3 / 36
三、最後
しおりを挟む
「とうとう明日…」
朝焼けに包まれた部屋で、葵はぽつりと呟いた。
父上に婚姻の旨を告げられたあの日から、あまり眠れていない。
今日も、葵は空がやっと白み始めた早朝に目が覚めてしまった。
それはそれで残された時を充実させることが出来るので、良いのかもしれない。
葵は着替えを済ませ、玉鬘にも劣らぬ程の美しい黒髪に櫛を通した。
墨の様に流れる髪を一束すくってはそれを丁寧に梳いていく。
あまりに静かなこの部屋でこのような作業を繰り返していると、考える必要のないことまで考えてしまう。
今更ながら、何故斎藤殿はこのようなお話を持ちかけられたのだろうか。
葵は直接「斎藤(さいとう)義久(よしひさ)」なる人物に会ったことはなかったが、その知略と武芸の腕によって、当時衰退気味だった斎藤家を僅か数年のうちにここまでの大国にしてしまったのだ。
きっと、想像にも及ばないほどの能力を備えた人物なのだろう。
そのような方が、どうして自分のような何の取り柄もない小娘を娶ろうというのだろうか。
一人考えに耽っていると何処かで鳥の鳴声がした。
その声につられて窓の外に目をやれば、夜はもうすっかり明けきり、爽やかな日の光が辺り一面を照らしている。
今の時間ならば、きっと中庭にて兄が鍛練をしているに違いない。
少し様子を見に行こうか、邪魔にならぬように大人しくしておこうか。考えれば考えるだけ、兄の姿を確かめたくなってしまう。
葵は障子を引き、縁側に出、置いてあった草履を引っかけ、中庭へと降りた。
――――……
少し歩くと、あの咲き誇る桜の木の下で休憩している兄の姿を確認した。
鍛練中ではなかったようで葵は少しだけほっとする。
少し速足で近づくと、政幸も葵に気がつき、柔らかく微笑んだ。
「今日は随分早いな、葵」
「それは私の台詞です。こんなに早くから鍛練だなんて、お体を壊されてしまいます」
「私は大丈夫だ。今日はこのくらいで切り上げようと思っていたところだから」
「そうなのですか」
「葵は朝餉は済ませたのか?」
「いえ、まだ」
「先程お梅が来て、ここまで握り飯を運んで来ると言っていたんだが、葵もどうだ?」
「是非、御一緒させてください!」
――ひらり、ひらり、と桜の花弁が頭上から降りかかり、平和で温かな時を奪ってゆく。
「まぁ、姫様もいらっしゃったのですか!」
しばらくすると、お梅が握り飯を運んで来た。
「あぁ、私が誘ったのだ」
「左様でございますか。それでは握り飯を多めに作っておいて正解でございました」
お梅は木の下で握り飯を広げだした。
不意に葵は幼い頃を思い出した。
――昔もよくこうやって三人で。
「そういえば、姫様」
お梅の声に、はっとする。ぼんやりすることが増えてしまったと、葵は心の内で頬を叩く。
「本日はこれより、おいとま請いの式がございます。暫し休まれたのちご準備にかかりましょう」
「式と言っても、父上と杯を酌み交わしてからは、宴のようなものなのでしょう?」
「はい、まぁ、恐らくは酔っ払いの酒宴になってしまうのでしょうが――姫様は早めに御引き上げなされた方が宜しいかと」
苦笑しながらも、可笑しそうに話すお梅を見て、葵もついつい笑ってしまう。
「それじゃあ、宴が始まるまでは、兄上やお梅と此処でこうしていても良い?」
お梅は一瞬苦しそうに顔を歪めた。しかし、幸か不幸か、葵に気づかれることはなかった。
――――……
――辺りは夜の闇に包まれ、この城だけが唯一明るく浮かび上がっているかのようだ。
沢山の、笑声が聞こえる。
沢山の、笑顔が見える。
なかには、暴れだしている人や、号泣している人も。
昼過ぎに始まったこの宴だが、すでに大半の者が酔い潰れているか、悪酔いしているかのどちらかだ。
