25 / 127
August
02
しおりを挟む
夏休み。ボーリング場。平日のお昼。
その3つが揃っているせいか、場内は夏休み中のほぼ学生で賑わっていた。
「お前相変わらず勉強以外は苦手なんだな」
「うっせーよ」
「つか、支倉先輩うめー…」
俺の悲惨なスコアは今のところ下から2番目。最下位の女子と僅差で争っていると言った感じだった。
ちなみに上手いと言われた会長のスコアは当然1位、ではなく2位。
来る前はぶっちぎりの1位だと予想していたが、トータルスコアは170いかないくらい。てっきり200超えると思ってたのに。
「俺、ちょっとトイレ」
「おーいってら」
久々の環境とボーリングに疲れを感じ、自分の順番が終わった後にトイレに向かうフリをすると近くにあったベンチを座り込む。
(…疲れた。)
肉体的にも、精神的にも。
重いボールを持った腕は痛いし、男友達は問題ないのだが学園では聞かないであろう甲高い声と独特なテンションに少し生気が吸い取られていた。中学時代は自分がどうやって過ごしてたのか思い出せない。
「何やってんの」
「…会長」
暫くぼーっとしていると会長がやって来て、隣に座った。トイレに来た訳ではなく、この人もあの雰囲気から避難してきたらしい。
「随分とモテモテじゃないですか」
「…嫉妬?」
「そうですね。少し」
女の子にモテてて少し羨ましい。
あのテンションについていけないながらもそんなことを思うのは完全にモテない男の僻みである。
「ボーリング、意外でした」
「何が?」
「スコア200は超えると思ってたんで」
「あー…うん」
返される妙に歯切れの悪い言葉。
てっきりなんでも出来るわけじゃないからとかそんな感じで返されると思ったのでつい違和感しかない返答の意味を探してしまう。
自分が思っていたスコアが出せなかったから触れて欲しくなかったか、もしくは思ったより上手じゃないと言われて落ち込んでいるか。
(…いや、違うな)
どっちもしっくり来ない。
それならまだーーーー。
「もしかして、手加減しました?」
「少しだけ」
やっぱり。
どうせ目立ちたくないとかそんな理由に違いない。
もう少しゆっくりしていたかったが「もうすぐ順番くるんじゃない?」と会長に言われてその場を後にした。
席に戻るとゲームはかなり進んでおり、全員ラスト1回。
当然ストライクなんて出せるわけもないので、俺の番は2投目で終了。
「やー、惜しかったな」
「惜しくねーだろ…」
「あと1本倒しときゃ最下位免れたのに」
そんな低レベルな次元で戦って買っても嬉しくない。
結果は俺が最下位で鈴木が1位で会長が2位。順位下位はほぼ女の子で普通に死にたかった。
「カラオケ満室だってー」
「えー、じゃあ、どうする?」
その後はカラオケにでも行く話が出ていたが部屋が空いておらず、結局ファーストフード店に行くことになった。
(なんでこんな元気なんだよ、こいつら)
俺なんかボーリングで腕が死んでるのに。
正直もう帰りたかったが、和を乱したくないので黙ってついて行く。
とにかく会長と話したい女の子たちはあれだけボーリング場で話しても話し足りないのか、プライベートな話メインでドンドン質問していて、傍から見ているともはや記者会見かと突っ込みたくなるレベル。
でも勝手に話が回るので楽だからいい。もし会長がいなかったら久々に会った俺が餌食になってただろうし。
すっかり油断してポテトをつまむ俺にインタビュワーたちは何故か急に話を振ってきた。
「支倉先輩ってなんの先輩なの?部活?」
「…勉強教えてもらってる」
「え!橘に勉強教えてんの!?」
食い付きがすごい。
中学時代は俺が学年で1番頭が良かったのを知っていた人達は驚きで目を見開く。
「ってことはすっげー偉いんだ」
「しかもあの学校通ってるってことはお金持ちなんだろ?」
「まあ…」
「橘くん、すごい人と知り合いなんだね」
皆がすごいすごいと感動する中、隣に座っていた女の子が微笑みなから顔を覗き込んできた。名前は水島結衣。一応同じ中学あんまり話したことがないので少し気まずい。
「いつまでこっちいるの?」
「お盆まではいる予定」
久しぶりに対面で女の子と話すので少し素っ気ない返事で返してしまう。水島はあんまり気にしていない様でそのまま話を続けた。
「じゃ、じゃあさ…来週、私と遊びに行かない?」
「…へ?」
なんで俺?なんてそんなこと聞ける訳もなく。
少し赤らんでいる頬を見るともしかしたら好意を持って話し掛けてくれているのかと思ったが話したことが無いので分からない。
会長目当てで俺と仲良くしようとしてるのかと疑ってみたものの、それならこの貴重な時間に俺に話し掛けたりしない筈。いや、でもあえて他の女の子とは自分は違うんですっていうアピールの可能性あるのか。
「…嫌かな…?」
「あ、いや…予定わかんねーから後で連絡していい?」
「うん!」
結局思考はまとまらず。
逃げるように水島とは連絡先だけ交換して会話は終了した。
「…疲れた」
「…ですね」
ファーストフード店から出てようやく解散。
同じ中学の奴らばかりだったので最寄り駅まで同じ人が多く、この静かな状態になるまでかなり時間がかかった。
蝉の鳴き声しか聞こえない帰り道でお互い大きな溜め息を吐く。静かな道では会長の携帯から通知音が休む間もなく鳴り響いている。
「これちゃんと返信しないとまずい?」
「聞かれたら適当に誤魔化しとくんで面倒なら無視していいですよ」
「…一応こっちにいるまでは返しとくか」
偶然どこかで会うかもしれないし。
そう言って会長はとりあえず通知だけ確認した携帯をポケットに収めた。モテる人間も大変なんだなと他人事のように思っていたが、今度は俺の携帯が震える。
携帯画面には相手は水島結衣の文字。
軽くメッセージ内容だけ確認して、なんて返そうかと悩みながら携帯を仕舞うと会長が「行くの?デート」と尋ねてきた。
「…なんで知ってるんですか?」
「他の子から聞いた。水島さん、だっけ?中学時代から橘のこと好きだったとかなんとか」
「マジか…」
ますます返事に困る情報に眉を顰める。
別に水島が嫌とかじゃない。嬉しいのは嬉しい。
だが今は俺は勉強で手一杯で、誰かに気を遣いながら特待生をキープする程の器用さは持ち合わせていないので悩んでいる。どうせならそういうことは中学時代に言って欲しかった。
「なに?迷ってんの?」
「その気ないのに行くの微妙かなって」
「…携帯貸して」
ここはあしらいの上手そうな会長に渡した方が懸命かもしれない。素直に差し出された手に画面ロック解除したスマホを置く。
受け取るなり会長の指が軽やかに動き、リアルタイムで相手も見ているのか何度も通知が鳴った。それに考える暇もなく会長が返し、俺は黙ってただその姿を眺める。
そして再びスマホを返された時、ようやくトーク画面を確認してみれば事は丸く解決している筈ーーー。
「なんで行くことになってるんですか…」
「案外楽しいかもよ」
上手く断ってくれると思っていた俺の予想とはまったくの正反対。
何故か1週間後に水島と遊びに行く約束になっていた。
その3つが揃っているせいか、場内は夏休み中のほぼ学生で賑わっていた。
「お前相変わらず勉強以外は苦手なんだな」
「うっせーよ」
「つか、支倉先輩うめー…」
俺の悲惨なスコアは今のところ下から2番目。最下位の女子と僅差で争っていると言った感じだった。
ちなみに上手いと言われた会長のスコアは当然1位、ではなく2位。
来る前はぶっちぎりの1位だと予想していたが、トータルスコアは170いかないくらい。てっきり200超えると思ってたのに。
「俺、ちょっとトイレ」
「おーいってら」
久々の環境とボーリングに疲れを感じ、自分の順番が終わった後にトイレに向かうフリをすると近くにあったベンチを座り込む。
(…疲れた。)
肉体的にも、精神的にも。
重いボールを持った腕は痛いし、男友達は問題ないのだが学園では聞かないであろう甲高い声と独特なテンションに少し生気が吸い取られていた。中学時代は自分がどうやって過ごしてたのか思い出せない。
「何やってんの」
「…会長」
暫くぼーっとしていると会長がやって来て、隣に座った。トイレに来た訳ではなく、この人もあの雰囲気から避難してきたらしい。
「随分とモテモテじゃないですか」
「…嫉妬?」
「そうですね。少し」
女の子にモテてて少し羨ましい。
あのテンションについていけないながらもそんなことを思うのは完全にモテない男の僻みである。
「ボーリング、意外でした」
「何が?」
「スコア200は超えると思ってたんで」
「あー…うん」
返される妙に歯切れの悪い言葉。
てっきりなんでも出来るわけじゃないからとかそんな感じで返されると思ったのでつい違和感しかない返答の意味を探してしまう。
自分が思っていたスコアが出せなかったから触れて欲しくなかったか、もしくは思ったより上手じゃないと言われて落ち込んでいるか。
(…いや、違うな)
どっちもしっくり来ない。
それならまだーーーー。
「もしかして、手加減しました?」
「少しだけ」
やっぱり。
どうせ目立ちたくないとかそんな理由に違いない。
もう少しゆっくりしていたかったが「もうすぐ順番くるんじゃない?」と会長に言われてその場を後にした。
席に戻るとゲームはかなり進んでおり、全員ラスト1回。
当然ストライクなんて出せるわけもないので、俺の番は2投目で終了。
「やー、惜しかったな」
「惜しくねーだろ…」
「あと1本倒しときゃ最下位免れたのに」
そんな低レベルな次元で戦って買っても嬉しくない。
結果は俺が最下位で鈴木が1位で会長が2位。順位下位はほぼ女の子で普通に死にたかった。
「カラオケ満室だってー」
「えー、じゃあ、どうする?」
その後はカラオケにでも行く話が出ていたが部屋が空いておらず、結局ファーストフード店に行くことになった。
(なんでこんな元気なんだよ、こいつら)
俺なんかボーリングで腕が死んでるのに。
正直もう帰りたかったが、和を乱したくないので黙ってついて行く。
とにかく会長と話したい女の子たちはあれだけボーリング場で話しても話し足りないのか、プライベートな話メインでドンドン質問していて、傍から見ているともはや記者会見かと突っ込みたくなるレベル。
でも勝手に話が回るので楽だからいい。もし会長がいなかったら久々に会った俺が餌食になってただろうし。
すっかり油断してポテトをつまむ俺にインタビュワーたちは何故か急に話を振ってきた。
「支倉先輩ってなんの先輩なの?部活?」
「…勉強教えてもらってる」
「え!橘に勉強教えてんの!?」
食い付きがすごい。
中学時代は俺が学年で1番頭が良かったのを知っていた人達は驚きで目を見開く。
「ってことはすっげー偉いんだ」
「しかもあの学校通ってるってことはお金持ちなんだろ?」
「まあ…」
「橘くん、すごい人と知り合いなんだね」
皆がすごいすごいと感動する中、隣に座っていた女の子が微笑みなから顔を覗き込んできた。名前は水島結衣。一応同じ中学あんまり話したことがないので少し気まずい。
「いつまでこっちいるの?」
「お盆まではいる予定」
久しぶりに対面で女の子と話すので少し素っ気ない返事で返してしまう。水島はあんまり気にしていない様でそのまま話を続けた。
「じゃ、じゃあさ…来週、私と遊びに行かない?」
「…へ?」
なんで俺?なんてそんなこと聞ける訳もなく。
少し赤らんでいる頬を見るともしかしたら好意を持って話し掛けてくれているのかと思ったが話したことが無いので分からない。
会長目当てで俺と仲良くしようとしてるのかと疑ってみたものの、それならこの貴重な時間に俺に話し掛けたりしない筈。いや、でもあえて他の女の子とは自分は違うんですっていうアピールの可能性あるのか。
「…嫌かな…?」
「あ、いや…予定わかんねーから後で連絡していい?」
「うん!」
結局思考はまとまらず。
逃げるように水島とは連絡先だけ交換して会話は終了した。
「…疲れた」
「…ですね」
ファーストフード店から出てようやく解散。
同じ中学の奴らばかりだったので最寄り駅まで同じ人が多く、この静かな状態になるまでかなり時間がかかった。
蝉の鳴き声しか聞こえない帰り道でお互い大きな溜め息を吐く。静かな道では会長の携帯から通知音が休む間もなく鳴り響いている。
「これちゃんと返信しないとまずい?」
「聞かれたら適当に誤魔化しとくんで面倒なら無視していいですよ」
「…一応こっちにいるまでは返しとくか」
偶然どこかで会うかもしれないし。
そう言って会長はとりあえず通知だけ確認した携帯をポケットに収めた。モテる人間も大変なんだなと他人事のように思っていたが、今度は俺の携帯が震える。
携帯画面には相手は水島結衣の文字。
軽くメッセージ内容だけ確認して、なんて返そうかと悩みながら携帯を仕舞うと会長が「行くの?デート」と尋ねてきた。
「…なんで知ってるんですか?」
「他の子から聞いた。水島さん、だっけ?中学時代から橘のこと好きだったとかなんとか」
「マジか…」
ますます返事に困る情報に眉を顰める。
別に水島が嫌とかじゃない。嬉しいのは嬉しい。
だが今は俺は勉強で手一杯で、誰かに気を遣いながら特待生をキープする程の器用さは持ち合わせていないので悩んでいる。どうせならそういうことは中学時代に言って欲しかった。
「なに?迷ってんの?」
「その気ないのに行くの微妙かなって」
「…携帯貸して」
ここはあしらいの上手そうな会長に渡した方が懸命かもしれない。素直に差し出された手に画面ロック解除したスマホを置く。
受け取るなり会長の指が軽やかに動き、リアルタイムで相手も見ているのか何度も通知が鳴った。それに考える暇もなく会長が返し、俺は黙ってただその姿を眺める。
そして再びスマホを返された時、ようやくトーク画面を確認してみれば事は丸く解決している筈ーーー。
「なんで行くことになってるんですか…」
「案外楽しいかもよ」
上手く断ってくれると思っていた俺の予想とはまったくの正反対。
何故か1週間後に水島と遊びに行く約束になっていた。
1
お気に入りに追加
1,133
あなたにおすすめの小説
私とお母さんとお好み焼き
white love it
経済・企業
義理の母と二人暮らしの垣谷操。貧しいと思っていたが、義母、京子の経営手腕はなかなかのものだった。
シングルマザーの織りなす経営方法とは?
愛理の場合 〜レズビアンサークルの掟〜
本庄こだま
恋愛
美貌と妖艶。倒錯した性欲の覚醒。汚れた世界で信じられるものは、自分自身の“肉体”のみ……。
ウリ専レズビアンの「愛理」は、今宵も女を求めてホテル街に立ち、女に買われ、そして女に抱かれる。
ある夜、一人のレズナンパ師「恭子」に出会い「レズサークル」の乱交パーティーへと誘われた事から、愛理の運命の歯車が歪な音を立てて動き出すーー。
※この作品は過度な性描写があります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
※この作品には同性愛描写、ふたなりの登場人物等、アブノーマルな設定が登場します。苦手な方はご注意ください。
処刑された女子少年死刑囚はガイノイドとして冤罪をはらすように命じられた
ジャン・幸田
ミステリー
身に覚えのない大量殺人によって女子少年死刑囚になった少女・・・
彼女は裁判確定後、強硬な世論の圧力に屈した法務官僚によって死刑が執行された。はずだった・・・
あの世に逝ったと思い目を覚ました彼女は自分の姿に絶句した! ロボットに改造されていた!?
この物語は、謎の組織によって嵌められた少女の冒険談である。
余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~
藤森フクロウ
ファンタジー
相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。
悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。
そこには土下座する幼女女神がいた。
『ごめんなさあああい!!!』
最初っからギャン泣きクライマックス。
社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。
真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……
そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?
ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!
第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。
♦お知らせ♦
余りモノ異世界人の自由生活、コミックス3巻が発売しました!
漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。
よかったらお手に取っていただければ幸いです。
書籍のイラストは万冬しま先生が担当してくださっています。
7巻は6月17日に発送です。地域によって異なりますが、早ければ当日夕方、遅くても2~3日後に書店にお届けになるかと思います。
今回は夏休み帰郷編、ちょっとバトル入りです。
コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。
漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。
※基本予約投稿が多いです。
たまに失敗してトチ狂ったことになっています。
原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。
現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。
ネコ科に愛される加護を貰って侯爵令嬢に転生しましたが、獣人も魔物も聖獣もまとめてネコ科らしいです。
ゴルゴンゾーラ三国
ファンタジー
猫アレルギーながらも猫が大好きだった主人公は、猫を助けたことにより命を落とし、異世界の侯爵令嬢・ルティシャとして生まれ変わる。しかし、生まれ変わった国では猫は忌み嫌われる存在で、ルティシャは実家を追い出されてしまう。
しぶしぶ隣国で暮らすことになったルティシャは、自分にネコ科の生物に愛される加護があることを知る。
その加護を使って、ルティシャは愛する猫に囲まれ、もふもふ異世界生活を堪能する!
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる