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支配人は公休日でも仕事目線です。
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───一颯さんが連れて来てくれたのは、一流ホテルのランチブッフェだった。ランチのお値段がおひとり様五千円らしい。
本店とも今の職場とも違う趣のある雰囲気で、老舗の風格があるホテルだ。
行先は事前に知らされてなく、一颯さんに合わせて、少し大人びた綺麗めな服装で来て良かったと心底思った。周りのお客様はセレブらしい中年女性から年配女性が主であり、若者はあまり居ない印象。娘と母親らしい親子もチラホラ来店している。私もいつの日か、お母さんを連れて来てあげたいなと思う。
「一颯さん、何から頂きましょう?」
ドリンクをオーダーした後、一颯さんに問いかける。自分自身も高級ホテルで働いているが、高級ブッフェでの食事をするのは初めてなのでワクワク感もあるが、緊張感も高まっている。
「自分の好きな物をチョイスすれば良いだろう。俺は俺で取りに行くから、恵里奈は恵里奈で取りに行って」
「はいっ、そうします。あ、デザート美味しそう…」
「デザートは食後にしろ。沢山取りすぎないでおかわりしなさい」
「わ、分かりました…」
沢山の美味しそうな料理が目の前に並んでいる中、可愛くてふわふわしてそうなデザート達が目に入ってしまうとデザートに目移りしてしまった。すかさず、一颯さんに注意されて、冷たい視線を送られた。私の保護者みたいだな、一颯さんは……。一颯さんの恥とならぬように素行には注意しなくては!
「一颯さん、一口ずつしか取ってないんですね?」
「全種類は無理だとしても、多くの味を知りたいから。デザートは恵里奈に任せる。後で感想聞かせて」
「はい、頑張ります!」
「…っはは、そんなに頑張らなくても良いよ」
デート中にも仕事目線は忘れない一颯さんを見習い、私も存分に味わおうと決めた。料理の話とたわいのない会話を楽しみながら、一颯さんと向かい会って食べる食事の時間はとても有意義だった。
食事が済んでブッフェレストランを出て、フロント前を通った時に後ろから「お客様!」と声をかけられた。
「一颯、久しぶり!この度は御予約有難う御座います」
「本橋…」
立ち止まって後ろを振り向くと一颯さんのお知り合いの従業員だったらしく、会話を交わす。
「今日は急な予約にも対応してくれて有難うな」
「大した事じゃないから、大丈夫だよ。それより…初めまして、恵里奈ちゃん。フロントマネージャーの本橋と申します。一颯とは本店の同期でした」
「初めまして、篠宮 恵里奈と申します。本日はご馳走様でした。とても美味しかったです!」
握手を求められたので右手を差し出すと両手でガッチリと掴まれて、「仏頂面の一颯には勿体ない位に恵里奈ちゃんは可愛いね」と言われた。
ニヤニヤしながら一颯さんを見る本橋さんに対して、本人は全く動じない。
「本橋、ウザイ。恵里奈から手を離せ」
「高級ホテルの総支配人がウザイとか言っていいの?質が落ちるよねー」
本橋さんは私の右手を離そうとしなかったので、全く動じてなかった一颯さんだったが無理矢理に引き剥がした。
「一颯もヤキモチ妬くんだ。歴代の彼女にはそんな事なかったんだけどなー。どこかに出かけようとか思ったのは恵里奈ちゃんだけしか居ないと思うよ。恵里奈ちゃんは本当に愛されてるよね!」
「……うるさい、余計な事言うなよ。星野よりもウザイ奴だな」
「素直じゃないよね、一颯は。そう言えば、蒼汰は元気か?最近、お互いに忙しくて連絡が取り合えていないんだ」
「あぁ、空元気って、とこかな?」
「……そうか。今度、三人で飲もうって伝えといて。じゃあ、そろそろ退散します!またね、恵里奈ちゃん!今度、ゆっくり話そうね!」
「はいっ、また今度…」
二人の会話には混ざる事が出来ないので、笑顔を作りながら聞いているだけだった。一颯さんの歴代の彼女も気になるけれど、星野さんが空元気だと言う事も気になってしまう。
「…本橋は星野以上にウザイんだよな。あの二人と話してると土足で部屋に上がられてるみたいなものだ」
「そうですか?一颯さんがコミュニュケーションを取らないからそう思うだけじゃないですか?」
「じゃあ何か?俺がコミュ障だとも言うのか?」
「誰もそんな事は言ってませんけど…!」
本橋さんとホテルに別れを告げた後、駐車場までの道のりでの会話。
お客様に対してはコミュニュケーション万全なんだから、コミュ障な訳がない。ただ、友達に対しては素っ気がないと言うか何と言うか……。地を出して指摘されるのがが恥ずかしいのかな?
「あっ、」
「何だ?」
「な、何でもないです!」
「変な奴だな…」
星野さんも本橋さんも、一颯さんをからかうのが楽しいんだ!と気付いてしまい、思わず声が出てしまう。咄嗟に口を塞いだ。クールな一颯さんを崩して行くと可愛らしさが見えるから、ついついからかいたくもなるのだ。私は勝手にドS崩し仲間と任命した。
しかし、外見は違えど星野さんと本橋さんはタイプが似ている気がする。明るいし、気遣いがある。一颯さんの周りには、お姉さんも含めて素敵な人ばかりだ。
本店とも今の職場とも違う趣のある雰囲気で、老舗の風格があるホテルだ。
行先は事前に知らされてなく、一颯さんに合わせて、少し大人びた綺麗めな服装で来て良かったと心底思った。周りのお客様はセレブらしい中年女性から年配女性が主であり、若者はあまり居ない印象。娘と母親らしい親子もチラホラ来店している。私もいつの日か、お母さんを連れて来てあげたいなと思う。
「一颯さん、何から頂きましょう?」
ドリンクをオーダーした後、一颯さんに問いかける。自分自身も高級ホテルで働いているが、高級ブッフェでの食事をするのは初めてなのでワクワク感もあるが、緊張感も高まっている。
「自分の好きな物をチョイスすれば良いだろう。俺は俺で取りに行くから、恵里奈は恵里奈で取りに行って」
「はいっ、そうします。あ、デザート美味しそう…」
「デザートは食後にしろ。沢山取りすぎないでおかわりしなさい」
「わ、分かりました…」
沢山の美味しそうな料理が目の前に並んでいる中、可愛くてふわふわしてそうなデザート達が目に入ってしまうとデザートに目移りしてしまった。すかさず、一颯さんに注意されて、冷たい視線を送られた。私の保護者みたいだな、一颯さんは……。一颯さんの恥とならぬように素行には注意しなくては!
「一颯さん、一口ずつしか取ってないんですね?」
「全種類は無理だとしても、多くの味を知りたいから。デザートは恵里奈に任せる。後で感想聞かせて」
「はい、頑張ります!」
「…っはは、そんなに頑張らなくても良いよ」
デート中にも仕事目線は忘れない一颯さんを見習い、私も存分に味わおうと決めた。料理の話とたわいのない会話を楽しみながら、一颯さんと向かい会って食べる食事の時間はとても有意義だった。
食事が済んでブッフェレストランを出て、フロント前を通った時に後ろから「お客様!」と声をかけられた。
「一颯、久しぶり!この度は御予約有難う御座います」
「本橋…」
立ち止まって後ろを振り向くと一颯さんのお知り合いの従業員だったらしく、会話を交わす。
「今日は急な予約にも対応してくれて有難うな」
「大した事じゃないから、大丈夫だよ。それより…初めまして、恵里奈ちゃん。フロントマネージャーの本橋と申します。一颯とは本店の同期でした」
「初めまして、篠宮 恵里奈と申します。本日はご馳走様でした。とても美味しかったです!」
握手を求められたので右手を差し出すと両手でガッチリと掴まれて、「仏頂面の一颯には勿体ない位に恵里奈ちゃんは可愛いね」と言われた。
ニヤニヤしながら一颯さんを見る本橋さんに対して、本人は全く動じない。
「本橋、ウザイ。恵里奈から手を離せ」
「高級ホテルの総支配人がウザイとか言っていいの?質が落ちるよねー」
本橋さんは私の右手を離そうとしなかったので、全く動じてなかった一颯さんだったが無理矢理に引き剥がした。
「一颯もヤキモチ妬くんだ。歴代の彼女にはそんな事なかったんだけどなー。どこかに出かけようとか思ったのは恵里奈ちゃんだけしか居ないと思うよ。恵里奈ちゃんは本当に愛されてるよね!」
「……うるさい、余計な事言うなよ。星野よりもウザイ奴だな」
「素直じゃないよね、一颯は。そう言えば、蒼汰は元気か?最近、お互いに忙しくて連絡が取り合えていないんだ」
「あぁ、空元気って、とこかな?」
「……そうか。今度、三人で飲もうって伝えといて。じゃあ、そろそろ退散します!またね、恵里奈ちゃん!今度、ゆっくり話そうね!」
「はいっ、また今度…」
二人の会話には混ざる事が出来ないので、笑顔を作りながら聞いているだけだった。一颯さんの歴代の彼女も気になるけれど、星野さんが空元気だと言う事も気になってしまう。
「…本橋は星野以上にウザイんだよな。あの二人と話してると土足で部屋に上がられてるみたいなものだ」
「そうですか?一颯さんがコミュニュケーションを取らないからそう思うだけじゃないですか?」
「じゃあ何か?俺がコミュ障だとも言うのか?」
「誰もそんな事は言ってませんけど…!」
本橋さんとホテルに別れを告げた後、駐車場までの道のりでの会話。
お客様に対してはコミュニュケーション万全なんだから、コミュ障な訳がない。ただ、友達に対しては素っ気がないと言うか何と言うか……。地を出して指摘されるのがが恥ずかしいのかな?
「あっ、」
「何だ?」
「な、何でもないです!」
「変な奴だな…」
星野さんも本橋さんも、一颯さんをからかうのが楽しいんだ!と気付いてしまい、思わず声が出てしまう。咄嗟に口を塞いだ。クールな一颯さんを崩して行くと可愛らしさが見えるから、ついついからかいたくもなるのだ。私は勝手にドS崩し仲間と任命した。
しかし、外見は違えど星野さんと本橋さんはタイプが似ている気がする。明るいし、気遣いがある。一颯さんの周りには、お姉さんも含めて素敵な人ばかりだ。
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