最初のうちは、祝いの言葉をかけて来る者、泣き出す者など様々だったが、もうこうなっては当初の目的を覚えている者は居ないだろう。
思えば、誰かの誕生日、年中行事、戦の前夜と勝利後など、事あるごとにこのような宴が催されてきた。
そして大抵、酒宴と化してしまうのだ。
葵はこんなどうしようもない光景でさえ優しく見つめ、嬉しそうに微笑んだ。
――これでこそ、私の大切な思い出のひとつ。いつもと変わらぬ、幸せな時間。皆様、今まで、本当にありがとう、お世話になりました。
葵はそれだけを胸のうちで丁寧に呟き、こっそり退室してしまった。
何故なら、胸が、張り裂けそう。
自室へ戻ると涙が堰を切ったように溢れ出した。
零れて、零れて、止まらない。
「今ならば…」
今なら皆は宴で盛り上がっているはず。
泣き顔を見られるどころか、泣き声を聞かれる心配もないだろう。
すると突然、ふっと温かな温度に包まれた。
「姫様…」
そこには、自分と同じ様に涙を流しているお梅の姿があった。
葵は、そのとき初めて、お梅の涙を目にした。
葵が生まれ、すぐに世話係に任命されたお梅。当時、十歳だった。まだ甘えたい盛りだっただろう。
葵を産んですぐ床に伏せてしまった母の代わりに、母にも劣らぬ愛情をもって、彼女を支え続けたお梅。
優しくて気丈なお梅が見せた、初めての涙。
「姫様…お一人で、さぞかし心細い事でしょう……姫様の御心の内を思えば、例え両の手、両の足が切り落とされようとも、この胸の痛みには勝りますまい」
お梅は、葵をきつく抱きしめ、声を抑えて泣き続けた。それでも漏れ聞こえる嗚咽は、葵の胸を悲しく締め付ける。
本来なら、こちら側から女房を何名か連れて行くのが筋というものだ。しかし、何故かそれを先方が許さなかったらしい。葵は、ただ一人、かの未知の国へと旅立たなければならないのだ。
彼女と離れなければならない悲しみに、葵も声を上げて泣いてしまいたかった。だが、泣けない。泣いてしまえば、きっと決意が揺らぐ。
「お梅、ありがとう」
葵は、お梅を優しく抱き返した。
――私のために泣いてくれて、私を心配してくれて、私を育ててくれて、本当に、ありがとう。
「私はもう大丈夫。立派にお役目を果たして見せるわ。ここを離れても、あの桜の衣を見る度に懐かしい庭の桜を、皆を――お梅を思い出すことが出来る」
「…姫様、どうかこれも持って行って下さいませ」
お梅が手渡したのは、桜の花の簪。
よく見ると、いつもお梅が挿している梅の花の簪に似ている。
「これは…?」
「元々梅と桜、二つ持っていたのです。いずれ姫様へお贈りさせていただこうと思っていたのですが、なかなかきっかけが掴めず……このような折になってしまいました」
そう言って、お梅は困った様に笑った。
「姫様、よくお聞きくださいませ。桜は儚い様で、実はとても強うございます。例え花が散ろうとも、また翌春、美々なる花を咲かせるために、根も葉も幹も、どんな風にも折れることはございません。……ゆめゆめ、お忘れ無きよう」
「…はい」
――今はしばしの別れでございますが、これが永遠の別れでもなし……いずれ貴女様がまこと、美しく花を咲かされたそのときには、無謀と知りつつ再び愛でに参ります。
朝焼けに包まれた部屋で、葵はぽつりと呟いた。
父上に婚姻の旨を告げられたあの日から、あまり眠れていない。
今日も、葵は空がやっと白み始めた早朝に目が覚めてしまった。
それはそれで残された時を充実させることが出来るので、良いのかもしれない。
葵は着替えを済ませ、玉鬘にも劣らぬ程の美しい黒髪に櫛を通した。
墨の様に流れる髪を一束すくってはそれを丁寧に梳いていく。
あまりに静かなこの部屋でこのような作業を繰り返していると、考える必要のないことまで考えてしまう。
今更ながら、何故斎藤殿はこのようなお話を持ちかけられたのだろうか。
