37 / 66
37.知らぬは本人だけらしい
しおりを挟む
37
「なんだか悪いね」
貴文は着なれないタキシードに緊張していた。着替えさせられ、大きな姿見に映る自分を見て思ったことは、腹話術の人形みたいだな。だった。おまけに、タキシードのネクタイの結び方がわからず四苦八苦していると、さらっと義隆に結ばれてしまった。髪型もパーティー用の華やかなセットに義隆がしてくれた。しかしながら、シャツもジャケットもさることながら、靴のサイズまで貴文にピッタリのサイズだった。ついでに言えば、パンツも靴下も身に着けているものはすべて義隆が用意してくれたものだ。ちなみに、貴文が着てきたトレーナー上下やパンツは風呂から出ると跡形もなくなくなっていたのであった。
「貴文さん、とてもよく似合ってますよ」
なぜだかよくわからないまま、貴文は義隆に手を引かれて階段を下りていた。ホテルの階段は段差が緩やかで、別にそんな介護じみたことをしてもらわなくてもいいのだが、流されるままに貴文は手をつないでいた。ピカピカの黒いエナメル靴が赤い絨毯によく映える。そんなことを考えながら階段を降り切れば、目の前には大勢の給仕が立っていた。
「貴文さんこっちです」
手を引かれなんだかよくわからないまま開かれた扉をくぐる。部屋の中はものすごく明るくて、一瞬目を細めた。
「昼の部では俺が最年長なんですよね」
義隆が笑いながらそう言って、貴文を中央のテーブルに連れて行った。
「このケーキがおいしいんです」
見たことがあるフォルムのケーキなので、おそらく義隆が好きだと言っていたケーキ屋のものなのだろう。皿にヒョイヒョイとケーキを乗せ、義隆は貴文を壁際に連れてきた。
「おじいさまはまだいらしていないので、ゆっくりとおいしいものを食べましょう」
壁際にはイスとテーブルが並んでおり、そこに座って食事をしている姿が結構あった。確かに義隆よりも年下の子の姿が沢山あってみな楽しそうに過ごしている。貴文と義隆が座ると、どこからやってきたのか給仕が銀のお盆にのった飲み物を持ってきた。
「アイスティーのご用意がございますが、いかがなさいますか?」
義隆がアイコンタクトをしてきたので、黙って頷いた貴文であった。
「いい香りだね」
ストローで飲んだが、なかなかの香りが口いっぱいに広がって、やはりいい茶葉が使われているのだと思う。
「危ないからホットは出されないんですよ」
それを聞いて、なるほどと思う。確かに小さな子どもしかいない会場で、温かい飲み物を配れば何かしらの事故が起きるだろう。さすがに良家の子どもたちなので、走り回ったりはしてはいないのだが。
「危険なことは取り除いた方がお互いのためだよね」
そんな話をしていると、軽やかな声が聞こえてきた。
「お兄様、今日こそご紹介してくださいな」
淡いピンクのふわふわしたスカートが視界に入り、貴文が顔を上げればそこにはまるで人形のように愛らしい少女が立っていた。
「美幸、待っていてくれればよかったのに」
義隆が名前で呼んだので、さすがの貴文も察しがついた。家で母と姉から嫌というほど教えられた。義隆の妹でオメガだ。
「だって、待ち切れなかったんですもの」
少しすねたような顔をして、ちらりと貴文の顔を見た。かわいらしい顔立ちでそんなことをされてはアラサーベータはドキドキしてしまうというものだ。
「仕方がないな……美幸。こちらの方は杉山貴文さんだよ」
名前を呼ばれたので貴文は立ち上がってお辞儀をした。
「杉山貴文です。今日はお招きいただきありがとうございます」
日本屈指の名家名門一之瀬本家のご令嬢だ。実際には貴文にとっては雲の上すぎる存在で、こうして顔を合わせて挨拶をしてみたものの、なんとも現実味がなかった。言うなれば、映画スターが来日して偶然街中で出会ってしまった時のような、そんな感じだ。だから気の利いた事も言えないし、何をすればいいのかも思い浮かばない。
「ご丁寧にありがとうございます。一之瀬美幸です。義隆の妹にございます」
スカートの裾を摘まんでかわいらしくお辞儀をしてくれた。ふわりと鼻に届いた甘い香りはオメガのフェロモンなのかもしれない。さらさらと流れた髪の下には、繊細なレース模様のネックガードがあった。今日の装いに合わせたのか、薄いピンク色が白い肌によく映えていた。
挨拶を終えた後、特に気の利いた話題など持ち合わせていない貴文は、どうしたらいいのかわからずあいまいな微笑みをするにとどまった。何しろ義隆の妹だ。もはや貴文とは干支でいえば一回りも違うのだ。それに、最近は十年一昔ではなく、五年ひと昔と言われるらしいから、貴文など下手をすれば三昔前になってしまう。
「美幸はあちらに戻った方がいい」
義隆が見た先には美幸と似たような背格好の子たちが見えた。おそらく一之瀬一族のオメガの子たちなのだろう。
「貴文さん、すみません。美幸を送りますので少し待っていただけますか?」
義隆に申し訳なさそうに言われたが、そんなこと貴文には気にならなかった。ただ、一族しか参加していないパーティーで、しかも子どもの部だというのに周りを警戒しなくてはならないのは少しかわいそうに思えた。
