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第二章

〜冒険者ロイ〜

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 ロイの事を心配で,何故か全員で付いて行く事に……

 「何故こんなコソコソして付いていくのじゃ!?」
 クロエが痺れを切らして話し出した。

 「バカ! あんまり大きい声で話すなよ! バレるだろ!?」
 「そんなに心配なら依頼を受ければ良かったのじゃ!」

 「今はそんな事いいんだよ」
 ローレンツ達までも付いて来て大渋滞だが,そんな事にも気付かずロイは彷徨っていた。

 「おいおい! こんな事にも気付けないで大丈夫なのか?」
 ローレンツが言うように,こんな事に気付けないようじゃ危ないと素人の俺でも思う。

 「ライム,ロイの事頼めるか??」
 ライムにそう俺は頼むと,ライムはロイの側に向かっていき,場所を導くかのようにぴょんぴょん跳ねてロイを先導し始めた。

 「なんだよライム。こっちだって言うのか?? まてよーー!!」
 ロイはライムが行く方向へと向かっていく。

 俺達も一緒に大移動をする。
 しばらくすると,大きな建物が見えて来た。

 もう使われていないだろうと思わせる程,朽ちている建物だがかなりの広さがあり,アジトとして使うなら恰好の場所だ。

 近くの物陰にロイは隠れて何かを伺っている。

 「どうやらあそこが,盗賊のアジトのようじゃな」
 「クロエ分かるのか??」
 「人間の気配が多くあるのじゃ。それに血の臭いもするのじゃ」
 
 ロイは鞘から剣を出して,一人で物陰から出たり戻ったりを繰り返している。
 「あ~もう見てられないのじゃ。何してるのじゃロイは」

 リングストンが立ち上がってロイの方へと向かっていく。
 「おい! おい! リングストン!」

 ロイに何か話しているリングストン。
 すぐさま二人でアジトの中へと向かっていく。
 
 「あ~もう仕方ないなぁ」
 ローレンツが立ち上がってリングストンとロイを追いかける。

 「あ~あ~もう仕方ないわね」
 「ワシらも行くしかないかの~」
 「待って下さい……」

 「皆して行ってしまったぞ」
 「何してるのよ! 私達も行くわよ。ロイは私達の仲間なのよ」
 ルイーザが飛び出していく。俺はルイーザが仲間だと認識していた事に驚いた。

 「結局全員で行くことになったのじゃ」
 俺とクロエもアジトに乗り込みに行く。

 アジトに入ると,あちこちで怒号と声,そして魔法を使った爆音が所々で聞こえる。

 クロエとミーナもアジトに居る盗賊を撃退していく。
 俺はクロエとミーナの後ろに隠れ,ことの成り行きを見ていた。

 戦闘をしている気配がだんだん消えてくると,ローレンツ達がロイと共に戻ってきた。           

 リングストンの手には,盗賊の首があった。

 「ロイが盗賊のボスを倒した……」
 「カナデどうだ!? オイラだってやれるんだぜ!」
 興奮してるのか,ロイは剣をブンブン振り回しながら話す。

 「とりあえず,何事もなくて良かったよ! じゃあ帰るぞ」
 結局俺達は全員で盗賊のアジトを殲滅した。

 辺りはすっかり暗く,村に戻ってもほとんどの灯りが消えているような時間帯だった。
 
 村長の家は灯りが点いていて,ずっと起きていたようだった。
 ドアを開けると,椅子に座った村長がテーブルに肘をついて頭を抱えていたが,帰ってきた俺達を見て安堵の表情を浮かべている。

 「心配してたんですよ……」
 「悪かったな村長。まあでも盗賊はロイの坊主がちゃんと始末してたぞ!」
 「うむ……」
 リングストンが盗賊のボスの首を村長に差し出した。

 「本当なんですか?」
 「本当じゃ。その首がボスが分からんが,アジトにいた盗賊達は全員始末したから問題ないじゃろ!」

 「そうなんですか!? 本当にありがとうございます!」
 村長を俺達に向かって頭を下げる。

 「感謝するなら……ロイに。ロイが盗賊を始末した。お金はロイにやってくれ」
 リングストンがそう言葉を発した。

 「ありがとう!」
 村長はロイの手を掴みロイにお礼を言った。

 「良いってことよ!」
 ロイは照れくさそうに応える。

 「さあ問題は解決しんたんじゃ! 宴でもしようぞ。酒もってこーい!」
 「おお! いいな! 酒もってこーい!」
 ローレンツがクロエに乗っかった。

 「私は久しぶりにカナデの音楽聴きた~い!」
 「拙者も聴きたい」

 「全く……しょうがないなぁ」
 俺はクロエに頼んでピアノを出してもらい,音を奏で始める。

 村長の家で大人数のどんちゃん騒ぎが始まる。宴は朝まで続いた。

 寝不足でフラフラになりながら俺達は村を出発する準備をする。
 村長からロイは盗賊を討伐した事で報酬をもらう。嬉しそうにそして大事そうにロイは受け取り抱えていた。
 
 村の入口でローレンツ達と挨拶を交わす。
 「まさかこんな所で会うとは思わなかったが,また会おうぜカナデ」
 「ミーナ!! 帝国に捕まった同胞を助けてあげてね。私も本当は付いて行きたいけど,依頼の途中で行けないのよ」

 「ルイーザさん任せて下さい。クロエやロイ,それにライムも頼りになりますから大丈夫です」

 「んッ!? おい! ミーナ。俺の名前が無かったと思うんだが……」
 「カナデは凄いのは音楽だけ! 戦えないでしょ?」
 「いやぁ……まあその通りなんだが……」

 リングストンがロイの頭をくしゃくしゃと撫でる。
 「なんだよ!? トカゲのおっさん」
 「……」
 「無言かよ!」

 「じゃあ俺達はそろそろ出発するよ。じゃあね皆」
 村出て,ボルダ帝国へと再び向かう。
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