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社内恋愛の事情を知ってしまいました!

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高見沢さんの機嫌が非常に悪い。一条様が帰ってからずっとだ。忙しかった年末年始もこの調子だったので、勇気を出して尋ねてみる事にした。

「お疲れ様です。高見沢さん、毎日、機嫌が悪そうですけど…私、何かしました?」

バトラーの指示待ちの待機中に尋ねてみたら、鋭い目付きで睨みながら、

「………したよね、かーなーり、ショックで立ち直れない」

と言ってきた。

「すみません…、えっと思い当たる点は何個かありますが、どれか分からないので面と向かって言って下さい!何をしてしまったんでしょうか…」

恐る恐る確認してみる。高見沢さんは本の少しだけ沈黙した後に話し出した。

「既に一颯君と付き合ってたんでしょ?一条様が関係性に気付いて一颯君に確認したら、一颯君が認めてた」

「……実はそうなんです。秘密だったから、言えなくてごめんなさい」

「薄々は気付いてたけどね。あんたが一颯君を気にしているのも、一颯君があんたを気にしているのも、辻褄があったから。……ショックなのは一颯君が俺にも秘密にしていて、その相手があんただったって事!」

「……私なんかですみません、本当に」

「年相応の仕事の出来るキャリアウーマンならともかく、あんたみたいな出来損ないだなんてショックで仕方ない!あんたの取り柄なんて、顔が可愛いぐらいしかないんだから!」

相当の言われようだな、私。

「とにかく、俺は認めないからな!来月の公休日を一緒にしてくれって一颯君に頼まれたからするけど、あんたの為じゃないからね!肝に銘じておくように!」

「はい、有難う御座います!」

「そのニコニコがイライラする~!一颯君と一緒の公休にするからって急に嬉しそうにするな!」

高見沢さんは言ってる事はキツイけれど、根は優しいんだよなぁ。一颯さんとの関係はまだまだ認めては貰えそうにないけれど……。

「あ、居た!高見沢、ルームサービスの皿をひっくり返したと聞いたが大丈夫か?体調悪いなら業務を交代して貰うか?」

「前菜の皿、及びグラスを破損してしまいました。お客様にも御迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした」

一颯さんが高見沢さんを探して、バトラーの待機室まで来た。高見沢さんが深々と頭を下げたら、一颯さんは「気にするな」と言って頭を撫でた。いつも完璧な高見沢さんでもミスをする事があるんだな。今日はロイヤルスイートの担当ではないので、高見沢さんの行動は把握していなかったりする。

「お客様も怒ってないし、逆に高見沢に怪我がないか心配されてた」

「大丈夫。この通り、元気だよ」

一颯さんは報告があった不手際について、客室のお客様に謝りに行って来た帰り際。高見沢さんも一颯さんの顔を見ると平常心に戻るらしく、笑顔が見られた。高見沢さんが再び口を開くとフランス語?で話し始めた。

「一颯君、この際だからはっきりしたいんだけど…、この子のどこが良いの?」

「………全部、愛してる。一生懸命なところも強がりなところも、可愛さが溢れているところも、ベッドの中では必死にしがみついてくるところも含めて全部、愛してる」

一颯さんはフランス語?で淡々と返していたけれど、高見沢さんは顔が赤くなった。

「一颯君、良くもまぁ…恥ずかしげもなく…そんな事が言えるね…」

「うん、日本語じゃないからね」

会話の内容は分からないが、話が丸く収まったのか、一颯さんはクスクスと笑っていて高見沢さんは根負けしたようで苦笑いをしていた。

「何を話していたんですか?」

「内緒!あんたが図に乗るから絶対、教えない!」

「高見沢さんはケチですねぇ」

私には直ぐにプイッてして、可愛くないんだよね。一颯さんには犬っころみたいに、嬉しくて尻尾振ったみたいな態度を取るくせに。

私は仕事帰りに一颯さんの部屋に寄ったが、一颯さんも教えてくれなくて二人だけの秘密らしいが聞きたくて粘る。

「……二人が話してたのはフランス語ですか?聞き取れないように、わざとフランス語で話していたなら、取り残された様で寂しいです」

一颯さんは私の隣に座り、ノートPCで持ち帰りの仕事をこなしていた。

「そんなに聞きたいの?恵里奈のどこが良いって聞かれたんだけどね…、」

お風呂上がりに飲んでいた紅茶のティーカップを両手で握りしめていた私の耳元で、英語で話してくれた。

「……聞き取れた?」

「…ゔ、何ですか!何で恥ずかしげもなく、そんな恥ずかしい事を言ったんですか!ベッドの中って……!!」

「本当の事だから」

しれっとしているけれど、明日から高見沢さんにどう接したら良いのか悩む。聞かなきゃ良かったな……。一颯さんはパタン、とノートPCの画面を閉じて
「確かめてみる?ベッドの中での恵里奈の件」と言って、ティーカップを手から奪われてテーブルに置かれた。

「……一颯さん、明日は早いって言ってたでしょ!だから、早く寝て下さい!」

「恵里奈が遅番だから大丈夫」

「そーゆー問題じゃないんです!疲れてるんだから、ゆっくり寝て下さい」

「……恵里奈が居ないとゆっくり寝れない…」

「……っもう!仕方ないですね」

職場では仕事の鬼なんだけれど、二人きりの時は甘えてきたりする。そのギャップに胸がキュンキュンしたりして、深みにハマっていく。





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