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第六章 ケモノたちの宴
(45)ケモノたちの宴 その2-1
しおりを挟む土曜日の朝、よく晴れた絶好の行楽日和。風も穏やかに吹いている。
団地の下の駐車スペースに白いワンボックスカーが止まっており、四人の男女がいそいそと荷物を後ろのトランクにバッグなどを詰め込んでいる。
「二泊にしては荷物多くないです?」
克也と愛子がふたりで一つの小さめのバッグを一つ詰めたのに対し、竹屋夫妻が積んだのがキャリーケース二つと大きめの旅行用バックなのに克也は驚く。
「うふふー。これはついてからのお楽しみなのですー」
真奈美はニコニコしながら荷物を詰め終わるとバタンっと後ろのドアを閉めた。
「さて、出発しよっか」
孝が運転席に座り、真奈美が助手席、克也と愛子は一番後部の座席に乗り込む。軽くエンジンをふかす音が聞こえたかと思うと、あっという間に車は団地の駐車場から姿を消した。
カーステレオからは80年代の洋楽が流れてくる。この曲懐かしいとか話しながら四人は楽しく会話を交わす。
「そういえば、目的の温泉ってどこなんです? 僕ら詳しくは聞いてないですが、よくギリギリでとれましたね」
克也が疑問に思っていたことを問う。
「うふふっ、かるーく説明しちゃうと、あそこって旅館っていうよりはスタジオなのよね」
真奈美はニコニコしながら話す。
「貸し切りができて、露天風呂が混浴。まぁ、普通じゃないよね」
孝もハンドルを握りながら笑う。
「楽しみにしてて。間違いなくいいところだから」
克也と愛子は目を丸くするばかりだった。
車を一時間しないほど走らせて都内にある某マンションに着くと、真奈美がスマホで優菜たちを呼び出す。数分してマンションのエントランスから小さめのバッグを抱えた優菜と兄が出てくる。
「おはよう! いい天気でよかったね」
ふたりは空いていた真ん中の席に乗り込む。
「よし、じゃぁ行こうか」
車は都内を飛び出し、高速で目的地のある山あいの温泉に向かう。
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