私の恋人は幼馴染(♀)

竜田優乃

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32.意外な事

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 病室に戻った私はベッドに横たわり、兄守護の3巻を読み始めた。

 やっぱり、面白い。
 
 今回の3巻では2巻の続きで文化祭編となっている。

 遥が通っている高校は兄の大輔と同じ高校なので、大輔の力を借りて「今までで一番すごい文化祭にするぞ!」と張り切りるが良いように思わない生徒による対立が起こる。

 今回も素晴らしかった、あっという間に3巻を読み終えてしまった。

 時刻は3時。

 今日はもう誰も来ないだろうと思いながら私は絵梨香からもらった宿題を取り出した。

 得意な国語から片付けるようにしよう。

 国語の宿題を捲る。

 1ページにもくじがあり、漢字練習と古文という内容だった。

 ページ数も12ページ程しかなく簡単に終わりそうだ。

 私は前に小太郎に持ってきてもらった筆箱を取り出して筆記用具を出した。

 1ページから4ページ目まで漢字、あとは古文という構成。

 私はひたすら漢字を書き、漢字練習最後のページまでやり終えた。

 入学して初めて長期休みだからか出てくる漢字は中学生の時に習ったものと最近習った高校の漢字だった。

 古文は古語と歴史的仮名遣い。

 これも、中学の時に習ったものを応用すれば解けるので簡単だった。

 あっという間に国語の宿題が終わった。

 といっても時刻は5時30分を過ぎようとしていた。

 宿題をしまっているとドアが「コンコン」と鳴ったので私は「どうぞ」と声を掛けた。

 「失礼します。夕ご飯を聞きに来ました。」

 「あ、ありがとうございます。」

 今回はいつもの看護師さんではなく、シャワーを借りたときに居た若い看護師さんだった。

 「今日は冷やし中華か冷やしうどんです、どちらにしますか?」

 どちらの方が味があると言ったら中華だろう。

 私は味に飢えている、なので迷わず冷やし中華を選択した。

 「冷やし中華でお願いします。」

 「分かりました、準備が出来たらお持ちします。」

 そう言い看護師さんは出て行った。

 この看護師さん、凄い真面目さが伝わってくる。

 いつも来てくれる看護師さんは「言われたらちゃんとやります」って感じだけど、この人は「なんでも自分から進んでやります」って感じで熱意が伝わって来る。

 「失礼します。冷やし中華を持ってきました。」

 「あ、ありがとうございます。」

 「いえ、これが仕事なので。」

 「は、はぁ・・・?」
 
 看護師さんはおぼんを机に置くと、颯爽と立ち去ってしまった。

 私は看護師さんの態度があまり気に入らないなと思いながら麺を啜る。

 まぁ、想像はしてた。

 薄い。

 けど、薄さに慣れて来たのか最初に比べて味は感じるようになってきた。

 冷やし中華を食べ終えた私は、おぼんを返すために受付に向かった。

 廊下を歩き、受付に着いた。

 おかしい。

 いつもなら、いつも来てくれる看護師さんかその後輩の看護師さんがいるはずなのに、二人ともいない。

 「あの~すみません~~!」

 声を掛けてみるが反応は無い。

 仕方ないと思い、おぼんを机の上に置いて行こうと思ったら、受付の奥の部屋で「ガタッ」と物音がした。

 少し待ってみると、服装が乱れた二人が出てきた。

 「あちゃ~まさか患者さんに見られるとは・・」

 「だ、だから言ったじゃないですか・・!先輩・・!」

 この人たちは一体なにをしていたんだ・・?
 
 「あの・・おぼんを返しに来たんですけど・・何かあったんですか・・?」

 「な、なにもありません・・!」

 真面目そうな看護師さんは顔を真っ赤にしながら否定した。

 「ちょっと、何照れてんの・・?いつもしてるでしょう・・?」

 「せ、先輩は黙って下さい・・!」

 「それに・・そこの若い子も私たちと同じような関係だから知られても大丈夫よ・・?」

 「ほ、ほんとですか・・?」

 後輩と思われる看護師さんは、いつものように真面目でキリッとはしていなく顔はふにゃふにゃで声も可愛くなっていた。

 「服装乱れてますけど・・何してたんですか・・?」
 
 「ん?あなたが部屋でしていた事と同じような事をしていたの。」

 同じような事・・?

 考える前に私の体は一瞬で熱くなった。

 部屋でしていた事、そんなの絵梨香とキスをしていた事にしかない。

 そ、それに今、この人同じような事って言った・・?

 だったらキス以上の事も・・

 「ふふふ・・・想像しちゃった・・?何があったかはあの子の表情から読み取るとわかるかもね・・?」

 恥ずかしくなった私は逃げるようにこの場を去った。
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