「俺は大人だから大丈夫だよ」
手を振って見送った後、先ほど食べたケーキのおいしさが気になった。だが、取りに行ってみれば、テレビでしか見たことのない、ホテルの予約専用と言われるシャインマスカットのケーキが置かれていたではないか。きれいに切り分けられていて、よく見れば白い帽子をかぶったパティシエらしき人物も立っていた。
「あの、ケーキ、もらえますか?」
子どもの部にふさわしくないいい年をした大人である貴文に声をかけられたことに驚いたのか、なぜだか背筋を正して対応されてしまった。憧れのシャインマスカットのケーキと、クリスマスらしいブッシュドノエルを皿に乗せてもらい、貴文はいそいそと席に戻った。またもやタイミングよく給仕の人にアイスティーを渡されて、いざ実食となった時、頭上から声が降ってきた。
「なんだか悪いね」
貴文は着なれないタキシードに緊張していた。着替えさせられ、大きな姿見に映る自分を見て思ったことは、腹話術の人形みたいだな。だった。おまけに、タキシードのネクタイの結び方がわからず四苦八苦していると、さらっと義隆に結ばれてしまった。髪型もパーティー用の華やかなセットに義隆がしてくれた。しかしながら、シャツもジャケットもさることながら、靴のサイズまで貴文にピッタリのサイズだった。ついでに言えば、パンツも靴下も身に着けているものはすべて義隆が用意してくれたものだ。ちなみに、貴文が着てきたトレーナー上下やパンツは風呂から出ると跡形もなくなくなっていたのであった。
「貴文さん、とてもよく似合ってますよ」
なぜだかよくわからないまま、貴文は義隆に手を引かれて階段を下りていた。ホテルの階段は段差が緩やかで、別にそんな介護じみたことをしてもらわなくてもいいのだが、流されるままに貴文は手をつないでいた。ピカピカの黒いエナメル靴が赤い絨毯によく映える。そんなことを考えながら階段を降り切れば、目の前には大勢の給仕が立っていた。
「貴文さんこっちです」
手を引かれなんだかよくわからないまま開かれた扉をくぐる。部屋の中はものすごく明るくて、一瞬目を細めた。
「昼の部では俺が最年長なんですよね」
義隆が笑いながらそう言って、貴文を中央のテーブルに連れて行った。
「このケーキがおいしいんです」
見たことがあるフォルムのケーキなので、おそらく義隆が好きだと言っていたケーキ屋のものなのだろう。皿にヒョイヒョイとケーキを乗せ、義隆は貴文を壁際に連れてきた。
「おじいさまはまだいらしていないので、ゆっくりとおいしいものを食べましょう」
壁際にはイスとテーブルが並んでおり、そこに座って食事をしている姿が結構あった。確かに義隆よりも年下の子の姿が沢山あってみな楽しそうに過ごしている。貴文と義隆が座ると、どこからやってきたのか給仕が銀のお盆にのった飲み物を持ってきた。
「アイスティーのご用意がございますが、いかがなさいますか?」
義隆がアイコンタクトをしてきたので、黙って頷いた貴文であった。
「いい香りだね」
ストローで飲んだが、なかなかの香りが口いっぱいに広がって、やはりいい茶葉が使われているのだと思う。
「危ないからホットは出されないんですよ」
それを聞いて、なるほどと思う。確かに小さな子どもしかいない会場で、温かい飲み物を配れば何かしらの事故が起きるだろう。さすがに良家の子どもたちなので、走り回ったりはしてはいないのだが。
「危険なことは取り除いた方がお互いのためだよね」
そんな話をしていると、軽やかな声が聞こえてきた。
「お兄様、今日こそご紹介してくださいな」
淡いピンクのふわふわしたスカートが視界に入り、貴文が顔を上げればそこにはまるで人形のように愛らしい少女が立っていた。
「美幸、待っていてくれればよかったのに」
義隆が名前で呼んだので、さすがの貴文も察しがついた。家で母と姉から嫌というほど教えられた。義隆の妹でオメガだ。
「だって、待ち切れなかったんですもの」
少しすねたような顔をして、ちらりと貴文の顔を見た。かわいらしい顔立ちでそんなことをされてはアラサーベータはドキドキしてしまうというものだ。
「仕方がないな……美幸。こちらの方は杉山貴文さんだよ」
名前を呼ばれたので貴文は立ち上がってお辞儀をした。
「杉山貴文です。今日はお招きいただきありがとうございます」
日本屈指の名家名門一之瀬本家のご令嬢だ。実際には貴文にとっては雲の上すぎる存在で、こうして顔を合わせて挨拶をしてみたものの、なんとも現実味がなかった。言うなれば、映画スターが来日して偶然街中で出会ってしまった時のような、そんな感じだ。だから気の利いた事も言えないし、何をすればいいのかも思い浮かばない。
「ご丁寧にありがとうございます。一之瀬美幸です。義隆の妹にございます」
スカートの裾を摘まんでかわいらしくお辞儀をしてくれた。ふわりと鼻に届いた甘い香りはオメガのフェロモンなのかもしれない。さらさらと流れた髪の下には、繊細なレース模様のネックガードがあった。今日の装いに合わせたのか、薄いピンク色が白い肌によく映えていた。
