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仕事の評価は上の下でも、恋愛はハナマル評価です。
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相変わらず、仕事の話になると厳しい。
「ちなみにS判定は両手に収まる程しかいない。上司でもA-1止まりも存在するし、B判定も存在する。今の世の中、年功序列なんて言ってられないから、公平な判断をするのが俺の役目。勿論、副支配人とも相談した上での最終決定だけどな」
一颯さんも上司に認められ、自分自身の手で這い上がって来た人だから、他の従業員にも公平な判断をしている。駄目な所は思いっきりダメ出しされるけれど、良い所も同じ様に思いっきり褒めてくれる。従業員一人、一人を良く見てくれているのが良く分かる。一日に一度、各部署に顔を出すのは様子を伺う為だ。
「恵里奈は仕事続けたい?」
「え?あ、はい。今が楽しいんで続けたいです!」
一颯さんが柔らかな表情で私に問いかけた。
「そっか……。じゃあ、奥さんになってくれる日はまだ先か…」
「ん?仕事辞めたら奥さんになれるのですか?」
「いや、仕事してても奥さんにしたいけど…、今の状況で結婚しても、どちらかが違うホテルに行くか、辞めるかだからな……。二人で辞めて一条様のホテルにお世話になるのも有りかな?」
現社会において社内恋愛とは難しく、それがまだ同僚とかだったら良かったのだけれども……。一颯さんも独身でお互いに好き同士なのに、ホテルの最高管理者の総支配人との結婚ともなれば、話は違ってくる。私が一颯さんの重荷になってはいけないのだ。
「副支配人にバレたとしても易々と言いふらすような人じゃないし、それを理由に勝ち上がる人でもないが…万が一、違う方面からバレる可能性もある。真っ先に恵里奈を選びたいが俺が仕事を辞めたとしたら、恵里奈を養えない。だから、恵里奈が本当に結婚しても良いって思える日まで待ってるよ。その日まで最善策を考えよう」
「はい。私も副支配人は信用してますし、一颯さんにも仕事を辞めて欲しくないです。築きあげた地位を私の為に簡単に捨てるなら、その時は私は身を引きますから。だから、お仕事は辞めないで下さいね!私ももう少しだけ一颯さんとも皆ともお仕事したいし……!」
私は一颯さんを見つけながら、気持ちを精一杯にぶつける。そんな私を見て、失礼極まりない位に一颯さんが笑っている。
「…っはは、俺も簡単に恵里奈が仕事辞めるって言ったらどうしようかと思ってた。そうだな、俺も両方、手に入れたいのが本音。恵里奈も地位も名誉も。支配人として、理想のホテルを築きあげたいから」
私が知らない年月に一颯さんの努力が形として実ったのが、総支配人としての立場だ。私如きで失って欲しくない。そして、私如きで手放すのは野心家の一颯さんらしくない。
「だから、その時を楽しみに待つよ。近い内に恵里奈の御両親に結婚前提のお付き合いをしていると挨拶に行くから。……恵里奈、顔が真っ赤!」
「だ、だって、一颯さんの奥さんになるって想像したら恥ずかしい」
「何で?」
「一颯さんちに挨拶に伺ったり、私もお姉さんの妹になったり、うちの両親や友達にも一颯さんをお披露目したり、ウェディングドレス着たり、そして双子ちゃんが産まれるんですよね……!私がママになるって……!」
「一瞬でそこまで想像したの?恵里奈はたまに自分の世界に入り込む時があるよね」
一颯さんはクスクスと笑いながら、私の肩を抱き寄せてくれる。
「双子ちゃんが産まれるって決定ではないけど、俺は女の子の双子がいーなー」
「男の子でも女の子でも双子ちゃんだったら、お揃いの洋服を着せるのが夢です」
「早く会いたいな、双子ちゃん達に……って、まだ火照りが消えないの?」
「だって、だって、一颯さんがパパだなんてカッコ良すぎる……!」
一颯さんが赤ちゃんを抱っこしているとか、子供と手を繋いでいるとか想像だけで破壊力抜群です。火照り過ぎて真っ赤な顔を両手で覆い隠した。
未知の世界を想像するのは、気恥づかしいが楽しくもある。一颯さんに顔から両手を剥がされ、顎をくいっと持ち上げられる。
「そう言えば、恵里奈ちゃんは俺が休みの日にしか来ないんじゃなかった?」
「きょ、今日は非常事態だから相談しに来ただけですっ」
「ふぅん?随分と大荷物な感じはするけど…。寮まで送って行こうか?」
「相変わらず意地悪ですね!……でも、ワイン飲んでるから無理でしょ!飲酒運転になっちゃう…。……っん、」
「じゃあ、泊まって行って」
優しいキス。一颯さんに迷惑をかけないようにと決めた傍から、副支配人に見つかってしまう。副支配人の件を理由に泊まり前提で一颯さんちに上がり込んでしまった。
一日も自分で作った決まり事が守れないなんて、私は最低だ。一颯さんにそう伝えたら、「毎日守らなくて良いよ」って言って抱き締めてくれたけれど、優しさに甘え過ぎてはいけない。
一颯さんと一緒に仕事もしたいし、お付き合いもしていきたい。まずは社内恋愛の秘密を守り通し、一颯さんの体調管理にも気をつけよう───……
「ちなみにS判定は両手に収まる程しかいない。上司でもA-1止まりも存在するし、B判定も存在する。今の世の中、年功序列なんて言ってられないから、公平な判断をするのが俺の役目。勿論、副支配人とも相談した上での最終決定だけどな」
一颯さんも上司に認められ、自分自身の手で這い上がって来た人だから、他の従業員にも公平な判断をしている。駄目な所は思いっきりダメ出しされるけれど、良い所も同じ様に思いっきり褒めてくれる。従業員一人、一人を良く見てくれているのが良く分かる。一日に一度、各部署に顔を出すのは様子を伺う為だ。
「恵里奈は仕事続けたい?」
「え?あ、はい。今が楽しいんで続けたいです!」
一颯さんが柔らかな表情で私に問いかけた。
「そっか……。じゃあ、奥さんになってくれる日はまだ先か…」
「ん?仕事辞めたら奥さんになれるのですか?」
「いや、仕事してても奥さんにしたいけど…、今の状況で結婚しても、どちらかが違うホテルに行くか、辞めるかだからな……。二人で辞めて一条様のホテルにお世話になるのも有りかな?」
現社会において社内恋愛とは難しく、それがまだ同僚とかだったら良かったのだけれども……。一颯さんも独身でお互いに好き同士なのに、ホテルの最高管理者の総支配人との結婚ともなれば、話は違ってくる。私が一颯さんの重荷になってはいけないのだ。
「副支配人にバレたとしても易々と言いふらすような人じゃないし、それを理由に勝ち上がる人でもないが…万が一、違う方面からバレる可能性もある。真っ先に恵里奈を選びたいが俺が仕事を辞めたとしたら、恵里奈を養えない。だから、恵里奈が本当に結婚しても良いって思える日まで待ってるよ。その日まで最善策を考えよう」
「はい。私も副支配人は信用してますし、一颯さんにも仕事を辞めて欲しくないです。築きあげた地位を私の為に簡単に捨てるなら、その時は私は身を引きますから。だから、お仕事は辞めないで下さいね!私ももう少しだけ一颯さんとも皆ともお仕事したいし……!」
私は一颯さんを見つけながら、気持ちを精一杯にぶつける。そんな私を見て、失礼極まりない位に一颯さんが笑っている。
「…っはは、俺も簡単に恵里奈が仕事辞めるって言ったらどうしようかと思ってた。そうだな、俺も両方、手に入れたいのが本音。恵里奈も地位も名誉も。支配人として、理想のホテルを築きあげたいから」
私が知らない年月に一颯さんの努力が形として実ったのが、総支配人としての立場だ。私如きで失って欲しくない。そして、私如きで手放すのは野心家の一颯さんらしくない。
「だから、その時を楽しみに待つよ。近い内に恵里奈の御両親に結婚前提のお付き合いをしていると挨拶に行くから。……恵里奈、顔が真っ赤!」
「だ、だって、一颯さんの奥さんになるって想像したら恥ずかしい」
「何で?」
「一颯さんちに挨拶に伺ったり、私もお姉さんの妹になったり、うちの両親や友達にも一颯さんをお披露目したり、ウェディングドレス着たり、そして双子ちゃんが産まれるんですよね……!私がママになるって……!」
「一瞬でそこまで想像したの?恵里奈はたまに自分の世界に入り込む時があるよね」
一颯さんはクスクスと笑いながら、私の肩を抱き寄せてくれる。
「双子ちゃんが産まれるって決定ではないけど、俺は女の子の双子がいーなー」
「男の子でも女の子でも双子ちゃんだったら、お揃いの洋服を着せるのが夢です」
「早く会いたいな、双子ちゃん達に……って、まだ火照りが消えないの?」
「だって、だって、一颯さんがパパだなんてカッコ良すぎる……!」
一颯さんが赤ちゃんを抱っこしているとか、子供と手を繋いでいるとか想像だけで破壊力抜群です。火照り過ぎて真っ赤な顔を両手で覆い隠した。
未知の世界を想像するのは、気恥づかしいが楽しくもある。一颯さんに顔から両手を剥がされ、顎をくいっと持ち上げられる。
「そう言えば、恵里奈ちゃんは俺が休みの日にしか来ないんじゃなかった?」
「きょ、今日は非常事態だから相談しに来ただけですっ」
「ふぅん?随分と大荷物な感じはするけど…。寮まで送って行こうか?」
「相変わらず意地悪ですね!……でも、ワイン飲んでるから無理でしょ!飲酒運転になっちゃう…。……っん、」
「じゃあ、泊まって行って」
優しいキス。一颯さんに迷惑をかけないようにと決めた傍から、副支配人に見つかってしまう。副支配人の件を理由に泊まり前提で一颯さんちに上がり込んでしまった。
一日も自分で作った決まり事が守れないなんて、私は最低だ。一颯さんにそう伝えたら、「毎日守らなくて良いよ」って言って抱き締めてくれたけれど、優しさに甘え過ぎてはいけない。
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2021.08.13
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