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2話「なんでこんなことに?」
しおりを挟む深く、深く沈んでいく。
どうしてこの世界なんかに迷い混んだのだろうか?
私が何かしたのだろうか?
せめて異世界に行くなら優しい世界が良かった。なのに、どうしてこんな酷い世界に迷い混んだのだろうか?
やっぱり私が何か悪いことをしたのだろうか?
ーーーーーーーーーーーーー
鎖と鎖が擦れ合う音がする。
「おい。小型の追跡装置を付けたか?」
「えぇ。やりましたよ。」
どこからか、二人の男の声がする。1番最初の声は偉そうな口調で、2番目の声は優しながらも棘のある声だ。
結局私は死んでなかったらしい。
一気に酸素を取り込んだせいか、何度も吐くように咳き込み、針で刺されたような鋭い痛みが喉を襲う。また、大量の汗をかき、熱い涙が目に浮かぶ。
部屋の窓に差し込む光りは青白く月明かりに照らされて、おびただしい程の乾いた血が壁や床に飛び散っているのが見えた。
「貴様、ようやく起きたか。さぁ…… 」
「リオ、止めてあげてよ。」
「リュー、敵側に情けなど無用だ。」
リオ…と言う優しそうな名前の主は私を捕らえた方で髪色は白緑だ、もう一人は強そうな名前のわりに優しいそうな外見の人だ髪色は灰色。
「でも…この子苦しんでるよ?」
「そりゃそうだろな。俺が腹に体重を乗っけたのだからな。」
リオは反省の色が全く無い。リューは止めようとしてくれいる。
リューお願い頑張って!
そう思いつつ私は全力で手に巻き付いてる鎖を解こうと奮闘する。
が、取ろうと頑張れば頑張るうちに絡みが酷くなる。
「い"っ ………」
力が入りすぎたせいか、勢い良くほどこうとしたからか、手から血が出てきた。
「ふっ、愚かな娘だ。」
リオは愉快そうに笑う。ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。逃げたくとも鎖に繋がれてるせいで逃げれない。
靴の音が響くたび私は怯えるしか出来ない。でも、それでも負けじと私はリオを睨み付ける。
「 リオ!止めてあげて 」
「さぁ、質問を始めるとしようか?」
手には鞭や拷問器具みたいなのは持っていないが、やや恐ろしい雰囲気を纏い始めていた。
「貴様は誰だ。」
「……………」
もし、私が喋ったとしてこの人は理解してくれるだろうか?
いや……言語が違うから信じてもらえる可能性は限りなく低い。
でも、もし分かってくれるなら、少しの可能性に掛けてみる価値はあるかも知れない。もとの世界にも帰るヒントが隠れてるかも知れない。
「答える気は無いと……ほぅ、ならば覚悟せよ。」
リオは待つこともなく、素手で勢い良く腹を殴る。それも手加減なんて無い馬鹿力でだ。 私は意識を飛ばしそうになる。が、リオはそれを許さないとでも言うように髪を引っ張り無理やり目を合わせさせる。私はお腹の痛みに堪えて、睨み付ける位しか出来なかった。
「貴様はスパイなのだろ?頷け。」
頷いたら認めると同じじゃないか。私は首を横に振った。スパイなんかじゃない。
「ならば、身分証は?」
知らない。そんなものも知らない!
「喋らぬ気か……」
喋ろうと思ったけど、この人は突飛な話を信じてくれる人じゃない。余計に刺激して、これ以上暴力をふられたくない。痛いのは嫌だ。
「はぁ、さっきのは手加減したのだが?まぁ、良い。喋らぬのなら質問を続けるまで。」
ーーーーーーーーーーーーー
我慢すれば、すぐ終わると思っていたがリオは諦めず拷問した。私は結局喋らず沈黙を貫いた。そして、何度も何度も殴られ、叩かれ、感覚が麻痺して痛みを感じなくなって来てしまった。
「まだ、喋らぬか。強情な娘だ。」
痛みが分からなくなって来てるのに涙が溢れて止まらない。
どうして私だけこんなひどい目に合わなきゃいけないんだろう?なんでこんな世界に迷い混んだのだろうか?こういう世界じゃなくてもっと幸せで恵まれた世界に迷い混んだんだったら、どれだけ良かっただろうか?
刹那ー
背中に今までに感じたことの無い激しい痛みが起こる。
頭の中が熱くなって、心臓の音が近くて聞こえてくるような錯覚。
「 リオ!もう止めてあげてよ!」
「リューこいつは敵なんだぞ?手を緩めたら牙を剥くぞ。」
ドクン、ドクンドクンと熱い何かが背中から流れる。心なしか涙も熱い気がする。意識が段々と重たくなって力が入らなくなる。
これ……ちょっと不味いかも……
私は口の中を噛んで意識を保とうとしたが、保てず意識は暗いどこかへと飛んでしまった。
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