葵は直接「斎藤(さいとう)義久(よしひさ)」なる人物に会ったことはなかったが、その知略と武芸の腕によって、当時衰退気味だった斎藤家を僅か数年のうちにここまでの大国にしてしまったのだ。
きっと、想像にも及ばないほどの能力を備えた人物なのだろう。
そのような方が、どうして自分のような何の取り柄もない小娘を娶ろうというのだろうか。
一人考えに耽っていると何処かで鳥の鳴声がした。
その声につられて窓の外に目をやれば、夜はもうすっかり明けきり、爽やかな日の光が辺り一面を照らしている。
今の時間ならば、きっと中庭にて兄が鍛練をしているに違いない。
少し様子を見に行こうか、邪魔にならぬように大人しくしておこうか。考えれば考えるだけ、兄の姿を確かめたくなってしまう。
葵は障子を引き、縁側に出、置いてあった草履を引っかけ、中庭へと降りた。
――――……
少し歩くと、あの咲き誇る桜の木の下で休憩している兄の姿を確認した。
鍛練中ではなかったようで葵は少しだけほっとする。
少し速足で近づくと、政幸も葵に気がつき、柔らかく微笑んだ。
「今日は随分早いな、葵」
「それは私の台詞です。こんなに早くから鍛練だなんて、お体を壊されてしまいます」
「私は大丈夫だ。今日はこのくらいで切り上げようと思っていたところだから」
「そうなのですか」
「葵は朝餉は済ませたのか?」
「いえ、まだ」
「先程お梅が来て、ここまで握り飯を運んで来ると言っていたんだが、葵もどうだ?」
「是非、御一緒させてください!」
――ひらり、ひらり、と桜の花弁が頭上から降りかかり、平和で温かな時を奪ってゆく。
「まぁ、姫様もいらっしゃったのですか!」
しばらくすると、お梅が握り飯を運んで来た。
「あぁ、私が誘ったのだ」
「左様でございますか。それでは握り飯を多めに作っておいて正解でございました」
お梅は木の下で握り飯を広げだした。
不意に葵は幼い頃を思い出した。
――昔もよくこうやって三人で。
「そういえば、姫様」
お梅の声に、はっとする。ぼんやりすることが増えてしまったと、葵は心の内で頬を叩く。
「本日はこれより、おいとま請いの式がございます。暫し休まれたのちご準備にかかりましょう」
「式と言っても、父上と杯を酌み交わしてからは、宴のようなものなのでしょう?」
「はい、まぁ、恐らくは酔っ払いの酒宴になってしまうのでしょうが――姫様は早めに御引き上げなされた方が宜しいかと」
苦笑しながらも、可笑しそうに話すお梅を見て、葵もついつい笑ってしまう。
「それじゃあ、宴が始まるまでは、兄上やお梅と此処でこうしていても良い?」
お梅は一瞬苦しそうに顔を歪めた。しかし、幸か不幸か、葵に気づかれることはなかった。
――――……
――辺りは夜の闇に包まれ、この城だけが唯一明るく浮かび上がっているかのようだ。
沢山の、笑声が聞こえる。
沢山の、笑顔が見える。
なかには、暴れだしている人や、号泣している人も。
昼過ぎに始まったこの宴だが、すでに大半の者が酔い潰れているか、悪酔いしているかのどちらかだ。
最初のうちは、祝いの言葉をかけて来る者、泣き出す者など様々だったが、もうこうなっては当初の目的を覚えている者は居ないだろう。
思えば、誰かの誕生日、年中行事、戦の前夜と勝利後など、事あるごとにこのような宴が催されてきた。
そして大抵、酒宴と化してしまうのだ。
葵はこんなどうしようもない光景でさえ優しく見つめ、嬉しそうに微笑んだ。
――これでこそ、私の大切な思い出のひとつ。いつもと変わらぬ、幸せな時間。皆様、今まで、本当にありがとう、お世話になりました。
葵はそれだけを胸のうちで丁寧に呟き、こっそり退室してしまった。
何故なら、胸が、張り裂けそう。
自室へ戻ると涙が堰を切ったように溢れ出した。
