猫被りも程々に。

ぬい

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November

02※

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寮に帰って着替えてお風呂も晩御飯も済ませた後。
俺は約束通り勉強道具を抱えて会長の部屋に向かった。

優しい要先輩とは違い、相変わらずのスパルタで間違えればたまに手をシャーペンで叩かれ、数時間。時刻はもう22時を回っている。

キリのいいところまで終わり、シャーペンを筆箱に収めると隣の会長は暇そうに携帯の画面を見つめていて、軽快な音楽が流れていないあたり恐らくニュースでも見ているのだろう。
俺は身体を寄せて、会長の肩に頭を置いて寄り掛かった。

「…重い」
「嬉しいくせに」

ぐりぐりと頭を押し付けると何も答えない代わりに携帯を閉じて重ねるだけのキスをされる。離してはまた重ねるの繰り返し。ソファーに押し倒される形になった頃には舌を絡めて飲み込みきれなかった唾液が顎に伝う。

服に手が入ってきたところでそっと止めるように会長の手を掴むとくっついたままの唇をゆっくり離された。

「明日、一限体育なんで…だめです…」
「…自分から誘っといて?」

誘ったのは誘ったが、したい訳ではなく別の理由。
以前からやりたかった事ではあったが、中々タイミングがなく出来なかった事。でも今日はどうしてもしたくて自分からつい誘ってしまった。

「…今日は…会長の、舐めたいなと思って…」

突然の申し出に瞬きを繰り返す会長に顔を寄せて1度だけ唇を重ねるとそのまま身体を起き上がらせ、スウェットに手を掛ける。会長は抵抗する様子はないもの怪訝な表情を浮かべていた。

「…何かあった?」
「何がですか」
「今日なんか変」
「勉強ばっかで溜まってるんです」

要先輩の話を聞いてなんとなくしたくなった、なんて言えない。
ソファーの下に座って足の間に入り込むように少し勃ち上がっている性器を躊躇することなく口に含むともう聞くことは諦めたらしく黙って髪の毛を撫でた。

「勉強した?フェラ」
「…少しだけ」

AVやらなんやら見たけど実際するのは初めてなので感覚が違う。右手で持って竿を持ち、軽く咥えながら舌で舐めれば固く熱を持って膨らむ。
反応が特にないので気持ちいいのか気持ち良くないのかよくわからない。

「どう、れすか…」
「視覚的にはめちゃくちゃ興奮する」

咥えたまま尋ねると明らかに微妙な反応が返ってくる。いくら映像や文章で学んだからと言っても自分がやろうと思うと難しい。それでも何とか映像を頭に浮かべて思い出しながら舌を動かしていると優しく頬を撫でられた。

「…焦れったい」

そう言って性器を握っていた手を床に降ろすように指示され、大人しく離せば撫でていた手で頭を掴まれてゆっくりと顔を押し付けられる。

「ん゛ンふ、…っ、」
「もっと奥まで咥えて」

喉の奥に当たって軽く嘔吐く。頭を掴まれ吐き出すことが出来ないまま、その状態で上下に動かすと会長から少しくぐもった声が漏れた。

「口の中締めれる?」
「ン、ん゛…っ、ふ…ぅ…」
「そう、上手」

指で耳を撫でるような仕草をされると身体が熱くなり、刺激を与えられてないはずの自分の性器はもう痛いほど勃ち上がる。確認できないが下着の中はもうぐちゃぐちゃに濡れてしまっているに違いない。

我慢出来ずに手を下着の中に突っ込んで、握り込めば気持ち良さのあまりおかしくなってしまいそうだった。

「ん゛ン、ふ…っ、ん…っ」

咥えた状態で夢中で上下に扱いているとあっという間に達してしまいそうになり、手の動きを早めた瞬間、思い切り頭を奥に押さえ込まれて手の力が抜けた。

「ン゛んぐ、っ!ん゛ンぅ…っ!」
「手動かしてもいいけど、こっちもちゃんと動かしてね」
「ん゛ん、…っ、ぅ…」

喉の奥を突かれて、性器に触れていた手は少しでも苦しさから逃れるために会長の膝を掴む。もう少しでイけそうだった性器は熱が溜まっていたが、口を動かすのに精一杯で触る余裕もない。

暫くは会長に操作されるように頭を上下に動かし、一生懸命歯が当たらないように耐えた。

「…いきそ…」
「ン゛ん、ふぅ…っん゛っ!」

不意に動いていた腕が奥に押さえ付けた状態で止まり、口の中に熱いものが流れていくのを感じると思わず噎せそうになる。

全部出し切った後、掴んでいた力はようやく抜けて頭を離す事が出来た。

「は、っ、はぁ…っ、ん、!」
「飲んで」

精液を吐き出す暇もなく、今度は上に向くように顎を掴まれて優しく髪の毛を耳に掛けられる。
抵抗しようと思えばいくらでも出来る力加減。でも少しまだ熱の残った会長の顔を見ていると何故かする気は起きず、大人しく喉を動かすと唾液と共に精液が胃の中に流れ込む。

「どう?お味は」
「…不味い、です…」
「だろうね」

広がる苦味と独特な風味に眉を顰めて答えれば満足そうな表情で微笑まれた。
うがいをしに行こうかと思ったが、このままやられっぱなしを癪なので会長にキスをして舌を絡める。

「…まず…」
「でしょう」

スッキリした気持ちでうがいをしに立ち上がろうとした瞬間。腕を掴まれ、無理矢理膝の上に座らされた。確認するように履いていたズボンに手を突っ込んで、濡れた下着の上から軽く撫でられる。

