奥様は夫の匂いに発情しちゃいました【WEB】

番外パート２ 克也と愛子の約束

（１）克也と愛子の約束 その１

　気が付かなかった人もいるかも知れない。

　ふたりが会話しているのだけを聞いていれば、その真実を聞けばちょっと驚かれるだろう。

　実際、社内で試しに聞いてみたら、フロアー内の半数が驚いていた。

　まぁ、そりゃ、驚かれるのも無理ないよねー

　私は自分自身だけで納得する。



　そう、このコトは、分かる人にだけ、分かっていればいいことなのよ。

　ちなみに、若野くんにも同じ質問をしてみたら、彼はしっかり計算してから、少し考えて、

「それは、アリだと思います」

　って答えた。何がアリなんだろう……。よくわかんない。

　まぁ、深い理由があるわけでもないんだけど、いつの間にか慣れちゃってたなぁ。

　愛子が、克也くんのことを「克也さん」って、呼んで、克也くんが愛子のことを「愛子」って呼ぶの。

　え？　なにかオカシイことあるの？　って。うん。そうなんだよ。ぜんぜんおかしいことじゃない。でも、次の事実を突きつけても、キミはおかしくないと、いい切れるだろうか。

　ふふっ、知っている人は知ってるよね。実は、愛子のほうが克也くんより、二歳年上だってこと。


　最初、ふたりが顔合わせて話してた時は、「真野さん」、「猪野さん」だった。まぁ、そうだよね。ジョーシキ的に。でもね、結婚してからすぐだったんだよ。

　克也くんが愛子のことを「愛子」って呼んで、愛子が「克也さん」って呼ぶようになったの。だからね、ふたりともすっごくうまくいってるんだって、私、ずーっと思ってた。若野くんから話聞くまでね。

　それで私、真奈美さんに聞いたことあるんだ。何か知らない？　って。そしたら、真奈美さんがいつもみたいになにか企んでたみたいな顔して、私に話してくれたんだ。

　ホントウ、大した話じゃないけど、ちょっと付き合ってほしいな。

　愛子と克也くんが、結婚するときにした、ある約束の話。