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第3話 お茶会はマウント合戦?
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目が覚めたら俺は自分のベットに寝ていた。しかもちゃんと寝巻きをきていた。どうやら鏡に前でアレコレ考え絶望して気を失っていたらしい。
着替えはマリがしていてくれた。こう言うことに備えて俺のメイドは女のマリが充てられたそうだ。ようするに、綺麗な顔した俺に、まかり間違ってもおかしな気持ちを抱かないように、既婚者でもあるマリを選んだんだそうだ。ちなみにマリの旦那さんはうちの料理人らしい。
「さあ、お着替えいたしますよ」
マリに言われて俺は本日二度目のお着替えタイムだ。
貴族というやつは、一日に何回も着替えをする。これじゃあ洗濯が大変だろうなぁって思っていたら、生活魔法で浄化というのがあって、それが使いこなせると貴族の家で働けるらしい。普通は皿を四、五枚程度らしいが、使いこなせる者だと百枚ぐらい余裕らしい。
まあ、うちは伯爵家だけど、浄化の魔道具がついたタンスがあるから、俺が脱いだ服はそのタンスにしまわれて、すぐに清潔な状態にされているそうだ。洗濯しないから生地がいたまなくて長持ちするんだってさ。
「なにこれ」
着替えさせられた服を着て俺は頬をひきつらせた。だって、フリルが沢山着いている。なんだこれかんが半端ない。一昔前のアイドルというか、七五三というか、結婚式のお色直しというか、とにかく袖にも襟にもフリルが沢山付いているのだ。
こんなデザイン、普通男の子は着ないよな?入学式とかでもここまでのフリフリはないだろう。でも、鏡の中の俺は何故か似合っていた。悔しいほどに似合っているのだ。
「とてもよくお似合いですよ。セレスティン様」
マリがニッコリ微笑んで言ってきた。あー、うん。似合ってるよねぇ。少し伸びた金色の髪の毛を編み込んで横に流している。サイドもスッキリしてとても綺麗な横顔だ。
「うん、ありがと」
うれしくねぇけど礼は言っておく。ほんと、嬉しくなんかない。
「おお、すごく似合ってる。さすが俺の息子」
そんなことを言いながらシャロンがやってきた。なんだ、その自画自賛。そりゃ、自分にそっくりな息子ですからねぇ、着飾って美しけりゃ満足でしょうよ。
「セレスティン、今日はね、俺の友だちのハスヴェル公爵の所に行くんだよ。仲間内だけのお茶会で、ちょっとした顔見せも兼ねてるからね。お友だちになってもらうんだよ?わかった?」
今なんてった?
公爵?
お茶会?
お友だち?
聞きなれないワードの連発に俺の頭はしばし思考が停止した。
「おともだち?」
ようやく出てきたのはその言葉だった。
「そうだよ、セレスティン。お友だちになってもらうんだよ?うちは伯爵家、これから行くのは公爵家、分かる?」
「はい」
「他にもね、リーステン侯爵家とリンドン侯爵家からも来るからね。わかる?粗相のないように、ね」
「はい」
なるほどなるほど、俺はようやく理解した。この世界に幼稚園はない。ついでに公園デビューも無い。学園というものがあり、初等部中等部高等部と日本の学校のような感じで学年制で進級していく感じになっている。
それで、俺は今六歳。次の春から学園の初等部に入学するわけだ。つまり、ママ友みたいなもんで、シャロンの学園時代の友だちたちとお茶会をして、入学前にその子どもたちを仲良くさせておこう。ということらしい。
で、面倒なことに、その集まりの中で俺は一番格下の伯爵家ってわけだ。親しき仲にも礼儀ありってことで、公爵家のお茶会だからシャロンは気合を入れて俺を着飾らせたという訳だ。
なんでこうなったかと言えば、この学園制度、平民も貴族も一緒なんだけど、初等部は平民、下級貴族、上級貴族と別れている。中等部は平民と貴族。高等部になると全部一緒になる。
