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February
04
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とりあえず久我先輩から指定された駅で待ち合わせることになり、渋々電車に揺られながら駅に向かう。繁華街は土曜日ということもあり死ぬほど人で溢れていた。
指定の駅に着いて皆揃ったのを確認すると久我先輩は勝手に歩き進める。その間はみんな無言。理久は未だ会長がいることに緊張しているのかいつもより口数が少ない。会長は恐らく久我先輩がいるから余計なことは話したくないんだろう。
「…そういえば久我先輩ってどこ受けるんですか」
「T大」
目的地に向かう最中。暇潰しがてらにした質問にとんでもない答えがすぐに返ってきて驚きのあまり少し間が空いた。
「……そんなに頭良かったですっけ」
「失礼やな~。一応10位以内取ったことあるで」
「え、嘘」
「ほんま」
どうやら話によると勉強した時は大体10位以内、してない時は100位以内をウロウロしていてかなり順位にムラがあるらしい。俺が噂で聞いていた順位は勉強してなかった時の順位だった様だ。なんだか色々納得出来ない。
「学部も会長と同じやしな」
「…そうなの?」
「言わんかったっけ?てかなんでそんな嫌そうなん?」
露骨に眉を顰める会長に久我先輩は苦笑いを浮かべる。これでもし久我先輩が受かったら会長は最低でも大学4年間振り回されることになるんだろう。そうなると俺も必然的に振り回される羽目になる訳で考えるだけで胃が痛くなってきた。
そんな会話している内に辿り着いた先は物凄く大きなショッピングモール。
着いてすぐにお昼ご飯を済ませ、久我先輩に連れられてエスカレーターを登ると目的のフロアに着くと広がったのは色んな映画のポスターと券売機に並ぶ人の列だった。
「なんでまた映画…」
「この前行った時理久と行きたいなって」
「離れろ、くっつくな」
理久の肩に顔を乗せて答えた久我先輩はもうネットでチケットを予約していたようで手際よく券売機で発券すると3人分のチケットを渡した。チケット代は久我先輩の奢りらしい。2万円のTシャツ事件からきっと彼にとって3人分の映画代なんて端金なんだろうと思ったが、一応礼を言って受け取る。
すぐにチケットに書いてある映画のタイトルのポスターを見てみるとよくあるパニック映画で正直タイトルと煽りからB級感が漂っていたが奢ってもらったので文句は言わず、館内に入る。
上映10分前になり、それぞれ席に着いてから数分。
本編が始まって早々、意味が分からないほど大きい鮫が街を襲った。その時点で少し不安だったが、物語進むにつれてどんどんその不安は大きくなっていく。
(…やばい、すげー眠い)
理解不能な展開続きで集中出来ず、中盤あたりで急激な眠気に襲われた。でも寝るとお金が勿体無い気がして、船を漕いでいる頭を何度も起こして必死に抗う。
そうしていると突然右肩に重いものが乗っかって眠気が一瞬覚めた。微かに頬を擽る髪の毛に顔を向けると会長が俺の肩に頭を預けている。
(…思いっ切り寝てるんですけど……)
今思い返すと久我先輩達に起こされた後も会長はずっと起きている様子だった。それに加えてこの内容の映画で我慢出来なかったのだろう。
完全に寝息を立てている姿に俺もだんだん眠気に抗えなくなって、次目を覚ました時には映画は終わって場内が明るくなっていた。
「なに2人して寝てんねん」
「……すいません…」
席を立って不満そうな声で言う久我先輩に俺は謝ることしか出来ない。目の前を歩く会長は寝起きだからかぼーっとしていて黙って人の列について歩いている。
「結構面白かったと思うんやけどなー…」
「最後の主人公が娘庇って死ぬシーン良かったよな」
「わかる!その娘が最終的に死んだところも最高やったわ~」