挨拶を終えた後、特に気の利いた話題など持ち合わせていない貴文は、どうしたらいいのかわからずあいまいな微笑みをするにとどまった。何しろ義隆の妹だ。もはや貴文とは干支でいえば一回りも違うのだ。それに、最近は十年一昔ではなく、五年ひと昔と言われるらしいから、貴文など下手をすれば三昔前になってしまう。
「美幸はあちらに戻った方がいい」
義隆が見た先には美幸と似たような背格好の子たちが見えた。おそらく一之瀬一族のオメガの子たちなのだろう。
「貴文さん、すみません。美幸を送りますので少し待っていただけますか?」
義隆に申し訳なさそうに言われたが、そんなこと貴文には気にならなかった。ただ、一族しか参加していないパーティーで、しかも子どもの部だというのに周りを警戒しなくてはならないのは少しかわいそうに思えた。
「俺は大人だから大丈夫だよ」
手を振って見送った後、先ほど食べたケーキのおいしさが気になった。だが、取りに行ってみれば、テレビでしか見たことのない、ホテルの予約専用と言われるシャインマスカットのケーキが置かれていたではないか。きれいに切り分けられていて、よく見れば白い帽子をかぶったパティシエらしき人物も立っていた。
「あの、ケーキ、もらえますか?」
子どもの部にふさわしくないいい年をした大人である貴文に声をかけられたことに驚いたのか、なぜだか背筋を正して対応されてしまった。憧れのシャインマスカットのケーキと、クリスマスらしいブッシュドノエルを皿に乗せてもらい、貴文はいそいそと席に戻った。またもやタイミングよく給仕の人にアイスティーを渡されて、いざ実食となった時、頭上から声が降ってきた。
23
お気に入りに追加
313
あなたにおすすめの小説
没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!
日之影ソラ
ファンタジー
かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。
しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。
ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。
そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。
こちらの作品の連載版です。
https://ncode.syosetu.com/n8177jc/
魔力ゼロの出来損ない貴族、四大精霊王に溺愛される
日之影ソラ
ファンタジー
魔法使いの名門マスタローグ家の次男として生をうけたアスク。兄のように優れた才能を期待されたアスクには何もなかった。魔法使いとしての才能はおろか、誰もが持って生まれる魔力すらない。加えて感情も欠落していた彼は、両親から拒絶され別宅で一人暮らす。
そんなある日、アスクは一冊の不思議な本を見つけた。本に誘われた世界で四大精霊王と邂逅し、自らの才能と可能性を知る。そして精霊王の契約者となったアスクは感情も取り戻し、これまで自分を馬鹿にしてきた周囲を見返していく。
HOTランキング&ファンタジーランキング1位達成!!
【完結】王子妃になりたくないと願ったら純潔を散らされました
ユユ
恋愛
毎夜天使が私を犯す。
それは王家から婚約の打診があったときから
始まった。
体の弱い父を領地で支えながら暮らす母。
2人は私の異変に気付くこともない。
こんなこと誰にも言えない。
彼の支配から逃れなくてはならないのに
侯爵家のキングは私を放さない。
* 作り話です
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!
愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす
リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」
夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。
後に夫から聞かされた衝撃の事実。
アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。
※シリアスです。
※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。
救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~
日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。
そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。
優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。
しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる