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三十七 王太子様到着
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ガブちゃんと話していて、いつの間にか私が悪役令嬢的な立場になっていたことに気が付いた。避けようとしていたのに別のライバルになるなんて。それも王太子様を巡ってのライバル候補ですって? 笑い事じゃないわ。
そもそも私は『ゆるハー』時代からユリアン派なの。この世界でだって小さい頃にお母様についていったお茶会で、初めて会ったときにユリアン様の天使のような容貌に一目惚れなの。最初はお菓子を探して私に手渡してくれたのよ。ユリアン様は優しかったわ。今でもそうだと思う。冷たいと思われていたのは全て贈り物や手紙を握り潰していたルークお兄様のせいだと判明したんだからね。
「ねえねえ、テープカットのとき私も見学させて貰えないかな? 開港式なんて初めてだし」
「あら、ガブちゃんならミーシャ商会の代表で参加すれば良いんじゃないの。そうよ。王太子様の横でなんてどう?」
「うは。どんだけ嫌なの。アーシア……様も考えたわね」
「私もガブちゃんと呼んでいるからアーシアでいいわよ」
「アーシア、そうね。そう呼ばせてもらおうかな。でもやだ。ドレスとか用意して無いかった」
「あ、それならガブちゃんが持ってきてくれたドレスはどう?」
「冗談。あれは虹色のドレスだから着る人をとても選ぶじゃん。それもクールビューティな人しか合わないの。サイズだって私に合わう筈無い。アーシアは中身はどうあれ、見た目は超絶美人だものねぇ。羨ましい。スタイルもしゅっとしてて、いいよね」
「虹色ドレスってまた、お兄様も凄いのを用意してくれたものね。そんなものまで……」
「ルーク様はやり手だもん。今や大臣に一番近い男として思われているし」
「何でガブちゃんがそんなとこまで知ってるの」
「当たり前でしょ。うちは商工ギルドの長なんだから、いろいろと情報は耳に入るの」
「ガブちゃんって、逆ハーしか狙ってないように見えてたんだけど」
「ま、まあそれは今でも狙ってるけど。そう言えばあなたジルまで攻略してたのよ。どうなってるのよ?」
「狙ってるんだ……。ジル? 騎士団長の息子よね。私の知ってるテンプレ騎士団長愚息タイプじゃなかったけど。そういやなんだか言いがかりをつけてこられたのを跳ね飛ばしたのよね」
「私の知ってる『ゆるハー』じゃあ、父親に似て無くてコンプレックスを持っているという設定よ。よくあるパターン。だから、見た目を気にしない人に一気に好感度が傾くというやつ」
「はあ。そんな迷惑な設定だったの。私ってばやらかしたかもね」
翌日からはテープカットに伴う開港式などの流れなどの説明をお兄様受けた。立ち位置や挨拶の仕方などをすることになった。一緒にガブちゃんも聞いてくれている。ドレスの件を話すと私の小さくなったドレスを手直しして着ることになった。淡いグリーンの素敵なシフォンのドレスだ。
「ガブちゃんも可愛い。似合ってる」
「そう言うアーシアこそ虹色のドレスを持ってきた甲斐があったわね。良く似合っているというか、神レベル?」
お互いに自然と褒め言葉が出るので顔を見合わせてふふと笑ってしまった。虹色のドレスは見た目は黒いかいこのような虫から取れる虹色に光る繊維で出来ていた。その生地はとても貴重なもので王族の着る第一級クラスの織物なの。但し見た目に反して結構重量があるのがちょっと難点かな。
「でも、動きやすいのは男性用よね。今度軍服ぽいのも着てみたいかも」
「何またそんな楽しいことを言ってるのよ。でも似合いそうね。某歌劇団は私も嫌いじゃないし。寧ろ好きだし。いいかもね。ちょっと商会の手持ちで良いのが無いか探してこようかな」
お兄様はここ数日大忙しで、寝る暇もなさそうだったわ。でも、王子様のお出迎えをするといって出かけてしまった。今夜は後、お父様はおいでにならないけれどお母様はいらしてくれるようになっていた。それにジョーゼットやユリアン様も式典を見にきてくれるというお手紙を頂いたわ。
それから私達はガブちゃんが手に入れてきてくれた品々を見てきゃっきゃうふふと楽しい時間を過ごしていた。
「これ見てよ」
ガブちゃんが用意してくれたのはモールのついた白い軍服風の衣装。某有名な男装女性の衣装に似ていた。
「また凄いのを用意してくれたわよね。ごてごてして動きにくいのじゃあないの? とかいいつつ着てみるわ」
着んかいというガブちゃんの関西風のノリを聞きながら一人でも着られた。
「意外と着やすいわね」
「そうでしょ。ふふん。うちの腕の良いお抱えお針子にアレンジを頼んでみたんだ」
黒い髪は括らずストレートのまま背中に流してみる。
「おお、本当に白バラの騎士とかの表現が似合いそう。本当にあなた見た目は超絶良いよね」
「見た目だけって……」
「気にしない。気にしない。じゃ、次これ着てみて」
そんなやり取りの中、館が急に騒がしくなった。王太子様が到着したのかと慌ててしまった。だって、私はお出迎え用のドレスじゃないのよ。今はあの騎士風のヤツよ。それに迎えるために先触れがある筈なのにどうしたのしら?