映画館を後にしながら、理久と久我先輩は感想を言い合って物凄く盛り上がっていた。
その姿に理久が勧めてくる映画は大体B級のパニック映画だったことを思い出し、久我先輩がこの映画を選んだ理由を理解する。そんなもん2人の時に見に行けよ。
「会長、どこまで記憶あります?」
「主人公が武器開発するシーン」
「めっちゃ序盤じゃないですか…」
当然だが会長と俺は特に映画の話では盛り上がれず、そんな会話を交わしながらそれからはまた久我先輩の提案でゲームセンターに向かった。
メダルゲームやクレーンゲーム等を眺めながら暫くは歩いていたが、エアホッケーを見るなり興奮した様子で久我先輩が駆け寄る。
「これやろうや!カップル対決!」
「え……」
有無を言わさず、久我先輩は勝手に100円玉を突っ込んで、青い盤面に風が吹くなり、2対2で分かれさせられた。
仕方なく白いマレット持つとすぐにプラスチック製の円盤が飛んできて盤面の隙間に消える。
軽快な音楽が鳴り響いて目の前に視線を向けると嬉しそうな顔をした理久と得意気な顔をした久我先輩が見えた。
「…始めるなら始めるって言ってくださいよ」
「なんや、先に点取られたからって言い訳か?」
相変わらずうざい久我先輩は無視して今度は俺達が先攻。
会長が円盤を適当に打つとすぐさま物凄いスピードで俺の方に返ってくる。
勿論対応出来るわけがなくまた向こうの点数になり、申し訳なさに視線をあげると会長が笑いながら台の隙間から落ちてきた円盤を拾った。
「下手くそ」
「…うるさい」
それから何回か同じような状況が続き、そろそろ消えたくなってきた頃。
追い討ちをかけるように明らかに馬鹿にした表情の久我先輩が口を開いた。
「手応えないなぁ。2人ともお勉強ばっかしすぎなんちゃう?」
煽るようにそう言われて思わずマレットを持っていた手に力が入ったが、そんな安いっぽい挑発には乗らず会長も俺も黙ってやり過ごす。それをいいことに久我先輩は次々とうるさい口を動かした。
「やっぱり脳みそ重すぎたらあかんのやなぁ…」
「あんな風に動き鈍くなるなら勉強はそこそこ出来たら十分やわ」
「あかん、ここまで圧倒的やと流石に可哀想になってきてもうた」
俺達から点を取る度にそんな煽りを次々と入れ、最終的には「手加減したろか?」とまで言ってきて、理久の申し訳なさそうな視線がこちらに向けられる。
(……調子乗りやがって…)
大体そっちは理久も運動出来るんだから卑怯じゃないか。こっちは俺というハンデ背負ってんだよ。
先程から一方的に煽られっぱなしの状態に苛立っていると会長は急に着ていたコートを脱いで俺に渡し、腕を捲った。
「少し下がってて」
「…いけるんですか?」
「ギリ」
過去の経験とこの人のとんでもない運動能力から鑑みると特に不安もない。会長がそういうのだからきっといけるのだろう。
俺は会長のコートを持ったまま台から離れ、このまま見ているだけも暇だったので飲み物でも買いに行こうと背を向けると背後から「なんや、もう諦めたん?」という声が聞こえた。
(…まじでうざ…)
よくもまああんな癪に障るようなことがポンポンと言えるもんだ。
自販機で会長と自分の分だけ買って、のんびり戻ると先程までの威勢はどこへやら。落ち込んだ久我先輩とそれを慰める理久がいた。
「俺たちに勝とうなんて100万年早いんですよ」
「なんでお前が偉そうやねん。何にもしてないやろが」
会長が勝ったのだと分かり、持っていたコートと一緒に買ってきたお茶を会長に渡しながら煽ると久我先輩は不満そうな顔でこちらを見る。
「…俺達の分はないん?」
「あるわけないでしょう」
それからはまた違うゲームで勝負を挑んでは久我先輩達が会長に負けての繰り返し。
ゲームセンターを出る頃には2人ともかなり落ち込んでいたが、ショッピングモールの外を出てすぐに見えた観覧車を見るなり久我先輩は目を輝かせて走った。