そう、今日のお茶会は、これから始まる小等部の縮小版みたいなものなのだ。貴族だけど伯爵家。上級貴族だけどカーストの中では最下位。それを入学前に分からせられるというわけだ。
ああ、めんどくさい。なにしろ、このカーストは自分の力じゃどうにもならないものだ。生まれ持った階級だ。だから、中等部に上がった時にイキっちゃうのはほとんど伯爵家のものなんだってさ。そりゃそうだ、今までカースト最下位だったのに、その下の子爵家と男爵家が入ってくるんだもんな。
ちなみに、高等部からは平民も一緒なんだけど、ほとんど平民は高等部には入学しない。よっぽど頭がいいとか、魔力量があるとか、そんなんじゃなければ高等部には入学できない。なぜかって?それはこの国の成人年齢が十六歳だからだ。
高等部は十六歳から十八歳。国の重要な機関に就職するには高等部卒業が条件で、高等部に入学するには試験があり、そこそこな金額の入学金が必要になる。平民で高等部に入学できる様なものは、優れた能力があると国から認められているから、入学金が免除されるのだ。そして、卒業後は国から決められた機関に就職させられる。そこに職業選択の自由はない。
つまり、大抵の平民は中等部を卒業すると街中の会社?店?に、就職するか家業を手伝うわけだ。もしくは結婚する。十六歳が成人だからな。
もちろん、貴族だって十六歳で結婚する者もいる。そういうのはほとんどが政略結婚らしい。だから、結婚したあとも高等部には通う。貴族の嗜みらしい。人脈を作るためってのもあるらしいけどな。
で、だ。
俺はこれから会うシャロンのママ友について説明を聞きながら、馬車に揺られていた。
貴族の家って一軒一軒がとにかくでかい。建物もでかいけど、庭も広い。貴族街と呼ばれる住宅街なんだけど、フランスの街並みだっけ?真ん中に王様の城があって、それを中心に円状に広がってんの。京都とか奈良みたいに碁盤の目になってないのよ。
窓の外を眺めても、まぁバカでかい屋敷が見えるだけで、なにがなんだか分かりゃしない。ただ、公爵家にいくから、王様の城がだいぶ近いってのだけはわかった。
「この国にはね、公爵家はふたつしかないんだよ」
「へ?」
「ふふ、すごいだろう?そんなすごいハスヴェル公爵と俺は学園で友だちになったんだ。シーリーは嫡男なんだけど、俺と同じで美人さんだったからね、ゼスが入婿したんだ。長男のジークフリートくんはゼスに似て美丈夫で、今日会うアルトくんはシーリーに似て美人さんだよ」
って、いきなり情報量多いな、おい。
まぁ、分からなくもない。シャロンは子爵家の出身だから、下級貴族。中等部でアランに出会い、その美しさに結構な人数から婚約の打診があったけれど、大恋愛しての結婚だったと幾度となくのろけられていたから、俺は分かっている。
そう、シャロンは家格をことの他重視するタイプだ。子爵家から伯爵家に嫁ぎ、公爵家とお友だちになった。いわゆるマウントを取りたがるタイプだったのだ。
たぶん、俺が初等部に入学する際、格下の伯爵家と見られるのが嫌で、公爵家とおともだちアピールするためにこのお茶会でママ友アピールを強烈にする算段なのだろう。
ああ、めんどくせぇ。
てか、家格が上だと入婿してもらえんだ。って俺は素直に感動したけどね。
確かに、ハスヴェル公爵シーリー様は、おっそろしいほど美人だった。シャロンは儚げな感じがするんだけど、シーリー様はゴウジャスな美人だった。
挨拶を交わしてハグとかしてるのを見ると、強烈な美人同士がキャッキャっしていて、目の保養なんだけど、二人とも男なんだよな。この世界の感覚なら、これは普通なんだろうけれど、前世の記憶がある俺からしたら新宿二丁目的な?って思わず口にしてしまいそうで怖かった。