零れて、零れて、止まらない。
「今ならば…」
今なら皆は宴で盛り上がっているはず。
泣き顔を見られるどころか、泣き声を聞かれる心配もないだろう。
すると突然、ふっと温かな温度に包まれた。
「姫様…」
そこには、自分と同じ様に涙を流しているお梅の姿があった。
葵は、そのとき初めて、お梅の涙を目にした。
葵が生まれ、すぐに世話係に任命されたお梅。当時、十歳だった。まだ甘えたい盛りだっただろう。
葵を産んですぐ床に伏せてしまった母の代わりに、母にも劣らぬ愛情をもって、彼女を支え続けたお梅。
優しくて気丈なお梅が見せた、初めての涙。
「姫様…お一人で、さぞかし心細い事でしょう……姫様の御心の内を思えば、例え両の手、両の足が切り落とされようとも、この胸の痛みには勝りますまい」
お梅は、葵をきつく抱きしめ、声を抑えて泣き続けた。それでも漏れ聞こえる嗚咽は、葵の胸を悲しく締め付ける。
本来なら、こちら側から女房を何名か連れて行くのが筋というものだ。しかし、何故かそれを先方が許さなかったらしい。葵は、ただ一人、かの未知の国へと旅立たなければならないのだ。
彼女と離れなければならない悲しみに、葵も声を上げて泣いてしまいたかった。だが、泣けない。泣いてしまえば、きっと決意が揺らぐ。
「お梅、ありがとう」
葵は、お梅を優しく抱き返した。
――私のために泣いてくれて、私を心配してくれて、私を育ててくれて、本当に、ありがとう。
「私はもう大丈夫。立派にお役目を果たして見せるわ。ここを離れても、あの桜の衣を見る度に懐かしい庭の桜を、皆を――お梅を思い出すことが出来る」
「…姫様、どうかこれも持って行って下さいませ」
お梅が手渡したのは、桜の花の簪。
よく見ると、いつもお梅が挿している梅の花の簪に似ている。
「これは…?」
「元々梅と桜、二つ持っていたのです。いずれ姫様へお贈りさせていただこうと思っていたのですが、なかなかきっかけが掴めず……このような折になってしまいました」
そう言って、お梅は困った様に笑った。
「姫様、よくお聞きくださいませ。桜は儚い様で、実はとても強うございます。例え花が散ろうとも、また翌春、美々なる花を咲かせるために、根も葉も幹も、どんな風にも折れることはございません。……ゆめゆめ、お忘れ無きよう」
「…はい」
――今はしばしの別れでございますが、これが永遠の別れでもなし……いずれ貴女様がまこと、美しく花を咲かされたそのときには、無謀と知りつつ再び愛でに参ります。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
楡と葡萄
津蔵坂あけび
歴史・時代
豪農の家系に産まれた川上弥兵衛(かわかみ やへえ)は、幼くして父を亡くし僅か齢七歳で家督を継ぐ。その身の上から母は縁談をしきりに立てていたが、本人はあまり気が進まなかった。やがて周りからは、葡萄の栽培に躍起になっている朴念仁と揶揄される。そして、川上はついには妻を迎えぬまま、殺されてしまうのだった。下手人は、若き麗しき青年。事件の捜査の中で、青年と弥兵衛の悲しい物語の始終が明らかにされてゆく。
下級武士の名の残し方 ~江戸時代の自分史 大友興廃記物語~
黒井丸
歴史・時代
~本作は『大友興廃記』という実在の軍記をもとに、書かれた内容をパズルのように史実に組みこんで作者の一生を創作した時代小説です~
武士の親族として伊勢 津藩に仕える杉谷宗重は武士の至上目的である『家名を残す』ために悩んでいた。
大名と違い、身分の不安定な下級武士ではいつ家が消えてもおかしくない。
そのため『平家物語』などの軍記を書く事で家の由緒を残そうとするがうまくいかない。
方と呼ばれる王道を書けば民衆は喜ぶが、虚飾で得た名声は却って名を汚す事になるだろう。
