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甘い企み

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お互いの想いを確認し合ったユースレスとイルミテラは、よくよく相談した。

王はきっとユースレスとディアの婚約解消に反対する。

教会や貴族、国民を支配するために、ディアの奇跡は必要だ。
王家にディアを諦めさせるには、ディアに汚名を着せて失脚させるのが一番早い。幸いディアの名声には陰りが見え始めている。今がチャンスだ。

イルミテラを『真の聖女』として発表してしまおう。

リュゼ公爵家が目玉の飛び出るような多額の寄付を出せば、教会はイルミテラに聖女認定を下した。イルミテラは美しい手を傷つけない染料で、聖女の印を刻印してもらった。

ディアは豊穣の祈りを捧げて実りを豊かにするが、それは隣国の新しい技術や機械を輸入すればもっと効率よく出来る。

魔獣退治は、結界などに頼らず兵士を増やせばいい。リュゼ公爵家がいくらでも金を出す。目に見えもしない結界で防げる程度なんだから、どうせ大した魔獣じゃない。

病や傷の治療は、貴族を優先して治す。これも外国の新薬があれば問題ない。平民も治してほしいならお金を出せばいいのだ。いままで無料で治療してもらえていたのがおかしい。

「全部、問題は解決しそうですね」

「ああ、これで平民聖女は用無しだな」

「……彼女の処遇はどうされますか?聖女を偽ったということであれば、永久追放でもおかしくない大罪ですわ」

「うーん、できれば婚約を破棄した後も、仕事をこっそり手伝わせたいな。彼女の奇跡は一応本物だし」

「では、こう致しましょう。一旦、公開処刑を命じるのです」
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