21 / 31
21 ペンテ共和国へ
しおりを挟む
翌朝、目が覚めれば幌馬車の中で一人でしたが私の起きた気配にテオが馬車の中に顔を見せてくれました。
「おはよう。ミリア。朝食はできているよ」
「わあ。ごめんなさい。ありがとう。テオ、私も手伝うよ」
あれからぐっすり眠ってしまいました。こんなに眠れたのは久しぶりです。神殿の寝台と違って幌馬車の簡易寝袋なのにね。
外に出てテオの側に行きました。
気持ちを伝え合えたのでなんとなく気恥ずかしい朝です。どうして振舞ったらいいのか分かりません。
食器を受け取ろうとしてお互いの指先が触れてしまって、思わず落としてしまいました。
「悪りぃ」
「ごめんなさい!」
同時に言ったものだから、お互い顔を見合わせると笑ってしまいました。
自分の大好きな人がいるという何気ない日常はとても楽しいし嬉しいものですね。
そして、簡単な朝食を終えると私達はテオの家があるペンテ共和国に向かいました。
テオが馬車を出そうとするとき野営した樹々の向こう、ミレニア王国の方に黒雲がかっているように見えたけれど季節外れの嵐でも来るのでしょうか。
テオから聞くと昨夜は急だったので行商人が使う近道を通ったそうです。少しでも早くミレニア王国から離れたかったと言っていました。追手が心配だとか言っていましたが、テオは心配性ですね。王太子様から追放されたのです。そんな私を探す人などいないでしょう。あ、でも本当に国外に出たかの確認はされるでしょうけれどそれもパーシーさんがきちんと報告してくれていることでしょう。
ペンテ共和国の首都へ向かう大きな街道に出ると行きかう人々がたくさんいました。
「凄い人ね」
「大半はミレニア王国の大神殿への参拝客達だよ」
「こんなに……」
私は幌馬車から人々の列を見ていました。そして、昨夜が野営だったからと早めに町の宿に向かいました。そこにもミレニア王国へ参拝に行く人や帰る人が町に溢れていました。
食事時はどの店でも満席でした。
『大神殿で絶対聖女様を見るんだ』
『女神様の祝福の光が見られるといいねぇ』
そんなことを口々に話していました。
「本当、ミレニア王国へ行く人が多いね。私は国の外に出るのは初めてだから……」
「ああ、だからミレニア王国の参拝客は良い商売になるんだ。いろいろとね」
「そうなんだ」
私達は宿屋の部屋で早めに休んで窓から町の人々を物珍しく眺めていました。するとテオが、
「そういや、ミリアの着ているのって昨日と同じだし、それって聖女見習いの作業着だよね? 他の着替えとかは?」
「えへへ。私って驚くほど聖女生活していたみたいで実は聖女の司祭服とか作業着しか持ってなかったの。おかしいよね」
そう言って手荷物から平時の簡易な司祭服を取り出して見せた。
「おかしくなんかないよ。でも、それにそうなら服が必要だね。司祭服だと参拝者の中にミリアを見ている人がいて気づかれたら大変なことになるし」
そうしてテオに連れられて宿を出て慣れた感じで服を飾っているお店に入ると、
「あら、テオ坊ちゃん。今日は仕入れの日でしたっけ?」
「ああ、いや、今日は私用で、その、彼女に服を見せて欲しいんです。今直ぐ着られる普段着用のものをお願いします」
「えっ? ええ、直ぐにお持ちいたしますね」
そうして奥から色とりどりの服を持って来てくれました。
「そうですね。こちらのクリーム色のワンピースドレスなんてどうでしょうか? 若奥様にぴったりです。あ、いえ……」
「わ、若奥様……」
若奥様なんて言われて私は顔が熱くなりました。
「若奥様で良いじゃないか。そうだね。ミリアに良く似合うのでそのまま着て行こう。それとそちらの空色のワンピースとコバルトブルーのドレスも、あ、そのエプロンも……」
テオは慣れた感じで次々と注文をするので慣れない私は目が回ってきました。
そしてやっと終わって荷物を包んでもらいながら、私はしみじみとした感じでテオに言いました。
「テオは凄いね。何か選び慣れているというか、私はこんなお買い物するのは初めてだから戸惑っちゃって」
そう言うとテオが慌てて叫びました。何故か店の人は手を止めて固唾を呑んで私達の様子を見ています。
……何かいけなかったのでしょうか?
「ばっ、客に商品を選び慣れているだけだよ。女性に服を買うのはミリアが初めてだし、これからだってミリアだけだから!」
「そうなの?」
私が尋ねるとお店の人も大きく肯いていました。
良く分からないながらも私はお店で明るいクリーム色のワンピースを着せてもらうと何だか気持ちも明るくなりました。
「見て見て! 商人の若奥様って感じかな?」
私がくるりとその場で回って見せるとテオは顔を真っ赤にして無言になりました。そして私の手を繋ぐと黙って宿まで戻りました。
何も言わないので心配でしたが、ぼそりと可愛いよと言ってくれたのでほっとしました。
――もしかしてテオは照れ屋さんなのかも。でも私も可愛いと言われて恥ずかしいので俯いて歩きました。
それから、旅を続けて、ほどなくして私達はミレニア王国の隣国であるペンテ共和国の首都に着きました。テオと一緒だから検問所もスムーズに通ることができました。
ペンテ共和国はミレニア王国とは違って、住民が選んだ人が代表となって国を束ねているそうです。代表を選ぶために選挙とかいうのがあるみたい。ミレニア王国にそんなものは無かったので面白そう。
貴族とかの身分も無くて皆が平等だって聞いていました。行きかう人々の表情は明るくとても暮らしやすそうです。
それになんだかミレニア王国より活気があって、こちらの方が女神様の祝福が一杯ありそうです。空気までもキラキラ光っています。
あとはこの国には冒険者ギルドというのもあるのです。ミレニア王国には何故かありませんでしたけれど。本の中や詩人の弾き語りに出てくるので気になっていました。どんなものか是非見に行きたいですね。
ペンテ共和国の中心部に向かうとこの国でも女神様の神殿はありました。
ここも元聖女として後で覗いてみたいものです。
そして、ペンテ共和国の中心地近くにあるテオの家であるカリスト商会にほどなく着きました。
そこはとても大きな商会で後から知ったのだけどペンテ共和国でもテオの家は豪商として指折り数えられるほどの大きな商会みたいです。
商会の建物の隣にも建物があってテオを見ると自然と門番が開けてくれました。幌馬車だって敷地にそのまま入りました。
こちらは店舗ではなくテオ達の自宅だそうです。商会の方は小売りのお店ではなくお店同士の商売の取引のみを扱っているところでみたいです。馬車を預けるとテオと一緒に建物に入りました。
「ただいま戻りました」
テオが言いながら入ると奥に大きな机があって忙しそうに立ち働いていた女性が振り向きました。
「あら、テオ? お帰り。早かったわね。今回はどうだった? そうそう、あんたの大神殿の聖女様とは今回はどうだったの? なんたってあんたは聖女様に惚れこんで……、まあ? あんた、可愛い女の子連れているじゃない!」
「母さん! 余計なことは言わなくていいから!」
「あ、あら。おほほ。ごめんなさいね。それで彼女は?」
ニヤニヤしながら女性がテオをつついてきました。
「彼女はミリアさんだよ。その事情があって、出身の村を探しているんだ。それでその……」
「ミリア。聞いたことのある名だね。ああ、そうか。あんたの聖女様と同じ名前だ!」
「母さん! もう、やめてくれよ」
テオが堪りかねたようにまた叫んだ。
――あんたの聖女って、テオには他にいたの?
でも聖女って一人だし、ミリアってのは……、私の名前だし、えええ!
