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崩壊
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ボロボロの体に鞭を打ち、立ち上がってクロスハート様に刃を向けて走り出した。
クロスハーツ様が大鎌を振り上げると、空から鎖が伸びてきてトーマの体を貫いた。
口から血を流してもトーマは諦めず、俺もクロスハーツ様に向かって銃を放った。
しかし、銃弾はエルゼの剣により弾かれて…俺に向かって剣を振り上げられた。
歌を止めたエルゼは俺を殺しに掛かってきて、小さな銃で受け止める。
ギリギリと銃を剣が傷付けて食い込んでいく。
受け止めるために出来ていない剣では長くは持たない。
このままだと、銃が壊れてエルゼの剣が俺を引き裂く。
俺が憎いなら俺だけにやればいい、なんでこんな事……これじゃあシグナム家と何も変わらないじゃないか!
エルゼはそれでいいのか?それが、エルゼの復讐なのか?
「エルゼ…殺すなら俺だけにして…こんな事をしても何にもならないだろ!」
「こんな世界、なくなった方がマシだ!シグナムが欲した世界ごと!!」
「…そんな無茶苦茶な」
「あの人は、俺に手を差し伸ばしてくれた…俺に力を与えてくれた…命と引き換えに強い力を!!」
銃が欠けて、もう限界が近くて…エルゼに向かって手を伸ばした。
すると、地面が大きく揺れて俺達はバランスを崩して地面に座り込んだ。
体がだんだん傾いていき、時計塔が崩れてきていた。
トーマの方に駆け寄り、鎖に触れると体の力が抜けていく。
なんだ、この鎖…魔力を吸い込んでいるようだ。
トーマもそれで体が動かないのか、俺がどうにかするしかない!
鎖を引っ張ってもビクともしない、俺には魔力がないはずなのに俺の力までも奪っていく。
トーマは虚ろな瞳で俺の姿を映していた。
「アルト…に、げろ」
「…嫌だ!俺はずっとトーマと一緒にいる!!」
トーマの体を抱き寄せると、トーマは俺の手を掴んだ。
どんな結末になっても、最後までトーマと一緒に居たい。
一度だけ会った事がある、この王都の王子であるクロスハーツ様だ。
大鎌を構えているその姿はとても冷めた顔をしていた。
そしてクロスハーツ様の隣にはエルゼが立っていた。
あの不気味で美しい声は、エルゼの歌声だったのか。
エルゼの声に合わせて、魔物達が暴れ回っていて…この騒動はエルゼが起こしたのだと分かった。
シグナム家を恨んでいたから、シグナム家の命令でやっているわけではないと分かる。
そしてクロスハーツ様の前で膝を折っているのは、トーマだった。
あのトーマが、苦しそうにしている…いったいなにがあったんだ?
「トー…」
「来るな!!」
トーマの怒鳴る声が聞こえて、慌てて足を止めた。
トーマは俺を見る事なく、まっすぐクロスハーツ様を見つめていた。
トーマの腹を見たら、真っ赤な血が流れていた。
トーマは最強で、誰にも負けない騎士なんだ…大丈夫だ絶対に…
この王都だって、またトーマが救ってくれる…俺も…救うんだ!
なんでクロスハーツ様がこんな事をするのか分からないが、トーマを傷付ける事は許さない!
「トーマ!そんな怪我じゃ危ない!俺がトーマを守るから!」
「やめろアルト!勝てる相手じゃない!!」
「大人しく見ていれば、お前も苦しまずにすんだものを……トーマ」
「俺は、騎士団長だから…大人しくしているわけにはいきません!!」
「そうか、なら…お前も呪いで沈めようか」
クロスハーツ様が大鎌を振り上げると、空から鎖が伸びてきてトーマの体を貫いた。
口から血を流してもトーマは諦めず、俺もクロスハーツ様に向かって銃を放った。
しかし、銃弾はエルゼの剣により弾かれて…俺に向かって剣を振り上げられた。
歌を止めたエルゼは俺を殺しに掛かってきて、小さな銃で受け止める。
ギリギリと銃を剣が傷付けて食い込んでいく。
受け止めるために出来ていない剣では長くは持たない。
このままだと、銃が壊れてエルゼの剣が俺を引き裂く。
俺が憎いなら俺だけにやればいい、なんでこんな事……これじゃあシグナム家と何も変わらないじゃないか!
エルゼはそれでいいのか?それが、エルゼの復讐なのか?
「エルゼ…殺すなら俺だけにして…こんな事をしても何にもならないだろ!」
「こんな世界、なくなった方がマシだ!シグナムが欲した世界ごと!!」
「…そんな無茶苦茶な」
「あの人は、俺に手を差し伸ばしてくれた…俺に力を与えてくれた…命と引き換えに強い力を!!」
銃が欠けて、もう限界が近くて…エルゼに向かって手を伸ばした。
すると、地面が大きく揺れて俺達はバランスを崩して地面に座り込んだ。
体がだんだん傾いていき、時計塔が崩れてきていた。
トーマの方に駆け寄り、鎖に触れると体の力が抜けていく。
なんだ、この鎖…魔力を吸い込んでいるようだ。
トーマもそれで体が動かないのか、俺がどうにかするしかない!
鎖を引っ張ってもビクともしない、俺には魔力がないはずなのに俺の力までも奪っていく。
トーマは虚ろな瞳で俺の姿を映していた。
「アルト…に、げろ」
「…嫌だ!俺はずっとトーマと一緒にいる!!」
トーマの体を抱き寄せると、トーマは俺の手を掴んだ。
どんな結末になっても、最後までトーマと一緒に居たい。
一度だけ会った事がある、この王都の王子であるクロスハーツ様だ。
大鎌を構えているその姿はとても冷めた顔をしていた。
そしてクロスハーツ様の隣にはエルゼが立っていた。
あの不気味で美しい声は、エルゼの歌声だったのか。
エルゼの声に合わせて、魔物達が暴れ回っていて…この騒動はエルゼが起こしたのだと分かった。
シグナム家を恨んでいたから、シグナム家の命令でやっているわけではないと分かる。
そしてクロスハーツ様の前で膝を折っているのは、トーマだった。
あのトーマが、苦しそうにしている…いったいなにがあったんだ?
「トー…」
「来るな!!」
トーマの怒鳴る声が聞こえて、慌てて足を止めた。
トーマは俺を見る事なく、まっすぐクロスハーツ様を見つめていた。
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トーマは最強で、誰にも負けない騎士なんだ…大丈夫だ絶対に…
この王都だって、またトーマが救ってくれる…俺も…救うんだ!
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「トーマ!そんな怪我じゃ危ない!俺がトーマを守るから!」
「やめろアルト!勝てる相手じゃない!!」
「大人しく見ていれば、お前も苦しまずにすんだものを……トーマ」
「俺は、騎士団長だから…大人しくしているわけにはいきません!!」
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