ペットになった

アンさん

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閑話 あっちこっち

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とある運転手ver


「だから、今日のお客は当たりだったって訳」


『はぁぁ、マジかよ…遠距離運転中のヒトはマジ暴れ続けるもんだろー』


「行きは寝ててよ。ああ、ラッキーって思ってたぐらいでよ。休憩に寄った場所で起きた時は耳栓付けようか悩みもしたな。すーぐ眠っちまったから笑っちまったよ」


『うわぁぁぁ、俺今日散々だったんだぜ?長距離のお前となら分かち合えると思ったのによー』


「あははは、残念だったな。静かな空間で運転出来て俺は嬉しいぜ。今日は起きてたけどよ、ずっと窓の外見ててな、鳴いたと思ったらちっちぇえ声だし、暴れる気配は無いしで…いやぁ、初体験だわ」


『うーらーやーまーしーいー』


「貸し切ってても使う時は時間指定でよ。それまで自由で構わないなんて、本当余裕のある雇い主だぜ?」


『お前、まじ羨ましいんだけど。はぁぁぁー』






とある店員ver


「ねぇ、あの子本当に可愛いわ。私もヒト飼いたくなっちゃう」


「止めときなって。あの子ぐらいよ、大人しいの」


「分かってるわよー。でも、吠えなきゃ元気が無いっていうのも、強さを示す為に暴れるってのも、あの子を見た後だと疑っちゃう」


「まだ子供だからじゃないですか?ほら、子供って大人の真似するでしょ?その真似する相手があの飼い主さんだったってだけかもしれないですし」


「あは、だったら私も子供を飼うわよ。でもねぇ…子供って保護とか捕獲個体じゃないと飼えないのよ。ブリーダーからは大人個体しか出されないもの」


「え、何でですか?」


「ヒトは乳離れした後が大事なんですって。だから18までは親元で過ごすのよ。その後店舗に移動して売られるって訳」


「へぇ…12位で脳の発達は止まるって聞きましたけど、それ以降も親と居るんですねぇ」


「ヒトは縦社会らしくてね、社会性を学ばしてからじゃないといけないんですって。あの子は今いくつくらいなのかしら?」


「さぁ?15とか?」


「ふふ、貴女の勘は当たるし案外そうかもね」






ーーーver


カタカタとタイピングする音が響く暗い部屋の中、不気味に笑う顔が照らされている。


画面には世の中への恨み辛み…では無く一人のヒトに対して苛烈な意見が書き込まれていくのを映し出していた。


どこからか手に入れた映像を一部分切り出し、傍から見ると襲っているだけの画を流す。


無意識のうちにざまあみろ、と動いた唇を舐め高く笑った。


誰もが賞賛する、らしくない存在。


それが虚勢だったと世間へ知らしめただけ。


流れるコメントには、驚愕と失望が合間見える。


それを見て気を良くした存在はパソコンを閉じベッドへと潜り込んだ。


本来の動画と音声など、バレるはずが無いと…バレた所で間違ってはいないのだと余裕ぶった存在は静かに寝息を立て始めた。


の警告の本当の意味を知ったのは……。









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