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分かってはいるけど聞いてはいない

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目の前に王子の顔がある。
 俺は先程の王子の言葉を反芻してみる。

 つまり、は、だ。

 あの三日間続いたのが、それ、ということ、か。

 俺、童貞じゃあないってこと、デスヨネ?

 えーっと、つまり、その、ですねぇ。

 これから、ついに、その、致すのでしょうか?

 俺は目の前の王子の顔を見つめ直した。
 王子なりの最大限の譲歩をしてくれたということなのだろう。
 確かに、念入りに洗われたとは、思う。
「無理強いはしない」
 王子が、耳元で囁く。
 いや、まぁ、そうなんだけど。
 今更なんだが、覚悟を決めないといけないらしい。
 王子の手が俺の脇腹を撫でている。そこから横に動いて臍の辺りを撫で回す。少しくすぐったくて腰が揺れた。
 王子は俺の反応を確かめながら手を動かすので、常に王子と目線があってしまい気恥しい。
 王子と目線があってしまったことに気を取られていると、王子の手がすうっと動いた。
「ひゃ、っん、……あ、ヤダ」
 俺の弱いところである胸を撫でられて、思わず声が出た。しかも、出してしまった声が甲高くて俺は思わず手の甲を口に当ててしまった。
「噛むな」
 王子に手を取られてしまい、俺は再び甲高い声を上げてしまった。
「やっ、あぁん」
 俺の弱いところをピンポイントに撫でて、爪でキツく押してきた。
「嫌なのか?」
 いつもより一段低い声で言われると、叱られているようで思わず反応してしまう。
「違っ、う」
「では、いいのだな?」
 低く喉の奥で笑っているような声がした。
 ここで肯定してしまうと、これ以上の痴態を晒してしまうことになるわけで、俺はどうにも頷けないでいた。
「素直ではないな」
 肘をついた状態で、俺は王子に組み敷かれていた。それなりに鍛えているだけあって、俺もそう簡単には倒れない。胸を少し逸らしたような体勢は、弱点を晒しているのに等しい。
 油断している腰を撫でられ、一瞬浮かしてしまったら自然と後頭部がシーツに着いてしまった。
「あっ」
 大した衝撃ではなかったが、軽く打ち付けるその衝撃で声が出た。すかさず王子に塞がれてしまった。
「ふっ、んぅ、…っあん」
 腰を撫でる手は俺の骨盤の形をしっかりと確認するように動いて、だいぶ筋肉質な臀まで満遍なく撫でてきた。
 そっちに気を取られてしまうと、口内に、入り込んだ王子の舌が遠慮うなく動き回る。一瞬酸素が足りなくてぼぅっとした頭だったけれど、尾骶骨のあたりを撫でられて、腰が跳ねた瞬間に、口が大きく開いて息を吸い込めた。
 酸素が供給されて、我に返ったものの、腰はしっかりと抑えられているため、逃げることは叶わない。
 王子は嬉しそうに俺の目の前に小瓶をチラつかせた。
 それを器用に片手で開ければ、中身を惜しげも無く俺の胸に撒き散らした。
 胸にあたって跳ねる液体が、時折顔にかかる。甘い匂いはどこか淫靡で、身体が小さく反応した。
 王子が嬉しそうに液体を混ぜ合わせる。
 円を書くように指先を動かされては、素直に腰が反応してしまう。
「あっ、ああ、そこ、はぁ、っんん、ぅん」
 弱いところを、重点的に攻めて王子は楽しそうだ。そんな王子の顔を見て、俺は気恥ずかしくて目線を逸らす。恥ずかしいのに、下腹部が期待しているのか疼いて仕方がない。腰が跳ねる度に王子のモノとぶつかっている。
 そもそも、俺の下半身は隠されていないから、自分の視界にチラチラと半立ちの自身が見えてしまって恥ずかしさが倍増していた。
「相変わらず可愛いな」
 たっぷりと液体を纏わせた王子の手が、半立ちのソレを掴んできた。
「ひっん」
 ぬるりとした感触と、全体を扱くように掴む指が強い刺激だった。親指が、グリっと弧を描くように先端を刺激した。それだけで軽く達してしまい、俺は呆然と王子を見た。
「気持ちいいのか?」
 耳元で言われると、聴覚への刺激が半端なく、俺は聞いただけでまた、腰を揺らす。俺がそうなることを知っているのか、王子の手はソコから後ろに移動した。
