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社内恋愛の事情を知ってしまいました!

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「……でも、もう終わりにしなきゃな。
吉沢にとって、良い友達で居るのはやめる。俺だって男だって事、分からせてやる」

ニヤリ、と笑った高見沢さんは普段通りに自信が満ち溢れていた。空元気かもしれないが、最大限のエールを送ろう。

「高見沢さん、ファイトです!全力でぶつかって来て下さい!」

「うん、なんとか頑張ってみるよ」

高見沢さんは柔らかい笑顔を残し、次の仕事のノルマへと向かった。私にはただ見守る事しか出来ないけれど…良い結果になるように祈るばかり───……

「あれ?星野さん!お疲れ様です」

「お疲れ様、篠宮さん。急遽、ヘルプに来たんだ」

ルームサービスに使うシャンパンを取りにエグゼクティブフロアのレストランに取りに行くと星野さんに出会った。

「吉沢さんが体調が悪くて早退してしまったんだって。熱が出ちゃったって言うから、心配だよね」

「えー、熱が出ちゃったんですか!」

朝は元気そうだったけれど、もしかしたら本当は体調が悪かったのかもしれない。そんな時に私は……。

「寮に帰ったら、様子見てあげてくれる?篠宮さんは吉沢さんと仲が良いから…」

「はい、任せて下さい!メッセージも入れてみます」

とりあえずは高見沢さんにも伝えて、メッセージ入れて、何か食べられそうだったら買って行こう。早く上がれると良いんだけどな……。

私は星野さんの元から離れて、自分の仕事に取り掛かる。ルームサービスを終えて、高見沢さんに会った時に吉沢さんの件を伝えた。高見沢さんは取り乱す様子はなく、「分かった」とだけ言った。

仕事終わりに吉沢さんの部屋に寄って行こうと思っていたけれど、メッセージの返信はなかった。一先ず、食べれるかは分からないがプリンやスポーツドリンクなどを購入してから向かう事にした。

コンビニで色々とカゴに入れていると高見沢さんが現れて、カゴを取り上げられる。

「アイツと連絡が取れない。コレは俺が支払いするから、一緒に行っても良いか?」

「私のも入ってるし、自分で払いますって!」

「全部まとめて買ってやるから、必要な物は入れな」

断固として意見を曲げずに支払うと言うので、お言葉に甘えてしまった。私のスイーツやお茶なども入っていたのに。

高見沢さんにお礼を言って、吉沢さんの部屋まで歩く。吉沢さんは高見沢さんにも連絡はしなかったようで、心配が募る。

大丈夫かな?熱が高く出てるのかな……。

吉沢さんの部屋に着いてチャイムを押しても、出なかった。寝てたら申し訳ないと思いつつ、体調の確認だけはしたかったので何度か押した。

「………はい」

フラフラしている吉沢さんが玄関まで来て、今にも倒れそうだった。

「ごめんなさい、体調悪いのにお邪魔して。熱が高そうですね…」

「扁桃腺が腫れちゃってて…。疲れている時とかに熱出ちゃうの…」

「お大事にして下さいね。高見沢さんが色々と買って来てくれたから、冷蔵庫に入れさせて下さい!……はい、高見沢さん、入れてきて下さい!私は帰らなきゃいけないので…!」

私は玄関先に男性物の靴が置いてないか確認してから、高見沢さんを無理やりに部屋に押し込んで、吉沢さん宅を後にした。

お節介が過ぎたかもしれないが、二人きりになるには今しかないもの!こんなに弱ってても吉沢さんの彼氏は忙しさを理由に現れない。

高見沢さんの背中を押してあげられる絶好のチャンスは今しかないんだ。二人が友達に戻るにしても、恋人に昇格するにしても、チャンスがなければなり得ない。男女の友情って、こじれたら厄介で修復しにくいのかな?そこに恋愛が絡むと修復は不可能かもしれない。私には何でも話せる男友達が居ないから、良くは分からないけれど……。

高見沢さんに買って貰ったスイーツとお茶などが入っている袋を持ち、自分の部屋まで歩く。今日は一颯さんの所には行かない事にしたから、一人でのんびりしようかな~なんて思っていたのだけれど、帰ったら高見沢さんからメッセージが届いていた。

"明日、急だけど休んでいい?
吉沢が熱下がらないから、病院連れて行く。ロイヤルスイートは一件しか居ないし、俺は外れてるから大丈夫だよね?"

"あとはよろしく"

───うん、そういう事情なら大丈夫。頑張ります!高見沢さんにも頑張って欲しい。高見沢さんの気持ちが吉沢さんに届きますように……。


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