「いいの?ここぐちゃぐちゃだけど」
「いい、んです、ほっといたらなお、ぁ゛っ、…」
「ふーん」

この人に任せるとろくなことがないのはこの数週間で学んだのではっきりと断れば指で軽く弾かれた。その後あっさりと手は出ていき、安堵して再び立ち上がろうとするも強い力で腰を掴まれて降りれない。

「手、はなし…っ、…ん、」

首筋に舌を這わせながら、服に手を突っ込まれてお腹を撫でられて擽ったい刺激が襲う。肩に顔を埋めて耐えば、軽くリップ音を立てて鎖骨や耳の後ろ等を優しく吸われてたまに軽く噛まれた。手は下着に入り込み、性器まではいかないものお腹の下らへんをしつこく往復する。

「…っ、…」
「…どうする?」

耳元で囁くように尋ねられるともう我慢が出来そうもなかった。イけなかった性器が張りつめて痛い。もう放っておいても熱は冷めそうにない。早く触って欲しい。

「さわ、って…ください…」
「ん、分かった」

完全にやられた。悔しい。後で覚えてろ。
勝ち誇った笑みで下着とスウェットをずらされ、心の中でいつか仕返ししてやると誓う。

「ぁ゛っ、はぁ、…っ、~っ!」

親指で鈴口を刺激された後、上下に数回強く扱かれると我慢していた性器はすぐに達した。やっと熱から解放され、肩にしがみついたまま暫く息を整える。

ティッシュで吐き出した精液を拭いて洗面所に向かい、うがいと手洗いをしている最中。
同じく洗面所に入ってきた会長に突然「お金、別によかったのに」と言われた。何の話か一瞬分からず、タオルで拭きながら自分の行動を思い返す。

(ああ、小説に挟んだお金のことか)

この前貸した小説の間にホテル代の半分を入れた封筒を挟んだことを思い出して納得する。少し前の話なのですっかり忘れていた。今言い出したということは最近その小説を見始めたということだろう。

「本だけじゃ流石に安すぎるでしょう」
「でも精神的にはトントンだったでしょ」
「まあ、そうですけど」

トントンどころかそれ以上請求したくなるレベルだったが。
リビングに戻ってソファーに座れば、後から戻ってきた会長は2つのマグカップにコーヒーを淹れてテーブルに置くと隣に座った。

「どうでした?あの時買った本」
「面白かったよ。八割やってたけど」
「…それ内容あるんですか?」
「結構ある。貸そうか?」

八割やってて面白いって何だよ。
紙のカバーのついた状態の本を目の前に差し出され、素直に受け取る。中身は気になるが流石に部屋に持って帰りたくはなかったので流し読みすることにした。

「ここの拘束プレイはちょっといいなと思った」
「いや、そんな感想いらないんで」
「あとここの…」

本を覗き込むように訳の分からない感想を言われて顔を顰めずにはいられない。あの女性もこんな感想が聞きたくておすすめしたんじゃないだろうに。今後の参考にしようとするな。

内容は医者と患者がひょんな事でセフレになり、お互いどんどん本気になっていくストーリー。
設定が設定なだけにほぼやっていたが、会長の言う通り話は結構しっかりしていた。やる回数が多いからか普通のセックスだけではなく、たまに少しマニアックなプレイが出てくる。それが結構SMチックというかなんというか。

「前から思ってましたけど、会長ってちょっとそういう気ありますよね」
「確かにそうかも」
「…自覚なかったんですか」

そう指摘するとどこか納得したように会長はコーヒーを口に運ぶ。どうやら今まであんな事しておいてどうやら今まで自覚はなかったらしい。もしかしたら余計なことを言ってしまったかもしれない。黙っとけばよかった。

「今まで人にこういうことしたいとか思ったこと無かったし」
「ああ、昔は随分と優しくしてたらしいですね」

ふと世良隊長から聞いた話を思い出して、何気なく口にすると会長は不思議そうな顔でこちらを見た。

「…なんで知ってるの?」
「なんでって世良隊長に…」
「世良に?」

あ、不味った。
世良隊長は自分からこんなプライベートな話する人じゃない。会長も分かっていて俺が知っていることに疑問に思ったらしい。ここで適当に誤魔化すのもアリだったが、それは流石に世良隊長に悪い。

「…俺が聞きました」
「なんで?」
「なんでって…会長がどんなセックスするのか気になったからですけど…」

正直に答える代わりに恥ずかしさを誤魔化すようにソファーの肘掛に頬杖して顔を逸らす。絶対何か言われる。顔見たくない。

数分前の自分を呪いながら沈黙に気まずさを感じていると急に重いものが身体に伸し掛かった。

「いただだた!!」

身体が軋み、痛みに思わず悲鳴が漏れる。
頬杖は解け座ったままソファーに押し倒される状態になりすぐに原因は会長だと気付いた。顔を向けると思ったよりも顔が近く、拒否する前に唇が重なる。

「やっぱり今からする?」
「…しない」

綺麗な顔でそう言われ、危うく流されそうになるも明日の体育を思い出してなんとか思い留まった。それにこの前やった次の日の授業中死ぬほど眠くて後悔したし。試験前にそんな状態で授業は受けたくない。

断られて不満げな顔をして離れる会長を横目に淹れてもらったコーヒーを口にするとすっかり冷めて甘さが口に残る。
全部飲み終える頃には時間も時間で俺は自分の部屋へと戻った。
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