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二人で一つの力・トーマ視点
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「1ヶ月ぬか漬けを作り続けるのは大変だったけど、アルトが幸せなら僕は後悔してないよ」
「………は?ぬか漬け?」
「ちょっ!ぬか漬けバカにしないでよ!臭いんだぞ!美味しいけど、臭いんだぞ!」
別にぬか漬けをバカにしたわけではない。
ただ命の代償がそれでいいのか疑問だっただけだ。
アルトは意味が分からなさすぎて口を開けて固まっていた。
それにルカはぬか漬けを一切れアルトの口に放り込んだ。
アルトに怪しいもの食わすなとアルトを心配していたらモグモグと口が動き「…美味しい」と呟いた。
ルカのどや顔がムカつくがアルトが気に入ったなら良かった。
アルトとルカが知り合いだった事には驚いたが、もっと驚いた事があった。
俺は知ってるであろうルカを見た。
「ルカ、アルトになにがあったんだ?」
「え…俺の顔になにかあるの?」
「自分の顔見てみ」
そう言ったルカはアルトに丸く手のひらサイズの小さな手鏡を渡した。
自分の姿を見るなら十分な大きさだろう。
アルトは俺達の反応に不安そうな顔をしていたから安心させるように手を握った。
俺より少し小さな手はゆっくりと握り返した。
大丈夫だと自分でも分からない事は無責任に言えない。
けど、俺はアルトになにがあっても支える…アルトという存在に今まで支えられてきた俺が…今度は必ず…
アルトは手鏡を覗き込むと息を呑むのが分かった。
「…え、なんで」
「本当に予想外の事するよねぇ、だから見てて飽きない」
ルカはニッと笑う。
アルトの黒い瞳は今は真っ赤に色付いている。
そう…俺が真竜だと言われた時の目の色だ。
実際俺は真竜の目である自分の姿を見た事はないし、あの後寄宿舎に戻った時に確認したが俺の瞳は元に戻っていた。
俺の瞳もこう見えていたのか。
でも何故アルトにもこの目が…?
「アルト、真竜に会ったんでしょ?…正確には真竜とトーマの影」
「……う、うん」
「その時アルトは真竜の夢の世界、つまり真っ白な世界にいたけど真竜に何されたの?」
その言い方だとなにかされたみたいに聞こえる……いや、そう断言しているのだろう。
何をされたか不安になって焦る気持ちを抑えてアルトの話を聞く。
アルトは真竜に追われて刺された事を話してくれた。
「大丈夫か」「痛みはないか」「病院に行こう」と早口で言い、アルトを抱えて行こうとしたらルカに止められた。
アルトに変な病気が見つかったらどうするんだと睨んだらルカが俺からアルトを無理矢理奪っていく。
ルカの身長ではアルトを抱えられないからアルトは引きずられていった。
顔も真っ赤になったアルトはなるべく俺を見ないようにルカを見ていた。
かなりショックで、その場に座り込んだ。
さすがに慌てすぎた自分を反省する。
「…そういえば今とあまり変わらないから気付かなかったけど、なんでルカ…子供の姿なの?」
「ここは僕の世界だから自由自在なんだよ!…それよりなんか後ろで鬱陶しい落ち込み方の男がいるんだけど、どうにかしてよ」
「……だってトーマに抱き抱えられたらドキドキして、さっきより意識しちゃって…顔が見れないんだよ」
「……………あ、そう」
なんでルカはまた俺を見て微妙な顔をするんだ?
というか何の話をしてるんだ、物凄く気になる。
深呼吸をしてきたアルトが戻ってきてホッとした。
さて、本題だ…何故アルトに真竜の瞳が現れたのか。
ルカはアルトの説明に少し考えてから顔を上げた。
ルカはこちらを指差して「真竜はそこにいる」と言った。
驚いて後ろを振り返ってもそこに広がるのは闇だけだった。
「あー違う違う、僕が言ったのはアルトの中に真竜がいるよって事」
「えっ!?だって真竜はトーマの中にいたんじゃ」
「まぁそうだったんだけど、真竜は長くトーマの中にいた力だったから好みが似てきたんじゃない?気に入られたんじゃない?」
「………それって大丈夫なのか?」
「大丈夫でしょ、真竜もアルトに戦わす気はないと思うよ…言えば真竜は分裂したんだよ、本体はアルトの中に、力はトーマの中ってね」
俺とアルトは目を見合わせた。
アルトが危険な目に合わないならいいが、俺の中に真竜がいたから分かる…あの竜は強く危険なものだ…不安だ。
ルカが「アルトは真竜に刺され真竜を受け入れたから仕方ないね」と付け足した。
本当はどうすれば良かったのか分からないが、アルトが死ななくて良かった。
ルカは俺達に背を向けた。
すると反対方向、俺達の後ろ側に光が見えた。
「さて、もう君達は大丈夫だからお目覚めの時間だよ…しかしまさか強すぎて抑えられなかった真竜の力を二人で分かつなんて驚いた」
「ルカは、戻ってこないの?」
「まだしばらくぬか漬け作らないとね」
そうルカが最後に笑ったのを見届け、俺達は全身光に包まれた。
アルトの知り合いならもしかしたら近くにいるかもしれない、もしまた会ったら改めてお礼を言おう。
「………は?ぬか漬け?」
「ちょっ!ぬか漬けバカにしないでよ!臭いんだぞ!美味しいけど、臭いんだぞ!」
別にぬか漬けをバカにしたわけではない。
ただ命の代償がそれでいいのか疑問だっただけだ。
アルトは意味が分からなさすぎて口を開けて固まっていた。
それにルカはぬか漬けを一切れアルトの口に放り込んだ。
アルトに怪しいもの食わすなとアルトを心配していたらモグモグと口が動き「…美味しい」と呟いた。
ルカのどや顔がムカつくがアルトが気に入ったなら良かった。
アルトとルカが知り合いだった事には驚いたが、もっと驚いた事があった。
俺は知ってるであろうルカを見た。
「ルカ、アルトになにがあったんだ?」
「え…俺の顔になにかあるの?」
「自分の顔見てみ」
そう言ったルカはアルトに丸く手のひらサイズの小さな手鏡を渡した。
自分の姿を見るなら十分な大きさだろう。
アルトは俺達の反応に不安そうな顔をしていたから安心させるように手を握った。
俺より少し小さな手はゆっくりと握り返した。
大丈夫だと自分でも分からない事は無責任に言えない。
けど、俺はアルトになにがあっても支える…アルトという存在に今まで支えられてきた俺が…今度は必ず…
アルトは手鏡を覗き込むと息を呑むのが分かった。
「…え、なんで」
「本当に予想外の事するよねぇ、だから見てて飽きない」
ルカはニッと笑う。
アルトの黒い瞳は今は真っ赤に色付いている。
そう…俺が真竜だと言われた時の目の色だ。
実際俺は真竜の目である自分の姿を見た事はないし、あの後寄宿舎に戻った時に確認したが俺の瞳は元に戻っていた。
俺の瞳もこう見えていたのか。
でも何故アルトにもこの目が…?
「アルト、真竜に会ったんでしょ?…正確には真竜とトーマの影」
「……う、うん」
「その時アルトは真竜の夢の世界、つまり真っ白な世界にいたけど真竜に何されたの?」
その言い方だとなにかされたみたいに聞こえる……いや、そう断言しているのだろう。
何をされたか不安になって焦る気持ちを抑えてアルトの話を聞く。
アルトは真竜に追われて刺された事を話してくれた。
「大丈夫か」「痛みはないか」「病院に行こう」と早口で言い、アルトを抱えて行こうとしたらルカに止められた。
アルトに変な病気が見つかったらどうするんだと睨んだらルカが俺からアルトを無理矢理奪っていく。
ルカの身長ではアルトを抱えられないからアルトは引きずられていった。
顔も真っ赤になったアルトはなるべく俺を見ないようにルカを見ていた。
かなりショックで、その場に座り込んだ。
さすがに慌てすぎた自分を反省する。
「…そういえば今とあまり変わらないから気付かなかったけど、なんでルカ…子供の姿なの?」
「ここは僕の世界だから自由自在なんだよ!…それよりなんか後ろで鬱陶しい落ち込み方の男がいるんだけど、どうにかしてよ」
「……だってトーマに抱き抱えられたらドキドキして、さっきより意識しちゃって…顔が見れないんだよ」
「……………あ、そう」
なんでルカはまた俺を見て微妙な顔をするんだ?
というか何の話をしてるんだ、物凄く気になる。
深呼吸をしてきたアルトが戻ってきてホッとした。
さて、本題だ…何故アルトに真竜の瞳が現れたのか。
ルカはアルトの説明に少し考えてから顔を上げた。
ルカはこちらを指差して「真竜はそこにいる」と言った。
驚いて後ろを振り返ってもそこに広がるのは闇だけだった。
「あー違う違う、僕が言ったのはアルトの中に真竜がいるよって事」
「えっ!?だって真竜はトーマの中にいたんじゃ」
「まぁそうだったんだけど、真竜は長くトーマの中にいた力だったから好みが似てきたんじゃない?気に入られたんじゃない?」
「………それって大丈夫なのか?」
「大丈夫でしょ、真竜もアルトに戦わす気はないと思うよ…言えば真竜は分裂したんだよ、本体はアルトの中に、力はトーマの中ってね」
俺とアルトは目を見合わせた。
アルトが危険な目に合わないならいいが、俺の中に真竜がいたから分かる…あの竜は強く危険なものだ…不安だ。
ルカが「アルトは真竜に刺され真竜を受け入れたから仕方ないね」と付け足した。
本当はどうすれば良かったのか分からないが、アルトが死ななくて良かった。
ルカは俺達に背を向けた。
すると反対方向、俺達の後ろ側に光が見えた。
「さて、もう君達は大丈夫だからお目覚めの時間だよ…しかしまさか強すぎて抑えられなかった真竜の力を二人で分かつなんて驚いた」
「ルカは、戻ってこないの?」
「まだしばらくぬか漬け作らないとね」
そうルカが最後に笑ったのを見届け、俺達は全身光に包まれた。
アルトの知り合いならもしかしたら近くにいるかもしれない、もしまた会ったら改めてお礼を言おう。
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