ああ、リーステン侯爵夫人とリンドン侯爵夫人も普通に綺麗な人だった。うん、どっちも男だったけどな。で、集まった四人の子ども(俺含む)も、全員男だった。
着替えはマリがしていてくれた。こう言うことに備えて俺のメイドは女のマリが充てられたそうだ。ようするに、綺麗な顔した俺に、まかり間違ってもおかしな気持ちを抱かないように、既婚者でもあるマリを選んだんだそうだ。ちなみにマリの旦那さんはうちの料理人らしい。
「さあ、お着替えいたしますよ」
マリに言われて俺は本日二度目のお着替えタイムだ。
貴族というやつは、一日に何回も着替えをする。これじゃあ洗濯が大変だろうなぁって思っていたら、生活魔法で浄化というのがあって、それが使いこなせると貴族の家で働けるらしい。普通は皿を四、五枚程度らしいが、使いこなせる者だと百枚ぐらい余裕らしい。
まあ、うちは伯爵家だけど、浄化の魔道具がついたタンスがあるから、俺が脱いだ服はそのタンスにしまわれて、すぐに清潔な状態にされているそうだ。洗濯しないから生地がいたまなくて長持ちするんだってさ。
「なにこれ」
着替えさせられた服を着て俺は頬をひきつらせた。だって、フリルが沢山着いている。なんだこれかんが半端ない。一昔前のアイドルというか、七五三というか、結婚式のお色直しというか、とにかく袖にも襟にもフリルが沢山付いているのだ。
こんなデザイン、普通男の子は着ないよな?入学式とかでもここまでのフリフリはないだろう。でも、鏡の中の俺は何故か似合っていた。悔しいほどに似合っているのだ。
「とてもよくお似合いですよ。セレスティン様」
マリがニッコリ微笑んで言ってきた。あー、うん。似合ってるよねぇ。少し伸びた金色の髪の毛を編み込んで横に流している。サイドもスッキリしてとても綺麗な横顔だ。
「うん、ありがと」
うれしくねぇけど礼は言っておく。ほんと、嬉しくなんかない。
「おお、すごく似合ってる。さすが俺の息子」
そんなことを言いながらシャロンがやってきた。なんだ、その自画自賛。そりゃ、自分にそっくりな息子ですからねぇ、着飾って美しけりゃ満足でしょうよ。
「セレスティン、今日はね、俺の友だちのハスヴェル公爵の所に行くんだよ。仲間内だけのお茶会で、ちょっとした顔見せも兼ねてるからね。お友だちになってもらうんだよ?わかった?」
今なんてった?
公爵?
お茶会?
お友だち?
聞きなれないワードの連発に俺の頭はしばし思考が停止した。
「おともだち?」
ようやく出てきたのはその言葉だった。
「そうだよ、セレスティン。お友だちになってもらうんだよ?うちは伯爵家、これから行くのは公爵家、分かる?」
「はい」
「他にもね、リーステン侯爵家とリンドン侯爵家からも来るからね。わかる?粗相のないように、ね」
「はい」
なるほどなるほど、俺はようやく理解した。この世界に幼稚園はない。ついでに公園デビューも無い。学園というものがあり、初等部中等部高等部と日本の学校のような感じで学年制で進級していく感じになっている。
それで、俺は今六歳。次の春から学園の初等部に入学するわけだ。つまり、ママ友みたいなもんで、シャロンの学園時代の友だちたちとお茶会をして、入学前にその子どもたちを仲良くさせておこう。ということらしい。
で、面倒なことに、その集まりの中で俺は一番格下の伯爵家ってわけだ。親しき仲にも礼儀ありってことで、公爵家のお茶会だからシャロンは気合を入れて俺を着飾らせたという訳だ。
なんでこうなったかと言えば、この学園制度、平民も貴族も一緒なんだけど、初等部は平民、下級貴族、上級貴族と別れている。中等部は平民と貴族。高等部になると全部一緒になる。
そう、今日のお茶会は、これから始まる小等部の縮小版みたいなものなのだ。貴族だけど伯爵家。上級貴族だけどカーストの中では最下位。それを入学前に分からせられるというわけだ。
