ペットになった

アンさん

文字の大きさ
上 下
56 / 75

閑話 あっちこっち

しおりを挟む



とある運転手ver


「だから、今日のお客は当たりだったって訳」


『はぁぁ、マジかよ…遠距離運転中のヒトはマジ暴れ続けるもんだろー』


「行きは寝ててよ。ああ、ラッキーって思ってたぐらいでよ。休憩に寄った場所で起きた時は耳栓付けようか悩みもしたな。すーぐ眠っちまったから笑っちまったよ」


『うわぁぁぁ、俺今日散々だったんだぜ?長距離のお前となら分かち合えると思ったのによー』


「あははは、残念だったな。静かな空間で運転出来て俺は嬉しいぜ。今日は起きてたけどよ、ずっと窓の外見ててな、鳴いたと思ったらちっちぇえ声だし、暴れる気配は無いしで…いやぁ、初体験だわ」


『うーらーやーまーしーいー』


「貸し切ってても使う時は時間指定でよ。それまで自由で構わないなんて、本当余裕のある雇い主だぜ?」


『お前、まじ羨ましいんだけど。はぁぁぁー』






とある店員ver


「ねぇ、あの子本当に可愛いわ。私もヒト飼いたくなっちゃう」


「止めときなって。あの子ぐらいよ、大人しいの」


「分かってるわよー。でも、吠えなきゃ元気が無いっていうのも、強さを示す為に暴れるってのも、あの子を見た後だと疑っちゃう」


「まだ子供だからじゃないですか?ほら、子供って大人の真似するでしょ?その真似する相手があの飼い主さんだったってだけかもしれないですし」


「あは、だったら私も子供を飼うわよ。でもねぇ…子供って保護とか捕獲個体じゃないと飼えないのよ。ブリーダーからは大人個体しか出されないもの」


「え、何でですか?」


「ヒトは乳離れした後が大事なんですって。だから18までは親元で過ごすのよ。その後店舗に移動して売られるって訳」


「へぇ…12位で脳の発達は止まるって聞きましたけど、それ以降も親と居るんですねぇ」


「ヒトは縦社会らしくてね、社会性を学ばしてからじゃないといけないんですって。あの子は今いくつくらいなのかしら?」


「さぁ?15とか?」


「ふふ、貴女の勘は当たるし案外そうかもね」






ーーーver


カタカタとタイピングする音が響く暗い部屋の中、不気味に笑う顔が照らされている。


画面には世の中への恨み辛み…では無く一人のヒトに対して苛烈な意見が書き込まれていくのを映し出していた。


どこからか手に入れた映像を一部分切り出し、傍から見ると襲っているだけの画を流す。


無意識のうちにざまあみろ、と動いた唇を舐め高く笑った。


誰もが賞賛する、らしくない存在。


それが虚勢だったと世間へ知らしめただけ。


流れるコメントには、驚愕と失望が合間見える。


それを見て気を良くした存在はパソコンを閉じベッドへと潜り込んだ。


本来の動画と音声など、バレるはずが無いと…バレた所で間違ってはいないのだと余裕ぶった存在は静かに寝息を立て始めた。


の警告の本当の意味を知ったのは……。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔力吸収体質が厄介すぎて追放されたけど、創造スキルに進化したので、もふもふライフを送ることにしました

うみ
ファンタジー
魔力吸収能力を持つリヒトは、魔力が枯渇して「魔法が使えなくなる」という理由で街はずれでひっそりと暮らしていた。 そんな折、どす黒い魔力である魔素溢れる魔境が拡大してきていたため、領主から魔境へ向かえと追い出されてしまう。 魔境の入り口に差し掛かった時、全ての魔素が主人公に向けて流れ込み、魔力吸収能力がオーバーフローし覚醒する。 その結果、リヒトは有り余る魔力を使って妄想を形にする力「創造スキル」を手に入れたのだった。 魔素の無くなった魔境は元の大自然に戻り、街に戻れない彼はここでノンビリ生きていく決意をする。 手に入れた力で高さ333メートルもある建物を作りご満悦の彼の元へ、邪神と名乗る白猫にのった小動物や、獣人の少女が訪れ、更には豊富な食糧を嗅ぎつけたゴブリンの大軍が迫って来て……。 いつしかリヒトは魔物たちから魔王と呼ばるようになる。それに伴い、333メートルの建物は魔王城として畏怖されるようになっていく。

[完結:1話 1分読書]幼馴染を勇者に寝取られた不遇職の躍進

無責任
ファンタジー
<毎日更新 1分読書> 愛する幼馴染を失った不遇職の少年の物語 ユキムラは神託により不遇職となってしまう。 愛するエリスは、聖女となり、勇者のもとに行く事に・・・。 引き裂かれた関係をもがき苦しむ少年、少女の物語である。 アルファポリス版は、各ページに人物紹介などはありません。 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』 この物語の世界は、15歳が成年となる世界観の為、現実の日本社会とは異なる部分もあります。

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。

怨み辛み憎しみ、この身を焦がす痛みの味を貴様に教えてやる

ハル
ファンタジー
彼は全てを持っていた 金も地位も名声も 彼は全てを失った 家族も友人も恋人も だけども 彼は助け、導き、笑いあった けれども 彼を殺し、奪い、笑いあった ユルサナイユルサナイユルサナイ ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ 決してお前らを許しはしない

テイマーズライフ ~ダンジョン制覇が目的ではなく、ペットを育てるためだけに潜ってしまうテイマーさんの、苦しくも楽しい異世界生活~

はらくろ
ファンタジー
時は二十二世紀。沢山のユーザーに愛されていた、VRMMORPGファンタズマル・ワールズ・オンラインに、一人のディープなゲーマーさんがいた。そのゲーマーさんは、豊富な追体験ができるコンテンツには目もくれず、日々、ペットを育てることに没頭している。ある日突然ゲーマーさんは、ゲームに似た異世界へ転移してしまう。ゲーマーさんははたして、どうなってしまうのか?

遺された日記帳〜毒をのんだ令嬢〜《完結》

アーエル
ファンタジー
ここに一冊の日記帳がある。 色褪せたそれの持ち主はすでにこの世にはない…… 胸くそ悪い内容です。 ☆他社でも公開中

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

処理中です...