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しおりを挟むイタイ、サムイ、クルシイ。
クライ、ウルサイ、クサイ。
ナンデ、オレ・・・ーーーー。
とある所に光が差し込み、その場所に居た者の項垂れていた頭が上がった。
長い髪の間から覗く目は鈍く光り瞳孔が開ききっていて、口から漏れるのは獣の唸り声と唾液だった。
折り畳まれていた身体は、強い反動を持って半透明な物にぶつかった。
怯む事も痛がる事も無く何度もぶつかり続け、半透明な物にヒビが入っていく。
やがて大きな音をたて、割れた。
唸り声はさらに大きくなり、咆哮に近くなっていく。
割れた半透明な物の先に居た者達は飛び起き、その存在を視認すると叫び声と共に手当り次第に物を投げる。
部屋に侵入した存在は、牙を剥いて動く者達に飛びかかった。
静かな、まだ日が登りきる前の朝方に、複数人の断末魔の様な声が響き渡り、住民たちは目を覚ました。
牙を剥いた存在は、そんな瑣末な音等には反応せず、ただただ暴れ続けた。
時には殴り、時には蹴り、時には噛み付き・・・細く小さな身体で、巨体な相手にも食ってかかった。
じきに何かを叩く音の後に、閉ざされていた扉が開いた。
その扉を開いた者達は驚いた事だろう。
部屋に溢れる大量のゴミと虫、そして血を流しながら逃げ惑う人達と、獣のように人を追いかけ回し攻撃する姿を見て。
目が血走ったかのように見開かられ、口からは血の混ざった液体が滴り落ちていく。
言葉ではなく唸り声と耳を劈く様な叫び声を発し、ピリピリと空気が張り詰めているような感覚に襲われた。
巨体な男が扉を開いた者達に何かを叫び、その声に反応して扉を開いた者達は部屋に足を踏み入れた。
だが、その声に反応したのは扉を開いた者達だけではなく、牙を剥く存在も同じく反応し飛びかかった。
巨体に投げ飛ばされようが物で殴られようが関係なく、何度も何度も襲いかかる。
巨体以外にも2人・・・強い匂いを持つ者と少し小さな者が声を上げれば、牙を剥く存在はその2人にさえも襲いかかる。
肉を持って行かれるような強さで噛みつかれ、長く伸びた爪で引っ掻かれ突き刺される。
痛みにより悲鳴をあげれば、更に強く力が入れられ逃げるにももう満身創痍であった。
牙を剥く存在は、扉を開いた者達には反応しなかった。
押さえつけようと伸びる手を避け、巨体に飛びかかる。
押さえつけられ、全身を拘束された者は人の言葉を吐いた。
「コロス、コロス、コロス」
細く掠れた声で部屋にいた3人を睨みつけながら何度も紡ぐ。
血みどろの口から何度も発せられる恨むが如くの物騒な言葉に、現場に野次として来ていた者達は騒然としただろう。
全身を拘束された、骨と皮しかないような小さな存在の不気味さに・・・その者に襲われ涙を流し痛がる異常者達の姿に。
???ver
とある場所から発せられた言葉達に、皆が皆口を覆い視線を泳がせた。
「だから言っただろう!虐待されてると!死ぬかもしれないと!聞かなかった奴等が良くもまぁ今更「何故教えなかった」だなんて言えたな!証拠か?聞かせてやろうか?!お前達に話して俺達が異常だと言った時の録音でもよお?ええ?!」
「そうだそうだ!何度も連絡入れただろうが!何が「大丈夫でした」だ!このザマを見ろよ!もうイカれちまってるじゃねぇか!」
「毎日毎日、同じ様な事を言うなって言ったのは誰?!あの状況を見てからじゃないと意味が無いって言うの?!私達の言葉を無視し続けた結果でしょ!!」
騒いでいるのは、同じアパートで暮らしていた住民達だった。
確かに見た時がある・・・スーツや警察の格好をした人達が頻繁にあの明け広げられた扉の部屋に訪れていた所を。
ーーー。
オレニ、ハムカウヤツハ、テキダ。
ニガサナイ、ゼッタイ。
オレノ、ムレダ、ワタサナイ、ダレニモ。
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