ああ、めんどくさい。なにしろ、このカーストは自分の力じゃどうにもならないものだ。生まれ持った階級だ。だから、中等部に上がった時にイキっちゃうのはほとんど伯爵家のものなんだってさ。そりゃそうだ、今までカースト最下位だったのに、その下の子爵家と男爵家が入ってくるんだもんな。
ちなみに、高等部からは平民も一緒なんだけど、ほとんど平民は高等部には入学しない。よっぽど頭がいいとか、魔力量があるとか、そんなんじゃなければ高等部には入学できない。なぜかって?それはこの国の成人年齢が十六歳だからだ。
高等部は十六歳から十八歳。国の重要な機関に就職するには高等部卒業が条件で、高等部に入学するには試験があり、そこそこな金額の入学金が必要になる。平民で高等部に入学できる様なものは、優れた能力があると国から認められているから、入学金が免除されるのだ。そして、卒業後は国から決められた機関に就職させられる。そこに職業選択の自由はない。
つまり、大抵の平民は中等部を卒業すると街中の会社?店?に、就職するか家業を手伝うわけだ。もしくは結婚する。十六歳が成人だからな。
もちろん、貴族だって十六歳で結婚する者もいる。そういうのはほとんどが政略結婚らしい。だから、結婚したあとも高等部には通う。貴族の嗜みらしい。人脈を作るためってのもあるらしいけどな。
で、だ。
俺はこれから会うシャロンのママ友について説明を聞きながら、馬車に揺られていた。
貴族の家って一軒一軒がとにかくでかい。建物もでかいけど、庭も広い。貴族街と呼ばれる住宅街なんだけど、フランスの街並みだっけ?真ん中に王様の城があって、それを中心に円状に広がってんの。京都とか奈良みたいに碁盤の目になってないのよ。
窓の外を眺めても、まぁバカでかい屋敷が見えるだけで、なにがなんだか分かりゃしない。ただ、公爵家にいくから、王様の城がだいぶ近いってのだけはわかった。
「この国にはね、公爵家はふたつしかないんだよ」
「へ?」
「ふふ、すごいだろう?そんなすごいハスヴェル公爵と俺は学園で友だちになったんだ。シーリーは嫡男なんだけど、俺と同じで美人さんだったからね、ゼスが入婿したんだ。長男のジークフリートくんはゼスに似て美丈夫で、今日会うアルトくんはシーリーに似て美人さんだよ」
って、いきなり情報量多いな、おい。
まぁ、分からなくもない。シャロンは子爵家の出身だから、下級貴族。中等部でアランに出会い、その美しさに結構な人数から婚約の打診があったけれど、大恋愛しての結婚だったと幾度となくのろけられていたから、俺は分かっている。
そう、シャロンは家格をことの他重視するタイプだ。子爵家から伯爵家に嫁ぎ、公爵家とお友だちになった。いわゆるマウントを取りたがるタイプだったのだ。
たぶん、俺が初等部に入学する際、格下の伯爵家と見られるのが嫌で、公爵家とおともだちアピールするためにこのお茶会でママ友アピールを強烈にする算段なのだろう。
ああ、めんどくせぇ。
てか、家格が上だと入婿してもらえんだ。って俺は素直に感動したけどね。
確かに、ハスヴェル公爵シーリー様は、おっそろしいほど美人だった。シャロンは儚げな感じがするんだけど、シーリー様はゴウジャスな美人だった。
挨拶を交わしてハグとかしてるのを見ると、強烈な美人同士がキャッキャっしていて、目の保養なんだけど、二人とも男なんだよな。この世界の感覚なら、これは普通なんだろうけれど、前世の記憶がある俺からしたら新宿二丁目的な?って思わず口にしてしまいそうで怖かった。
ああ、リーステン侯爵夫人とリンドン侯爵夫人も普通に綺麗な人だった。うん、どっちも男だったけどな。で、集まった四人の子ども(俺含む)も、全員男だった。
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