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第5-3話 田畑静雄と高橋美夏の新幹線内での出逢い
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「ごめんなさい」と静雄に言って美夏は席に戻った。
その後も様々な話しをして美夏が自分から名前を言い静雄も名前を言うと、ケータイの電話番号を交換しあった。
静雄のケータイは古くてドコモから無料でもらったガラケーだったので恥ずかしそうにしているのを察した美夏は、「うちの両親もガラケーですよ。お歳寄りにはガラケーの方が使いやすいみたいですからね」と言って可愛く舌をペロッと出したので、彼は「あ~、良かった。でもとしょりは失礼ってもんだよ」と優しく言って笑うと美夏も笑った。
その後は家族構成とか歳の話しになって、静雄は四十五歳と言い、美夏は三十五歳と言った。静雄は田舎者だとバカにされたくなかったのか、「わっきゃ専業農家だばって、農協の指導員もやってらはんで」と言って名刺を渡すと美夏も名刺を渡した。
「わっきゃ、田畑静雄で、しゃべって苗字ど名前古臭ぐで田舎臭ぇ名前でこった若ぇおなごとの名刺交換するのは恥ずがすくてあったんだ」と正直に言った。
「でも最初に私は言ったと思いますけど、お忘れですか? 親しみがあって温かみがあって良い方言だって言ったのを?」と美夏。
「そうだっけ? 若ぐで綺麗なおなごだったはんで、あがってまって忘れでまりますたよ」と静雄。
その後はお互いに身元を明かした事で、凄く自然に楽しい会話が続いた。静雄よりも一回りも若い女性だった事で彼は性の対象としては見ていなかったが彼女の方が、積極的で変な感じになっていて彼は何となく恥ずかしさと戸惑いがあった。
「実は私、静雄さんを初めて見た時から……」とその後の言葉を濁し口ごもった美夏だった。
田舎では良くあることだが、都会のそれも初対面で最初から下の名前を呼ばれる事は経験した事が無かった彼だった。そんな美夏が静雄を呼んだ言葉で一気に親近感が沸き、彼は何となく彼女が口ごもったその後の言葉を察したので、恥ずかしくて赤面しながら下を向いていた。
美夏は自身の手で静雄の手を握りその後、彼の手を両手で摩りながら、「太い指ですね。日に焼けていて、ゴツゴツしていて如何にも力がありそうで」と言った。彼はもう恥ずかしくてその後は下を向くしかなく、彼女は彼の手を自身の太腿の上に置いた。
静雄は心の中で、「オイオイ、姉っちゃ、それはわんつか大胆でねのがな? もしかしてわっきゃは嵌めらぃでらのがな? うんなあ、訳がねわな?」と少しだけ怖くなっていた。
彼女は彼の気を引こうとしてか、「静雄さんは本当に優しそうで頼りになる感じで、素敵な小父様って感じに見ていましたよ。それに先ほど話し掛けた時も優しく返答して下さってドキドキしちゃいました」 と言った。
「ほんに都会のおなごは口上手ぇんだはんで、わっきゃは村でもそったらにモテだ事がねはんで、美夏さんに声掛げらぃだ時さ、オラの方ドキドキすてまりますたよ」と、そこまで言った瞬間、二人の視線が近くになって彼はまた目を外した。
美夏は社内の不倫はご法度なので、常に男性社員とは一線を引いて付き合っていた。婚約者は美夏が勤務している会社の親会社の社員で婚約関係なので会社では問題にならなかった。しかし既に逢う回数が少なくなっていたので、彼女としては寂しさが募っていた。
つづく
その後も様々な話しをして美夏が自分から名前を言い静雄も名前を言うと、ケータイの電話番号を交換しあった。
静雄のケータイは古くてドコモから無料でもらったガラケーだったので恥ずかしそうにしているのを察した美夏は、「うちの両親もガラケーですよ。お歳寄りにはガラケーの方が使いやすいみたいですからね」と言って可愛く舌をペロッと出したので、彼は「あ~、良かった。でもとしょりは失礼ってもんだよ」と優しく言って笑うと美夏も笑った。
その後は家族構成とか歳の話しになって、静雄は四十五歳と言い、美夏は三十五歳と言った。静雄は田舎者だとバカにされたくなかったのか、「わっきゃ専業農家だばって、農協の指導員もやってらはんで」と言って名刺を渡すと美夏も名刺を渡した。
「わっきゃ、田畑静雄で、しゃべって苗字ど名前古臭ぐで田舎臭ぇ名前でこった若ぇおなごとの名刺交換するのは恥ずがすくてあったんだ」と正直に言った。
「でも最初に私は言ったと思いますけど、お忘れですか? 親しみがあって温かみがあって良い方言だって言ったのを?」と美夏。
「そうだっけ? 若ぐで綺麗なおなごだったはんで、あがってまって忘れでまりますたよ」と静雄。
その後はお互いに身元を明かした事で、凄く自然に楽しい会話が続いた。静雄よりも一回りも若い女性だった事で彼は性の対象としては見ていなかったが彼女の方が、積極的で変な感じになっていて彼は何となく恥ずかしさと戸惑いがあった。
「実は私、静雄さんを初めて見た時から……」とその後の言葉を濁し口ごもった美夏だった。
田舎では良くあることだが、都会のそれも初対面で最初から下の名前を呼ばれる事は経験した事が無かった彼だった。そんな美夏が静雄を呼んだ言葉で一気に親近感が沸き、彼は何となく彼女が口ごもったその後の言葉を察したので、恥ずかしくて赤面しながら下を向いていた。
美夏は自身の手で静雄の手を握りその後、彼の手を両手で摩りながら、「太い指ですね。日に焼けていて、ゴツゴツしていて如何にも力がありそうで」と言った。彼はもう恥ずかしくてその後は下を向くしかなく、彼女は彼の手を自身の太腿の上に置いた。
静雄は心の中で、「オイオイ、姉っちゃ、それはわんつか大胆でねのがな? もしかしてわっきゃは嵌めらぃでらのがな? うんなあ、訳がねわな?」と少しだけ怖くなっていた。
彼女は彼の気を引こうとしてか、「静雄さんは本当に優しそうで頼りになる感じで、素敵な小父様って感じに見ていましたよ。それに先ほど話し掛けた時も優しく返答して下さってドキドキしちゃいました」 と言った。
「ほんに都会のおなごは口上手ぇんだはんで、わっきゃは村でもそったらにモテだ事がねはんで、美夏さんに声掛げらぃだ時さ、オラの方ドキドキすてまりますたよ」と、そこまで言った瞬間、二人の視線が近くになって彼はまた目を外した。
美夏は社内の不倫はご法度なので、常に男性社員とは一線を引いて付き合っていた。婚約者は美夏が勤務している会社の親会社の社員で婚約関係なので会社では問題にならなかった。しかし既に逢う回数が少なくなっていたので、彼女としては寂しさが募っていた。
つづく
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