テオも真っ赤になっているし、私も顔が真っ赤になってしまった。
流石に鈍くさい私でも気がつきました。テオは本当に私のことをずっと……。
「え、あの、そのミリアです」
私も自己紹介も出来ずしどろもどろになってしまった。
「ミリアは気にしなくていいから! 今まで通りにして」
「あ、うん」
「あ、やっぱり。ちょっとは気にして……」
そう言うとテオのお母さんに向き直った。
「彼女はミレニア王国の聖女だったミリアさんだ。だけど解任されて追放になったから僕のお嫁さんになってもらうことになったんだ」
「はっひゃ?」
テオのお母さんは奇声を発して間の抜けた顔になったけれど私とテオの顔を素早く交互に眺めているとにやりと笑った。
「でかした! 息子!」
「い、いいのか?」
「成人した息子が決めたんだ。何の文句を言うんだい? それに話した通りの可愛い子じゃない。気に入ったよ! 私だって商人で生きてきたんだ。人を見る目はそれなりのものだよ」
「ありがとう。母さん」
「ありがとうございます」
そうして二人で顔を真っ赤にしているとテオのお母さんに更に奥へと案内されました。
「おはよう。ミリア。朝食はできているよ」
「わあ。ごめんなさい。ありがとう。テオ、私も手伝うよ」
あれからぐっすり眠ってしまいました。こんなに眠れたのは久しぶりです。神殿の寝台と違って幌馬車の簡易寝袋なのにね。
外に出てテオの側に行きました。
気持ちを伝え合えたのでなんとなく気恥ずかしい朝です。どうして振舞ったらいいのか分かりません。
食器を受け取ろうとしてお互いの指先が触れてしまって、思わず落としてしまいました。
「悪りぃ」
「ごめんなさい!」
同時に言ったものだから、お互い顔を見合わせると笑ってしまいました。
自分の大好きな人がいるという何気ない日常はとても楽しいし嬉しいものですね。
そして、簡単な朝食を終えると私達はテオの家があるペンテ共和国に向かいました。
テオが馬車を出そうとするとき野営した樹々の向こう、ミレニア王国の方に黒雲がかっているように見えたけれど季節外れの嵐でも来るのでしょうか。
テオから聞くと昨夜は急だったので行商人が使う近道を通ったそうです。少しでも早くミレニア王国から離れたかったと言っていました。追手が心配だとか言っていましたが、テオは心配性ですね。王太子様から追放されたのです。そんな私を探す人などいないでしょう。あ、でも本当に国外に出たかの確認はされるでしょうけれどそれもパーシーさんがきちんと報告してくれていることでしょう。
ペンテ共和国の首都へ向かう大きな街道に出ると行きかう人々がたくさんいました。
「凄い人ね」
「大半はミレニア王国の大神殿への参拝客達だよ」
「こんなに……」
私は幌馬車から人々の列を見ていました。そして、昨夜が野営だったからと早めに町の宿に向かいました。そこにもミレニア王国へ参拝に行く人や帰る人が町に溢れていました。
食事時はどの店でも満席でした。
『大神殿で絶対聖女様を見るんだ』
『女神様の祝福の光が見られるといいねぇ』
そんなことを口々に話していました。
「本当、ミレニア王国へ行く人が多いね。私は国の外に出るのは初めてだから……」
「ああ、だからミレニア王国の参拝客は良い商売になるんだ。いろいろとね」
「そうなんだ」
私達は宿屋の部屋で早めに休んで窓から町の人々を物珍しく眺めていました。するとテオが、
「そういや、ミリアの着ているのって昨日と同じだし、それって聖女見習いの作業着だよね? 他の着替えとかは?」
「えへへ。私って驚くほど聖女生活していたみたいで実は聖女の司祭服とか作業着しか持ってなかったの。おかしいよね」
そう言って手荷物から平時の簡易な司祭服を取り出して見せた。
「おかしくなんかないよ。でも、それにそうなら服が必要だね。司祭服だと参拝者の中にミリアを見ている人がいて気づかれたら大変なことになるし」
そうしてテオに連れられて宿を出て慣れた感じで服を飾っているお店に入ると、
「あら、テオ坊ちゃん。今日は仕入れの日でしたっけ?」
「ああ、いや、今日は私用で、その、彼女に服を見せて欲しいんです。今直ぐ着られる普段着用のものをお願いします」
「えっ? ええ、直ぐにお持ちいたしますね」
そうして奥から色とりどりの服を持って来てくれました。
「そうですね。こちらのクリーム色のワンピースドレスなんてどうでしょうか? 若奥様にぴったりです。あ、いえ……」
「わ、若奥様……」
若奥様なんて言われて私は顔が熱くなりました。
「若奥様で良いじゃないか。そうだね。ミリアに良く似合うのでそのまま着て行こう。それとそちらの空色のワンピースとコバルトブルーのドレスも、あ、そのエプロンも……」
テオは慣れた感じで次々と注文をするので慣れない私は目が回ってきました。
そしてやっと終わって荷物を包んでもらいながら、私はしみじみとした感じでテオに言いました。
「テオは凄いね。何か選び慣れているというか、私はこんなお買い物するのは初めてだから戸惑っちゃって」
そう言うとテオが慌てて叫びました。何故か店の人は手を止めて固唾を呑んで私達の様子を見ています。
……何かいけなかったのでしょうか?
