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〜ガラダ村と鎮魂曲〜
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森の中をかき分けていくと,洞窟が見えた。
中からは大勢の男達の声が聞こえる。
「気配はあそこからじゃが,どうする?」
「行くよクロエ」
「分かった。じゃが余が先頭を歩く,余より前には出るなよ?」
「「分かった」」
中に入ると徐々に男達の声が大きくなっていく。
少し洞窟の中を進むと開けた場所に出た。そこでは沢山の男達が酒盛りをしていた。
「余の前に絶対に出るなよ」
一人の男が俺達の事に気付いて近づいてくる。
「あ!? お前達は誰だ!?」
クロエが腕を振ると男の首と胴体がたちまち離れて首が飛んでいった。
「なんだいきなり!!」
中に居る大勢の男達が武器を構え始めた。
俺はビビって何も出来ないが,ロイが俺の腕を震えながら掴んでいた。
「なんじゃ!? さっさとかかってこい!」
クロエは魔法を使ってたちまちに大勢の男達を倒していく。
「こやつ達はきっと盗賊じゃな。ロイの村は多分じゃが,盗賊に襲われたのかもしれん」
奥の方にまだ部屋があり,扉をクロエが魔法でふっ飛ばした。
すると中には一人の男だけがいてテーブルに両足を乗せながら,瓶の酒をあおっている。
「お前らは一体何者なんだ?」
「なんじゃお主,やけに余裕じゃの?」
俺はそいつに質問する。
「一つ聞きたいが,お前らがガラダ村を襲ったのか?」
「ガラダ村? 近くの村か? そうだな俺達がやった」
「お前が父ちゃんと母ちゃんを殺したのか!?」
「あ!? そいつはわかんねぇーがな」
今まで黙って震えていたロイが声を荒らげていた。
するといきなり男の動きが微動だにしなくなった。
「くっ……一体何をした?」
「動けなくなる魔法をかけただけじゃ」
クロエはアイテムボックスから剣を取り出し,ロイに渡した。
「ロイの村と親の 仇が目の前におるぞ! やるならやってもいいぞ」
「おい! 子供にそんな事させるのかよ」
「関係ないじゃろ! どうするのじゃ?」
ロイは剣を抜いた。
「こいつ……父ちゃんが大切に首から下げてたやつをしてやがる……」
「うおおおおおおおおおお」
ロイは叫びながら男の身体に剣を差し込んだ。
「ぐはっ……」
血が大量に出て男はもう瀕死状態で,すぐに死んでいった。
ロイは男の首から父親の形見を取った。
「ロイ……」
「もうここには用がないのじゃ,外に出るぞ」
俺達は洞窟から出る。
「カナデとクロエに頼みがあるんだ」
「どうしたんだ?」
「村に……皆の墓を作りたいんだ」
「わかったよ。手伝うよ」
村に戻ると,村にある死体の人数分とロイの父親と母親の墓を作った。
ロイは俺が思っているより強い子なのかもしれない。
いや! 現実としてまだ受け止められていないだけなのかもしれない。
ロイは父親の形見を自分の首に下げる。
「クロエ。ピアノ出して」
「こんな時にか?」
「こんな時だからだよ」
クロエにピアノを出してもらう。
少しでもここにいるロイの心に,そして村人達の魂へのレクイエムを。
「♪♫~♪♪♫♪♪♫」
ショパン作曲『別れの曲』
「ほう……これはまた」
こちらからはロイの背中しか見えないが,ロイの肩が震えている。
曲が終わるとロイは道中で見せた笑顔を俺達に見せた。
「カナデとクロエ,それにライムもありがとうな!」
「ロイ,お主はこれからどうするのじゃ!?」
「何も考えてない……カナデ達に付いて行っていいか?」
「しょうがないな。いいぞ! でも俺達の旅は長いぞ」
「楽しそうじゃん」
「ならいいけど,それじゃあそろそろ行きますか?」
「ああ行こうぜ」
「そうじゃの」
俺達の旅に小さな元気な少年ロイが加わる事となった。
「それでカナデ達は一体どこに向かってるんだ」
「ドワーフの国に向かってるんだ。そしてその為にクルル山脈って山を目指してる」
「あ! そうだクロエこれ」
クロエがロイに渡した剣をロイが差し出した。
「ロイお主にやるのじゃ。旅で必要になる時もあるじゃろ。その時に使うのじゃ」
「分かった……ありがとうクロエ」
「ええのじゃ! それよりも早くドワーフの国に行きたいの~」
「オイラにとっては初めての外の世界だ。せっかくの旅なんだから気軽に楽しく行こうぜ」
「それもそうじゃの」
クルル山脈を目指し,出発する。
中からは大勢の男達の声が聞こえる。
「気配はあそこからじゃが,どうする?」
「行くよクロエ」
「分かった。じゃが余が先頭を歩く,余より前には出るなよ?」
「「分かった」」
中に入ると徐々に男達の声が大きくなっていく。
少し洞窟の中を進むと開けた場所に出た。そこでは沢山の男達が酒盛りをしていた。
「余の前に絶対に出るなよ」
一人の男が俺達の事に気付いて近づいてくる。
「あ!? お前達は誰だ!?」
クロエが腕を振ると男の首と胴体がたちまち離れて首が飛んでいった。
「なんだいきなり!!」
中に居る大勢の男達が武器を構え始めた。
俺はビビって何も出来ないが,ロイが俺の腕を震えながら掴んでいた。
「なんじゃ!? さっさとかかってこい!」
クロエは魔法を使ってたちまちに大勢の男達を倒していく。
「こやつ達はきっと盗賊じゃな。ロイの村は多分じゃが,盗賊に襲われたのかもしれん」
奥の方にまだ部屋があり,扉をクロエが魔法でふっ飛ばした。
すると中には一人の男だけがいてテーブルに両足を乗せながら,瓶の酒をあおっている。
「お前らは一体何者なんだ?」
「なんじゃお主,やけに余裕じゃの?」
俺はそいつに質問する。
「一つ聞きたいが,お前らがガラダ村を襲ったのか?」
「ガラダ村? 近くの村か? そうだな俺達がやった」
「お前が父ちゃんと母ちゃんを殺したのか!?」
「あ!? そいつはわかんねぇーがな」
今まで黙って震えていたロイが声を荒らげていた。
するといきなり男の動きが微動だにしなくなった。
「くっ……一体何をした?」
「動けなくなる魔法をかけただけじゃ」
クロエはアイテムボックスから剣を取り出し,ロイに渡した。
「ロイの村と親の 仇が目の前におるぞ! やるならやってもいいぞ」
「おい! 子供にそんな事させるのかよ」
「関係ないじゃろ! どうするのじゃ?」
ロイは剣を抜いた。
「こいつ……父ちゃんが大切に首から下げてたやつをしてやがる……」
「うおおおおおおおおおお」
ロイは叫びながら男の身体に剣を差し込んだ。
「ぐはっ……」
血が大量に出て男はもう瀕死状態で,すぐに死んでいった。
ロイは男の首から父親の形見を取った。
「ロイ……」
「もうここには用がないのじゃ,外に出るぞ」
俺達は洞窟から出る。
「カナデとクロエに頼みがあるんだ」
「どうしたんだ?」
「村に……皆の墓を作りたいんだ」
「わかったよ。手伝うよ」
村に戻ると,村にある死体の人数分とロイの父親と母親の墓を作った。
ロイは俺が思っているより強い子なのかもしれない。
いや! 現実としてまだ受け止められていないだけなのかもしれない。
ロイは父親の形見を自分の首に下げる。
「クロエ。ピアノ出して」
「こんな時にか?」
「こんな時だからだよ」
クロエにピアノを出してもらう。
少しでもここにいるロイの心に,そして村人達の魂へのレクイエムを。
「♪♫~♪♪♫♪♪♫」
ショパン作曲『別れの曲』
「ほう……これはまた」
こちらからはロイの背中しか見えないが,ロイの肩が震えている。
曲が終わるとロイは道中で見せた笑顔を俺達に見せた。
「カナデとクロエ,それにライムもありがとうな!」
「ロイ,お主はこれからどうするのじゃ!?」
「何も考えてない……カナデ達に付いて行っていいか?」
「しょうがないな。いいぞ! でも俺達の旅は長いぞ」
「楽しそうじゃん」
「ならいいけど,それじゃあそろそろ行きますか?」
「ああ行こうぜ」
「そうじゃの」
俺達の旅に小さな元気な少年ロイが加わる事となった。
「それでカナデ達は一体どこに向かってるんだ」
「ドワーフの国に向かってるんだ。そしてその為にクルル山脈って山を目指してる」
「あ! そうだクロエこれ」
クロエがロイに渡した剣をロイが差し出した。
「ロイお主にやるのじゃ。旅で必要になる時もあるじゃろ。その時に使うのじゃ」
「分かった……ありがとうクロエ」
「ええのじゃ! それよりも早くドワーフの国に行きたいの~」
「オイラにとっては初めての外の世界だ。せっかくの旅なんだから気軽に楽しく行こうぜ」
「それもそうじゃの」
クルル山脈を目指し,出発する。
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