 液体を纏わせた指が、クルクルと刺激をして、俺が腰を揺らしたすきにすんなり入ってきた。
 今日は一本だった。
「はぁ、ん」
 一本とはいえ、ねっとりと入口付近を中から掻き回されると、何かが背中から一直線に脳にまで届く。
「熱いな」
 嬉しそうにそう言うと、指の本数が増やされた。ついでに小瓶が、また出てきて俺の後ろをまさぐる王子の掌に追加された。
 手のひらから指先に液体が流れて、また、指が追加された。
 王子の長くて綺麗な指が俺の胎内を、掻き回している。そう、考えただけでまた、背中を何かが駆け上がった。
「はぁぁ、うぅん、んっ」
 増えた指がいいところに当たると、俺の腰は素直に揺れた。それだけじゃなくて、足が自然に王子を挟み込む。
「そう急かすな」
 指がまた増えた。一瞬抜かれる感覚がとてつもなく気持ちがいい。奥はまだ知らないが、入口付近は排泄機関としての感覚が鋭いから、その出す出るの感じが堪らない。
 俺がその一瞬を捉えて反応したのを、王子も見逃さなかった。そのあたりの反応を確認するかのように出し入れを繰り返すが、出す時はゆっくりと捻じるように動かした。
「あ…あぁぁぁ、いい、そこ。んっ、リー、もっと」
 いつもならそれで終わっていたので、自然とお強請りが口から出ていた。
「お強請り、か。誰にしている?」
「リー」
「目を開けて、よく見て言ってみろ」
 言われてゆっくりと目を開けて王子を見た。
 この後に、いつもと違う事が起きるのだと何となく分かっているので、顔を合わせてお強請りをするのを躊躇ってしまった。
「どうした?言えないのか?」
 含みのある言い方に、俺は目線を外した。
 すると、俺の反応が面白くなかったのか、王子の指が俺から出ていく。
「あっ」
 不意に来た喪失感に思わず声が出た。
「どうした?こっちを見ろ」
 王子に顎を掴まれて目線を合わせさせられる。
「あっ、っ」
 今更だけど、目線を合わせてお強請りなんてしたことが無い。俺はただ狼狽えるだけで、何も言えなくなってしまった。
「急かしたか?」
 王子が、俺の髪を撫でながら言った。
「そんな、ことは…」
 俺は自分の狼狽えている理由を、悟られないように必死だった。
「最初だから優しくしないといけないのにな。どうにも気が急いた」
 そう言って、唇を重ねられたら素直に従うしかない。王子のくせに、侍従にあたる俺に優しくしようとしているのだ。
 再び深く口付けをされれば、自然と俺の手が王子の背中に回る。
 これも一種のお強請りかもしれない。
 王子の背中に手を回したことで、再び胸がふれあって、まだ残る液体が肌の滑りを浴する。
「ふぁ、ん、っん、いい…」
 キスをして、感じる胸が触れ合って王子の、体温を感じて俺の気分は勝手に上がってしまった。
 王子は王子のくせして、俺の出方を待っていたようで、再びゆっくりと俺を撫で始めた。
 さっき俺がいいと言った箇所を、重点的に攻め始めた。
「あっ、そこ、んぅん、……はぁ」
 それ以上のことがない状態で、ずっと解されてきていたから、今更ながらにそこはすぐに王子の指を受け入れて、先程の液体が指の動きを滑らかに補助する。
 王子の指が動くのに合わせて、俺の腰が自然に動いていく。
 王子が目を細めて俺の動きを見ているのがわかったが、今更俺は腰の動きを止めることも出来ない。
「あ、だめ、見ちゃ、やだぁ」
 片足を王子の骨盤に引っ掛けるようにして、俺は自分の腰を浮かせていた。王子の手の動きに合わせて腰を動かすのがやめられない。
 はっきりいって恥ずかしい。こんな淫乱な事を覚えてしまった俺の体、もう、元には戻れないだろう。
「はぁ、もう、もぉ、無理ィ、ヤダ…」
 王子が、俺の顔を上から覗き込んでいる。俺はもう口が半開きで涎が口の端から顎に伝っているのが自分でも分かっていた。
「何が無理なんだ?」
「あ、頭っ、変になりそうっ、もう、ガマンでき、なぁい」
 何かが下から上へと駆け上がる感覚があって、それを拒めないまま俺は背中をのけぞらせてしまった。
「んぁぁぁぁ」
 鼻にかかった甘ったるい矯正を上げて、俺は果てた。そう感じたのに、出た感じがまるでない。
「いい子だ、良く覚えたな」
 王子はそう言って俺の頭を撫でると、俺をうつ伏せにして、腹の下に枕をあてた。
「そのまま、力を抜いていろ」
 脱力したまま、俺はボンヤリと後ろの王子を眺めた。
 ああ、今更だけどそうだった。
 王子がまた、新しい小瓶を取り出して、中身を自分のモノに塗り込んでいるのが見えた。
 そんな念入りにすることなんだ。
 力は抜いた方がいいんだよな?まぁ、入らないけど。
 腰を掴まれて、王子のモノがあてがわれるのが分かった。
 ああ、熱いな。
 この世界、ゴムなんてないから生かぁ、なんて思っていたら、すんなりと先っちょが入ってきた。
「はぁ、ん」
 甲高い声を出してしまって、身体がはねた。
 ゆっくりと俺の胎内が満たされていくのが分かる。
 あんなもの、入るんだな。なんて思っていると、この体制なので俺のいいところをしっかりと擦ってくれたので、俺はまた身体を跳ねさせた。
「くっ、当たったか」
 俺の体が跳ねたことで、一瞬力が入ったらしい。王子の動きが一瞬止まって、俺もシーツをきつく掴んでしまった。
「まだまだだからな」
 王子が囁くように言って、再び腰を動かした。
「はぁぁ、あ、ぁぁぁぁぁ」
 息を吐くように声を出すと、力が抜ける。
 それに合わせて、王子は腰を動かしてくれた。
 小刻みに腰を使われて、俺はその動きに身を任せる。
 胎内が、熱くてたまらない。
「苦しくないか?」
 王子が、俺の髪を撫でながら聞いてきた。どうやら全部入ったらしい。多分。
「ん、んん、はぁ、うん」
 息を吐きながら返事をした。お腹がものすごく圧迫される感じがする。
 まぁ、排泄期間に入っているからな。筋肉と内蔵が中から押されている感じはする。
「動くぞ」
 王子が低い声で宣言をして、腰を動かし始めた。
「あっ、あぁ、ひゃぁん」
 今まで指では届いていなかった、奥の方にまで衝撃がやってきた。
 王子が腰を引くと、たまらない感覚が全身を走るので、その度に俺は嬌声をあげて、奥に来れば身体が跳ねた。
 王子の抽挿が徐々に激しくなり、俺が声を出し続けると、開きっぱなしの口に王子の手が伸びてきた。
 声を出し続けているせいで、舌が出ていた。それを王子の指が摘んで遊ぶ。
「ひゃん、ふっ、ふぅ」
 閉じられなくなったせいで、涎がどんどん流れる。王子の指がいつの間にかに舌から離れ、俺の口の中をかき混ぜ始めた。
 ものすごく卑猥なことをされているのだが、もうそんなことを考えられるほど俺は冷静ではなかった。
 呼吸を何とかしたくて、王子の指をしゃぶるように自分の舌を動かしていた。そうしないと自分の唾液に溺れそうだ。
 後ろは王子の立派なモノが隙間なく攻め立てている。
「はぁ、ん、っあ、あっ、あっ……ふっうっ」
 王子が首筋をキツく吸ってきて、それがそのまま肩へ背中へと移動する。
 そうしているうちに、俺は自分のモノが枕だかシーツだかに擦れているのさえ気持ちいいと思っていた。自分にかかっていないだけで、相当撒き散らしている気はする。
「我慢しなくていいからな」
 王子が俺に覆い被さるような体勢をとり、俺のものを扱き始めた。
「あ、あぁ、そんなこと、したらっ」
 俺が精を吐き出すと、そのせいで俺の身体が小刻みに震え、身体のあちこちに力が入った。
「うっ……」
 王子の低い声が聞こえて、胎内に熱いものが放たれたのが分かった。
 後ろから抱きしめられているので、王子の顔は見えないが、浅い呼吸の息遣いが首の辺りに聞こえる。
 しばらくその体勢だったが、枕を取られ、俺は仰向けにされた。王子が軽く唇をあわせてきた。
「最初だからな、疲れただろう?」
「ん、うん」
 疲れたというか、声を出しすぎた。多分明日の朝、声が枯れてるんだろうな。
 あの日と同じで眠くなってきた。
 王子が俺の身体を拭いてくれて、シーツをかけてくれた。
 王子のくせに俺の世話を良くしてくれる。
 主従の立場が逆だと思うけど、俺は眠くて仕方が無いのでそのまま寝かせてもらう事にした。
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