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雨に打たれる
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「俺はビールにしようかな……」
「私は青リンゴサワーにしよ」
私達は焼き鳥などのツマミも注文し、お酒が届いた直後に乾杯をした。爽やかな甘さの青リンゴサワーが喉に通っていく。
「居酒屋に来てからで申し訳ないけど、車は置いて行くの?」
「うん、明日の朝は電車で行くからいいや。今年に入ってから引越ししたんだけど、偶然にも委員長と同じ沿線の電車」
「え?そうなんだ。日下部君って実家に住んでいるのかと思ってた」
「部長職に就いた時には引越ししたんだ。流石に実家には居たくないな……と思って」
引越し前はまだ弟も小学生で日下部君を慕っていて、引越しするのに迷っていたらしい。弟も中学生になった事を機に引越しをして、今は一人暮らし。
「委員長は大学から一人暮らし?」
「そうだよ、ずっと一人暮らし。結婚するまでは仕送りも続けようと思ってる」
大学時代の生活費は、仕送りとアルバイト代でどうにか間に合わせていた。今まで育ててくれた分、仕送りしている。
「俺も結婚するまでは仕送りしようと思ってるんだ。……って、義理の弟に先を越されて独り身なんだけどな」
そう言いながら日下部君はビールを飲み干し、ジョッキの中身を空にした。私達はおかわりのお酒を注文し、ツマミを頬張る。
「……日下部君なら、結婚相手はすぐに見つかるよ」
私はボソリと呟く。日下部君がその気になれば、器量が良くて可愛いお嫁さんなんてすぐに見つかる。
「それが……、そうでもないんだ」
私の顔をじっと見つめながら言われた。言葉の間は何だろう?私はお嫁さん候補ではないよって言いたかったのかな?
「……委員長は?選り好みしてるからおひとり様なの?」
「し、してないよ!」
「委員長がおひとり様だなんて信じられない。委員長こそ、真面目で誠実な人……例えば医者とかと結婚しそうだったんだけどな」
私は真面目で誠実だけが取り柄の人は、きっと飽きてしまうと思う。日下部君には私はいつまでも優等生の委員長のままにしか見えてないんだろうな。
「余計なお世話だから!それからもう委員長じゃないんだから、委員長って呼ぶのは止めて!」
「はいはい、ごめんって」
私は右手に持っていたグラスをドンッと勢い良くテーブルに置く。また可愛げのない一言を発してしまった。
「い、……佐藤の好みのタイプってどんな人?」
日下部君は委員長と言いかけて、慌てて私の名字を呼んだ。私のタイプを聞かれても、目の前の貴方でしかない。ずっとずっと憧れの存在。時を経て再開しても尚、それは変わらない。
「教えない。色んな意味で詮索されたくないから。好みなタイプを教えると友達紹介するよ、とかお見合いどう?とか言われるから」
日下部君だなんて、流石に言えないから誤魔化すように答える。
「……随分とひねくれ者になったな、佐藤は」
「だって私、皆が思ってるよりも優等生じゃないもの。こっちが素の私。可愛げがなくて、お酒が大好きな私が今の私なの」
「そっか。……今の佐藤の方が前よりも好きだな」
「え?」
「高校生の時は真面目が制服を着て歩いてるみたいな人だったから、冗談言ってもあんまり笑ってくれなかったりしたけど、今の方が親しみやすくて良いよ」
咄嗟に聞き直してしまったけれど、友達としての"好き"だよね?Loveじゃなくて、likeの方。……だとしても素直に喜ばしくて、舞い上がってしまう。
「……あ、ありがとう」
ニコッと不意打ちの笑顔を向けられる。日下部君はお酒が入ると甘くなる人なんだな。当人は無自覚だろうけれど。
「私は青リンゴサワーにしよ」
私達は焼き鳥などのツマミも注文し、お酒が届いた直後に乾杯をした。爽やかな甘さの青リンゴサワーが喉に通っていく。
「居酒屋に来てからで申し訳ないけど、車は置いて行くの?」
「うん、明日の朝は電車で行くからいいや。今年に入ってから引越ししたんだけど、偶然にも委員長と同じ沿線の電車」
「え?そうなんだ。日下部君って実家に住んでいるのかと思ってた」
「部長職に就いた時には引越ししたんだ。流石に実家には居たくないな……と思って」
引越し前はまだ弟も小学生で日下部君を慕っていて、引越しするのに迷っていたらしい。弟も中学生になった事を機に引越しをして、今は一人暮らし。
「委員長は大学から一人暮らし?」
「そうだよ、ずっと一人暮らし。結婚するまでは仕送りも続けようと思ってる」
大学時代の生活費は、仕送りとアルバイト代でどうにか間に合わせていた。今まで育ててくれた分、仕送りしている。
「俺も結婚するまでは仕送りしようと思ってるんだ。……って、義理の弟に先を越されて独り身なんだけどな」
そう言いながら日下部君はビールを飲み干し、ジョッキの中身を空にした。私達はおかわりのお酒を注文し、ツマミを頬張る。
「……日下部君なら、結婚相手はすぐに見つかるよ」
私はボソリと呟く。日下部君がその気になれば、器量が良くて可愛いお嫁さんなんてすぐに見つかる。
「それが……、そうでもないんだ」
私の顔をじっと見つめながら言われた。言葉の間は何だろう?私はお嫁さん候補ではないよって言いたかったのかな?
「……委員長は?選り好みしてるからおひとり様なの?」
「し、してないよ!」
「委員長がおひとり様だなんて信じられない。委員長こそ、真面目で誠実な人……例えば医者とかと結婚しそうだったんだけどな」
私は真面目で誠実だけが取り柄の人は、きっと飽きてしまうと思う。日下部君には私はいつまでも優等生の委員長のままにしか見えてないんだろうな。
「余計なお世話だから!それからもう委員長じゃないんだから、委員長って呼ぶのは止めて!」
「はいはい、ごめんって」
私は右手に持っていたグラスをドンッと勢い良くテーブルに置く。また可愛げのない一言を発してしまった。
「い、……佐藤の好みのタイプってどんな人?」
日下部君は委員長と言いかけて、慌てて私の名字を呼んだ。私のタイプを聞かれても、目の前の貴方でしかない。ずっとずっと憧れの存在。時を経て再開しても尚、それは変わらない。
「教えない。色んな意味で詮索されたくないから。好みなタイプを教えると友達紹介するよ、とかお見合いどう?とか言われるから」
日下部君だなんて、流石に言えないから誤魔化すように答える。
「……随分とひねくれ者になったな、佐藤は」
「だって私、皆が思ってるよりも優等生じゃないもの。こっちが素の私。可愛げがなくて、お酒が大好きな私が今の私なの」
「そっか。……今の佐藤の方が前よりも好きだな」
「え?」
「高校生の時は真面目が制服を着て歩いてるみたいな人だったから、冗談言ってもあんまり笑ってくれなかったりしたけど、今の方が親しみやすくて良いよ」
咄嗟に聞き直してしまったけれど、友達としての"好き"だよね?Loveじゃなくて、likeの方。……だとしても素直に喜ばしくて、舞い上がってしまう。
「……あ、ありがとう」
ニコッと不意打ちの笑顔を向けられる。日下部君はお酒が入ると甘くなる人なんだな。当人は無自覚だろうけれど。
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