38 / 70
社内恋愛の事情を知ってしまいました!
1
しおりを挟む
高見沢さんの機嫌が非常に悪い。一条様が帰ってからずっとだ。忙しかった年末年始もこの調子だったので、勇気を出して尋ねてみる事にした。
「お疲れ様です。高見沢さん、毎日、機嫌が悪そうですけど…私、何かしました?」
バトラーの指示待ちの待機中に尋ねてみたら、鋭い目付きで睨みながら、
「………したよね、かーなーり、ショックで立ち直れない」
と言ってきた。
「すみません…、えっと思い当たる点は何個かありますが、どれか分からないので面と向かって言って下さい!何をしてしまったんでしょうか…」
恐る恐る確認してみる。高見沢さんは本の少しだけ沈黙した後に話し出した。
「既に一颯君と付き合ってたんでしょ?一条様が関係性に気付いて一颯君に確認したら、一颯君が認めてた」
「……実はそうなんです。秘密だったから、言えなくてごめんなさい」
「薄々は気付いてたけどね。あんたが一颯君を気にしているのも、一颯君があんたを気にしているのも、辻褄があったから。……ショックなのは一颯君が俺にも秘密にしていて、その相手があんただったって事!」
「……私なんかですみません、本当に」
「年相応の仕事の出来るキャリアウーマンならともかく、あんたみたいな出来損ないだなんてショックで仕方ない!あんたの取り柄なんて、顔が可愛いぐらいしかないんだから!」
相当の言われようだな、私。
「とにかく、俺は認めないからな!来月の公休日を一緒にしてくれって一颯君に頼まれたからするけど、あんたの為じゃないからね!肝に銘じておくように!」
「はい、有難う御座います!」
「そのニコニコがイライラする~!一颯君と一緒の公休にするからって急に嬉しそうにするな!」
高見沢さんは言ってる事はキツイけれど、根は優しいんだよなぁ。一颯さんとの関係はまだまだ認めては貰えそうにないけれど……。
「あ、居た!高見沢、ルームサービスの皿をひっくり返したと聞いたが大丈夫か?体調悪いなら業務を交代して貰うか?」
「前菜の皿、及びグラスを破損してしまいました。お客様にも御迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした」
一颯さんが高見沢さんを探して、バトラーの待機室まで来た。高見沢さんが深々と頭を下げたら、一颯さんは「気にするな」と言って頭を撫でた。いつも完璧な高見沢さんでもミスをする事があるんだな。今日はロイヤルスイートの担当ではないので、高見沢さんの行動は把握していなかったりする。
「お客様も怒ってないし、逆に高見沢に怪我がないか心配されてた」
「大丈夫。この通り、元気だよ」
一颯さんは報告があった不手際について、客室のお客様に謝りに行って来た帰り際。高見沢さんも一颯さんの顔を見ると平常心に戻るらしく、笑顔が見られた。高見沢さんが再び口を開くとフランス語?で話し始めた。
「一颯君、この際だからはっきりしたいんだけど…、この子のどこが良いの?」
「………全部、愛してる。一生懸命なところも強がりなところも、可愛さが溢れているところも、ベッドの中では必死にしがみついてくるところも含めて全部、愛してる」
一颯さんはフランス語?で淡々と返していたけれど、高見沢さんは顔が赤くなった。
「一颯君、良くもまぁ…恥ずかしげもなく…そんな事が言えるね…」
「うん、日本語じゃないからね」
会話の内容は分からないが、話が丸く収まったのか、一颯さんはクスクスと笑っていて高見沢さんは根負けしたようで苦笑いをしていた。
「何を話していたんですか?」
「内緒!あんたが図に乗るから絶対、教えない!」
「高見沢さんはケチですねぇ」
私には直ぐにプイッてして、可愛くないんだよね。一颯さんには犬っころみたいに、嬉しくて尻尾振ったみたいな態度を取るくせに。
私は仕事帰りに一颯さんの部屋に寄ったが、一颯さんも教えてくれなくて二人だけの秘密らしいが聞きたくて粘る。
「……二人が話してたのはフランス語ですか?聞き取れないように、わざとフランス語で話していたなら、取り残された様で寂しいです」
一颯さんは私の隣に座り、ノートPCで持ち帰りの仕事をこなしていた。
「そんなに聞きたいの?恵里奈のどこが良いって聞かれたんだけどね…、」
お風呂上がりに飲んでいた紅茶のティーカップを両手で握りしめていた私の耳元で、英語で話してくれた。
「……聞き取れた?」
「…ゔ、何ですか!何で恥ずかしげもなく、そんな恥ずかしい事を言ったんですか!ベッドの中って……!!」
「本当の事だから」
しれっとしているけれど、明日から高見沢さんにどう接したら良いのか悩む。聞かなきゃ良かったな……。一颯さんはパタン、とノートPCの画面を閉じて
「確かめてみる?ベッドの中での恵里奈の件」と言って、ティーカップを手から奪われてテーブルに置かれた。
「……一颯さん、明日は早いって言ってたでしょ!だから、早く寝て下さい!」
「恵里奈が遅番だから大丈夫」
「そーゆー問題じゃないんです!疲れてるんだから、ゆっくり寝て下さい」
「……恵里奈が居ないとゆっくり寝れない…」
「……っもう!仕方ないですね」
職場では仕事の鬼なんだけれど、二人きりの時は甘えてきたりする。そのギャップに胸がキュンキュンしたりして、深みにハマっていく。
「お疲れ様です。高見沢さん、毎日、機嫌が悪そうですけど…私、何かしました?」
バトラーの指示待ちの待機中に尋ねてみたら、鋭い目付きで睨みながら、
「………したよね、かーなーり、ショックで立ち直れない」
と言ってきた。
「すみません…、えっと思い当たる点は何個かありますが、どれか分からないので面と向かって言って下さい!何をしてしまったんでしょうか…」
恐る恐る確認してみる。高見沢さんは本の少しだけ沈黙した後に話し出した。
「既に一颯君と付き合ってたんでしょ?一条様が関係性に気付いて一颯君に確認したら、一颯君が認めてた」
「……実はそうなんです。秘密だったから、言えなくてごめんなさい」
「薄々は気付いてたけどね。あんたが一颯君を気にしているのも、一颯君があんたを気にしているのも、辻褄があったから。……ショックなのは一颯君が俺にも秘密にしていて、その相手があんただったって事!」
「……私なんかですみません、本当に」
「年相応の仕事の出来るキャリアウーマンならともかく、あんたみたいな出来損ないだなんてショックで仕方ない!あんたの取り柄なんて、顔が可愛いぐらいしかないんだから!」
相当の言われようだな、私。
「とにかく、俺は認めないからな!来月の公休日を一緒にしてくれって一颯君に頼まれたからするけど、あんたの為じゃないからね!肝に銘じておくように!」
「はい、有難う御座います!」
「そのニコニコがイライラする~!一颯君と一緒の公休にするからって急に嬉しそうにするな!」
高見沢さんは言ってる事はキツイけれど、根は優しいんだよなぁ。一颯さんとの関係はまだまだ認めては貰えそうにないけれど……。
「あ、居た!高見沢、ルームサービスの皿をひっくり返したと聞いたが大丈夫か?体調悪いなら業務を交代して貰うか?」
「前菜の皿、及びグラスを破損してしまいました。お客様にも御迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした」
一颯さんが高見沢さんを探して、バトラーの待機室まで来た。高見沢さんが深々と頭を下げたら、一颯さんは「気にするな」と言って頭を撫でた。いつも完璧な高見沢さんでもミスをする事があるんだな。今日はロイヤルスイートの担当ではないので、高見沢さんの行動は把握していなかったりする。
「お客様も怒ってないし、逆に高見沢に怪我がないか心配されてた」
「大丈夫。この通り、元気だよ」
一颯さんは報告があった不手際について、客室のお客様に謝りに行って来た帰り際。高見沢さんも一颯さんの顔を見ると平常心に戻るらしく、笑顔が見られた。高見沢さんが再び口を開くとフランス語?で話し始めた。
「一颯君、この際だからはっきりしたいんだけど…、この子のどこが良いの?」
「………全部、愛してる。一生懸命なところも強がりなところも、可愛さが溢れているところも、ベッドの中では必死にしがみついてくるところも含めて全部、愛してる」
一颯さんはフランス語?で淡々と返していたけれど、高見沢さんは顔が赤くなった。
「一颯君、良くもまぁ…恥ずかしげもなく…そんな事が言えるね…」
「うん、日本語じゃないからね」
会話の内容は分からないが、話が丸く収まったのか、一颯さんはクスクスと笑っていて高見沢さんは根負けしたようで苦笑いをしていた。
「何を話していたんですか?」
「内緒!あんたが図に乗るから絶対、教えない!」
「高見沢さんはケチですねぇ」
私には直ぐにプイッてして、可愛くないんだよね。一颯さんには犬っころみたいに、嬉しくて尻尾振ったみたいな態度を取るくせに。
私は仕事帰りに一颯さんの部屋に寄ったが、一颯さんも教えてくれなくて二人だけの秘密らしいが聞きたくて粘る。
「……二人が話してたのはフランス語ですか?聞き取れないように、わざとフランス語で話していたなら、取り残された様で寂しいです」
一颯さんは私の隣に座り、ノートPCで持ち帰りの仕事をこなしていた。
「そんなに聞きたいの?恵里奈のどこが良いって聞かれたんだけどね…、」
お風呂上がりに飲んでいた紅茶のティーカップを両手で握りしめていた私の耳元で、英語で話してくれた。
「……聞き取れた?」
「…ゔ、何ですか!何で恥ずかしげもなく、そんな恥ずかしい事を言ったんですか!ベッドの中って……!!」
「本当の事だから」
しれっとしているけれど、明日から高見沢さんにどう接したら良いのか悩む。聞かなきゃ良かったな……。一颯さんはパタン、とノートPCの画面を閉じて
「確かめてみる?ベッドの中での恵里奈の件」と言って、ティーカップを手から奪われてテーブルに置かれた。
「……一颯さん、明日は早いって言ってたでしょ!だから、早く寝て下さい!」
「恵里奈が遅番だから大丈夫」
「そーゆー問題じゃないんです!疲れてるんだから、ゆっくり寝て下さい」
「……恵里奈が居ないとゆっくり寝れない…」
「……っもう!仕方ないですね」
職場では仕事の鬼なんだけれど、二人きりの時は甘えてきたりする。そのギャップに胸がキュンキュンしたりして、深みにハマっていく。
1
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる