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その3
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「そろそろ帰ろうか」
その言葉を聞いて丸岡の体がはねた。
「はいっ」
背筋を正せば自分のパソコンはすでに閉じられていて、見上げれば芝崎課長がカバンを持って立っていた。
「少し残業してしまったな」
「申し訳ございません」
「明日は定時で上がろうな」
「はい」
そんな会話をして帰宅をするが、たいていの部署は1時間程度の残業はざらなのであった。
そんなある日。
芝崎課長の留守を狙って隣の課長がやってきた。手には一つの書類。そうして足音はドタドタト物々しい。
「おいっ」
扉を開けた途端低い怒鳴り声を発した。その声に若干のGlareが含まれていたらしく、扉付近に座っていた社員の椅子がガタッと音を立てた。
「なんだこの書類は、こんなもの回してきやがって、これだからSabは使えないんだ」
そう言って一番近くに座っていた社員のデスクに書類を乱暴に置いた。バンッという音がして、フロアは水を打ったように静まり返った。誰もがいきなりやってきた隣の部署の課長から漏れ出すGlareにおびえてしまったのだ。もちろん、芝崎課長は会議に行く前に自分の部下たちにしっかりとCommandを言っていった。そんなに強いCommandではないけれど、それのおかげで芝崎課長の部下たちは仕事に集中できる。だが、それを揺るがせるGlareが飛んできてしまい、全員が動揺してしまっていた。
「おい、どうしたっ返事をしろ、返事をっ」
デスクを再度乱暴にたたかれて、そのデスクの社員は顔を引きつらせる。そんなに圧が強くはないが、信頼関係のない相手からのGlareに若干Subdropに陥りかけていた。だからといって、それに気づいた向かいの席の社員が何かできるわけもなく、ただ黙って気持ちの悪いGlareにおびえていた。
「まったく、なんて連中だ。俺は課長だぞ。たとえ部署が違っても敬うべき存在だろうが。お前、課長である俺の言うことがきけないっていうのか」
脅すように何度もデスクをたたき、Glareを漏れ出させている隣の部署の課長は歯をむき出しにして怒りの顔というよりいやらしい笑みを浮かべていた。そうして身動きが取れなくなっている目の前の社員の頭をつかんだ。
「ほら、なにをぼけっとしているんだ。俺の言うことをきけ。この書類をさっさと直すんだ」
Glareを発しながらそんなことを口にして、Subの社員をコントロールしようとした。何度もデスクをたたかれている社員は、目線を上げモニターに貼られたテプラの文字を目で追う。こんな状況の時に社内で決められたSafewordだ。威圧的なGlareに抗いながら、Safewordを口にしようとするけれど、頭をつかまれたままでうまく口を開くことができない。
その言葉を聞いて丸岡の体がはねた。
「はいっ」
背筋を正せば自分のパソコンはすでに閉じられていて、見上げれば芝崎課長がカバンを持って立っていた。
「少し残業してしまったな」
「申し訳ございません」
「明日は定時で上がろうな」
「はい」
そんな会話をして帰宅をするが、たいていの部署は1時間程度の残業はざらなのであった。
そんなある日。
芝崎課長の留守を狙って隣の課長がやってきた。手には一つの書類。そうして足音はドタドタト物々しい。
「おいっ」
扉を開けた途端低い怒鳴り声を発した。その声に若干のGlareが含まれていたらしく、扉付近に座っていた社員の椅子がガタッと音を立てた。
「なんだこの書類は、こんなもの回してきやがって、これだからSabは使えないんだ」
そう言って一番近くに座っていた社員のデスクに書類を乱暴に置いた。バンッという音がして、フロアは水を打ったように静まり返った。誰もがいきなりやってきた隣の部署の課長から漏れ出すGlareにおびえてしまったのだ。もちろん、芝崎課長は会議に行く前に自分の部下たちにしっかりとCommandを言っていった。そんなに強いCommandではないけれど、それのおかげで芝崎課長の部下たちは仕事に集中できる。だが、それを揺るがせるGlareが飛んできてしまい、全員が動揺してしまっていた。
「おい、どうしたっ返事をしろ、返事をっ」
デスクを再度乱暴にたたかれて、そのデスクの社員は顔を引きつらせる。そんなに圧が強くはないが、信頼関係のない相手からのGlareに若干Subdropに陥りかけていた。だからといって、それに気づいた向かいの席の社員が何かできるわけもなく、ただ黙って気持ちの悪いGlareにおびえていた。
「まったく、なんて連中だ。俺は課長だぞ。たとえ部署が違っても敬うべき存在だろうが。お前、課長である俺の言うことがきけないっていうのか」
脅すように何度もデスクをたたき、Glareを漏れ出させている隣の部署の課長は歯をむき出しにして怒りの顔というよりいやらしい笑みを浮かべていた。そうして身動きが取れなくなっている目の前の社員の頭をつかんだ。
「ほら、なにをぼけっとしているんだ。俺の言うことをきけ。この書類をさっさと直すんだ」
Glareを発しながらそんなことを口にして、Subの社員をコントロールしようとした。何度もデスクをたたかれている社員は、目線を上げモニターに貼られたテプラの文字を目で追う。こんな状況の時に社内で決められたSafewordだ。威圧的なGlareに抗いながら、Safewordを口にしようとするけれど、頭をつかまれたままでうまく口を開くことができない。
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