「…また観覧車」
「いいじゃん、嫌な思い出塗り替えられて」
結局遊園地の時と同様、最後は観覧車に乗って締める事となり、窓に広がる街の景色を眺める。後ろを覗いてみるとまたカップルがイチャついていて思わず眉間に皺が寄った。前回と同じで理久たちが乗ったゴンドラはまた会長の方向にあるんだろう。
目の前に視線を向けると会長は後ろを向いて隣のゴンドラの様子を見た後、「あ」と口を開く。
「キスしてる」
「…2回目は騙されませんから」
「いやほんとだって」
どうせ嘘なのは分かっていたが、窓の外を確認しに立ち上がった。向かいの席に移動して曇ったガラス越しにゴンドラの様子を覗くと2人がキスしている姿が見える。
「………マジだ…」
「だから言ったのに」
生々しい光景に見なければよかったかもしれないと少し後悔し、すぐに窓から顔を逸らすと息が当たる距離にいた会長と目が合った。
お互い黙ったまま、どちらからともなく唇を重ねて離すと思わず笑いが出てしまう。
「なに」
「いや、あの時とは随分と状況が変わったなと思いまして」
そう言うと会長は「確かに」と笑って、俺の頬を撫でた。もう一度顔を近付けて重ねると今度は舌が入ってくる。
「ン、…っ、……」
拒否することなく受け入れて絡めれば、狭い室内には水音と微かな息遣いだけが響いた。
息継ぎのために少し離しては重ねる行為を繰り返し、本格的に我慢出来なくなる前に唇を離す。
「もう10周くらいしたい気分」
「10周で足りますかね」
熱くなりかけた身体を落ち着かせるように肩を上下させながら向かいの席に戻るとそんな会話を交わして、ゴンドラが地上に着くのを待つ、
そして観覧車降りてすぐ。
ニヤついた久我先輩と真っ赤な顔をした理久に迎えられ「そのままおっぱじめるかと思ってヒヤヒヤしたわ」と茶化すように言われた。どうやら俺達と同じように隣のゴンドラの様子を覗いていたらしい。
俺もキスしていたことを茶化してやろうかと思ったが、理久が一方的に可哀想なだけなのでやめて早く寮に帰るため駅へと足を動かす。
電車を1本ずらして理久と一緒に帰るとようやく騒がしい2日間が終了した。
指定の駅に着いて皆揃ったのを確認すると久我先輩は勝手に歩き進める。その間はみんな無言。理久は未だ会長がいることに緊張しているのかいつもより口数が少ない。会長は恐らく久我先輩がいるから余計なことは話したくないんだろう。
「…そういえば久我先輩ってどこ受けるんですか」
「T大」
目的地に向かう最中。暇潰しがてらにした質問にとんでもない答えがすぐに返ってきて驚きのあまり少し間が空いた。
「……そんなに頭良かったですっけ」
「失礼やな~。一応10位以内取ったことあるで」
「え、嘘」
「ほんま」
どうやら話によると勉強した時は大体10位以内、してない時は100位以内をウロウロしていてかなり順位にムラがあるらしい。俺が噂で聞いていた順位は勉強してなかった時の順位だった様だ。なんだか色々納得出来ない。
「学部も会長と同じやしな」
「…そうなの?」
「言わんかったっけ?てかなんでそんな嫌そうなん?」
露骨に眉を顰める会長に久我先輩は苦笑いを浮かべる。これでもし久我先輩が受かったら会長は最低でも大学4年間振り回されることになるんだろう。そうなると俺も必然的に振り回される羽目になる訳で考えるだけで胃が痛くなってきた。
そんな会話している内に辿り着いた先は物凄く大きなショッピングモール。
着いてすぐにお昼ご飯を済ませ、久我先輩に連れられてエスカレーターを登ると目的のフロアに着くと広がったのは色んな映画のポスターと券売機に並ぶ人の列だった。
「なんでまた映画…」
「この前行った時理久と行きたいなって」
「離れろ、くっつくな」