怪訝に思いながら私は玄関の様子を窺いに向かった。うちの執事が叫び声を上げていた。執事長は実家の差配を頼んでいるので次のクラスだからそんな取り乱すようなことは無いのに。私は我慢しきれず顔を覗かせた。そこには王太子様に支えられるルークお兄様の姿だった。
「来る途中賊に襲われて、一部は捕えてあるが、ルークが負傷した」
私は慌てて駆け寄ると王太子様は私に気が付いてくれた。
「お兄様!」
「君はアーシアだね。ルークの治療の手筈を頼む」
私は騒然となっている使用人達に指示を与えた。治療師の手配、王太子様を迎える準備。そして、襲われた状況を詳しく訊ねる。だって、今度はこの屋敷だって狙われるわ。警備の強化もしないとね。私は震える体に鞭を打って頑張ったわ。本当のムチじゃないわよ。気持ちね。気持ち。
「王太子様のお怪我や被害の状況はどうなのですか?」
「私の方はルークが盾となってくれたから幸い怪我は無い」
「そうですか」
私はほっとしつつ、ルークお兄様を寝室に寝かしつける。ガブちゃんも館の騒ぎに様子を見に来てくれた。
「一体何があったと……。やだ、ルーク様が重傷じゃない」
「このぐらいどうという……」
そう言うお兄様の顔色はかなり悪かった。
「ルーク。大人しく治療を受けるんだ」
「うちの方からも治療師の手配をいたしますわ」
「……君は?」
「王太子様にはお初にお目にかかり光栄の極み。私はミーシャ商会が娘ガブリエラと申します。どうぞお見知りおきを」
「おお、あのミーシャ商会の……。それはそれは、ルークも顔が広いな」
王太子様がガブちゃんをしげしげと見てルークお兄様を褒めた。ルークお兄様は微かに微笑んだけれど意識が混濁してしまった。ガブちゃんの協力もあって治療師も幾人か直ぐに来てくれて手当をしたが、かなりな深手で安静にと申し渡された。ここ二、三日が危険だと言われた。
「明日は開港式に海のお祭りなのに……。お兄様がこんなことに……」
今からでは都にいるお父様を呼び寄せるには時間が足りなかった。延期にするしか……。それよりお兄様の命が危ないなんて。だから、王太子妃など権力に近付いてはいけなかったのに。私は唇を噛み締めていた。
「そうね。中止か延期? でも、このままやられたままでいいの? 誰だか分からないけどこんなの気に入らない。私、何でも手伝うわよ? アーシア」
「ガブちゃん……」
「ほお、ミーシャ商会の……。中々性根が座っているな。気に入った」
「王太子様まで……」
「確かにこのままやられっぱなしと言うのは気に入らんな。それも私の出るイベントを狙ってというのがな」
「ルークお兄様でしょうか? やはり私が王太子様の……その候補など畏れ多いことでしたから……」
「さあ、どちらも恨まれてもおかしくない立場だ。だが、このまま中止にするのも癪に触る」
王太子さまとガブちゃんと私でいろいろと話し合った。私の知らなかったことに新たに貿易港として開港することにでルークお兄様が更に力を得ることを危惧した一部の貴族達がいること、そして、王太子様も現王の王弟派からの攻撃も受けていることを教えられた。
そして、考えたくないけれど私が王太子妃候補となる噂からの襲撃だったとしたら……。
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「ま、まあそれは今でも狙ってるけど。そう言えばあなたジルまで攻略してたのよ。どうなってるのよ?」
「狙ってるんだ……。ジル? 騎士団長の息子よね。私の知ってるテンプレ騎士団長愚息タイプじゃなかったけど。そういやなんだか言いがかりをつけてこられたのを跳ね飛ばしたのよね」
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「はあ。そんな迷惑な設定だったの。私ってばやらかしたかもね」
翌日からはテープカットに伴う開港式などの流れなどの説明をお兄様受けた。立ち位置や挨拶の仕方などをすることになった。一緒にガブちゃんも聞いてくれている。ドレスの件を話すと私の小さくなったドレスを手直しして着ることになった。淡いグリーンの素敵なシフォンのドレスだ。
「ガブちゃんも可愛い。似合ってる」
「そう言うアーシアこそ虹色のドレスを持ってきた甲斐があったわね。良く似合っているというか、神レベル?」
お互いに自然と褒め言葉が出るので顔を見合わせてふふと笑ってしまった。虹色のドレスは見た目は黒いかいこのような虫から取れる虹色に光る繊維で出来ていた。その生地はとても貴重なもので王族の着る第一級クラスの織物なの。但し見た目に反して結構重量があるのがちょっと難点かな。
「でも、動きやすいのは男性用よね。今度軍服ぽいのも着てみたいかも」
「何またそんな楽しいことを言ってるのよ。でも似合いそうね。某歌劇団は私も嫌いじゃないし。寧ろ好きだし。いいかもね。ちょっと商会の手持ちで良いのが無いか探してこようかな」
お兄様はここ数日大忙しで、寝る暇もなさそうだったわ。でも、王子様のお出迎えをするといって出かけてしまった。今夜は後、お父様はおいでにならないけれどお母様はいらしてくれるようになっていた。それにジョーゼットやユリアン様も式典を見にきてくれるというお手紙を頂いたわ。
それから私達はガブちゃんが手に入れてきてくれた品々を見てきゃっきゃうふふと楽しい時間を過ごしていた。
「これ見てよ」
ガブちゃんが用意してくれたのはモールのついた白い軍服風の衣装。某有名な男装女性の衣装に似ていた。
「また凄いのを用意してくれたわよね。ごてごてして動きにくいのじゃあないの? とかいいつつ着てみるわ」
着んかいというガブちゃんの関西風のノリを聞きながら一人でも着られた。
「意外と着やすいわね」
「そうでしょ。ふふん。うちの腕の良いお抱えお針子にアレンジを頼んでみたんだ」
黒い髪は括らずストレートのまま背中に流してみる。
「おお、本当に白バラの騎士とかの表現が似合いそう。本当にあなた見た目は超絶良いよね」
「見た目だけって……」
「気にしない。気にしない。じゃ、次これ着てみて」
そんなやり取りの中、館が急に騒がしくなった。王太子様が到着したのかと慌ててしまった。だって、私はお出迎え用のドレスじゃないのよ。今はあの騎士風のヤツよ。それに迎えるために先触れがある筈なのにどうしたのしら?
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私は慌てて駆け寄ると王太子様は私に気が付いてくれた。
「お兄様!」
「君はアーシアだね。ルークの治療の手筈を頼む」
私は騒然となっている使用人達に指示を与えた。治療師の手配、王太子様を迎える準備。そして、襲われた状況を詳しく訊ねる。だって、今度はこの屋敷だって狙われるわ。警備の強化もしないとね。私は震える体に鞭を打って頑張ったわ。本当のムチじゃないわよ。気持ちね。気持ち。
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「そうですか」
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