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二章 温泉の街ハイクベレイ

十六話 ソフィアの婚約者 二日目

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 夕食を済ますとシャーロット様も、エマ様も今日は十分だと言うので俺はお役御免となった。ちなみにアレクはシャーロット様に連れていかれた。南無、成仏しろよアレク。

 マリーを貸し切り温泉に誘うと、また入るのかと少し呆れていたが付き合ってくれることになった。今回は三つの貸し切り温泉の中でも一番小さいタイプのものを選んだ。

 脱衣所で並んで服を脱ごうとしたが、ついマリーの脱衣姿に見惚れてしまった。シンプルな膝下の白いワンピースを赤いリボンで結んだ比較的ラフな格好だ。彼女の白く艶やかな手がゆっくりとリボンを解き、ワンピースの腰の辺りを両手で掴み引き上げる。裾から徐々に太ももが現れ、丸みのあるお尻やクビレた腰までの、美しくも男を魅了する曲線から目を離せなくなる。

 動作の一つ一つがお淑やかで、彼女の育ちの良さを感じさせるところも高評価だ。胸と秘部を覆う下着は黒色でな。両サイドを紐で縛る紐パンと、フロントホックの部分がリボンになっているブラだ。リボンを結んでブラをつけるやつだな。ブラに押し上げられたIカップの胸。谷間に視線を移すと、そこから目が離せなくなる。

 ずっと谷間を見つめていると、なんと!谷間がこちらを向き、しかも近づいてきたではないか。これは捕獲しなくては、そう思い手を伸ばすと、獲物まであと数cmというところで、手を掴まれてしまった。

「なにをしているんですか?カルマ様」

「……ごめん天国を見つけたから今ちょっと忙しいんだ」

「ふざけてます?もう!いつでも見れるじゃないですか!」

 ちょっとからかい過ぎたかな?頬を膨らませプンプン怒る24歳は超絶可愛い俺の嫁です。そう声を大にして叫びたい。

「マリーの脱衣が信じられないくらい綺麗だったから、つい見惚れちゃったんだ」

「むぅ……カルマ様は口がお上手だからいつも誤魔化されてしまいます……むぅむぅ」

 なんだこの可愛い生き物は。

「思わず抱きしめキスをしてしまいたい衝動に駆られたが、俺は何とかそれを堪え、引き続き服を脱ぐのだった」

「なんか声に出てますよ!?どうしたんですか、どこかで頭を打ちましたか!?」

 マリーがツッコミキャラ化してしまった。なんだかいつもよりテンションの高い俺達。そこからは仲良く残りの服を脱がし合い露天風呂に並んで浸かる。

「あーーー生き返る……」

「もうお爺さんみたいですよ」

 午前中におっさんと言われたのに夜にはお爺さんになってしまった!温泉入って老けていくとかどんな怪奇現象だ!?

「なんだか慌ただしい毎日だからな……帰ったら数日休みでも取るかな」

「そういえばグレースさんに頂いたお屋敷にメイドか執事を雇いたいですね。カルマ様専属となってからギルドのお仕事は減りましたけど、それでも私一人では掃除が行き届きませんし、庭の手入れなどは私は経験がないので……」

「ぁーごめん、苦労かけてるな。そうだな人を雇うか」

 そっとマリーの指通りの良いピンクの髪を撫でつつ慰める。目を閉じ気持ちよさそうにするマリーに心が癒される。

「あ!そういえばエスタの街で、もうじき月に一度の奴隷オークションがありますよ。そこで奴隷を購入するのはどうでしょう?」

 この世界で月に一度というと九十日に一度か。

「あーそういえばジョセフ商店で奴隷らしき女の子を見たことがあるな。手に紋章があって首輪をつけていた」

「手に紋章なら一般奴隷でしょう。主に借金が返せず奴隷になるか、親が子を口減らしに奴隷として売りに出す場合は一般奴隷になりますね」

 マリーはそれから軽犯罪奴隷と重犯罪奴隷と特殊奴隷という種類があると教えてくれた。

 一般奴隷は手の甲に奴隷紋が刻まれ、軽犯罪と重犯罪奴隷は首に奴隷紋が、特殊奴隷は額に奴隷紋が刻まれる。

 主人の登録をしている者が、魔言まごんと呼ばれるキーワードを言うと奴隷紋が起動する。痛みが走ったり、首や額の奴隷紋は、締めつけられるな苦しみを奴隷に与えるそうだ。

 一般奴隷には人権があるが、犯罪奴隷と特殊奴隷には人権が無い。たとえ厳しい体罰を与え殺してしまっても罪には問われないらしい。一般奴隷にだけ、雇用期間がある場合と無い場合がある。借金を返済したら奴隷契約を解除する為だな。

 一通り奴隷について聞き終えた頃、露天風呂に新たな人が訪れた。風呂場の入り口から片目だけ出して覗く金髪ツインテール。隠れてるつもりだろうか。

「ソフィア入っておいでよ」

「ひゃっ!?……ふぅ、こんなところで奇遇ねカルマ、それとマリーさんだっけお邪魔だったかしら」

 白々しいわ!!

「いいよ、隣においで」

「わ、わかったわ!」

 いそいそと服を脱ぎに戻るソフィア。

「ごめんなマリー」

「うふふ、構いませんよ。ソフィア様は可愛らしいですね」

 再び現れたソフィアは、若く瑞々しい裸体を恥ずかしげもなく晒しながら、ツインテールを解き頭の上で一括りのお団子にしている。そっと、俺の空いている方の隣に座り温泉に浸かる。二人は示し合わせたかのように俺に寄りかかり、柔らかな体を押し付けてきた。そっと腰に手を回し抱き寄せる。両手に花で温泉とか最高だなぁ……

「あぁ、ここが天国か」

「ふふっ、カルマ様は本当に大きな胸がお好きですよね」

「否定はしないが、俺は胸は大きくても小さくても好きだぞ。胸に貴賤はない!」

「力説するんじゃないわよ……」

 ソフィアに呆れられてしまった。しかし……ソフィアはロイヤルスイートに泊っているし、わざわざ一番小さい温泉に来る理由など俺に会う以外はないと思う。ないよな?自意識過剰だったら笑え。

「それで、何か用があったんじゃないのか?」

「ん……えっとね……カルマ……グランベル皇国の貴族になる気はない?」

 ふむ……ぶっちゃけ辺境に追放してくれやがったアルフリード王国に未練はないが、辺境伯の次女のマリーを嫁に貰う手前、他国の貴族になっていいものか。多分ダメだろうな。

「マリーがフガロ辺境伯の三女なのは知ってるか?俺はマリーと婚約しててな。流石に他国の貴族になっていいか俺には判断できないよ」

「難しいですね、私が家名を捨て、家と縁故を切れば可能ではありますが……」

「お義父さんが大激怒するな」

「そっか……ごめんなさい、つまらない話をして。忘れて頂戴」

「しかし、ソフィア様は成人されたのに婚約者はいらっしゃらないのですか?」

「全部断ったのよ。今回アルフリード王国に来たのも、公爵家の次男と縁談の話があるからだったんだけど……どいつもこいつも、女を自分の名前に箔をつける程度にしか考えてない奴ばっかり……」

 女性をあまり性的に見ることのないこの世界では、交際や結婚などはプラトニックな愛になりやすい。しかし貴族は家の格や、貴族間の繋がりの為に結婚する。つまりは家名にしか価値がなく、そこに愛はない。何十年も一緒に暮らせば愛情も沸くかもしれないけれどな。

「ふむ……公爵の次男ねぇ。それって勇者が相手じゃダメなのか?」

 フガロ辺境伯の話では勇者は公爵以下、辺境伯以上の地位があるはずだ。公爵家の嫡男ならまだしも次男ならいい勝負な気がする。

「……勇者……そうよ!!貴方、男娼なんてやってるけど召喚された勇者なのよね!!」

 忘れてたんかーい!

「なら早速お母様に相談……いえ、今はあの男娼と楽しんでるから明日の朝ね!」

「皇女様がカルマ様の嫁に加わるなら……私は第二夫人ですね」

「馬鹿を言うな。正妻はマリーだぞ。これ絶対」

「いいわよ。お母様に交渉するのは明日だけど、絶対に許可を取るから!マリーさん、私が第二夫人で結構よ……だから仲良くしましょ?」

「……わかりました。でも私の発言力はありませんから、シャーロット様の交渉のお手伝いはできませんよ?」

「大丈夫よ、お母様はカルマを気に入ってるし。いざとなったら、カルマがお母様を犯しながら許可を取ってくれるから」

 いや、それは……うん出来るだろうけどさ。最近は性感度操作もほとんど使ってないし、魅了の左目なんてまだ使ったこともない。これ中々使い処のないスキルだよな。例えば、シャーロット様に子宮姦しながら性感度300%とか使ったら絶対に死ぬだろうし。

「ねぇカルマ、マリーさん。今日はこのまま一緒に寝てもいい?」

 マリーに任せるつもりで視線を送ると、彼女は躊躇いなく頷いた。本当は二人っきりでえっちしたかっただろうに。最近はグレースを交えての3Pばかりで二人っきりではしてないからな。いつか時間を作ってやりたいな。

 俺達は三人揃って風呂を上がり、マリーの部屋に向かった。比較的小さな客室で、セミダブルのベッドがひとつだった。狭い部屋にもソフィアは文句ひとつ言わない。ベッドの真ん中に俺、右腕にマリー、左腕にソフィアが抱き着くように眠ることになった。俺達は服を着たまま健全にイチャついていた。服を着たまま寝るのは何日ぶりだろうと言ったら二人に笑われた。

 セミダブルベッドに三人。窮屈だけど心地良いと、全員がそう言って笑った。

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