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〜海の街チェスター〜

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 馬車で何日か移動し,やっとチェスターの街に到着した。
 海沿いの街と言ってた通り,港街で潮風吹いて磯の香りがする街だった。
 クロエとロイは馬車から身体を乗り出して街を見ている。

 ライムもバッグが出て俺の頭に乗り何かを感じているようだった。
 「それでは私の家に向かいましょう」
 チェスターの街並みを見ながらスカーレットの家に向かう。

 スカーレットの家は街の高い場所にあるようで,どんどん上へ登って行く。
 街を一望出来る高台にスカーレットの屋敷が建てられていた。

 スカーレットの父親と母親と思われる人達が出迎えてくれた。

 「おおスカーレットおかえり! どうしたんだ? 早い帰りじゃないか」
 「お父様ただいま戻りました。それが王都へ向かう道中シルバーベアーに襲われて,襲われている所をこの方々に救われたのです。王都へ向かわず戻って参りました」

 「魔物に襲われたのか!? よくぞ無事で」
 「私の娘を助けて頂いてありがとうございます」

 「いえいえ」
 「よいのじゃ」
 「貴族飯食わしてくれんのか?」

 「お父様こちらの方々の食事と部屋の用意をして頂けますか? 詳しい話しは食事の時にでも」
 「わかった。案内を頼む」

 執事と思われる人が俺達の案内をしてくれるようだった。
 屋敷に入ると,一度はどこかで見たことがなるような造りをした貴族の家だった。豪華ではあるが,下品ではない造りと装飾の屋敷だった。

 部屋に案内され,中へ入ると,多いな部屋に大きなベッドが三つあり,テーブルにソファ,化粧台まで全て整っている部屋だった。
 外に出られる場所もあり,テラスに出るとこの街を一望出来る眺めだった。

 「おいカナデこのベッド凄いのじゃ!」
 「見ろ見ろカナデ!」
 二人はベッドで飛び跳ねて遊んで喜んでいるようだった。

 しばらくすると,メンドが部屋に訪れて,お風呂の支度が出来たとの事だった。
 「風呂だと……!?」
 風呂なんてものがこの世界に存在したのか!?

 この街は水に関しても豊富な街で,風呂は屋敷の自慢だそうだ。

 「おお風呂とな! 行こうぞ」
 「すげ~な! 風呂だってよ」

 案内されると,大きな大浴場に案内された。
 「おおおおおおおおおおおおおおお」
 正直日本人の俺にとってはテンションが上がる。

 「凄いの~凄いの~」
 「すげーーーー」
 二人は走り回っている。

 「こらこら! 風呂で走るな!」
 俺は身体を流して湯船に浸かる。

 「最高だぜ~」
 「気持ちいいのじゃ」
 「これが風呂か~」
 俺達は大きな風呂をこれでもかと堪能した。
 俺達が着ていたものはメイドが洗濯してくれるようで,それまでの間,新しい服を用意をしてくれ袖を通し,食卓へと向かう。

 するとスカーレットと父親,母親の三人が立ち上がり,深々と頭を下げた。
 「此度は娘のスカーレットを助けて頂き誠にありがとうございます。さらには騎士達に回復魔法を使ってくれたとか,重ねて感謝致します」

 「そんないいですよ! 頭を上げて下さい」
 「では食事にしましょう。心ゆくまで楽しんで下さい」

 並べられてた豪勢な食事の前で俺は我慢が出来なかった。
 隣に座った二人なんてもっとだろう。クロエは抑えきれないヨダレを垂らしている。

 食事を食べ始める。
 ライデンの料理も最高だったが,ここは港町だからか,魚料理が多い。
 新鮮な魚介類を食べるなんて久しぶりで俺は感動していた。

 「おい! ロイ! それは余の食べ物じゃ! 勝手に取るな」
 「うるへ~。 は@&%%$#@$」

 とにかく二人はうるせー!!
 「もっと静かに食えないのか??」

 「酒もってこーい酒!!」
 「ハハハ! 豪快ですな! 話しは食事が終わってからにしましょう」
 「ありがとうございます」

 食事を終えると,スカーレットの父親が話しだした。
 「はじめまして,私はバーン・マルガレータと申します。隣に居るのが妻のカミラです」
 「カナデと言います。隣にいるのが,クロエとロイです」
 「カナデさん先程娘のスカーレットから話を聞きましたが,スカーレットの誕生会の余興を引き受けてくれたとの事なんですが……」

 「ええそうです」
 「命の恩人に大変失礼だと思いますが……」
 「なんじゃ? バーンお主,カナデを疑っているのか?」

 「疑っているとは言いませんが,本当なのか? という事です」
 「まあそれもそうじゃな! カナデ何か弾いてやるのじゃ」

 クロエがピアノを出して,俺は皆の前で一曲披露した。
 「おおこれはなんと……」
 「素晴らしかったですわね」

 「やはりカナデの音楽は素晴らしいの」
 「なるほど。スカーレットの誕生会をカナデさんにお任せていいでしょうか?」

 「任せるのじゃ!」
 ドンッって胸を叩くクロエ。なんでお前が返事するんだよ。

 「ちなみに誕生会ってのはいつやるんですか?」
 「七日後です」

 「わかりました。それまでにきちんと用意します」
 「よろしくお願いします」

 俺達は部屋へと戻る。
 「用意するって言っても,カナデが音楽をするだけじゃろ?」
 「誕生日会はきっと長いだろ? 色々と音楽を用意する必要があるし。せっかくなら派手にやりたいじゃないか!」

 「派手つったって何すんだよ」
 「まあそれが問題だが,ちょっと俺に考えがある」
 「クロエに聞きたいんだが……」

 俺は作戦を考えた。
 「カナデそれは楽しそうじゃな」
 「楽しそうだろ!?」
 「カナデ面白い事考えるな」
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