理久の肩に顔を乗せて答えた久我先輩はもうネットでチケットを予約していたようで手際よく券売機で発券すると3人分のチケットを渡した。チケット代は久我先輩の奢りらしい。2万円のTシャツ事件からきっと彼にとって3人分の映画代なんて端金なんだろうと思ったが、一応礼を言って受け取る。
すぐにチケットに書いてある映画のタイトルのポスターを見てみるとよくあるパニック映画で正直タイトルと煽りからB級感が漂っていたが奢ってもらったので文句は言わず、館内に入る。
上映10分前になり、それぞれ席に着いてから数分。
本編が始まって早々、意味が分からないほど大きい鮫が街を襲った。その時点で少し不安だったが、物語進むにつれてどんどんその不安は大きくなっていく。
(…やばい、すげー眠い)
理解不能な展開続きで集中出来ず、中盤あたりで急激な眠気に襲われた。でも寝るとお金が勿体無い気がして、船を漕いでいる頭を何度も起こして必死に抗う。
そうしていると突然右肩に重いものが乗っかって眠気が一瞬覚めた。微かに頬を擽る髪の毛に顔を向けると会長が俺の肩に頭を預けている。
(…思いっ切り寝てるんですけど……)
今思い返すと久我先輩達に起こされた後も会長はずっと起きている様子だった。それに加えてこの内容の映画で我慢出来なかったのだろう。
完全に寝息を立てている姿に俺もだんだん眠気に抗えなくなって、次目を覚ました時には映画は終わって場内が明るくなっていた。
「なに2人して寝てんねん」
「……すいません…」
席を立って不満そうな声で言う久我先輩に俺は謝ることしか出来ない。目の前を歩く会長は寝起きだからかぼーっとしていて黙って人の列について歩いている。
「結構面白かったと思うんやけどなー…」
「最後の主人公が娘庇って死ぬシーン良かったよな」
「わかる!その娘が最終的に死んだところも最高やったわ~」
映画館を後にしながら、理久と久我先輩は感想を言い合って物凄く盛り上がっていた。
その姿に理久が勧めてくる映画は大体B級のパニック映画だったことを思い出し、久我先輩がこの映画を選んだ理由を理解する。そんなもん2人の時に見に行けよ。
「会長、どこまで記憶あります?」
「主人公が武器開発するシーン」
「めっちゃ序盤じゃないですか…」
当然だが会長と俺は特に映画の話では盛り上がれず、そんな会話を交わしながらそれからはまた久我先輩の提案でゲームセンターに向かった。
メダルゲームやクレーンゲーム等を眺めながら暫くは歩いていたが、エアホッケーを見るなり興奮した様子で久我先輩が駆け寄る。
「これやろうや!カップル対決!」
「え……」
有無を言わさず、久我先輩は勝手に100円玉を突っ込んで、青い盤面に風が吹くなり、2対2で分かれさせられた。
仕方なく白いマレット持つとすぐにプラスチック製の円盤が飛んできて盤面の隙間に消える。
軽快な音楽が鳴り響いて目の前に視線を向けると嬉しそうな顔をした理久と得意気な顔をした久我先輩が見えた。
「…始めるなら始めるって言ってくださいよ」
「なんや、先に点取られたからって言い訳か?」
相変わらずうざい久我先輩は無視して今度は俺達が先攻。
会長が円盤を適当に打つとすぐさま物凄いスピードで俺の方に返ってくる。
勿論対応出来るわけがなくまた向こうの点数になり、申し訳なさに視線をあげると会長が笑いながら台の隙間から落ちてきた円盤を拾った。
「下手くそ」
「…うるさい」
それから何回か同じような状況が続き、そろそろ消えたくなってきた頃。
追い討ちをかけるように明らかに馬鹿にした表情の久我先輩が口を開いた。
「手応えないなぁ。2人ともお勉強ばっかしすぎなんちゃう?」
煽るようにそう言われて思わずマレットを持っていた手に力が入ったが、そんな安いっぽい挑発には乗らず会長も俺も黙ってやり過ごす。それをいいことに久我先輩は次々とうるさい口を動かした。
「やっぱり脳みそ重すぎたらあかんのやなぁ…」
「あんな風に動き鈍くなるなら勉強はそこそこ出来たら十分やわ」
「あかん、ここまで圧倒的やと流石に可哀想になってきてもうた」
