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第6話
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また別の日。
この洋菓子店には礼子が専門学校の講師をしている事から、その学校に入学したいという中学を卒業する前の子たちが研修で来る事が多々あった。
支店で礼子と一緒に業務にあたっていた真一も中学卒業時代に経験した事だが、既に彼らは緊張してペンとメモ帳を持っていた手が震えていた。店の人の話でも何でも書きまくっていた。
真一が担当者になって対応した。最近は礼子が製菓学校で講師を務める際に今まで通り彼が助手として一緒に行く事が多くなっていたからで、その後には彼女の欲求不満解消の為での誘いで彼がラブホテルに行き時間がないので一時間ほどの時短で情交をする事もあった。最近のオーナーと礼子はセックスレスとの事で彼女は彼を自身のセフレ同様にしていた。
昨日はその中学生たちの担任から確認の電話が入り礼子はこれからの洋菓子界を担ってくれる人たちなのでしっかりと話しをしていた。それで今日は研修の日で彼らから際どい質問が来た。
「何で添加物を使わないのですか?」と唐突な質問で真一は「入れたくないから」と答えそうになったのだが、そんな答えでは正解に成らないと思って答えに困ってしまった。
そこに礼子が「添加物を入れれば日持ちや見栄えが良くなるのは分かるけど、うちの洋菓子店のお菓子はお買い上げ頂いたその日、もしくは明くる日までで食べ切るから、劣化させないようにする添加物を入れる必要がないの」と礼子。
「そうなんですね」と男子中学生。
「それと大量生産のお菓子工場が入れているのはロスが減って効率も良くなって利益も増えるからなんだけど、その分、お客様の健康を損なう恐れもあるし、カビの生えない食品って知っているでしょ?」と逆に礼子が訊いた。
「はい、長期保存の食品ですよね」と女子中学生。
「そう。添加物は製造者にとっては都合の良いものが多くて、正に『悪魔の薬』よね。製品が効率よく作れるし、儲かるしね。良くうちのお客様から訊かれる事があるんだけど、『どのくらい持ちますか?』ってね。美味しいものや健康的なものには『寿命』があるの。添加物は無機物でしょ? でもうちのようなお菓子屋の食材は全て有機物だから、入れたら合わないの」と礼子。
「だから添加物で誤魔化すんですね?」と男子中学生。
「誤魔化す。確かにそうね。バターなどの油だって酸化して劣化するのは知っているでしょ? だから保管状態もきちんとしないとね。常温でも劣化しないクリームがあるのも知っているでしょ?」と礼子。
「はい、スーパーやコンビニで販売されていますから」と女子中学生。
「そうよね。時間のない現代人はそのように劣化をしない製品を口にしているけど、その劣化をしない食品を作るにはその添加物が必要不可欠なの。その添加物は身体に蓄積していってしまう怖い薬でもあると言う事を認識してほしいの。うちは自分の親兄弟そして子供に食べさせても安全な物を売りたいと思っているから。こんな感じでいいかな?」と礼子は答えた。
真一は礼子のその懇切丁寧な答えを聞いて、(流石だな。言っていた事は分かるし、ただのエッチなオバサンではないんだな?)と思って聞いていた。
つづく
この洋菓子店には礼子が専門学校の講師をしている事から、その学校に入学したいという中学を卒業する前の子たちが研修で来る事が多々あった。
支店で礼子と一緒に業務にあたっていた真一も中学卒業時代に経験した事だが、既に彼らは緊張してペンとメモ帳を持っていた手が震えていた。店の人の話でも何でも書きまくっていた。
真一が担当者になって対応した。最近は礼子が製菓学校で講師を務める際に今まで通り彼が助手として一緒に行く事が多くなっていたからで、その後には彼女の欲求不満解消の為での誘いで彼がラブホテルに行き時間がないので一時間ほどの時短で情交をする事もあった。最近のオーナーと礼子はセックスレスとの事で彼女は彼を自身のセフレ同様にしていた。
昨日はその中学生たちの担任から確認の電話が入り礼子はこれからの洋菓子界を担ってくれる人たちなのでしっかりと話しをしていた。それで今日は研修の日で彼らから際どい質問が来た。
「何で添加物を使わないのですか?」と唐突な質問で真一は「入れたくないから」と答えそうになったのだが、そんな答えでは正解に成らないと思って答えに困ってしまった。
そこに礼子が「添加物を入れれば日持ちや見栄えが良くなるのは分かるけど、うちの洋菓子店のお菓子はお買い上げ頂いたその日、もしくは明くる日までで食べ切るから、劣化させないようにする添加物を入れる必要がないの」と礼子。
「そうなんですね」と男子中学生。
「それと大量生産のお菓子工場が入れているのはロスが減って効率も良くなって利益も増えるからなんだけど、その分、お客様の健康を損なう恐れもあるし、カビの生えない食品って知っているでしょ?」と逆に礼子が訊いた。
「はい、長期保存の食品ですよね」と女子中学生。
「そう。添加物は製造者にとっては都合の良いものが多くて、正に『悪魔の薬』よね。製品が効率よく作れるし、儲かるしね。良くうちのお客様から訊かれる事があるんだけど、『どのくらい持ちますか?』ってね。美味しいものや健康的なものには『寿命』があるの。添加物は無機物でしょ? でもうちのようなお菓子屋の食材は全て有機物だから、入れたら合わないの」と礼子。
「だから添加物で誤魔化すんですね?」と男子中学生。
「誤魔化す。確かにそうね。バターなどの油だって酸化して劣化するのは知っているでしょ? だから保管状態もきちんとしないとね。常温でも劣化しないクリームがあるのも知っているでしょ?」と礼子。
「はい、スーパーやコンビニで販売されていますから」と女子中学生。
「そうよね。時間のない現代人はそのように劣化をしない製品を口にしているけど、その劣化をしない食品を作るにはその添加物が必要不可欠なの。その添加物は身体に蓄積していってしまう怖い薬でもあると言う事を認識してほしいの。うちは自分の親兄弟そして子供に食べさせても安全な物を売りたいと思っているから。こんな感じでいいかな?」と礼子は答えた。
真一は礼子のその懇切丁寧な答えを聞いて、(流石だな。言っていた事は分かるし、ただのエッチなオバサンではないんだな?)と思って聞いていた。
つづく
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