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第一部 王国編 第一章 迷宮都市インゼル
ダンジョン迷宮⑦
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ホブゴブリンとゴブリン達の魔石を拾い上げ、マジックバックの中に収納していく。
魔石は正八面体形をしており、綺麗な透明の青だ。
魔石の大きさは、その魔物の強さに比例して大きくなる。
ゴブリンなどの弱い魔物は魔石が小さいが、ワイバーンなどの竜種になるとゴブリンの魔石の50倍ぐらい大きいのだ。
魔族は例外とされており、そこまで大きくなく、ホブゴブリン程度の魔石の大きさだが、中に内包されている魔力量が多い。
小さく、使い勝手がいいのも、人間種が魔族を狩る理由になったのだろう。
ゴブリンの魔石は、1個で大体大銅貨2.3枚。ホブゴブリンの魔石は1個で大体大銅貨5.6枚だ。
この魔石を売れば、1日分の宿代にはなる。
実力があれば、冒険者という職業は楽して稼げる職業だ。.......まぁ、毎回命の危険があるが。
「他の場所もさっさと回ろう。おばちゃんの情報も古いはずだからな」
もたもたしていると、倒せる魔物が減ってしまう。
「わかってますよ。次は.......こっちですね」
俺は、ニーナの指さす方に向かって歩いていくのだった。
しばらく歩くと、おばちゃんが○をつけてくれた場所に到着する。
が、
「ハズレだな」
「ハズレですね」
そこには、魔物はおらず代わりに冒険者が戦った跡があった。
どうやら先を越されたらしい。
「仕方ない。次行くか」
「はい!!」
次の○の場所は先を越されておらず、お目当ての魔物がいた。
「ガァァァァァァ!!」
オークである。
力が強く、3階層の中では1番強い魔物だろう。
「どっちが殺る?」
「私はさっきのでスッキリしたので、マスターがやってくれていいですよ」
ゴブリンとホブゴブリンと戦ってストレスを発散したようだ。
俺も戦わなければ鈍ってしまうので、動くとしよう。
俺は杖をローブの中から取り出すと、そのままオークに向かって歩き出す。
オークも俺を敵と認識したようで、猛ダッシュで襲いかかってくる。でっぷりと太った体型からは、想像できないほどの速さで距離を詰める。
あまり知られていないが、オークの贅肉に見える部分も全て筋肉だ。そりゃ力も強いし、足もそれなりに早いよね。
「グガァァァァァ!!」
俺には向かって振り上げられた棍棒を、杖で軽くいなす。
思いっきり振りすぎたようで、棍棒は途中で止まることなく地面に叩きつけられる。
俺は仕込み杖を持った右手で、前傾姿勢になったオークの横っ面に裏拳を叩き込む。
もちろん、圧縮した魔力で右腕を強化した状態でだ。
とんでもない速さで裏拳を叩きつけられたオークは、パンと言う音と共に顔が風船のように弾け飛んだ。
これ、死体が遺ならないダンジョン迷宮だったからよかったものの、ダンジョン迷宮の外だったらグロすぎてちょっと気分悪くなったかもしれないな......
俺は、オークから落ちた魔石を拾い上げるとニーナに向かって放り投げる。
ニーナはキャッチすると、マジックバックに収納した。
オークの魔石は、ホブゴブリンよりも気持ち大きい程度で値段も大銅貨1枚分高いかどうかだ。
「階層の魔物も弱いですね。もう少し骨があった方が、私は張合いがあって楽しいんですけどね.......」
ニーナのアホ毛がシュンと萎れる。
ニーナほど強いと、張合いがある魔物とか言ったらレッドドラゴンとかになってしまう。
現在攻略されている25階層よりも、深く潜る必要がある。そこまで深く潜っていたら、予定の2週間など行き帰りですぎてしまう。
「この街を落としたら、軽くなら手合わせしてやるから元気ださせ」
「本当!!やった!!」
ぽんぽんとニーナの頭を撫でながら言うと、ニーナは嬉しそうに飛び跳ねる。
「軽くだぞ?組手ぐらいだからな?間違っても死者の呪縛鎖を使うなよ?」
念を押す。
昔、1度ニーナと軽く手合わせしたのだが、ニーナは段々と楽しくなってしまった様で最終的には、お互いに呪ワレタ武器を取り出して闘ったことがあるのだ。
魔王国の王都から、それなりに離れた場所でやっていたのだが、あまりに激しすぎた為、城壁の上から闘いの余波が見れたようだ。
もちろん魔王城は大騒ぎ。魔物が暴れていると勘違いし、大急ぎで討伐隊を編成。討伐隊が駆けつけた時、俺達が戦っていたのを見て全員ビビって逃げてきたことがあった。
もちろんこの時ばかりは、魔王陛下にも怒られ(軽くだったが)宰相にも怒られた(めっちゃ怒られた)。
それ以降、ニーナと手合わせする時は呪ワレタ武器は禁止にしている。
「わかってますよ。ちゃんと、身体強化のみの組手にしますよ!!あぁ、早くこの街滅んでくれないかなぁ!!」
笑顔で、人間が聞いたら顔をひきつりそうなことを言うニーナ。
彼女の中では、街を滅ぼすことよりも俺と手合わせの方が大事らしい。
「その前に魔石集めような。まだ回ってない場所が沢山あるんだから」
「はい!!」
その後、5時間かけて3~5階層の○印を全て回り結構な稼ぎになってホクホク顔で宿に戻るのだった。
魔石は正八面体形をしており、綺麗な透明の青だ。
魔石の大きさは、その魔物の強さに比例して大きくなる。
ゴブリンなどの弱い魔物は魔石が小さいが、ワイバーンなどの竜種になるとゴブリンの魔石の50倍ぐらい大きいのだ。
魔族は例外とされており、そこまで大きくなく、ホブゴブリン程度の魔石の大きさだが、中に内包されている魔力量が多い。
小さく、使い勝手がいいのも、人間種が魔族を狩る理由になったのだろう。
ゴブリンの魔石は、1個で大体大銅貨2.3枚。ホブゴブリンの魔石は1個で大体大銅貨5.6枚だ。
この魔石を売れば、1日分の宿代にはなる。
実力があれば、冒険者という職業は楽して稼げる職業だ。.......まぁ、毎回命の危険があるが。
「他の場所もさっさと回ろう。おばちゃんの情報も古いはずだからな」
もたもたしていると、倒せる魔物が減ってしまう。
「わかってますよ。次は.......こっちですね」
俺は、ニーナの指さす方に向かって歩いていくのだった。
しばらく歩くと、おばちゃんが○をつけてくれた場所に到着する。
が、
「ハズレだな」
「ハズレですね」
そこには、魔物はおらず代わりに冒険者が戦った跡があった。
どうやら先を越されたらしい。
「仕方ない。次行くか」
「はい!!」
次の○の場所は先を越されておらず、お目当ての魔物がいた。
「ガァァァァァァ!!」
オークである。
力が強く、3階層の中では1番強い魔物だろう。
「どっちが殺る?」
「私はさっきのでスッキリしたので、マスターがやってくれていいですよ」
ゴブリンとホブゴブリンと戦ってストレスを発散したようだ。
俺も戦わなければ鈍ってしまうので、動くとしよう。
俺は杖をローブの中から取り出すと、そのままオークに向かって歩き出す。
オークも俺を敵と認識したようで、猛ダッシュで襲いかかってくる。でっぷりと太った体型からは、想像できないほどの速さで距離を詰める。
あまり知られていないが、オークの贅肉に見える部分も全て筋肉だ。そりゃ力も強いし、足もそれなりに早いよね。
「グガァァァァァ!!」
俺には向かって振り上げられた棍棒を、杖で軽くいなす。
思いっきり振りすぎたようで、棍棒は途中で止まることなく地面に叩きつけられる。
俺は仕込み杖を持った右手で、前傾姿勢になったオークの横っ面に裏拳を叩き込む。
もちろん、圧縮した魔力で右腕を強化した状態でだ。
とんでもない速さで裏拳を叩きつけられたオークは、パンと言う音と共に顔が風船のように弾け飛んだ。
これ、死体が遺ならないダンジョン迷宮だったからよかったものの、ダンジョン迷宮の外だったらグロすぎてちょっと気分悪くなったかもしれないな......
俺は、オークから落ちた魔石を拾い上げるとニーナに向かって放り投げる。
ニーナはキャッチすると、マジックバックに収納した。
オークの魔石は、ホブゴブリンよりも気持ち大きい程度で値段も大銅貨1枚分高いかどうかだ。
「階層の魔物も弱いですね。もう少し骨があった方が、私は張合いがあって楽しいんですけどね.......」
ニーナのアホ毛がシュンと萎れる。
ニーナほど強いと、張合いがある魔物とか言ったらレッドドラゴンとかになってしまう。
現在攻略されている25階層よりも、深く潜る必要がある。そこまで深く潜っていたら、予定の2週間など行き帰りですぎてしまう。
「この街を落としたら、軽くなら手合わせしてやるから元気ださせ」
「本当!!やった!!」
ぽんぽんとニーナの頭を撫でながら言うと、ニーナは嬉しそうに飛び跳ねる。
「軽くだぞ?組手ぐらいだからな?間違っても死者の呪縛鎖を使うなよ?」
念を押す。
昔、1度ニーナと軽く手合わせしたのだが、ニーナは段々と楽しくなってしまった様で最終的には、お互いに呪ワレタ武器を取り出して闘ったことがあるのだ。
魔王国の王都から、それなりに離れた場所でやっていたのだが、あまりに激しすぎた為、城壁の上から闘いの余波が見れたようだ。
もちろん魔王城は大騒ぎ。魔物が暴れていると勘違いし、大急ぎで討伐隊を編成。討伐隊が駆けつけた時、俺達が戦っていたのを見て全員ビビって逃げてきたことがあった。
もちろんこの時ばかりは、魔王陛下にも怒られ(軽くだったが)宰相にも怒られた(めっちゃ怒られた)。
それ以降、ニーナと手合わせする時は呪ワレタ武器は禁止にしている。
「わかってますよ。ちゃんと、身体強化のみの組手にしますよ!!あぁ、早くこの街滅んでくれないかなぁ!!」
笑顔で、人間が聞いたら顔をひきつりそうなことを言うニーナ。
彼女の中では、街を滅ぼすことよりも俺と手合わせの方が大事らしい。
「その前に魔石集めような。まだ回ってない場所が沢山あるんだから」
「はい!!」
その後、5時間かけて3~5階層の○印を全て回り結構な稼ぎになってホクホク顔で宿に戻るのだった。
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