【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

獣王国サベレズと武道大会

アヴェとカナト①

前回のあらすじ

 fifth oneの勝ちぃ!!



 試合を終えたfifth oneに、どうやってクレナの攻撃を無効化したのか聞いてみたのだが、

｢それを言ったら私がこの大会、不利になるじゃないですか｣

 と、至極真っ当なことを言われた。

 うーん、flugel oneとやり合う時にしっかり確認すればいいか。

 やるとしても決勝だけど。

 そして第15試合目、アヴェの番がやってきた。

『さぁ!!次はコイツらだァ!!まずはこの少女!!Cランク冒険アヴェ!!可愛らしい見た目とは裏腹に、とんでもなく強いと言われる少女です!!その戦う姿から『狂犬』と言われる程!!この試合でその狂犬ぶりを見せてくれるのか?!』

 実況の紹介が終わると同時に、観客の声援が会場内に響き渡る。

 アヴェはとても人気のようだ。

 まぁ、こんなに可愛い獣耳少女いたらテンション上がるよね。

 わかるわかるすごい分かる。

 だけどね、アヴェちゃんはぁはぁ言ってる奴は後で殺すから覚えとけよ？顔覚えたからな？

 私がこの世から消す奴らの顔を覚えていると、アヴェの対戦相手の紹介が始まる。

『そして、そんな狂犬と闘うのはこいつだぁ!!Dランク冒険カナト!!その両手に持った斧を振り回し、淡々と敵の首を跳ね飛ばす姿はまさに『狂気』!!狂犬と狂気、勝つのはどっちだぁ?!』

『狂気』と呼ばれた男は、2m近い身長に、がっしりとした体。そして両手には、馬鹿でかい斧を持っている。

 誰がどう見てもパワーファイターです、と言った感じで、アヴェと見比べると子供と大人所か、象と蟻だ.......実力はともかく。

｢......よろしく｣

 すっげぇイケボ。

 よろしくの4文字だけで、ものすごくいい声だとわかる。

 この世界に声優と仕事があったのなら、真っ先にオファーが来るぐらいのイケボだ。

 見た目がごっついおっさんなのが、残念でしょうがない。

｢よろしくお願い致します。.......貴方のような、三下以下の弱者がなぜこの大会に出ているのかわかりませんが、まぁ、頑張って下さい｣

 リリーもfifth oneもそうだったけど、何君たち。

 煽らないといけないノルマでもあるの？

 私が心の中でツッコミを入れていると

｢そうか、なら頑張るとするか｣

 めっちゃイケボでアヴェの煽りを受け流す。

 何あの人、カッコイイんだけど。

 カナトは両手に持った斧を構えて、アヴェを見据える。

 アヴェは、メイド服のスカートの裾を持ち、お辞儀をする。

 お互いに準備は万端だ。

『それでは、第15試合、開始ぃ!!』



オリンピック始まりましたね!!頑張れ日本!!