「ばっ、客に商品を選び慣れているだけだよ。女性に服を買うのはミリアが初めてだし、これからだってミリアだけだから!」
「そうなの?」
私が尋ねるとお店の人も大きく肯いていました。
良く分からないながらも私はお店で明るいクリーム色のワンピースを着せてもらうと何だか気持ちも明るくなりました。
「見て見て! 商人の若奥様って感じかな?」
私がくるりとその場で回って見せるとテオは顔を真っ赤にして無言になりました。そして私の手を繋ぐと黙って宿まで戻りました。
何も言わないので心配でしたが、ぼそりと可愛いよと言ってくれたのでほっとしました。
――もしかしてテオは照れ屋さんなのかも。でも私も可愛いと言われて恥ずかしいので俯いて歩きました。
それから、旅を続けて、ほどなくして私達はミレニア王国の隣国であるペンテ共和国の首都に着きました。テオと一緒だから検問所もスムーズに通ることができました。
ペンテ共和国はミレニア王国とは違って、住民が選んだ人が代表となって国を束ねているそうです。代表を選ぶために選挙とかいうのがあるみたい。ミレニア王国にそんなものは無かったので面白そう。
貴族とかの身分も無くて皆が平等だって聞いていました。行きかう人々の表情は明るくとても暮らしやすそうです。
それになんだかミレニア王国より活気があって、こちらの方が女神様の祝福が一杯ありそうです。空気までもキラキラ光っています。
あとはこの国には冒険者ギルドというのもあるのです。ミレニア王国には何故かありませんでしたけれど。本の中や詩人の弾き語りに出てくるので気になっていました。どんなものか是非見に行きたいですね。
ペンテ共和国の中心部に向かうとこの国でも女神様の神殿はありました。
ここも元聖女として後で覗いてみたいものです。
そして、ペンテ共和国の中心地近くにあるテオの家であるカリスト商会にほどなく着きました。
そこはとても大きな商会で後から知ったのだけどペンテ共和国でもテオの家は豪商として指折り数えられるほどの大きな商会みたいです。
商会の建物の隣にも建物があってテオを見ると自然と門番が開けてくれました。幌馬車だって敷地にそのまま入りました。
こちらは店舗ではなくテオ達の自宅だそうです。商会の方は小売りのお店ではなくお店同士の商売の取引のみを扱っているところでみたいです。馬車を預けるとテオと一緒に建物に入りました。
「ただいま戻りました」
テオが言いながら入ると奥に大きな机があって忙しそうに立ち働いていた女性が振り向きました。
「あら、テオ? お帰り。早かったわね。今回はどうだった? そうそう、あんたの大神殿の聖女様とは今回はどうだったの? なんたってあんたは聖女様に惚れこんで……、まあ? あんた、可愛い女の子連れているじゃない!」
「母さん! 余計なことは言わなくていいから!」
「あ、あら。おほほ。ごめんなさいね。それで彼女は?」
ニヤニヤしながら女性がテオをつついてきました。
「彼女はミリアさんだよ。その事情があって、出身の村を探しているんだ。それでその……」
「ミリア。聞いたことのある名だね。ああ、そうか。あんたの聖女様と同じ名前だ!」
「母さん! もう、やめてくれよ」
テオが堪りかねたようにまた叫んだ。
――あんたの聖女って、テオには他にいたの?
でも聖女って一人だし、ミリアってのは……、私の名前だし、えええ!
テオも真っ赤になっているし、私も顔が真っ赤になってしまった。
流石に鈍くさい私でも気がつきました。テオは本当に私のことをずっと……。
「え、あの、そのミリアです」
私も自己紹介も出来ずしどろもどろになってしまった。
「ミリアは気にしなくていいから! 今まで通りにして」
「あ、うん」
「あ、やっぱり。ちょっとは気にして……」
そう言うとテオのお母さんに向き直った。
「彼女はミレニア王国の聖女だったミリアさんだ。だけど解任されて追放になったから僕のお嫁さんになってもらうことになったんだ」
「はっひゃ?」
テオのお母さんは奇声を発して間の抜けた顔になったけれど私とテオの顔を素早く交互に眺めているとにやりと笑った。
「でかした! 息子!」
「い、いいのか?」
「成人した息子が決めたんだ。何の文句を言うんだい? それに話した通りの可愛い子じゃない。気に入ったよ! 私だって商人で生きてきたんだ。人を見る目はそれなりのものだよ」
「ありがとう。母さん」
「ありがとうございます」
そうして二人で顔を真っ赤にしているとテオのお母さんに更に奥へと案内されました。
10
お気に入りに追加
4,173
あなたにおすすめの小説
婚約者のいる側近と婚約させられた私は悪の聖女と呼ばれています。
鈴木べにこ
恋愛
幼い頃から一緒に育ってきた婚約者の王子ギルフォードから婚約破棄を言い渡された聖女マリーベル。
突然の出来事に困惑するマリーベルをよそに、王子は自身の代わりに側近である宰相の息子ロイドとマリーベルを王命で強制的に婚約させたと言い出したのであった。
ロイドに愛する婚約者がいるの事を知っていたマリーベルはギルフォードに王命を取り下げるように訴えるが聞いてもらえず・・・。
カクヨム、小説家になろうでも連載中。
※最初の数話はイジメ表現のようなキツイ描写が出てくるので注意。
初投稿です。
勢いで書いてるので誤字脱字や変な表現が多いし、余裕で気付かないの時があるのでお気軽に教えてくださるとありがたいです٩( 'ω' )و
気分転換もかねて、他の作品と同時連載をしています。
【書庫の幽霊王妃は、貴方を愛することができない。】
という作品も同時に書いているので、この作品が気に入りましたら是非読んでみてください。
怠惰な聖女の代わりに業務を担っていた私は、たまの気まぐれで働いた聖女の失敗を押し付けられて追放されました。
木山楽斗
恋愛
イルアナ・フォルアドは、怠惰な聖女の代わりに業務を行っていた。
ある日、気まぐれで聖女が国を守る結界を張ると言い出した。
長らく業務にあたっていない聖女に、そんなことができるのか。そういう心配をしていたイルアナの不安は的中し、聖女は業務に失敗してしまった。
聖女は、失敗の責任をイルアナに被せてきた。
公爵家の令嬢でもある彼女はその権力を使い、イルアナに罪を被せてきたのだ。
国を守る結界を一時的に消失させる。その重大な過失と、罪を認めなかったことにより、イルアナは国外追放を言い渡されてしまった。
国外に追放されたイルアナだったが、なんとか隣国まで辿り着いた。
そこで暮らすようになった彼女が聞いたのは、祖国の結界が維持できなくなったという知らせだった。
どうやら、イルアナが追放されたため、国が崩壊してしまったようである。
誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。
木山楽斗
恋愛
エルドー王国の聖女ミレイナは、予知夢で王国が龍に襲われるという事実を知った。
それを国の人々に伝えるものの、誰にも信じられず、それ所か虚言癖と避難されることになってしまう。
誰にも信じてもらえず、罵倒される。
そんな状況に疲弊した彼女は、国から出て行くことを決意した。
実はミレイナはエルドー王国で生まれ育ったという訳ではなかった。
彼女は、精霊の森という森で生まれ育ったのである。
故郷に戻った彼女は、兄弟のような関係の狼シャルピードと再会した。
彼はミレイナを快く受け入れてくれた。
こうして、彼女はシャルピードを含む森の獣達と平和に暮らすようになった。
そんな彼女の元に、ある時知らせが入ってくる。エルドー王国が、予知夢の通りに龍に襲われていると。
しかし、彼女は王国を助けようという気にはならなかった。
むしろ、散々忠告したのに、何も準備をしていなかった王国への失望が、強まるばかりだったのだ。
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
全てを諦めた令嬢の幸福
セン
恋愛
公爵令嬢シルヴィア・クロヴァンスはその奇異な外見のせいで、家族からも幼い頃からの婚約者からも嫌われていた。そして学園卒業間近、彼女は突然婚約破棄を言い渡された。
諦めてばかりいたシルヴィアが周りに支えられ成長していく物語。
※途中シリアスな話もあります。
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
選ばれたのは私以外でした 白い結婚、上等です!
凛蓮月
恋愛
【第16回恋愛小説大賞特別賞を頂き、書籍化されました。
紙、電子にて好評発売中です。よろしくお願いします(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾】
婚約者だった王太子は、聖女を選んだ。
王命で結婚した相手には、愛する人がいた。
お飾りの妻としている間に出会った人は、そもそも女を否定した。
──私は選ばれない。
って思っていたら。
「改めてきみに求婚するよ」
そう言ってきたのは騎士団長。
きみの力が必要だ? 王都が不穏だから守らせてくれ?
でもしばらくは白い結婚?
……分かりました、白い結婚、上等です!
【恋愛大賞(最終日確認)大賞pt別二位で終了できました。投票頂いた皆様、ありがとうございます(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾応援ありがとうございました!
ホトラン入り、エール、投票もありがとうございました!】
※なんてあらすじですが、作者の脳内の魔法のある異世界のお話です。
※ヒーローとの本格的な恋愛は、中盤くらいからです。
※恋愛大賞参加作品なので、感想欄を開きます。
よろしければお寄せ下さい。当作品への感想は全て承認します。
※登場人物への口撃は可ですが、他の読者様への口撃は作者からの吹き矢が飛んできます。ご注意下さい。
※鋭い感想ありがとうございます。返信はネタバレしないよう気を付けます。すぐネタバレペロリーナが発動しそうになります(汗)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる