクラの違いは何かと言えば、隣にいるかカウンター越しにいるかの違いらしい。
ジェイソンはガールズバーのほうが好きらしい。
なんでも話術さえあればいくらでも女の子とデートできるのだとか。
なぜ?
その話術を伝授してくれなかったのかジェイソンよ!
そのせいで今孫が困っているぞ!!
「なかなか来てくれないから、会いに行っちゃうところでしたよ?」
ワイシャツ姿の黒髪ロングがドリンクを作りながらそんなことを言ってきた。
やたら胸元の開いたテニスウェアを着たおかっぱ頭の女の子がお菓子を出してくれる。
そろそろ備蓄も厳しくなってくるころだが、こんなに歓待して大丈夫なのだろうか?
お返しはママノエくらいしかないのだが。
「ベルゼさん、髪型変わりましたね。 ……カッコイイです♡」
誰だったか、たしかアルテミス隊で東雲市街地の戦闘で一緒だった子かな?
ちょっとギャルっぽい格好でスタイルのいい子だ。
机に手を乗せ頬を手の平で覆いあざといポーズだ。
「えへ、円ぁ、ベルゼお兄ちゃんとお話ししたかったんですぅ」
挨拶を交わしながら女の子が次々に入れ替わっていく。
なんと今度はお兄ちゃん呼びのアザロリ系だ。
たぶん同い年かもしかしたら年上なのだが。
だがしかし、お兄ちゃんか。
憧れたことが無いと言えば嘘になる。 だって一人っ子だもん。
「ほう」
「円って呼んでください、ベルゼお兄ちゃん♡」
円ちゃんはボブツインテールの可愛い系の女の子だ。
動作が大げさですごくあざとい。
服装もチェック柄のロリータワンピースと、なかなかだ。
これは手ごわいぞ!?
「……円さんをお気に召しましたか? どうでしょう、一緒に温泉でも」
黒髪ロングがぶっこんできた。
なぜどうして一緒に温泉なんですか!?
「シンクさんもだいぶお疲れのご様子ですし、円さんはお背中を流すのがとても上手と評判なのですよ?」
たしかに。
もともと疲れて温泉に入りにきたから間違ってはいない。
しかしだ!
彼女が嫌がるに決まってるだろう。
「えぇ! シンクお兄ちゃんと一緒にお風呂!? ……円っ嬉しい!!」
「っ!?」
なんだとぉーー!?
これが、これが妹だというのかっ!?
「えへへ。 楽しみだねぇ、……ベルゼお兄ちゃん」
おかしい。
話術など一つも披露していないのに、妹属性の女の子と混浴温泉することになった。
どうしてこうなった!
◇◆◇
うふふ。
「楽勝ですね」
円の魅力の前では馬鹿な殿方など、イチコロですわ。
しかし、以前チラリと見かけた時とは全然違いましたね。
見た目もそうですが、……オーラが凄いです。
たしかに栞先輩がお熱なのも頷けます。
「しかし、そうなると困りましたね……」
本当はベルゼさん暗殺計画を執行しようと思ったのですが、周りの人たちから聞いた話では栞お姉様がベルゼさんに恋をしてしまったらしいのです。
それも危険なほどに。
なんでも作戦室で、『欲しい、どんな手を使っても、私の全てを差し出しても』とブツブツ危ない感じだったらしいです。 それもほぼ毎日寝言でも言っていたとかなんとか。
でもしかたありません。
恋は人を狂わせますもの。
わたくしが美愛お姉様を愛しているのと同じように。
いつか添い遂げたいその願いは尊いものですもの。
「どうすればいいのでしょう」
暗殺はできない。
とりあえず骨抜きにして我が校に通いつめさせるといたしましょうか。
殿方は苦手ですが、そういった手管は教育としてお家でならっていますわ。
そのせいで殿方が嫌いになったといっても過言ではありませんが。
美愛お姉様と栞お姉様の為です。
鳥居流忍術の本領をお見せいたしますわ。
0
お気に入りに追加
146
あなたにおすすめの小説
女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう
サイダーボウイ
ファンタジー
「ちょっと冬馬君。このプレゼン資料ぜんぜんダメ。一から作り直してくれない?」
万年ヒラ社員の冬馬弦人(39歳)は、今日も上司にこき使われていた。
地方の中堅大学を卒業後、都内の中小家電メーカーに就職。
これまで文句も言わず、コツコツと地道に勤め上げてきた。
彼女なしの独身に平凡な年収。
これといって自慢できるものはなにひとつないが、当の本人はあまり気にしていない。
2匹の猫と穏やかに暮らし、仕事終わりに缶ビールが1本飲めれば、それだけで幸せだったのだが・・・。
「おめでとう♪ たった今、あなたには異世界へ旅立つ権利が生まれたわ」
誕生日を迎えた夜。
突如、目の前に現れた女神によって、弦人の人生は大きく変わることになる。
「40歳まで童貞だったなんて・・・これまで惨めで辛かったでしょ? でももう大丈夫! これからは異世界で楽しく遊んで暮らせるんだから♪」
女神に同情される形で異世界へと旅立つことになった弦人。
しかし、降り立って彼はすぐに気づく。
女神のとんでもないしくじりによって、ハードモードから異世界生活をスタートさせなければならないという現実に。
これは、これまで日の目を見なかったアラフォーおっさんが、異世界で無双しながら成り上がり、その実力がバレて世界に見つかってしまうという人生逆転の物語である。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
虚弱高校生が世界最強となるまでの異世界武者修行日誌
力水
ファンタジー
楠恭弥は優秀な兄の凍夜、お転婆だが体が弱い妹の沙耶、寡黙な父の利徳と何気ない日常を送ってきたが、兄の婚約者であり幼馴染の倖月朱花に裏切られ、兄は失踪し、父は心労で急死する。
妹の沙耶と共にひっそり暮そうとするが、倖月朱花の父、竜弦の戯れである条件を飲まされる。それは竜弦が理事長を務める高校で卒業までに首席をとること。
倖月家は世界でも有数の財閥であり、日本では圧倒的な権勢を誇る。沙耶の将来の件まで仄めかされれば断ることなどできようもない。
こうして学園生活が始まるが日常的に生徒、教師から過激ないびりにあう。
ついに《体術》の実習の参加の拒否を宣告され途方に暮れていたところ、自宅の地下にある門を発見する。その門は異世界アリウスと地球とをつなぐ門だった。
恭弥はこの異世界アリウスで鍛錬することを決意し冒険の門をくぐる。
主人公は高い技術の地球と資源の豊富な異世界アリウスを往来し力と資本を蓄えて世界一を目指します。
不幸のどん底にある人達を仲間に引き入れて世界でも最強クラスの存在にしたり、会社を立ち上げて地球で荒稼ぎしたりする内政パートが結構出てきます。ハーレム話も大好きなので頑張って書きたいと思います。また最強タグはマジなので嫌いな人はご注意を!
書籍化のため1~19話に該当する箇所は試し読みに差し換えております。ご了承いただければ幸いです。
一人でも読んでいただければ嬉しいです。
修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す
佐原
ファンタジー
毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。
誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。
また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。
僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。
不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。
他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います
Sランク冒険者の受付嬢
おすし
ファンタジー
王都の中心街にある冒険者ギルド《ラウト・ハーヴ》は、王国最大のギルドで登録冒険者数も依頼数もNo.1と実績のあるギルドだ。
だがそんなギルドには1つの噂があった。それは、『あのギルドにはとてつもなく強い受付嬢』がいる、と。
そんな噂を耳にしてギルドに行けば、受付には1人の綺麗な銀髪をもつ受付嬢がいてー。
「こんにちは、ご用件は何でしょうか?」
その受付嬢は、今日もギルドで静かに仕事をこなしているようです。
これは、最強冒険者でもあるギルドの受付嬢の物語。
※ほのぼので、日常:バトル=2:1くらいにするつもりです。
※前のやつの改訂版です
※一章あたり約10話です。文字数は1話につき1500〜2500くらい。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
異世界テイスト ~宿屋の跡継ぎは、転生前の知識とスキルで女性と客をもてなす~
きーす
ファンタジー
介護職の椎名守24歳が交通事故に巻き込まれたが、女神の計らいで宿屋を経営する両親を亡くした少年シーマへと転生することに。
残された宿屋と大切な女性たち?を守るために、現代の知識とスキルを駆使して異世界を魅了していく物語。
よくある異世界転生のチーレムもので、飯テロ要素も加えてます。
出来るだけですが、週4回くらいのペースで更新していく予定ですので、末永くご愛顧くださいますようお願いいたします。
※この作品は小説家になろう、カクヨムなどにも投稿されております。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる