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えらぶ・・・?
しおりを挟むお風呂の後、昨日見たヤギみたいな人が運転する車に乗った。
走るのよりも早く景色が流れていくのは見ていてとても面白い。
車が止まった時に見えた、すごい大きな何か。
筋肉が!身長が!すごい!
ねぇねぇ、オレもあんな風になれるかな?
りゅるにアレを指差しながら聞くと頷いてくれた。
そっか、オレ大きくなれるし強くもなれるんだ。
あー、早く大きくなりたいし強くもなりたい。
流れていく景色を見ながら、オレは大きくなった自分を想像してりゅるを困らせるヤツらを吹き飛ばしたり蹴散らせたりする場面を思い描いた。
ふふ、早く強くなって、りゅるを守れるように頑張るんだー。
着いた場所は大きなお店だった。
お店がいっぱい入ってるお店だ。
テレビでやってた…いっぱい人が居て、美味しいものとかキレイなものがいっぱい、いーっぱいある所。
見上げてポカーンと口を開けていたらりゅるに抱っこしてもらえたけど、オレは店に入るまでずっと上を向いていた。
りゅるが1番初めに入ったお店は、すっごくいい匂いのするお店だった。
花かな?
暖かい季節に外に出されてた時に嗅いだ匂いだ。
懐かしいなぁ。
大きく息を吸ったり吐いたりしていたら、店の人に色んな匂いを嗅がせて貰えた。
なんか……好きじゃない。
これも好きじゃない。
これは嫌いじゃないけど…好きでもない。
店の人が何か話し合って持ってきてくれたのは花の匂いと果物の匂い。
あ、これ甘くていい匂い。
んー、これは…うーん…。
これ嫌いじゃない。
色んな匂いを嗅ぎすぎて鼻がおかしくなりそう…。
そう思っていたら、何か鍵の付いた瓶を店の人が持ってきた。
何それ?他のと違うの?
不思議な音をたてて開いた瓶から、今までで1番良い匂いが漂ってきた。
これ…これ、好き。
良い匂い…美味しそうな、とってもフワフワする匂い。
この液体は多分美味しくないんだろうけど、匂いはとっても良い。
はぁぁぁ、これ、ずっと吸っていたい。
店の人に小さな玉を貰いそれを嗅ぐ。
良い匂い…ああ、良い匂い。
目を瞑りながら匂いを嗅いでいると、知らないうちに知らないお店に移動していた。
並んでる物を見ると、多分首輪。
首輪かぁ。
これ、この玉、付けれるなら付けたいなぁ。
絶対良い匂いするよ、うん。
りゅるが何度も頷く首輪は、リボンみたいにフワフワしてる。
オレ、男なんだけどなぁ。
まぁ、ほら。
りゅるの好みで、りゅるが買ってくれて、りゅるが付けてくれるわけじゃん?
なら、オレに断る権利は無いでしょ。
似合うかどうかは別として。
次に入った店で、首に何かを巻かれた。
えー、これ邪魔。
引っ張っていたらりゅるが取ってくれた。
次に頭から何かを被せられ眉間に皺が寄ったけど、スグにどうでもよくなった。
これ、中で匂いがすごい事になってる。
あ、待って、まだ取らないで、もうちょっと、もうちょっとだけ!
ねぇ、もうちょっとだけ待ってって、これすごいから、ねぇ!
取られた…なんで?
もうちょっとだけって、お願いしたのに…。
ぷぅ、と片頬が膨れる。
抱っこされ、どこかに向かって歩くりゅるの足取りに迷いはない。
降ろされた先には、さっき着けていた物がいっぱい並んでいる。
これは…すごい。
どれが、りゅるの好みかな。
オレなら…これとか…この色も良い…何も無いのも捨て難い。
名を呼ばれりゅるの手を握ると、どれかを持ってこいと指示され紫色の花が書いてあるやつをりゅるに手渡す。
黒色はいいよ。
何にでも合うし、日に当たると暖かいし、名前一緒だし。
この首に付けるやつは散歩の時に付けるときっともっと良い。
良い匂いでいっぱいになるし寒さもマシになるだろうから。
りゅるはどの柄を気に入ってくれるかな。
オレはオレが選んだやつじゃなくても全然気にしないよ?
…だから。
全部カゴには入れなくていいと思う。
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