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第一章 ばれちゃった……

(6)ばれちゃった…… その2-1

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「……ということなんですぅー」

 涙目になりながら、愛子は一通り真奈美に説明を終えた。

「うふふっ、実は私、知ってた」

 えっ? という顔で愛子は真奈美を見た。真奈美は、悪戯っ子のような顔をしてみせた。

「んー、どっから話せばいいかなぁ……」

 真奈美は、少し考える素振りを見せてから話を切り出す。

「まず、優菜と私が面識あったのはもちろん知ってるわよね」

 愛子はこくりとうなずく。

 優菜に匂いの件がバレてから、すぐに自宅近くの喫茶店に呼び出された愛子。そのときに初めて真奈美を紹介された。

「いろいろ頼りになってくれる人だからよろしくね」

 胸まわりがふくよかな割には下腹部が締まっており、化粧も薄めで、頼りになるお姉さんのオーラを全体から感じ取ることができた。愛子はひと目で真奈美が好きになる。

 その時には性癖の話は出なかったが、それからしばらくして、愛子の自宅宛に「フレグランス用品」という品名で宅配便が定期的に届き始めた。中身は男性特有の匂いが詰まった小瓶が四、五本。

「凄い匂い。いったい誰が? 優菜?」

 優菜に問い詰めてみたが、優菜ではないとのこと。そして真奈美でもないこともその時教えてくれた。それ以降、愛子はその定期的に送られてくる小瓶によって自らの欲求を満たすようになっていた。送られ元の住所もバラバラで主にラブホテルらしきものが多かったが、敢えて愛子は探ろうとはしなかった。

「あの小瓶の話も、私、知ってたよ」

「え? じゃぁ、やっぱり、真奈美さんが?」

「違うわー。それは、また後で説明するとして、まず愛子ちゃん的にこの後どうしたいかが先ねー」

「私……、ですか?」
「そう。愛子ちゃんがこのまま克也くんに、何も話さないままで仮面夫婦やり続けるのか、それとも、すべてを告白して克也くんに匂いを嗅がせてもらうか」

「あ、それなんですけど」

 愛子は、ちょっと言いにくそうに言葉をつづけた。

「実は、克也さんの結婚受けた理由ってそこもあるんですよね。克也さんの匂いって良すぎちゃって……」

「え? どいう意味?」

 真奈美は意外そうに、しかも興味深そうに聞く。

「克也さんと一緒になってずいぶん経つんですけど、あの男の人独特の匂いがあまりなくて、まるでほかの匂いで隠してる、っていう感じなんです。会社で一緒に働いていたときからずっと。それは、おうちでも一緒で、すごく匂いに気を使っているのが分かるんです。だから、この人なら私のこと気がつかれずに、一緒になれるかも、って甘い考えがあって……」

 真奈美は愛子の話を聞いて、目を丸くした。

「へぇー。克也くんって、そうなんだ。私は、もっと肉食のイメージだったけど」

「女性受けする理由って、そこなのかもって思ったんですけどね」

 愛子は話し終えてから、一つため息をつく。

「んー、これは、ふたりとも、皮かむりのまんまってことね」

 突然、真奈美の口から卑猥な単語が飛び出す。

「へ? か、皮?」

「まぁいいわ。じゃぁ、うちに行きましょうか」

「え? 真奈美さんの家ですか?」

「あなたを待っている人がいるわ」
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