俺達から点を取る度にそんな煽りを次々と入れ、最終的には「手加減したろか?」とまで言ってきて、理久の申し訳なさそうな視線がこちらに向けられる。
(……調子乗りやがって…)
大体そっちは理久も運動出来るんだから卑怯じゃないか。こっちは俺というハンデ背負ってんだよ。
先程から一方的に煽られっぱなしの状態に苛立っていると会長は急に着ていたコートを脱いで俺に渡し、腕を捲った。
「少し下がってて」
「…いけるんですか?」
「ギリ」
過去の経験とこの人のとんでもない運動能力から鑑みると特に不安もない。会長がそういうのだからきっといけるのだろう。
俺は会長のコートを持ったまま台から離れ、このまま見ているだけも暇だったので飲み物でも買いに行こうと背を向けると背後から「なんや、もう諦めたん?」という声が聞こえた。
(…まじでうざ…)
よくもまああんな癪に障るようなことがポンポンと言えるもんだ。
自販機で会長と自分の分だけ買って、のんびり戻ると先程までの威勢はどこへやら。落ち込んだ久我先輩とそれを慰める理久がいた。
「俺たちに勝とうなんて100万年早いんですよ」
「なんでお前が偉そうやねん。何にもしてないやろが」
会長が勝ったのだと分かり、持っていたコートと一緒に買ってきたお茶を会長に渡しながら煽ると久我先輩は不満そうな顔でこちらを見る。
「…俺達の分はないん?」
「あるわけないでしょう」
それからはまた違うゲームで勝負を挑んでは久我先輩達が会長に負けての繰り返し。
ゲームセンターを出る頃には2人ともかなり落ち込んでいたが、ショッピングモールの外を出てすぐに見えた観覧車を見るなり久我先輩は目を輝かせて走った。
「…また観覧車」
「いいじゃん、嫌な思い出塗り替えられて」
結局遊園地の時と同様、最後は観覧車に乗って締める事となり、窓に広がる街の景色を眺める。後ろを覗いてみるとまたカップルがイチャついていて思わず眉間に皺が寄った。前回と同じで理久たちが乗ったゴンドラはまた会長の方向にあるんだろう。
目の前に視線を向けると会長は後ろを向いて隣のゴンドラの様子を見た後、「あ」と口を開く。
「キスしてる」
「…2回目は騙されませんから」
「いやほんとだって」
どうせ嘘なのは分かっていたが、窓の外を確認しに立ち上がった。向かいの席に移動して曇ったガラス越しにゴンドラの様子を覗くと2人がキスしている姿が見える。
「………マジだ…」
「だから言ったのに」
生々しい光景に見なければよかったかもしれないと少し後悔し、すぐに窓から顔を逸らすと息が当たる距離にいた会長と目が合った。
お互い黙ったまま、どちらからともなく唇を重ねて離すと思わず笑いが出てしまう。
「なに」
「いや、あの時とは随分と状況が変わったなと思いまして」
そう言うと会長は「確かに」と笑って、俺の頬を撫でた。もう一度顔を近付けて重ねると今度は舌が入ってくる。
「ン、…っ、……」
拒否することなく受け入れて絡めれば、狭い室内には水音と微かな息遣いだけが響いた。
息継ぎのために少し離しては重ねる行為を繰り返し、本格的に我慢出来なくなる前に唇を離す。
「もう10周くらいしたい気分」
「10周で足りますかね」
熱くなりかけた身体を落ち着かせるように肩を上下させながら向かいの席に戻るとそんな会話を交わして、ゴンドラが地上に着くのを待つ、
そして観覧車降りてすぐ。
ニヤついた久我先輩と真っ赤な顔をした理久に迎えられ「そのままおっぱじめるかと思ってヒヤヒヤしたわ」と茶化すように言われた。どうやら俺達と同じように隣のゴンドラの様子を覗いていたらしい。
俺もキスしていたことを茶化してやろうかと思ったが、理久が一方的に可哀想なだけなのでやめて早く寮に帰るため駅へと足を動かす。
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