しかし、正しい事を書いても見向きもされない。
そこで、彼の旧主で豊後佐伯の領主だった佐伯權之助は一計を思いつく。
剣客逓信 ―明治剣戟郵便録―
三條すずしろ
歴史・時代
【第9回歴史・時代小説大賞:痛快! エンタメ剣客賞受賞】
明治6年、警察より早くピストルを装備したのは郵便配達員だった――。
維新の動乱で届くことのなかった手紙や小包。そんな残された思いを配達する「御留郵便御用」の若者と老剣士が、時に不穏な明治の初めをひた走る。
密書や金品を狙う賊を退け大切なものを届ける特命郵便配達人、通称「剣客逓信(けんかくていしん)」。
武装する必要があるほど危険にさらされた初期の郵便時代、二人はやがてさらに大きな動乱に巻き込まれ――。
※エブリスタでも連載中
虹ノ像
おくむらなをし
歴史・時代
明治中期、商家の娘トモと、大火で住処を失ったハルは出逢う。
おっちょこちょいなハルと、どこか冷めているトモは、次第に心を通わせていく。
ふたりの大切なひとときのお話。
◇この物語はフィクションです。全21話、完結済み。
深川猿江五本松 人情縄のれん
高辻 穣太郎
歴史・時代
十代家治公最晩年の江戸。深川の外れ猿江町は、近くを流れる小名木川にまで迫り出した、大名屋敷の五本の松の木から五本松町とも呼ばれていた。この町に十八歳の娘が独りで切り盛りをする、味噌田楽を売り物にした縄のれんが有った。その名は「でん留」。そこには毎日様々な悩みを抱えた常連達が安い酒で一日の憂さを晴らしにやってくる。持ち前の正義感の為に先祖代々の禄を失ったばかりの上州牢人、三村市兵衛はある夜、慣れない日雇い仕事の帰りにでん留に寄る。挫折した若い牢人が、逆境にも負けず明るく日々を生きるお春を始めとした街の人々との触れ合いを通して、少しづつ己の心を取り戻していく様を描く。しかし、十一代家斉公の治世が始まったあくる年の世相は決して明るくなく、日本は空前の大飢饉に見舞われ江戸中に打ちこわしが発生する騒然とした世相に突入してゆく。お春や市兵衛、でん留の客達、そして公儀御先手弓頭、長谷川平蔵らも、否応なしにその大嵐に巻き込まれていくのであった。
(完結はしておりますが、少々、気になった点などは修正を続けさせていただいております:5月9日追記)
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
春分の神事
銀霧の森
歴史・時代
九野鹿という村に、春が嫌いな子供が二人いた。それぞれ理由は違ったが、皆が祝う春分も好きではなかった。自分にしか感じられない、「なにか」のせいで……
二人の主人公の視点で、江戸時代の神事を描く物語。
黄昏の芙蓉
翔子
歴史・時代
本作のあらすじ:
平安の昔、六条町にある呉服問屋の女主として切り盛りしていた・有子は、四人の子供と共に、何不自由なく暮らしていた。
ある日、織物の生地を御所へ献上した折に、時の帝・冷徳天皇に誘拐されてしまい、愛しい子供たちと離れ離れになってしまった。幾度となく抗議をするも聞き届けられず、朝廷側から、店と子供たちを御所が保護する事を条件に出され、有子は泣く泣く後宮に入り帝の妻・更衣となる事を決意した。
御所では、信頼出来る御付きの女官・勾当内侍、帝の中宮・藤壺の宮と出会い、次第に、女性だらけの後宮生活に慣れて行った。ところがそのうち、中宮付きの乳母・藤小路から様々な嫌がらせを受けるなど、徐々に波乱な後宮生活を迎える事になって行く。
※ずいぶん前に書いた小説です。稚拙な文章で申し訳ございませんが、初心の頃を忘れないために修正を加えるつもりも無いことをご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる