41 / 70
社内恋愛の事情を知ってしまいました!
4
しおりを挟む
「……でも、もう終わりにしなきゃな。
吉沢にとって、良い友達で居るのはやめる。俺だって男だって事、分からせてやる」
ニヤリ、と笑った高見沢さんは普段通りに自信が満ち溢れていた。空元気かもしれないが、最大限のエールを送ろう。
「高見沢さん、ファイトです!全力でぶつかって来て下さい!」
「うん、なんとか頑張ってみるよ」
高見沢さんは柔らかい笑顔を残し、次の仕事のノルマへと向かった。私にはただ見守る事しか出来ないけれど…良い結果になるように祈るばかり───……
「あれ?星野さん!お疲れ様です」
「お疲れ様、篠宮さん。急遽、ヘルプに来たんだ」
ルームサービスに使うシャンパンを取りにエグゼクティブフロアのレストランに取りに行くと星野さんに出会った。
「吉沢さんが体調が悪くて早退してしまったんだって。熱が出ちゃったって言うから、心配だよね」
「えー、熱が出ちゃったんですか!」
朝は元気そうだったけれど、もしかしたら本当は体調が悪かったのかもしれない。そんな時に私は……。
「寮に帰ったら、様子見てあげてくれる?篠宮さんは吉沢さんと仲が良いから…」
「はい、任せて下さい!メッセージも入れてみます」
とりあえずは高見沢さんにも伝えて、メッセージ入れて、何か食べられそうだったら買って行こう。早く上がれると良いんだけどな……。
私は星野さんの元から離れて、自分の仕事に取り掛かる。ルームサービスを終えて、高見沢さんに会った時に吉沢さんの件を伝えた。高見沢さんは取り乱す様子はなく、「分かった」とだけ言った。
仕事終わりに吉沢さんの部屋に寄って行こうと思っていたけれど、メッセージの返信はなかった。一先ず、食べれるかは分からないがプリンやスポーツドリンクなどを購入してから向かう事にした。
コンビニで色々とカゴに入れていると高見沢さんが現れて、カゴを取り上げられる。
「アイツと連絡が取れない。コレは俺が支払いするから、一緒に行っても良いか?」
「私のも入ってるし、自分で払いますって!」
「全部まとめて買ってやるから、必要な物は入れな」
断固として意見を曲げずに支払うと言うので、お言葉に甘えてしまった。私のスイーツやお茶なども入っていたのに。
高見沢さんにお礼を言って、吉沢さんの部屋まで歩く。吉沢さんは高見沢さんにも連絡はしなかったようで、心配が募る。
大丈夫かな?熱が高く出てるのかな……。
吉沢さんの部屋に着いてチャイムを押しても、出なかった。寝てたら申し訳ないと思いつつ、体調の確認だけはしたかったので何度か押した。
「………はい」
フラフラしている吉沢さんが玄関まで来て、今にも倒れそうだった。
「ごめんなさい、体調悪いのにお邪魔して。熱が高そうですね…」
「扁桃腺が腫れちゃってて…。疲れている時とかに熱出ちゃうの…」
「お大事にして下さいね。高見沢さんが色々と買って来てくれたから、冷蔵庫に入れさせて下さい!……はい、高見沢さん、入れてきて下さい!私は帰らなきゃいけないので…!」
私は玄関先に男性物の靴が置いてないか確認してから、高見沢さんを無理やりに部屋に押し込んで、吉沢さん宅を後にした。
お節介が過ぎたかもしれないが、二人きりになるには今しかないもの!こんなに弱ってても吉沢さんの彼氏は忙しさを理由に現れない。
高見沢さんの背中を押してあげられる絶好のチャンスは今しかないんだ。二人が友達に戻るにしても、恋人に昇格するにしても、チャンスがなければなり得ない。男女の友情って、こじれたら厄介で修復しにくいのかな?そこに恋愛が絡むと修復は不可能かもしれない。私には何でも話せる男友達が居ないから、良くは分からないけれど……。
高見沢さんに買って貰ったスイーツとお茶などが入っている袋を持ち、自分の部屋まで歩く。今日は一颯さんの所には行かない事にしたから、一人でのんびりしようかな~なんて思っていたのだけれど、帰ったら高見沢さんからメッセージが届いていた。
"明日、急だけど休んでいい?
吉沢が熱下がらないから、病院連れて行く。ロイヤルスイートは一件しか居ないし、俺は外れてるから大丈夫だよね?"
"あとはよろしく"
───うん、そういう事情なら大丈夫。頑張ります!高見沢さんにも頑張って欲しい。高見沢さんの気持ちが吉沢さんに届きますように……。
吉沢にとって、良い友達で居るのはやめる。俺だって男だって事、分からせてやる」
ニヤリ、と笑った高見沢さんは普段通りに自信が満ち溢れていた。空元気かもしれないが、最大限のエールを送ろう。
「高見沢さん、ファイトです!全力でぶつかって来て下さい!」
「うん、なんとか頑張ってみるよ」
高見沢さんは柔らかい笑顔を残し、次の仕事のノルマへと向かった。私にはただ見守る事しか出来ないけれど…良い結果になるように祈るばかり───……
「あれ?星野さん!お疲れ様です」
「お疲れ様、篠宮さん。急遽、ヘルプに来たんだ」
ルームサービスに使うシャンパンを取りにエグゼクティブフロアのレストランに取りに行くと星野さんに出会った。
「吉沢さんが体調が悪くて早退してしまったんだって。熱が出ちゃったって言うから、心配だよね」
「えー、熱が出ちゃったんですか!」
朝は元気そうだったけれど、もしかしたら本当は体調が悪かったのかもしれない。そんな時に私は……。
「寮に帰ったら、様子見てあげてくれる?篠宮さんは吉沢さんと仲が良いから…」
「はい、任せて下さい!メッセージも入れてみます」
とりあえずは高見沢さんにも伝えて、メッセージ入れて、何か食べられそうだったら買って行こう。早く上がれると良いんだけどな……。
私は星野さんの元から離れて、自分の仕事に取り掛かる。ルームサービスを終えて、高見沢さんに会った時に吉沢さんの件を伝えた。高見沢さんは取り乱す様子はなく、「分かった」とだけ言った。
仕事終わりに吉沢さんの部屋に寄って行こうと思っていたけれど、メッセージの返信はなかった。一先ず、食べれるかは分からないがプリンやスポーツドリンクなどを購入してから向かう事にした。
コンビニで色々とカゴに入れていると高見沢さんが現れて、カゴを取り上げられる。
「アイツと連絡が取れない。コレは俺が支払いするから、一緒に行っても良いか?」
「私のも入ってるし、自分で払いますって!」
「全部まとめて買ってやるから、必要な物は入れな」
断固として意見を曲げずに支払うと言うので、お言葉に甘えてしまった。私のスイーツやお茶なども入っていたのに。
高見沢さんにお礼を言って、吉沢さんの部屋まで歩く。吉沢さんは高見沢さんにも連絡はしなかったようで、心配が募る。
大丈夫かな?熱が高く出てるのかな……。
吉沢さんの部屋に着いてチャイムを押しても、出なかった。寝てたら申し訳ないと思いつつ、体調の確認だけはしたかったので何度か押した。
「………はい」
フラフラしている吉沢さんが玄関まで来て、今にも倒れそうだった。
「ごめんなさい、体調悪いのにお邪魔して。熱が高そうですね…」
「扁桃腺が腫れちゃってて…。疲れている時とかに熱出ちゃうの…」
「お大事にして下さいね。高見沢さんが色々と買って来てくれたから、冷蔵庫に入れさせて下さい!……はい、高見沢さん、入れてきて下さい!私は帰らなきゃいけないので…!」
私は玄関先に男性物の靴が置いてないか確認してから、高見沢さんを無理やりに部屋に押し込んで、吉沢さん宅を後にした。
お節介が過ぎたかもしれないが、二人きりになるには今しかないもの!こんなに弱ってても吉沢さんの彼氏は忙しさを理由に現れない。
高見沢さんの背中を押してあげられる絶好のチャンスは今しかないんだ。二人が友達に戻るにしても、恋人に昇格するにしても、チャンスがなければなり得ない。男女の友情って、こじれたら厄介で修復しにくいのかな?そこに恋愛が絡むと修復は不可能かもしれない。私には何でも話せる男友達が居ないから、良くは分からないけれど……。
高見沢さんに買って貰ったスイーツとお茶などが入っている袋を持ち、自分の部屋まで歩く。今日は一颯さんの所には行かない事にしたから、一人でのんびりしようかな~なんて思っていたのだけれど、帰ったら高見沢さんからメッセージが届いていた。
"明日、急だけど休んでいい?
吉沢が熱下がらないから、病院連れて行く。ロイヤルスイートは一件しか居ないし、俺は外れてるから大丈夫だよね?"
"あとはよろしく"
───うん、そういう事情なら大丈夫。頑張ります!高見沢さんにも頑張って欲しい。高見沢さんの気持ちが吉沢さんに届きますように……。
1
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる